保育士試験合格者を採用につなげるチャンス、逃していませんか?毎年、保育士試験に合格する人は1万人以上にのぼります。合格者層を意識した採用活動は、保育施設にとって新たな人材と出会う機会になるでしょう。今回は、保育士試験合格者に向けた採用手法や、受け入れ体制の整え方について詳しくご紹介します。
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保育士試験合格者の採用に取り組もう
保育士人材不足の問題が長期化する中、採用活動がスムーズに進まず、悩んでいる保育施設もあるかもしれません。
打開策のひとつとして、保育士試験合格者の採用に力を入れることで、人材確保の効果が期待できそうです。
以下は、過去5年間の保育士試験における受験者数と合格者数の推移です。2023年には17,955人の方が保育士資格を取得しています。
年度 | 受験者(人) | 合格者(人) |
---|---|---|
2019年 | 77,076 | 18,330 |
2020年 | 44,914 | 10,890 |
2021年 | 83,175 | 16,600 |
2022年 | 79,378 | 23,758 |
2023年 | 66,625 | 17,955 |
資格を取得したばかりの人材は、学びへの意欲が高く、保育現場での経験を積みたいという前向きな姿勢が見られるかもしれません。
保育士試験合格者の採用に向けた取り組みの強化について、考えてみましょう。
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保育士試験合格者の就職・転職活動のタイミングは?採用活動のヒントに
保育士試験の合格発表は年2回行われ、筆記・実技試験ともに合格した方が保育士資格を取得できます。
例年、前期日程の合格発表が7月頃、後期日程の合格発表は1月頃のようです。
そのため、前期試験の合格者は夏~秋頃にかけて、後期試験の合格者は年明けから春にかけて、本格的に就職・転職活動を始めることが予想されます。
採用する側はこのタイミングに合わせて求人情報の見直しや、面接スケジュールの調整を行うとよいでしょう。
例えば、以下のような工夫が採用活動の後押しになりそうです。
- 求人広告に「保育士試験合格者歓迎」「資格取得見込みの方も応募可」などの文言を記載する
- 合格発表の時期にあわせて、HBに特設ページや採用キャンペーンを実施する
- 面接日程や入職時期について柔軟な対応ができることをアピールする
こうした準備を行うことで、保育士資格を取得したばかりの意欲ある人材の獲得のきっかけになるかもしれません。
保育士試験合格者の採用に向けて、計画的に進めていきましょう。
【人材採用】保育士試験合格者が現場で働く際の不安要素は?
保育士試験合格者の採用活動に取り組むだけでなく、人材の定着を見据えた受け入れ体制の整備も重要です。
まずは、保育士試験合格者が現場で働くことに対する不安要素について、把握してみましょう。
2020年度の厚生労働省の資料によると、試験合格者の約6割の方が、保育士としての就業に対して、何かしらの不安を感じていることがわかりました。(以下左側)
また、その原因として保育関係の経験有無による差が大きく影響することが挙げられています。(以下右側)
その一方、保育士試験合格者の中には社会人の方もいるため、現場経験が浅く、不安を抱えたまま就業することも考えられます。
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【人材採用】保育士試験合格者が抱える不安
続いて、保育士試験合格者が実務経験が少ないことで、業務上どのような心配があるのか具体的に確認していきましょう
子どもとの接し方がわからない
保育士試験合格者の中には、就職後「子どもにどんな風に声をかければよいかわからない」「ケンカの仲裁の対応の仕方が合っているのか不安だ」など、園児との関わり方について不安になる方がいるようです。
子どもの年齢によって活動内容や援助方法に違いがあるため、戸惑うことも多いかもしれません。
実際の現場に立つ前に実習で経験を積んでいると心構えもできますが、その経験が少ない方もいるでしょう。研修期間などを経てから働きたいと考えている方も一定数いることが予想されます。
遊びの指導に自信がもてない
保育士さんは食事や衣服の着脱、オムツ替えなど生活全般のお世話をすることが多い仕事です。
