保育士試験合格者の中には、勤務をするうえで新卒の方よりも現場経験が少ないことから不安を抱える方もいるかもしれません。安心して働いてもらうためにも、受け入れ体制を整備することは重要でしょう。このコラムでは、厚生労働省の調査結果をもとに保育士試験合格者が抱える不安を紹介し、受け入れるためのポイントを詳しく解説します。
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目次
新卒は養成校(専門学校・短大・大学)を卒業時に保育士資格を取得している方が多い一方で、中途採用者の中には、独学で保育を学び、試験に合格した方もいるでしょう。
人材の定着に取り組むうえでも、保育士試験合格者に向けて受け入れ体制を整えることも重要になります。
まずは、試験合格者がどのような不安を抱えているのか把握していきましょう。
保育士試験合格者は現場経験が少ない?
厚生労働省の資料によると、試験合格者の約6割の方が、保育士としての就業に対して、何かしらの不安を感じていることがわかりました。(以下左側)
また、その原因として保育関係の経験有無による差が大きく影響することが挙げられています。(以下右側)
養成校では、実習の中で子どもと触れ合ったり、先輩保育士さんに質問したりと経験を積んだうえで現場に立つこともあるでしょう。
その一方で、保育士試験合格者の中には社会人の方もいるため、現場経験が浅く、不安を抱えたまま就業することも多いかもしれません。
実務経験が少ないことでどのような心配があるのか具体的に紹介します。
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保育士試験合格者が抱える不安
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子どもとの接し方がわからない
就職すると「子どもにどんな風に声をかければよいかわからない」、「ケンカの仲裁の対応の仕方が合っているのか不安だ」など園児とのかかわり方について誰しも不安になることはあるでしょう。
子どもの年齢によって活動内容や援助方法も違いがあり、新人保育士さんは戸惑うことも多いかもしれません。
実際の現場に立つ前に実習で経験を積んでいると心構えもできますが、保育士試験合格者の中にはその経験が少ない方もおり、研修期間などを経てから働きたいと考えていることが伺えます。
遊びの指導に自信がもてない
保育士は食事や衣服の着脱、オムツ替えなど生活全般のお世話をすることが多い仕事です。
保育中に歌や手遊び、絵本の読み聞かせなどを行い、ゲームや製作を指導する場面もあります。
基本的に活動前に指導案を作成し、声かけ方法や場面の設定などを詳しく計画しますが、実際に子どもたちの前に立つと緊張して、どのように話せばよいのかわからなくなってしまったということも少なくありません。
就職前の実習中に場数を踏んでおけば・・・と後悔することもあるようです。
労働条件や労働環境がイメージできない
就業前に現場経験が少ないと保育士の仕事量をイメージできず、不安になる方もいるでしょう。
保育士は「労働時間が長い」、「残業が多い」などマイナスのイメージをもつ方も多いことから、経験が少ないと、実際に働いてみて体力や気力が続かないのでは?と心配になることもあるかもしれません。
保育士さんの一日のスケジュールや活動内容、自身の役割などがわからないまま現場に立つと、「思ったよりもずっとハードだった」、「保育活動以外にも掃除や行事の準備で大変」といった想いを抱き、早期離職につながる可能性もあるでしょう。
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保育士試験合格者の受け入れるためのポイント
実習経験が少ない保育士試験合格者が安心して働くためには、各園が受け入れ体制を整備することが大切です。
早期離職を防ぐためにも注意点を把握し、職場環境を整えていきましょう。
研修制度の確立
新人保育士さんが保育現場に慣れるためにも、まずは研修を通して園の保育方針や子どもへの援助方法、遊びの指導法などを学習する機会を設けることが重要です。
園によって活動方法に違いがあったり、園児との関りの中でルールを設けていたりとさまざまなケースがあるでしょう。
新人保育士さんがより深く園を知ることができるように、きちんとした研修制度を確立するとよいかもしれません。
研修があれば、子どもへの関わり方や遊びの指導などをより具体的に先輩保育士さんから学ぶことができるでしょう。
しかしながら、園によっては人手不足や園の方針などで研修時間を設けることができず、すぐに担任を受けもつ場合もあるかもしれません。
その際は、相談の機会を増やしたり、ベテラン保育士さんと共同で行うクラス活動を増やしたりと手厚くフォローできる体制を作りあげられるとよいですね。
育成マニュアルの作成
新人保育士さん向けに育成マニュアルがあると、教育担当の方も指導しやすいでしょう。
人材の成長によって保育士に求められる資質や役割は異なっていくため、「1年目の役割と育成方針」などを記載し、段階的にステップアップが可能となるよう、より具体的なマニュアルを作成することが大切です。
また、保育活動以外にも保護者への対応、お便り作成、園内の清掃活動など業務について詳しく記載しておくと仕事の見通しもたてやすくなります。
園それぞれで方針に違いがあるため、新人保育士さんの成長を支えられるようなマニュアルを作成していきましょう。
ICTシステムの活用
保育士の業務負担の軽減に向けてICTシステムの導入が注目されています。
パソコンやタブレットなどを活用し、園児の登降園、個人情報管理、職員の勤怠管理などさまざまな場面で業務の効率化に役立つシステムです。
新人保育士さんを受け入れる際もICTシステムがあることで、園児のお休みをすぐに確認できたり、園児情報のデータ引継ぎが簡略化されたりとスムーズに業務を行うことにつながるでしょう。
また、保護者へのお知らせ機能なども備わっているため、ICTシステムを活用してデータ化したおたよりを一斉送信している園もあるようです。
修正、編集が簡単にできることから、おたより作成に慣れていない新人保育士さんでも利用しやすいでしょう。
保育士試験合格者が働きやすい環境を整備しよう
保育士試験合格者は社会人の方もいることから、仕事をもちながらも「保育士として働きたい」という想いを抱き、多忙な中で資格を取得した方も多いかもしれません。
志が高い一方で、新卒の方よりも実習経験が少ないことに不安を抱えている場合も考えられます。
安心して働くことができるように、研修制度の確立や育成マニュアルの作成などを考え、受け入れ体制を整備できるとよいですね。
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