人手不足が深刻化する中、若手保育士さんが辞めてしまい、人材の育成に不安を感じる園もあるでしょう。辞める理由には「人間関係が悪い」「入社前後で園のイメージが違う」など、さまざまな原因があるようです。若手保育士さんの離職を防ぐためにも、辞める理由や兆候を把握して人材の定着に役立てていきましょう。
miya227/shutterstock.com
若手保育士が辞める理由
人手不足が深刻化する中で、若手保育士が辞めてしまうことで人材の定着に悩む保育園があるかもしれません。
厚生労働省の調査によると、保育士資格を有しながら保育士としての就職を希望しない求職者のうち、半数以上の方が「勤務年数5年未満」と、経験が浅いまま現場を離れていることがわかりました。
せっかく採用したにもかかわらず辞めてしまえば、人材の育成に取り組むことは難しくなります。
若手保育士さんが退職に至る理由を把握し、離職防止の対策を立てていきましょう。
人間関係が悪い
まず若手保育士が辞めてしまう理由の一つに「人間関係」があります。
新人の方は働き始めたばかりで、子どもへの接し方や指導方法がわからずに悩むことも多いでしょう。
そのような状況下のもと、「先輩同士の仲が悪く質問しづらい」「子どもたちに仲良くする大切さを教えているのに、他の先生とコミュニケーションが取れていない」など職員同士の雰囲気が悪いと、不安を抱き、早期離職を考えることがあるようです。
また、教育担当の方や園長先生の指導が厳しい場合なども、期待に応えられないもどかしさから、退職に至るケースもあるかもしれません。
入社前後で園のイメージが違う
若手保育士の中には、働いてみると入社前に抱いていたイメージと違うことがわかり、退職を選ぶ方もいるようです。保育士の業務は保育以外の仕事も多く、行事の企画運営や保護者対応、園内清掃や壁面製作などさまざまな業務をこなすことが考えられます。
その際に、「仕事が多すぎて辛い」「指導案を書くことに時間がかかり睡眠時間が確保できない」など抱いていた業務とギャップがあると辞めてしまう保育士さんもいるでしょう。
長時間労働・残業が辛い
保育士は子どもたちの保育活動が終われば帰宅できる…ということはなく、連絡帳の記入や製作活動の準備など多くの仕事があります。若手保育士さんの中には長時間労働が続いたり、残業が辛かったりと心身共に疲弊して辞めてしまうことも少なくありません。
また、人手不足の園では休日出勤を頼まれることもあり、プライベートの時間が取れずに働き方に不安を感じて早期退職を選ぶ方もいるようです。
保育士として成長ができない
保育士として成長したいという意志をもって就業する若手保育士さんは多いものです。
しかし、保育学生時代に培った知識や技術を活かしたいと考えながらも、園の保育方針や活動内容がイメージと違った場合は「この園で成長できるのか?」と不安を抱くこともあるでしょう。
保育士としてのスキルを磨くためにも違う環境で働きたいと考え、退職を希望する方もいるかもしれません。
出典:保育人材確保のための『魅力ある職場づくり』に向けてp5/厚生労働省
お問合せ&資料ダウンロード
採用課題・経営課題に関する個別ご相談受付やサービスガイドなどの資料DLはこちらからどうぞ。
まずはお気軽にお問合せください!
若手保育士が辞めてしまう兆候
若手保育士さんの中には辞める前に言動や行動に兆候が表れることもあるようです。どのような兆候があるのかを把握し、離職を防ぐために役立てましょう。
元気がない
若手保育士さんが保育中に「笑顔がない」「元気がない」場合は、退職を考えていることがあるかもしれません。
本来保育士さんは、子どもたちに対して笑顔で接する仕事と言えます。笑ったり、よろこんだりと子どもと触れ合うことの楽しさがやりがいにつながっている方も多いでしょう。
子どもと向き合っていても表情が暗い場合は、仕事へのモチベーションを保てず、「辞めてしまいたい」と悩んでいる可能性があるでしょう。
遅刻・早退が増える
若手保育士さんはその日の準備や指導案作成などで勤務時間よりも早く出社することが多いかもしれません。
しかし、そのような状況が続くと体力的・精神的な負担が増えて、遅刻や早退につながることが考えられます。
特に仕事を辞める想いが強い場合は、責任感がうすれて遅刻や早退が増えるケースもあるかもしれません。
「どうせ辞めるのだから」という気持ちが頭をよぎり、責任感がうすれている可能性もありますが、精神的・体力的に限界を迎えていることも考えられます。遅刻や早退が続いた場合は注意しつつ、精神的に不安を抱いてないか様子を見る必要があるでしょう。
有給休暇の消化が続く
有給休暇は労働者にとって大切な権利になります。
しかし、若手保育士さんから急に有休の取得が続いた場合は、退職を考えている可能性もあるようです。離職する前に有休を消化したいという気持ちから、休暇を申請しているケースが考えられます。
このような状況となった場合は、職員に対して普段の様子と変わりはないか注意深く見る必要があるでしょう。
不満を抱く言動が多い
若手保育士さんは慣れない環境の中で、たくさんの業務を覚えたり、指導を受けたりと不安になることも多いでしょう。
その際に職場に対して「忙しすぎて充分に子どもと関われない」「先輩保育士さんと連携が取れず困ることがある」など不満を抱くこともあるかもしれません。
このような言動は職場で発言するのではなく、自分の心に留めておくことが多いものです。しかし、辞める意思があることで、つい職場で口にしてしまう場合もあるでしょう。
若手保育士さんが不満や愚痴を話す回数が増えた場合は、辞めたいと考えている兆候かもしれません。
読んでおきたいおすすめ記事
【採用担当者向けコラム】保育士の新卒採用やることリスト。テンプレに使えるチェックシートを紹介
新卒採用は計画的に進めることが重要。保育士を目指す学生の動きは年々早期化しているとも言われるため、事前に「やることリスト」をまとめておくとスムーズです。そのうえで、早め早めに動くことが採用成功の近道で...
