保育園の勤務時間内に子どもから離れて、連絡帳記入や教材の準備などを行う「ノンコンタクトタイム」。導入することで、保育士さんの残業時間の短縮や業務負担の軽減に効果が期待できます。今回のコラムではノンコンタクトタイムの概要や活用するメリット、確保する方法などを含めて紹介します。人材の定着化にも役立つため、参考にしてみてください。
metamorworks/shutterstock.com
目次
保育の「ノンコンタクトタイム」とは
ノンコンタクトタイムとは、保育士や幼稚園教諭の方が勤務時間の中で子どもたちと離れ、連絡帳や教材作成、事務作業などの業務を行う時間のことを指します。(休憩時間は含まれない)
最近ではノンコンタクトタイムの導入が注目されており、保育士の業務量の効率化によって保育の質の向上に効果があるといわれています。
ノンコンタクトタイムで行う業務一覧
まずは、ノンコンタクトタイムで行う業務内容を紹介します。
- 保護者からの連絡事項の確認
- 職員との連絡事項共有
- 連絡帳の記入
- おたより作成
- 保育日誌記録
- 指導案の作成(月案・週案・日案)
- 園児管理票の記入
- 園児の保育記録の作成
- 園内清掃
- 衛生管理
- 保護者対応
- 壁面装飾
- 行事の準備
- 製作活動の準備
- 環境設定
事務員が雇用されていない場合には上記の他にも、職員のシフト作成や保育料金の計算などを保育士さんがこなすこともあるようです。
勤務時間外に行われる作業も多いことから、保育士さんの業務負担の改善に向けて、ノンコンタクトタイムの確保に取り組むことは重要でしょう。
お問合せ&資料ダウンロード
採用課題・経営課題に関する個別ご相談受付やサービスガイドなどの資料DLはこちらからどうぞ。
まずはお気軽にお問合せください!
保育園でノンコンタクトタイムを確保するメリット
保育園でノンコンタクトタイムを確保するメリットについて紹介します。
保育園の労働環境の整備に役立つ
ノンコンタクトタイムを確保する大きなメリットに残業時間の削減が挙げられます。
上記で説明したように、保育以外の業務は意外と多いものです。業務がなかなか終わらず、職員に負担がかかっているケースも少なくありません。
勤務時間内にノンコンタクトタイムを確保すると、職員の持ち帰り残業も減り、労働環境の整備に役立つでしょう。休息も取りやすくなることから、精神的負担の軽減にもつながりそうです。
保育の質の向上を目指せる
保育士さんの中には多忙な業務に追われ、保育内容の振り返りや職員同士で保育活動について話し合う時間をもてない場合もあるかもしれません。
子どもへの接し方に自信がないまま仕事をこなしているうちに「このままでよいのか?」、「私は保育士に向いていないかもしれない」など不安を抱くことも考えられます。
ノンコンタクトタイムを、保育内容を振り返る時間や、職員同士の話し合いの場として活用することで、保育の質の向上にもつながりそうです。
自園のアピールポイントになる
保育士さんが不足している今、「応募がなかなか集まらない」、「職員の補充が思うように進まない」など人材確保に悩んでいる担当者の方もいるかもしれません。
ノンコンタクトタイムの導入は、求職者に働きやすさをアピールできたり、採用面のメリットも期待できそうです。
「事務作業は全て勤務時間内に!指導案作成や保育記録も持ち帰り一切なし。ノンコンタクトタイムの確保に取り組んでいます。」
「業務の効率化に向けてICTシステムを活用中。残業時間の削減に取り組んでいるため、書類作成も勤務時間内に行えます。」
上記のようにノンコンタクトタイムの導入について具体的に求人広告に記載すると、求職者に向けて自園の魅力を届けられるでしょう。
読んでおきたいおすすめ記事
【採用担当者向けコラム】保育士の新卒採用やることリスト。テンプレに使えるチェックシートを紹介
新卒採用は計画的に進めることが重要。保育士を目指す学生の動きは年々早期化しているとも言われるため、事前に「やることリスト」をまとめておくとスムーズです。そのうえで、早め早めに動くことが採用成功の近道で...
【採用担当必見】保育施設のお悩み対策診断。今、あなたの園に必要な対策は?
保育施設の運営にまつわる課題は、採用・定着・園児集客など、園によって本当にさまざまです。一体、自園にとって必要な対策は何なのか?「保育施設のお悩み対策診断」を使って調べてみましょう。 &n...
