障がい児保育は、子どもの可能性を引き出し社会の一員として自立するための重要な役割を担っています。しかし何に気をつけるべきか、何を大切なこととして保育に取り組めばよいのか、考えてしまう保育士さんもいるのではないでしょうか。そこで今回は、保育士さん・施設の両面から考える、6つの「障がい児保育で大切なこと」について詳しく紹介します。
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障がい児保育とは
障がい児保育とは、知的障がい、発達障がい、身体障がいなど、何らかの障がいを抱える子どもに対して、必要なサポートや支援を含めた保育を行なうことです。
保育の現場では、障がいのある子どもが日常生活において制限されることなく、社会の一員として自立できるよう支援することが大切です。
また近年では、インクルーシブ教育の推進や、障がいへの理解が深まるにつれて、保育園や幼稚園などの保育・幼児教育施設でも障がい児保育の重要性がますます高まっています。
インクルーシブ教育とは、障がいのある子どもが、地域の中で可能な限り健常児と同じ環境で教育を受けられるよう図ることと言われています。
保育の現場でも、保護者への支援や地域との連携、保育士人材の不足など、健常児と障がい児のインクルージョンを実現するにあたって、さまざまな課題が浮き彫りとなっています。
これらの課題を解消すべく、保育士さんはより専門的な障がい児保育への理解や知見・経験が求められ、障がい児保育の質向上に向けた取り組みが進められています。
【障がい児保育で大切なこと】保育士さんの心得
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保育士さんそれぞれが心に留めておきたい、障がい児保育において大切なことを解説します。
1.一人ひとりの個性・主体性を尊重する
障がいを持つ子どもたちは、一人ひとりに個性やニーズがあります。そのため、子どもたちの個性を尊重し、一人ひとりに合わせた支援を行なうことが重要です。
医療的ケア児・発達障がいといった障がいの種別だけでなく、障がいの程度や個性に合わせた個別支援を実施する必要があるのが、障がい児保育の特徴です。
そのため、本人や家族の要望や困りごとなどの現状から、「何をできるようになる・克服することが最善か」といった、本人目線での未来の目標を理解し、尊重することが大切と言えるでしょう。
また、障がいを持つ子どもたちも、可能な限り自分で選択し、行動することが大切です。子どもの主体性を尊重することで、自分で考え、行動できるよう促す支援方針を忘れないようにしましょう。
2.支援内容が適切か定期的に確認する
障がいの種類や程度によって必要な支援は異なります。そのため、子どもの特性やニーズに合わせた適切な支援を行なうことが重要です。
また、障がい児保育に関する知識や技術は常に進化していることを理解し、支援に関する知識や情報を常にアップデートし続ける必要があります。
その上で、今実施している保育や支援が現状に即しているかを常に確認するようにしましょう。支援に関する考え方だけではなく、子どもが成長した面を見逃して以前のままの支援を惰性で行なっていないかを見直す必要もあるでしょう。
子どもの成長をしっかり観察しながら最新の情報を学び、現在は否定されている古い考え方や思い込みからは解放されるよう習慣づけましょう。
3.子どもの成長を記録する
障がいを抱えた子どもの成長や変化を細かく記録しましょう。それにより支援の効果を適正に評価したり、今後の適切な支援計画を立てたりすることができます。
また、記録をつけることを念頭においた保育が常に行なわれていれば、子どもの些細な変化や成長を見流さずにキャッチアップすることにつながるかもしれません。
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【障がい児保育で大切なこと】保育施設全体の取り組み
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4.環境整備や安全面に配慮する
医療的ケア児や肢体に不自由がある子どもに関しては、必要な医療機器などの設備投資や使用方法の共有、衛生面や安全面の確保は必須と言えるでしょう。
また発達障がいを抱える子の中にも、日常生活の些細な面で配慮が必要な場面が多々あります。
自閉症児などに見られる感覚過敏やADHDと呼ばれる注意欠如多動症などを抱える子にとっては、健常児や大人が問題なく過ごせる環境でも、配慮が必要な場所に感じられることもあるようです。
このように、障がいを持つ子どもが快適な日常を維持するための環境整備は特に重要でしょう。
また、本人のみならずほかの子どもたちに対してもけがや事故のリスクが高くなることも想定されます。全方位の安全面に配慮した環境作りが大切と言えます。
5.保護者と適切に連携する
障がい児保育は保護者と連携して行なうことが重要です。保護者と保育士さんが支援の内容や方向性を共有することで、より効果的な支援につながるでしょう。
また保育士さんは、保護者の希望や思いを傾聴しながら受容し、精神的に寄り添うことも大切です。
保護者の意向を受け止めた保育を行なうことが、子どもと保護者の関係の安定につながり、支援の成果にも大きく影響すると言われます。
園として、保護者と保育士の考え方や方向性がずれたりコミュニケーションが取れなかったりという問題が生じないよう、日頃から円滑に連携できる環境や人間関係を構築することが大切かもしれません。
6.専門性を持ったチームで保育にあたる
障がい児保育は、保育士だけでなく、主治医・児童指導員・理学療法士・作業療法士・児童発達支援管理責任者など、障がい児保育におけるさまざまな専門職が連携しながら多角的に行なう体制を整えることも大切です。
保育園としては、地域の保育所等訪問支援や巡回支援専門員などの支援事業を積極的に活用し、さまざまな角度から支援が行き届くよう、適切な連携に取り組みましょう。
また、保護者による障がい児への虐待など、福祉的介入が必要とされるケースが起きることも想定しましょう。児童相談所や児童家庭支援センター、自治体の児童虐待対応窓口との協力体制を作っておき、必要となった際にはすみやかに連携することが重要です。
出典:保育所等での医療的ケア児の支援に関するガイドラインについて/厚生労働省
障がい児保育で大切なことをしっかり意識して子どもの支援を
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障がい児保育では、健常児に対する保育からより深く配慮や知識が必要な場面が多くあります。
保育士さんが常に意識しておきたい心構え、保育園などの障がい児を受け入れる施設が取り組むべきことなど、障がい児保育において大切なことを忘れずに、実りのある障がい児保育を目指しましょう。
障がい児保育に力を入れたい保育士さんは、保育園や支援施設が4、5、6、の3カ条に適切に取り組んでいるかどうかで、転職先を探してみるのも一つの手段かもしれません。
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