【採用担当必見】保育施設のお悩み対策診断。今、あなたの園に必要な対策は?
保育施設の運営にまつわる課題は、採用・定着・園児集客など、園によって本当にさまざまです。一体、自園にとって必要な対策は何なのか?「保育施設のお悩み対策診断」を使って調べてみましょう。 &n...
【採用担当者向けコラム】保育士の意向調査実施マニュアル。来年度に向けた準備のポイント
保育士さんに向けて来年度の就業意思を確認する意向調査では、どんなことに配慮して進めるとよいでしょうか。今後の園の運営や保育士さんの育成に関わることなので、慎重に行なうことが大切です。今回は、意向調査の...
【採用担当者向けコラム】意向調査で「退職希望」を示している保育士の引き止めはできる?
意向調査で退職の希望を示している保育士さんの引き止め方を知りたいと感じる採用担当者の方もいるでしょう。保育士不足が続く中、頼りにしていた保育士さんが抜けてしまうと運営が苦しくなりますよね。今回は、意向...
【2024最新】保育士不足が続く原因は?解消に向けた国・自治体・園の対策も解説
なぜ保育士不足が続くのでしょうか。子育て支援の重要性が増す中で、資格を持ちながらも保育士として就業する人が少ない状況を受け、国や自治体ではさまざまな対策を行なっています。今回は、深刻な社会問題でありな...
【2024年最新】学童保育の補助金はいくら?開業や運営に関わる助成金について
全国的に共働き家庭が増えたことで、小学生の居場所となる学童保育の拡充が求められています。実際に学童保育の開業や運営を目指す場合、国や自治体からいくらの補助金を受け取れるのでしょうか。今回は、学童保育の...
【採用担当者向けコラム】保育士の人材紹介手数料は高い?相場や会社による違いを解説!
保育士採用でも利用される「人材紹介」。手数料が何十万にも上ったという話を聞き、利用を迷っている採用担当者の方もいるかもしれません。今回は、保育士の人材紹介について、手数料の相場と費用が高いと言われる理...
【採用担当者向けコラム】真面目な人ほど急に辞めるのはなぜ?保育士が突然退職する理由と対策
真面目な人から急に辞めると告げられて、「何がよくなかったのか…」と頭を抱える採用担当者の方もいるのではないでしょうか。おとなしい人や優秀で勤勉な保育士さんほど、職場にストレスを抱えているかもしれません...
【採用担当者向けコラム】人材紹介会社が保育士さんを紹介してくれないのはなぜ?原因と対策
人材紹介会社を利用したにもかかわらず「保育士さんを紹介してくれない」と悩みを抱える方はいませんか?採用活動がスムーズに進まないと人材不足が解消されず、運営に支障をきたすケースも。今回は人材紹介会社から...
転職フェア出展は意味がない?採用できない?保育士を集客するためのポイント
多くの保育士さんと出会い、自園の魅力を直接伝えられる「転職フェア」。人材確保のチャンスになる機会ですが、出展しても意味がないのでは、採用できないのではと不安を抱く方もいるでしょう。今回は、転職フェアで...
放課後等デイサービスの職員採用の方法は?求める人材に出会うコツ
保育・福祉業界では人材不足が深刻化しており、放課後等デイサービスについても採用に苦戦する施設があるでしょう。特に児童発達支援管理責任者(児発管)の不足は、全国的に大きな課題となっています。今回は、放課...
時短勤務とは?保育園が導入するメリット・デメリットや注意点
2009年度の育児・介護休業法によって制度化された「時短勤務」。正式には短時間勤務制度と呼ばれ、3歳に満たない子を療育する労働者を対象に多くの方が利用しています。今回は時短勤務の概要や対象者、導入状況...
学童保育の経営に必要な基礎知識!開業の流れや必要コスト、成功のポイント
学童保育の開業を考えている方は、開業の流れやランニングコストの目安を把握しておくことが大切です。学童保育を経営するうえで必要な基礎知識をチェックしていきましょう。今回は、学童保育の経営に関する内容や成...
【採用担当者向けコラム】保育士採用で合同説明会に出展するメリット。成功の秘訣
保育事業者にとって合同説明会への出展には、どのようなメリットがあるのでしょうか。採用の成功率をアップするために、出展を検討する採用担当者の方もいるかもしれません。今回は保育士さん向けの合同説明会の活用...