【採用担当者向けコラム】保育士の意向調査実施マニュアル。来年度に向けた準備のポイント
保育士さんに向けて来年度の就業意思を確認する意向調査では、どんなことに配慮して進めるとよいでしょうか。今後の園の運営や保育士さんの育成に関わることなので、慎重に行なうことが大切です。今回は、意向調査の...
【採用担当者向けコラム】意向調査で「退職希望」を示している保育士の引き止めはできる?
意向調査で退職の希望を示している保育士さんの引き止め方を知りたいと感じる採用担当者の方もいるでしょう。保育士不足が続く中、頼りにしていた保育士さんが抜けてしまうと運営が苦しくなりますよね。今回は、意向...
【2024最新】保育士不足が続く原因は?解消に向けた国・自治体・園の対策も解説
なぜ保育士不足が続くのでしょうか。子育て支援の重要性が増す中で、資格を持ちながらも保育士として就業する人が少ない状況を受け、国や自治体ではさまざまな対策を行なっています。今回は、深刻な社会問題でありな...
【2024年最新】学童保育の補助金はいくら?開業や運営に関わる助成金について
全国的に共働き家庭が増えたことで、小学生の居場所となる学童保育の拡充が求められています。実際に学童保育の開業や運営を目指す場合、国や自治体からいくらの補助金を受け取れるのでしょうか。今回は、学童保育の...
【採用担当者向けコラム】保育士の人材紹介手数料は高い?相場や会社による違いを解説!
保育士採用でも利用される「人材紹介」。手数料が何十万にも上ったという話を聞き、利用を迷っている採用担当者の方もいるかもしれません。今回は、保育士の人材紹介について、手数料の相場と費用が高いと言われる理...
【採用担当者向けコラム】真面目な人ほど急に辞めるのはなぜ?保育士が突然退職する理由と対策
真面目な人から急に辞めると告げられて、「何がよくなかったのか…」と頭を抱える採用担当者の方もいるのではないでしょうか。おとなしい人や優秀で勤勉な保育士さんほど、職場にストレスを抱えているかもしれません...
【採用担当者向けコラム】人材紹介会社が保育士さんを紹介してくれないのはなぜ?原因と対策
人材紹介会社を利用したにもかかわらず「保育士さんを紹介してくれない」と悩みを抱える方はいませんか?採用活動がスムーズに進まないと人材不足が解消されず、運営に支障をきたすケースも。今回は人材紹介会社から...
転職フェア出展は意味がない?採用できない?保育士を集客するためのポイント
多くの保育士さんと出会い、自園の魅力を直接伝えられる「転職フェア」。人材確保のチャンスになる機会ですが、出展しても意味がないのでは、採用できないのではと不安を抱く方もいるでしょう。今回は、転職フェアで...
放課後等デイサービスの職員採用の方法は?求める人材に出会うコツ
保育・福祉業界では人材不足が深刻化しており、放課後等デイサービスについても採用に苦戦する施設があるでしょう。特に児童発達支援管理責任者(児発管)の不足は、全国的に大きな課題となっています。今回は、放課...
時短勤務とは?保育園が導入するメリット・デメリットや注意点
2009年度の育児・介護休業法によって制度化された「時短勤務」。正式には短時間勤務制度と呼ばれ、3歳に満たない子を療育する労働者を対象に多くの方が利用しています。今回は時短勤務の概要や対象者、導入状況...
学童保育の経営に必要な基礎知識!開業の流れや必要コスト、成功のポイント
学童保育の開業を考えている方は、開業の流れやランニングコストの目安を把握しておくことが大切です。学童保育を経営するうえで必要な基礎知識をチェックしていきましょう。今回は、学童保育の経営に関する内容や成...
【採用担当者向けコラム】保育士採用で合同説明会に出展するメリット。成功の秘訣
保育事業者にとって合同説明会への出展には、どのようなメリットがあるのでしょうか。採用の成功率をアップするために、出展を検討する採用担当者の方もいるかもしれません。今回は保育士さん向けの合同説明会の活用...
学童保育の採用に人材紹介サービスを利用するメリットと注意点。活用するポイント
学童保育の採用に人材紹介サービスを利用するべきかと悩む事業者の方はいませんか。「手数料が高いのでは?」「希望する人材の紹介が受けられるのか」と不安を抱くこともあるでしょう。今回は、学童保育の採用に人材...
【採用担当者向けコラム】退職代行を使われた時はどうする?保育園に連絡が来た時の対処法
職員から退職代行サービスを利用して退職の申し入れがあった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。連絡が来た時点で直接該当の職員とやり取りすることが難しいため、戸惑ってしまいますよね。今回は退職代行...
