劇遊びに使える題材にはどのようなものがあるでしょうか。子どもに人気のある絵本のストーリーや歌をもとに台本を作成すると、より楽しめるかもしれません。今回は、保育に活かせる劇遊びの題材について、2歳児から5歳児まで各年齢別にアイデアを紹介します。あわせて、実施するときのポイントや導入方法もまとめました。
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目次
保育園で行う劇遊びのねらい
保育園では、おままごとなどのごっこ遊びのなかで、身近な人になりきって遊ぶ子どもの姿を見ることがあるかもしれません。
そんな、真似っこ遊びが好きな子どもの好奇心をくすぐるような劇遊びを、保育に取り入れてみましょう。
保育園で劇遊びを行うねらいとして、以下が挙げられます。
- 友だちといっしょに楽しみながら表現をする
- 絵本などの登場人物になりきることを楽しむ
- 物語や歌の歌詞のストーリーに親しみを持つ
子どもに親しみのある絵本を題材にすれば、興味を持って取り組めるかもしれません。
日常保育のなかで気軽に劇遊びを楽しむことができれば、生活発表会における劇練習にも入りやすくなりそうですね。
保育に劇遊びをスムーズに導入する方法
まずは、子どもが劇遊びに関心を持てるような工夫をしましょう。
絵本や歌に親しむ
あらかじめ劇遊びに使う手遊びを楽しんだり、絵本を読んだりしてみましょう。
子どもが劇の題材に慣れ親しむことができれば、興味を持って演じられるかもしれません。
小道具を子どもといっしょに用意する
劇遊びで必要な小道具を、子どもといっしょに製作する時間を設けてみましょう。
演じる役のお面などを自分で製作すれば、登場人物に愛着が沸いて劇遊びに前向きに取り組めるかもしれません。
リトミックを取り入れた保育をする
リトミックは、音楽に合わせて動物になりきったり、風などの自然物を体の動きで表現したりする活動です。
リトミックを保育に導入すれば、子どもが演じる楽しさを知るきっかけにつながるかもしれませんね。
真似っこ遊びを導入する
日常保育で子どもが真似っこ遊びに親しんでおくことも、劇遊びに入る準備として効果的でしょう。
例えば、保育士さんが出すお題に合わせて、動物や乗り物などに成りきって遊んでみましょう。
子どもは楽しみながら、役を演じるおもしろさを体感できるかもしれません。
このように、さまざまな工夫をしながら、子どもが劇遊びに夢中になれるきっかけを作れるとよいですね。
次より、保育で楽しめる劇遊びの題材を、年齢別に紹介します。
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【2歳児・3歳児】保育で使える劇遊びの題材
2歳児と3歳児向けの劇遊びについてまとめました。
2歳児向け
2歳児クラスでは、日常の遊びの延長として楽しく行えるような題材を選ぶとよいかもしれません。
コロコロたまご
手遊びの歌を使って、劇遊びを楽しみましょう。
<登場人物>
- ひよこ
- にわとり
<大道具・小道具>
- たまご
- 太陽
<演出のポイント>
あらかじめ手遊びに慣れ親しんでおくと、子どもが興味を持ちやすいかもしれません。
保育士さんは手遊びの歌詞を参考に、台本を考えてみましょう。
例えば、大きなたまごの裏にひよことにわとりに扮した子どもが数人隠れている場面から始めてみてはいかがでしょうか。
「ひよこになった」「コケコになった」の歌詞に合わせて、鳴きながら登場してくると可愛いかもしれませんね。
ナレーションは保育士さんが担当し、「コロコロ」や「ピヨピヨ」などの擬音の箇所を子どもが言うようにすると、スムーズに進行できそうです。
おべんとうバス
こちらも、子どもが楽しめる手遊びの歌詞を題材にした劇遊びのアイデアです。
<登場人物>
- いちご
- にんじん
- さくらんぼ
