2018年に改訂された保育所保育指針から、これまでの「保育課程」が「全体的な計画」に変更されました。基本的な考え方や書き方の例などはこれまでとどう変化しているのでしょうか。ここでは「全体的な計画」についての解説と、保育士さんが月案・週案を作成するにあたって参考にできるポイントについても紹介します。
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「保育課程」から「全体的な計画」への変更とは
全体的な計画とは、2018年に改定された保育所保育指針や幼稚園教育要領で、保育所・幼稚園・幼保連携認定こども園での実施が定められた計画立案のルールです。
それまでは保育所保育指針のみで定められていた「保育課程」が、すべての保育・幼児教育施設に対して適用範囲を拡充したことで、より教育課程に即した内容が保育に追加 されることになりました。
また、幼稚園にとっては預かり保育の時間が制定されたことで、これまでの幼児教育に加えて保育の要素が大きく追加されるかたちになったようです。
保育所保育指針では、2018年の改訂から「保育課程」についての記載が消え「保育の計画及び評価」の項目で「全体的な計画の作成」についての内容に変更されました。
「全体的な計画の作成」とは、具体的には以下のように記載されています。
ア 保育所は、1の(2)に示した保育の目標を達成するために、各保育所の保育の方針や目標に基づき、子どもの発達過程を踏まえて、保育の内容が組織的・計画的に構成され、保育所の生活の全体を通して、総合的に展開されるよう、全体的な計画を作成しなければならない。
イ 全体的な計画は、子どもや家庭の状況、地域の実態、保育時間などを考慮し、子どもの育ちに関する長期的見通しをもって適切に作成されなければならない。
ウ 全体的な計画は、保育所保育の全体像を包括的に示すものとし、これに基づく指導計画、保健計画、食育計画等を通じて、各保育所が創意工夫して保育できるよう、作成されなければならない。
「保育課程」から改訂された「全体的な計画の作成」とは、保育園が作成する施設の包括的な保育計画をもとに、現場の保育士が年間・月間・週間といった短期的かつ具体的な保育計画の作成を行なうことにつながるものと考えてよいでしょう。
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保育課程とはどう違う?「全体的な計画」の概要
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以前までの「保育課程」から変更された大きな点とは、保育園が幼稚園と同様に「教育を担う施設」と位置づけられたことと言えるでしょう。
「保育課程」では、保育園ごとの方針に基づいた保育内容の年間計画を作成することが原則とされていました。
しかし、改訂された「全体的な計画」とは、幼稚園や認定こども園と同じように、小学校入学への接続を意識した学びの連続性を保育計画に立案 することが特徴です。
書き方はこれまでの「保育課程」と同様に、園の保育方針、保育目標を明確にしたうえで、各年齢・月齢ごとの保育目標、育ってほしい姿とは、といった内容を具体的に明記していきます。
それらを基にした具体案として、心身の健康、教育(身体的・社会的・精神的)、食育などの項目をたて、その中でさらに細分化して具体的な保育計画に落とし込んでいくようです。
また、日常的な保育以外の園としての取り組みについても明記していきます。
事故防止・災害対策や訓練、園の設備や改修についてがこれにあたるでしょう。また地域や近隣小学校との連携や保護者支援についての計画も含まれることがあります。
これらの「全体的な計画」は、保育園の園長など経営側が主に作成するもののようです。保育士さんはそれをしっかり確認しながら日々の保育計画に活かすことが求められています。
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保育士さんが確認しておきたいポイントとは
現場で働く保育士さんは、園が作成した「全体的な計画」を理解・把握しておく必要があります。
保育士さんが、特に毎日の保育にあたって意識したいポイントとはどんなものがあるでしょうか。以下で見ていきましょう。
園の方針・育ってほしい姿
園としての保育理念や方針は、入職時に確認するものの、日々の仕事に追われて意外と忘れてしまっている保育士さんがいるようです。
園によって、朝礼などで唱和することがあるかもしれませんが、シフト勤務では毎日のように園の理念を頭に留め置くことは難しいかもしれません。
保育士さんが立てる保育計画がずれることがないよう、改めて確認しておきましょう。
計画の具体的な項目
「保育課程」に加えて意識するべき「幼児教育」とは、環境・表現・人間関係など幅広く、かつ細かく見ていかなければならない点があるでしょう。
日常の保育の中で、生活のあらゆることが教育につながるよう指導計画が立てられているか、チェックして自身やクラスの保育計画に落とし込みましょう。
担任する年齢の保育目標
「全体的な計画」の中では、園が保育する年齢・月齢ごとの年間の保育・教育計画とは、という内容が明記されているはずです。
これらの中から、保育士さんは自分の担当するクラスや年齢に対する内容と目標を把握し、月案や週案の作成に活かしましょう。加えて前後の年齢についても把握しておくと、より子どもたちの成長に即した計画を立てることができるかもしれません。
就学への接続について
「保育課程」から「全体的な計画」へと改訂されたことで、保育園の生活の中で、段階的に学習への意欲や興味、集団生活への習慣づけなどを実践することが求められています。
特に3歳以上のクラス担任をする場合は、保育だけでなく就学後の成長・発達を意識しながら、保育案を立てる必要があるでしょう。
そのためにも「全体的な計画」に記載された幼児教育への対策や、園としての方向性を理解しておきましょう。
保育課程が変更された内容を知って保育計画に活かそう
2018年以前に保育士になった方は「保育課程」については知っていたけど、「全体的な計画」の内容やこれまでとの違いに疑問を抱いていたという方がいるかもしれません。
家族や子どもをとりまく状況や社会通念が変化する中で、保育についての考え方にも柔軟な対応が必要とされているようです。
「保育課程」が「全体的な計画」に改訂されたように、これからも保育園や保育士さんに求められるスキルは変化していくかもしれませんね。
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