人材不足が深刻化する中、保育実習生の受け入れ態勢を整え、未来の保育士を育てることが重要です。知識や技術の習得に向けて指導を行い、保育士という仕事の魅力を伝えることも大切ですね。今回のコラムでは保育実習が学びの多い場となるように、実習生を受け入れるためのポイントや流れ、指導方法などを詳しく紹介します。
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保育実習生の受け入れ態勢と整えよう
未来の保育士を育てるために大切な「保育実習」。
実習には子どもとのふれ合いや職員との関わりなどを通して、保育学生さんに知識や技術、実践的能力を養ってもらうという目的があります。
実習期間は約2週間。このような短い期間の中で育成に取り組むことから実習が学び多い場となるよう、受け入れ態勢を整えることが重要です。
また、実習生の中には保育実習後にその園への就職を希望する方もいるでしょう。「受け入れマニュアルの作成」「実習生への指導方法の明確化」などを行い、環境を整えて実習生の就職への意欲を高められるとよいですね。
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保育実習生を受け入れる際の流れ
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1.養成校と連絡を取り合う
基本的に保育実習が行われる場合は、実習生や養成校などから保育施設に連絡があるようです。実習期間など基本的な説明に伴って、謝礼金といったお金の説明も受けるかもしれません。しっかり連携をとりながら、今後の流れを確認して共有しましょう。
また、養成校からの連絡後に実習生から挨拶の電話を受ける場合もあるようです。緊張している方もいるため「お会いできるのを楽しみにしていますね。」などと優しい声かけを意識し、丁寧な対応を心がけましょう。
2.スケジュール調整を行う
次に実習を受け入れる際のスケジュール調整を行いましょう。
実習科目は、保育士資格を取得するための単位の中に組み込まれています。未来の保育士さんを育てるためにも、しっかりと計画を立てたうえで受け入れ態勢を整えることが大切です。
3.実習生とのオリエンテーション
実習前には保育学生さんとオリエンテーションを行います。説明が必要な項目は、主に以下の通りです。
- 園児数やクラス数
- 職員構成 (園長、主任、担任、栄養士など)
- 出勤日、出勤時間、実習中の行事
- 服装
- 昼食内容
- 保育方針
- 実習日誌の書き方(学校の書式などの確認)
- 部分実習、全日実習の有無や日程
- ピアノを弾くことをお願いする場合などは譜面を渡す
- その他注意事項の説明
保育方針は園によって違いがあります。「モンテッソーリ教育」や「英語教育」など主に取り組んでいる保育活動についてきちんと説明を行いましょう。活動の様子を映した写真や動画などがあれば、園の雰囲気を伝えやすいかもしれません。
また、和やかな雰囲気でオリエンテーションが行われるように笑顔を心がけ、疑問や質問を確認するとよいでしょう。
4.実習開始
一般的に、見学実習や観察実習などで園の保育活動を把握してから、部分実習や責任実習が行われることが多いようです。
定期的に反省会や相談の場を設け、実習生の成長を支えることが大切です。複数の実習生がいる場合は意見交換会や交流会などを開き、互いに学び合う場を設けるとよいですね。
5.実習修了
実習修了後には評価を行います。評価方法は、学校の書式に沿って行われることが多いかもしれません。指導担当者以外に施設長や関わった職員などが行うこともあるようです。適切に評価できるように、実習生の態度や子どもと関わる姿などをしっかり見ていきましょう。
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保育実習生の受け入れるための6つのポイント
保育実習生を受け入れるためのポイントについて紹介します。
1.保育実習が「楽しい場」となるような働きかけを大切にする
厚生労働省の「保育士の現状と主な取組」の調査によると、養成校の学生が保育職への就職を目指すことを決めた理由は「保育者になることが夢だったから」が78.6%、「資格・免許が取得できるから」が25.2%、「授業を通して保育の面白さや、やりがいを感じたから」が24.5%であることがわかりました。