- トマト
<大道具・小道具>
- バス
<演技のポイント>
椅子を並べれば、バスの席に見立てることができます。
歌詞に合わせて、保育士さんが「いちごさーん」「にんじんさーん」と食材に扮した子どもを順番に呼びます。
その役の子どもが「はーい」と返事をしながら登場し、バスに乗るというアレンジを加えてみましょう。
この劇遊びでも保育士さんがナレーションを担当し、「ギュッギュッギュッ」の擬音を子どもが言うとよいかもしれません。
3歳児向け
3歳児クラスでは、簡単な構成の物語を題材にした劇遊びを行ってみましょう。
おおきなかぶ
登場人物が次々に出てきて大きなかぶを引っ張る、というユニークな童話です。
<登場人物>
- おじいさん
- おばあさん
- 孫
- 犬
- 猫
- ネズミ
<大道具・小道具>
- かぶ
- かぶの芽
- じょうろ
<演技のポイント>
あらかじめ絵本の読み聞かせをして物語に触れておくと、子どもが話の流れを理解しやすいかもしれません。
小道具として大中小のかぶを用意すると、徐々に大きく育つ様子をより忠実に表現できそうです。
「うんとしょ、どっこいしょ」の掛け声は、子ども全員で言って盛り上がりましょう。
狼と7匹の子ヤギ
有名なグリム童話を題材に、劇遊びを楽しみましょう。
<登場人物>
- 狼
- 子ヤギ
<大道具・小道具>
- ヤギの家の玄関
- テーブル
- 大きな時計
- 白い手袋
<演技のポイント>
例えば、複数のダンボール箱を用意するなど、子ヤギ役の子どもが隠れられる場所を複数用意するとよいでしょう。
狼は保育士さんが演じ、かくれんぼのように子ヤギが自由に隠れて狼から身をひそめる演出にしてもよいかもしれませんね。
こぶたさんのおうち
有名な童話をモチーフにした手遊び歌を参考に、劇遊びを楽しみましょう。
<登場人物>
- こぶた(3匹)
<大道具・小道具>
- 藁の家
- 枝の家
- 煉瓦の家
<演技のポイント>
手遊び歌の歌詞に合わせて、「こぶたさんが家を建てました。」「風が吹いてきました。」などの簡単なセリフを用意すると、ナレーションも子どもが担当できるでしょう。
雨や雪が降るシーンでは、リトミックのように身体を使って表現してみるのもよいかもしれませんね。
【4歳児・5歳児】保育で使える劇遊びの題材
maroke/shutterstock.com
4歳児と5歳児向けの劇遊びの題材についてまとめました。
4歳児向け
4歳児クラスでは、少し長いセリフを言えるようになるかもしれません。
童話などの物語を題材に、劇遊びを楽しんでみましょう。
きたかぜとたいよう
有名なイソップ物語を題材にした劇遊びです。
<登場人物>
- 北風
- 太陽
- 旅人
<大道具・小道具>
- コート
<演技のポイント>
例えば、北風と太陽それぞれのチームに分かれて演じてみましょう。
北風を吹かせる雲や太陽などの背景を、それぞれのチームの共同制作として事前に仕上げれば、劇遊びに向けて子どもたちの仲が深まるかもしれません。
旅人に向かって「ビュービュー」と風を吹かせたり、「ギラギラ」と太陽の熱を浴びせたりするシーンでは、子どもの自由な発想で成りきって動くのも面白そうです。
物語に秘められている教訓について子どもに伝えれば、より興味をもって演じられるかもしれませんね。
さるかに合戦
日本に伝わる昔話を題材にした劇遊びです。
<登場人物>
- サル
- カニ
- 栗
- 蜂
- 臼
<大道具・小道具>
- 柿の種
- おにぎり
- 木
<演技のポイント>
実際のお話ではカニは一匹ですが、主人公を演じたいという希望が多い場合は複数の子どもで演じるなど、アレンジして楽しみましょう。
「早く芽を出せ、柿の種。出さぬと、はさみでちょん切るぞ。」というフレーズは、みんなで声を揃えて言うとよいですね。
合戦中の効果音なども用意すれば、さらに盛り上がるかもしれません。