保育中に歌や手遊び、絵本の読み聞かせなどを行い、ゲームや製作を指導する場面もあります。
基本的に活動前に指導案を作成し、声かけ方法や場面の設定などを詳しく計画しますが、実際に子どもたちの前に立つと緊張してどのように対応すればよいのか、迷うこともあるでしょう。
就職前の実習中に場数を踏んでおけば…と後悔することもあるようです。
労働条件や労働環境がイメージできない
保育士さんは「労働時間が長い」「残業が多い」などマイナスのイメージをもつ方も多く、就職してすぐに「体力や気力が続かないのでは?」と心配になることもあるかもしれません。
また、仕事のスケジュールや活動内容、自身の役割などがわからないまま現場に立つと、「思ったよりもずっとハードだった」「保育活動以外にも掃除や行事の準備で大変」といった想いを抱き、早期離職につながる恐れもあります。
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【人材採用】保育士試験合格者の受け入れるためのポイント
保育士試験合格者が働く際の不安要素について紹介しましたが、保育施設側は受け入れ体制を整え、早期離職防止に取り組む必要があるでしょう。
実習経験などが少ない保育士試験合格者の受け入れ体制の整備ポイントをまとめました。
早期離職を防ぐためにも注意点を把握し、職場環境を整えていきましょう。
研修制度の確立
新人保育士さんが保育現場に慣れるためにも、まずは研修を通して園の保育方針や子どもへの援助方法、遊びの指導法などを学習する機会を設けることが重要です。
園によって活動方法に違いがあったり、園児との関わりの中でルールを設けていたりとさまざまなケースがあるでしょう。
新人保育士さんがより深く園を知ることができるように、きちんとした研修制度を確立するとよさそうです。
研修があれば、子どもへの関わり方や遊びの指導などをより具体的に先輩保育士さんから学ぶことができるでしょう。
しかしながら、園によっては人手不足や園の方針などで研修時間を設けることができず、すぐに新人保育士さんに担任を任せることがありそうです。
その際は、相談の機会を増やしたり、ベテラン保育士さんと共同で行うクラス活動を増やしたりと手厚いフォロー体制を確立できるとよいですね。
育成マニュアルの作成
新人保育士さん向けに育成マニュアルがあると、教育担当の方も指導しやすいでしょう。
人材の成長によって保育士に求められる資質や役割は異なるため、「1年目の役割と育成方針」などを記載し、段階的にステップアップが可能となるよう、より具体的なマニュアルを作成することが大切です。
また、保育活動以外にも保護者への対応、おたより作成、園内の清掃活動など業務について詳しく記載しておくと仕事の見通しが立てやすくなります。
園それぞれで方針に違いがあるため、新人保育士さんの成長を支えられるようなマニュアルを作成していきましょう。
ICTシステムの活用
保育士の業務負担の軽減に向けてICTシステムの導入も注目されています。
パソコンやタブレットなどを活用し、園児の登降園、個人情報管理、職員の勤怠管理などさまざまな場面で業務の効率化に役立つシステムです。
新人保育士さんを受け入れる際もICTシステムがあることで、園児のお休みをすぐに確認できたり、園児情報のデータ引継ぎが簡略化されたりと、効率的な業務に役立ちそうです。
また、保護者へのお知らせ機能なども備わっているため、ICTシステムを活用してデータ化したおたよりを一斉送信している園もあるようです。
パソコンやタブレットで書類の修正、編集が簡単にできることから、おたより作成に慣れていない新人保育士さんでも利用しやすいでしょう。
出典:令和7年試験案内/一般社団法人 全国保育士養成協議会
出典:保育士の現状と主な取組/厚生労働省
出典:保育士試験の実施状況(令和4年度) /こども家庭庁
出典:保育士試験の実施状況(令和5年度) /こども家庭庁
保育士試験合格者の採用ポイント把握し、人材確保に役立てよう働きやすい環境を整備しよう
保育士試験合格者の中には仕事をこなしながらも「保育士として働きたい!」という想いを抱き、ようやく資格を取得できたという方もいるでしょう。
このような志の高い方を確保するためにも、保育士試験合格者向けの採用活動の強化に取り組み、受け入れ体制を整えられるとよいですね。
保育施設の採用課題へのお取組み支援
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