続いて、「実習が楽しかったから」という理由で就職を決めた方も全体の13.8%いることも明らかになっています。
出典:養成校の学生が保育職への就職を目指すことを決めた理由p12/厚生労働省から抜粋
中には「園の雰囲気がよかったから職員として働きたい!」「子どもとすごすことを楽しみたい!」などの声もありました。
こういった想いを持った保育学生さんが増えるよう、実習中に何か失敗があっても温かな声かけや誠実な対応を意識することが大切ですね。
2.保育実習受け入れマニュアルを作成する
園それぞれで受け入れマニュアルを作成することで、サポート態勢を整えることができるでしょう。
マニュアルの基本となる項目は以下の通りです。
- 実習クラスや指導担当者
- 園の設備・備品内容
- 園の保育方針
- 一日のスケジュール
- 実習日程(部分実習や全日実習など)
- 反省会の内容
- 実習記録の評価方法や表記ルール
保育方針や職員態勢によって実習方法が異なることから、園独自の受け入れマニュアルを作成して職員と共有しましょう。
このような資料を作成すれば、初めて指導担当となる方も安心して実習生に関わることができそうですね。
3.保育実習日誌の添削方法を明確にする
事前に保育実習日誌の添削方法を話し合っておくとよいでしょう。特に実習生を初めて受け入れる担当者の場合、添削の仕方がわからないことも多いかもしれません。
あらかじめ園の表記ルールや具体的な書き方の例などをまとめた資料を用意しておくと役立ちそうです。
ここで添削の際の注意点をまとめました。
- 誤字脱字のチェックを行う
- 具体的なアドバイスを記入する
- 実習生のよい面を書くことを意識する
- 「今日一日お疲れ様でした。」「明日もいっしょに頑張りましょう。」などねぎらいの言葉を添える
上記は一例になりますが、実習生が添削内容を読んだときに前向きになれるような文章を記載できるとよいですね。
4.指導担当職員の業務量のバランスを考える
実習生を受け持つことで指導担当の方の業務が増えることが考えられます。勤務時間が長くなったり、持ち帰り残業が多くなったりと負担となることもあるかもしれません。
仕事量のバランスが保てるように、職員同士で役割分担の見直しなどを行うとよいでしょう。
例えば、「壁面製作の担当は実習中は違う方が交代する」「お便り作成は副担任が行う」など仕事のやり方を工夫するとよさそうです。
5.職員同士で指導方法を共有する
実習生が養成校を卒業後、実習園での就職を希望した場合はそのまま自園の保育士さんとして働くことも考えられます。
実習生が自分たちの「未来の仲間」になるかもしれないという可能性をふまえたうえで、職員同士で成長を支えることが大切です。指導方法をできる限り統一し、職員によって方針がバラバラにならないように話し合いの場を設けましょう。
また、子どもとの関わり方は、保育士さんによって違いがあることが多いものです。その際はあくまでも一例として紹介し、「私はこんな風に子どもに接しているけど、あなたはあなたなりの考えで接してみましょうね。」など、実習生の自主性を育てられるような温かい言葉をかけられるとよいですね。
6.積極的に声をかけ、実習へのモチベーションを高める
実習生は新しい環境の中で不安を抱きながら実習に臨んでいることでしょう。「頑張っていますね。設定保育の準備を手伝ってくれてありがとうございます。」「いつでも質問してくださいね。」などと声をかけ、コミュニケーションを大切にしましょう。
また、実習中には保育士の仕事の魅力も伝えられるとよいですね。「子どもはほんとうにかわいいです。私はいつも元気をもらっています。」「保育士の仕事は大変ですが、子どもに癒してもらうことも多いです。私は午睡中に寝顔を見るのが大好きなんです。」などと伝え、保育士のやりがいについても話していきましょう。
出典:保育士養成関係資料p8/厚生労働省
出典:養成校の学生が保育職への就職を目指すことを決めた理由p12/厚生労働省
保育実習生の受け入れ態勢を整えて人材の確保につなげよう
保育実習は未来の保育士の育成を支えるための重要な機会です。
指導する際は積極的に声をかけたり、励ましの言葉を伝えたりして楽しく実習できるようにサポートできるとよいですね。
実習後に自然と「この園でずっと働きたい!」と意欲が高まるように、受け入れ態勢を整えていきましょう。
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