5歳児向け
5歳児クラスでは、より複雑に展開する物語に挑戦してみましょう。
アリとキリギリス
有名なイソップ物語を題材にした劇遊びです。
<登場人物>
- アリ
- キリギリス
<大道具・小道具>
- キリギリスの家
- 食べ物
- 飲み物
<演技のポイント>
キリギリスの役は順番に1人の子どもが担当し、アリは複数人の子どもで演じるとよいでしょう。
アリがせっせと働く様子や、キリギリスが飲み食いしながら遊んで暮らす様子を、子どもがどのように演じるのかが見所になりそうです。
事前に絵本の読み聞かせなどを通して物語の流れを把握しておいたら、子どもが自由にアドリブでセリフを話してもおもしろいかもしれません。
おむすびころりん
日本に伝わる昔話を題材に劇遊びを楽しみましょう。
<登場人物>
- おじいさん
- おばあさん
- 悪いおじいさん
- ねずみ
<大道具・小道具>
- おむすび
- 小判
- 穴
<演技のポイント>
バケツを使ったりフラフープを床に置いたりして、おむすびを落とす穴を表現してみましょう。
ねずみは複数人で演じ、おじいさんに歌を聞かせるシーンでは子どもの好きな歌を導入するとよいですね。
おにぎりの落ちる様子を表すフレーズ「おむすびころりん、すっとんとん」の「すっとんとん」の箇所は、楽器を使って表現するとより楽しめそうです。
桃太郎
有名な日本昔話を題材にした劇遊びです。
<登場人物>
- 桃太郎
- おじいさん
- おばあさん
- 犬
- 猿
- キジ
- 鬼
<大道具・小道具>
- 桃
- きびだんご
- 宝物
<演技のポイント>
物語をモチーフにした歌を導入して、みんなで歌いながらミュージカル風に仕上げてみると素敵でしょう。
桃太郎がきびだんごを渡しながら動物たちと会話をするシーンでは、子どもがアドリブを加えてもおもしろいかもしれません。
最初に出てくる印象的な大きな桃は、子ども全員で協力して製作するのもよいですね。
保育園で劇遊びを実施するときのポイント
最後に、劇遊びをより楽しむためのコツについてまとめました。
子どもの発想を柔軟に取り入れる
どのように劇遊びの台本を作ればよいのか悩んだ場合は、子どもたちの発想を参考にするとよいでしょう。
4歳児や5歳児クラスであれば、「このとき、主人公の〇〇はどんなことを思っているのかな?」などと子どもに問いかけてみるのもひとつの方法です。
出てきた答えを台本に反映させれば、子どもが意欲的に演じるきっかけにもなるかもしれません。
登場人物の数を変更する
物語の構成上、主人公のセリフが多かったり、希望する子どもが偏ったりする場合もあるかもしれません。
原作にこだわらず主人公を複数人で担当するなど、臨機応変に台本の構成をアレンジするとよいでしょう。
起承転結がわかりやすい題材を選ぶ
2歳児や3歳児クラスでは、複雑な内容だと劇遊びの進行が困難になるかもしれません。
子どもが物語の内容を理解しやすいよう、起承転結がはっきりしている題材にしたり、あらすじを簡潔に台本に起こしたりするとよいですね。
演出を工夫する
セリフを言う以外にも、ダンスをしたり歌を歌ったりするシーンを加え、ミュージカル風に仕上げても楽しいでしょう。
効果音が必要なシーンやクライマックスでは、鈴やタンバリンなどの楽器を活用してみるのもよいかもしれません。
題材のアイデアを参考に、子どもが役作りを楽しめる劇遊びをしよう
今回は、劇遊びに使える題材についてアイデアをまとめました。
2歳児から5歳児それぞれの子どもの年齢を考慮しながら、クラスが上がるにつれて徐々に複雑なストーリー展開の題材を選ぶとよいでしょう。
劇遊びを行う前の導入の仕方を工夫することで、子どもが関心を持って楽しく演技する姿がみられるかもしれません。
今回年齢別に紹介したアイデアを参考に、子どもが夢中になれるような劇遊びを保育に取り入れてみてくださいね。