学童保育の採用に人材紹介サービスを利用するメリットと注意点。活用するポイント
学童保育の採用に人材紹介サービスを利用するべきかと悩む事業者の方はいませんか。「手数料が高いのでは?」「希望する人材の紹介が受けられるのか」と不安を抱くこともあるでしょう。今回は、学童保育の採用に人材...
【採用担当者向けコラム】退職代行を使われた時はどうする?保育園に連絡が来た時の対処法
職員から退職代行サービスを利用して退職の申し入れがあった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。連絡が来た時点で直接該当の職員とやり取りすることが難しいため、戸惑ってしまいますよね。今回は退職代行...
ジョハリの窓とは?4つの窓の内容や注意点、具体例をわかりやすく解説
「ジョハリの窓」という自己分析ツールはご存じですか。「開放」「秘密」「盲点」「未知」の4つの窓を用いて、自分や他者からの印象を認識していく手法です。今回は、ジョハリの窓の概要や企業内での導入時の注意点...
今、重要視される「学び直し」は保育士に必要?園側が取り組む具体例
社会人の学び直しが注目されている昨今、雇用側の環境整備が求められます。今回は、保育士の学び直しが必要なのか、園側の取り組みや具体例についてわかりやすく解説します。保育士がやりがいをもって働ける職場を作...
人的資本経営とは?保育園経営に活用するメリットや保育士育成のポイント
人的資本経営とは、企業の人材を「資本」と捉え、人材の価値を高めることで企業価値の向上を目指す経営手法です。近年注目されている経営手法のひとつで、さまざまな企業で導入されています。今回は、人的資本経営の...
学童保育を開業するために必要な資格・条件・補助金制度について徹底解説!
全国的に学童保育の拡充が求められている今、学童保育施設を開業するためには何が必要なのでしょうか。今回は学童保育の開業に必要な条件や手続き、補助金制度などを紹介します。学童保育の開業は主に自治体から業務...
- 同じカテゴリの記事一覧へ
若手保育士の離職を防ぐ対策
buritora/shutterstock.com
若手保育士さんが辞める理由や兆候がわかったところで、離職を防ぐ対策を紹介します。
入職前後のミスマッチを減らす
入職後に働き方や保育方針などに対してイメージが違った場合は早期退職につながる可能性がります。
例えば、求人広告の内容には「残業なし!働きやすい保育園」と記載しているのにもかかわらず、実際は「残業が多く、長時間労働が続いている」状況であれば、不満を抱き、園を辞める理由のひとつとなるでしょう。
退職を防ぐためにも、あらかじめ面接などで園の活動内容や勤務条件、保育観などを説明し、入職前のイメージのずれが起きないように気をつけましょう。
教育担当の育成に取り組む
若手保育士さんが入社後も安心して働くことができるように、教育担当の育成に取り組むことが大切です。
新人の方の教育担当の方の指導が厳しかったり、上手にコミュ二ケーションが図れなかったりした場合に信頼関係を作り上げることができず、辞めてしまう原因になるかもしれません。
事前に教育担当の方向けの研修を開催し、新人の育成方法や連携の仕方などをレクチャーしたうえで、受け入れ体制を整えていきましょう。
定期的に面談の場を設ける
若手保育士さんに対して、園長先生や副園長先生などが定期的に面談の場を設け、近況や仕事へのモチベーションについて話す機会をもつことは離職を防ぐうえで重要なことでしょう。
新人の方の中には仕事の悩みを誰にも相談できずに抱えてしまい、限界を迎えて退職を考える方も少なくありません。
定期的に相談できる機会を作り、精神的なケアを大切にしていきましょう。
職員の交流の場を大切にする
若手保育士さんが早く現場に馴染めるように、職員同士が気軽に相談し合える環境を作り上げていきましょう。
新人の方を受け入れる前に、あらかじめ職員同士で交流の場を定例で設けておくと、職場の雰囲気に馴れやすくなるかもしれません。
また、早期退職を防ぐうえで普段の保育活動の中で挨拶したり、「困ったことはないかな?」と声をかけたりと、こまめにコミュニケーションをとることも大切なポイントになります。
若手保育士の辞める理由を把握し人材の定着に役立てよう
若手保育士さんは辞める理由には「人間関係が悪い」「入職前後の園のイメージが違う」などさまざまな原因があります。
保育士さんの早期離職率が高いことから、人材の定着に取り組むためには働きやすい環境を作り上げることが重要になります。
保育施設の採用課題へのお取組み支援
保育士バンク!からのご提案
- 人材紹介サービス
- 求人広告制作代行
- 就職・転職フェア
- 認知拡大、情報発信支援
保育施設が抱える人材確保や採用課題について、保育士バンク!の担当エージェントがしっかりとサポートいたします。
各サービスへのご質問、採用課題・経営課題についてのご相談についても受け付けております。
人材紹介&求人広告採用のお問合せはこちら
お問合せ&資料ダウンロード
採用課題・経営課題に関する個別ご相談、お問合せはこちらからお願い致します。