保育園や幼稚園での「加配」についてご存じでしょうか。障がい児がある子や集団生活を送るうえでサポートが必要な子、またその保護者に対して行なわれる支援のひとつです。今回は、加配制度について知りたい保育士さんのために、くわしい制度の内容と実施基準についてや、国が行なう加配保育士を配置する園への支援について紹介します。
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目次
【加配とは】保育所や幼稚園での現状
保育園や幼稚園で行なわれる「加配」。聞いたことはあってもどういったものかくわしく知らない方もいるかもしれません。まずは加配とは何かを見ていきましょう。
加配とは?
加配とは、文字通り人員を「加えて配置」することです。
加配されている職員は、保育園では「加配保育士」、幼稚園では「加配の先生」などと呼ばれることが多く、障がい児保育を実施している園に配置されます。
障がいを持つ子どもを受け入れる場合、保育園や幼稚園は子どもが集団生活になじめるように日常生活のサポートをしたり、ほかの子どもとの関わりを援助したりする必要があります。
そのため、通常の職員の配置基準に加えて保育士や幼稚園教諭を配置し、障がいを持つ子どもやその保護者に対するフォローを行なっています。
障がい児保育をめぐる現状
2020年時点で障がい児保育を実施している施設は1万9965施設あり、施設が受け入れている障がい児の人数は7万9260人に上ります。また、障がい児保育を担当している職員は4万5738人です。
障がい児保育を行なっている施設数と障がい児の人数はどちらも増加しているため、今後、さらに加配保育士や加配の先生が求められることがうかがえます。
【加配とは】対象になる子とサポート内容
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ここでは、加配保育士の配置対象になるケースと、具体的にどんな支援を行なうのかを見ていきます。
支援の対象
支援が必要であると認められ、施設に加配保育士が配置されるケースには、対象の子に以下のような障がいや特性のある場合が多いようです。
- 障害者手帳が交付されている
- 発達障がいや自閉症などで集団生活が困難な状況である
- そのほか医師の診断により支援が必要と判断されている
加配が必要であるかの判断は、障がいの程度や特性など状態に個人差が大きいため一概に括ることができません。
そのため、支援が必要であると判断した保護者が市区町村に申請を提出し、それが受理されることによって保育士の加配が決定します。
支援内容
加配保育士は、保護者や担当医などと相談しながら、支援対象児に対する細かい保育計画を作成します。自治体によっては専門家に相談できる制度もあるようです。
その上で、それぞれの子どもの障がいの状態や発達などに合わせた個別対応を実施します。
一例として、加配保育士さんが行なうサポートには以下のようなものがあります。
食事・トイレなど生活の介助
障がいがあるために、衣服の着替え、活動に必要なものの準備、トイレでの排せつなどの生活面が困難な子のサポートをしながら、気持ちよく生活できるよう環境を整えます。
また必要な場合は食事の介助や、スプーンやはしの使い方など子どもに無理のない範囲で自立に向けた指導を行なうこともあります。
集団生活における支援
発達の遅れ・言葉の遅れによるコミュニケーションが難しい子や、特性が強く集団生活を送ることに困難を抱えてしまう子は多くいます。
他の子どもたちとのトラブルが起きた場合のフォローや、コミュニケーションの仲介を加配保育士さんが行なうことで、支援が必要な子と周りの子の双方にお互いへの理解を促すこともあるでしょう。
集団参加へのフォローは保育現場でしかできない支援でもあります。多くの周囲の助けや理解を得ながら、本人の成長も促していけるよう支援します。
保護者のサポート
加配保育士さんは、保護者と密に連絡を取り合い、ともに子どものサポートを行ないます。
また、保護者からの悩みや不安、相談を受けとめてサポートすることも重要な役割のひとつとなっています。
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【加配とは】保育園での実施状況
保育園や幼稚園では加配制度がどのように実施されているのでしょうか。
保護者からの申請によって受け入れを実施
保育所や幼稚園における障がい児の受け入れと加配の要請は、保護者からの希望によって行なわれます。
一般的な流れとしては、まず、支援を必要としている子の保護者が主治医の診断書や必要書類を市区町村に提出することが必要です。申請が受理されると市区町村側から保育施設に対して受け入れ要請が届きます。
受け入れが決定した保育施設は、加配保育士の配置や支援環境の整備、補助金の申請などを行ないます。
このようにして、子どもの入園に向けて支援の体制を整えていくようです。
加配保育士の配置基準は自治体によってさまざま
障がい児保育を行なうための加配保育士の配置基準は、自治体によってさまざまでしょう。
一律に基準を決めている場合もあれば、子どもの個性や障がいの程度によって調整するケースもあるようです。
そのため、施設によってマンツーマンで保育を行なう場合もあれば、子ども2~3人あたりに加配職員が1人で対応するなど、自治体や施設によって対応にばらつきがあるのが現状と言えるでしょう。
【加配とは】国が実施する支援制度
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国は、加配保育士を配置している園や保育士に対して補助金の交付などの支援制度を設けています。支援制度の詳しい内容を見ていきましょう。
療育支援加算
療育支援加算は、加配を支援するための補助金制度です。
障がい児保育を実施している施設を対象としており、主任保育士が業務に専念できるよう、補助職員の配置に必要な費用を国や自治体が負担します。
加配保育士を雇うための費用に対し補助金が出るため、保育園や幼稚園においてはより質の高い障がい児保育の実施が期待できるでしょう。
障がい児保育加算
障がい児保育加算は、地域型保育事業における障がい児保育を支援するための補助金制度です。
障がい児を受け入れる特定地域型保育事業所において、障がい児2人につき保育士1人を配置するために必要な費用を国や自治体が負担します。
保育士等キャリアアップ研修
保育士等キャリアアップ研修の研修分野として「障がい児保育」を設置し、研修を実施するために必要な費用の一部に対し補助が行なわれています。
これにより、保育士さんが障がいに関する知識を身につけ、施設全体の保育の質を高めることが期待できるでしょう。
出典:多様なニーズを抱えた保護者・子どもへの支援/厚生労働省
【加配とは】加配について知ることで支援の幅を広げよう
今回は、保育園や幼稚園で行なわれる加配とはどのような制度かを紹介しました。
保育園では「加配保育士」、幼稚園では「加配の先生」などと呼ばれ、障がいを持つ子どものサポートや職員、保護者との連携などを行ないます。
国は加配職員を配置している施設に対する補助金制度を設け、保育園や幼稚園において手厚い障がい児保育が実施できるよう支援しています。
加配とは何かを知って、今後の保育士としての働き方に役立ててみましょう!
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