ジョハリの窓とは?4つの窓の内容や注意点、具体例をわかりやすく解説
「ジョハリの窓」という自己分析ツールはご存じですか。「開放」「秘密」「盲点」「未知」の4つの窓を用いて、自分や他者からの印象を認識していく手法です。今回は、ジョハリの窓の概要や企業内での導入時の注意点...
今、重要視される「学び直し」は保育士に必要?園側が取り組む具体例
社会人の学び直しが注目されている昨今、雇用側の環境整備が求められます。今回は、保育士の学び直しが必要なのか、園側の取り組みや具体例についてわかりやすく解説します。保育士がやりがいをもって働ける職場を作...
人的資本経営とは?保育園経営に活用するメリットや保育士育成のポイント
人的資本経営とは、企業の人材を「資本」と捉え、人材の価値を高めることで企業価値の向上を目指す経営手法です。近年注目されている経営手法のひとつで、さまざまな企業で導入されています。今回は、人的資本経営の...
学童保育を開業するために必要な資格・条件・補助金制度について徹底解説!
全国的に学童保育の拡充が求められている今、学童保育施設を開業するためには何が必要なのでしょうか。今回は学童保育の開業に必要な条件や手続き、補助金制度などを紹介します。学童保育の開業は主に自治体から業務...
- 同じカテゴリの記事一覧へ
保育園でノンコンタクトタイムを確保する方法
maroke/shutterstock.com
ノンコンタクトタイムを確保するために必要な取り組みについて紹介します。
①職員の勤務時間や業務内容を確認する
まずは、職員の勤務時間や業務内容を把握して仕事量をチェックしましょう。一人ひとりの業務スケージュールを把握することで、ノンコンタクトタイムをいつ確保できるか、具体的にイメージできそうです。
また、多くの保育士さんを雇用している場合は一人ひとりにアンケートを取ると、勤務状況を確認しやすいかもしれません。
②職員の役割を分担する
次に職員一人ひとりに仕事量の偏りがないよう、役割分担を行うとよいでしょう。特に主任は教育指導や学年ごとの会議の開催など、ノンコンタクトタイムで行う業務が多いことが考えられます。
壁面製作や行事の企画などは職員同士で協力して取り組むため、計画を立てることも大切です。
ノンコンタクトタイム中の業務内容を明確化すると、効率的に作業を行うことができるでしょう。
③業務のスケジュール調整を行う
一日の中でいつノンコンタクトタイムを設けられるか、保育士一人ひとりのスケジュールの調整を行いましょう。
勤務表にコンタクトタイムの時間を記載しておくと、仕事の見通しも立てやすく、スムーズに業務こなすことができるかもしれません。
職員同士のコミュニケーションの場としても活用できるように、積極的に働きかけられるとよいですね。
④反省会を開く
ノンコンタクトタイムの導入後は、勤務状況の変化や改善点について、話し合いの場を設けるとよいでしょう。
反省会を開き、ノンコンタクトタイムの活用法について意見交換を行うとよいかもしれません。
「働きやすい職場を職員全員で作り上げていこう」という気持ちを大切にして、雰囲気のよい職場となるよう、配慮していきましょう。
保育ICTシステムでノンコンタクトタイムの充実化へ
ノンコンタクトタイムの確保する方法についてお伝えしましたが、充実化を図るうえで保育ICTシステムを導入している園もあるようです。
保育ICTシステムとは、パソコンやタブレットを活用し、園児管理や職員の労務管理、保護者へのお知らせ配信などを行う電子システムです。
ノンコンタクトタイムにおける業務は事務作業が多いことから、保育ICTシステムを活用すると業務が効率的に進むことが考えられます。
国からの補助金制度も確立していることから、導入について一度検討されてみてはいかがでしょうか。
ノンコンタクトタイムを確保して、働きやすい環境を作り上げよう
ノンコンタクトタイムを確保することで職員の仕事へのモチベーションを高め、保育の質の向上に向けて効果をもたらすことが期待できます。
人材の定着化に役立ち、離職率の軽減にもつながることから、自園の勤務状況に合わせてノンコンタクトタイムの充実化を目指していきましょう。
保育施設の採用課題へのお取組み支援
保育士バンク!からのご提案
- 人材紹介サービス
- 求人広告制作代行
- 就職・転職フェア
- 認知拡大、情報発信支援
保育施設が抱える人材確保や採用課題について、保育士バンク!の担当エージェントがしっかりとサポートいたします。
各サービスへのご質問、採用課題・経営課題についてのご相談についても受け付けております。
人材紹介&求人広告採用のお問合せはこちら
お問合せ&資料ダウンロード
採用課題・経営課題に関する個別ご相談、お問合せはこちらからお願い致します。