保育士の「目標設定」は自らのスキルアップや仕事へのモチベーションを高めるために必要なことでしょう。ただ、中には「作成に時間がかかる」「言葉が思いつかない」と不安を抱く方も…。今回は保育士の目標設定例文を、経験年数別に30選紹介します。目標設定の大切さや目標管理シートによる自己評価の方法もまとめました。

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目次
保育士が悩む「目標設定」
年度初めに行なうことが多い「目標設定」について、書き方に悩む保育士さんもいるでしょう。

保育士さん
新卒1年目のため、どのように目標を立てればよいのかわかりません。新しい環境に慣れることに精一杯です。先輩に相談しても「まずは自分で考えて!」と言われそうで、相談しにくい状況です。

保育士さん
目標を考えることに時間がかかるのはわかっているのですが、なかなか取りかかれずに期限ギリギリに提出しています。毎年目標を立てているのですが、同じような言葉選びになってしまうのが悩みです。
保育計画の作成や入園・進級クラスの準備に忙しい時期の中、「言葉で目標を表現することが苦手」「よい言葉が思いつかない」ということもありますよね。
まずはなぜ目標設定が必要なのか、その重要性を確認しましょう。
目標設定の大切さを理解したうえで文章を考えると、スムーズに対応できるかもしれません。
また、今回は経験年数ごとに例文を紹介しているため「いつも同じような文章になってしまう」という方も参考にしてみてくださいね。
保育士が目標設定をする意味や重要性
年間を通して定期的に行なう目標設定。
保育士として働くうえで、目標を立てることはどのような意味があるのでしょうか。
仕事のモチベーションを高める
目標を設定する意味の一つとして、仕事に対するモチベーションを上げることが挙げられます。
保育士は子どもたちの命を預かる責任の重い仕事です。
ときには子どもに適切な声かけができているのか不安になったり、保護者とのトラブルで落ち込んだりすることもあるでしょう。
そんなときも「いつまでに、何をできるようになりたいのか」を明確にしておくと、本来の目標を思い出し、達成に向かって努力しようと前向きな気持ちで臨めるでしょう。
逆に仕事に対する目標がないと、自分が働いている目的を見失い、やりがいや達成感を得にくくなってしまうかもしれません。
スキルアップに役立つ
保育士としてのスキルは、研修を受けて身につくものもあれば、経験を重ねて身についていくものもあるでしょう。
具体的な目標を立てて仕事に取り組めば、日々の業務の中で自らが能力を伸ばしたい部分を意識するようになり、将来的なスキルアップにつながるかもしれません。
その積み重ねを通して、自分の理想とする保育士像に近づくことができるでしょう。
人事・自己評価のポイントになる
保育士は、子どもたちの健やかな成長を見守る中でお世話をしたり、自立心が芽生えるよう支えたりと、気遣いや心配りが求められる仕事です。
営業職のように業務を数値化することは難しく、人事評価に悩む園長先生や経営者が多いかもしれません。
そういった環境の中で1年間の目標を設定して上司に提出すれば、自身の仕事に対する熱意や目的意識が伝わりやすくなることが考えられます。
自分で目標を設定し、目指すべき成長像をより具体的に描くことは、保育士としての成長にもつながるでしょう。
仕事の効率化に役立つ
保育士は子どものお世話や保護者対応、職員への報告などさまざまな業務を担います。
同時進行で進めなければならない仕事も多く、効率的にこなす必要があるでしょう。
中には目標設定を行なう際、自分の現状や改善点を見つめ直し、仕事を効率的に行なうためにはどうすればよいのかと考える方もいるのではないでしょうか。
自らの課題を冷静に捉えて目標を立てられると、仕事の効率化に役立ち、時間管理も上手になりそうですね。
園の保育目標や方針を意識するために役立つ
保育士さんは、園の保育目標や方針を意識した中で目標を設定することでしょう。
園の目標達成に向けて保育するためには、自分がどんなことに取り組むべきかを深く掘り下げて考える必要があります。
そのような機会を設けると園全体の方向性や保育方針が明確になり、日々の業務に活かすことができそうです。
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保育士が目標設定をするときのポイント

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目標設定の際「子どもへの適切な言葉かけを目指す」「保護者と信頼関係を築く」など、やみくもによい言葉を並べても、現状の課題を意識した目標を立てることにはならないでしょう。
保育士が自分自身と向き合い、目標を設定するときのポイントは以下の通りです。
- 自分の課題や現状を分析する
- 上司や同僚からの評価を参考にする
- 「少し先のなりたい自分」を意識して具体的な目標を立てる
各項目について詳しく紹介します。
自分の課題や現状を分析する
まずは自分自身を振り返り、現在の状況や役割、課題を見つめ直すことから始めましょう。
子どもや保護者への対応、職員間の連携、仕事の効率性などあらゆる角度から自分が「できていること」「できていないこと」を書き出してみるとよさそうです。
保育日誌や会議記録、行事の反省会などの資料を振り返ると分析しやすいかもしれません。
その際、自分のできていないことばかりに目が向いて、ネガティブな気持ちになることもあるかもしれません。
しかし、マイナスなことばかり考えるのではなく、自分が対応できたことや子どもが笑顔になったエピソードなどを思い出し、しっかり自分の行ないを肯定することも大切です。
上司や同僚からの評価を参考にする
「自分の評価だけではよくわからない」といった場合は、職場の同僚や先輩からアドバイスをもらうのもひとつの方法です。
「先輩はどうやって目標を決めていますか?」「先輩から見て私の長所と短所は何だと思いますか?」など、目標の立て方や自身への客観的な評価を聞くことで、目標を設定しやすくなるかもしれません。
「少し先のなりたい自分」を意識して具体的な目標を立てる
目標を立てようと思っていても具体的に何を書けばよいのか、思いつかない方もいるかもしれません。
そんな時は短いスパンで「少し先のなりたい自分」を意識してみましょう。
「3カ月後には子ども一人ひとりの好きな遊び・興味のあるものを把握している担任になりたい」「半年後には活動の準備をスムーズに行ない、きちんと計画的に物事を進める保育士になりたい」など、具体的にどんな自分になりたいか考えてみるとよさそうです。
1年先の自分を想像するのは難しいかもしれませんが、3カ月後、半年後にどんな自分になりたいかを明確にすると、目標を立てやすいでしょう。
【経験年数別】保育士の目標の例文

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ここからは、1年目や3年目、5年目など保育士さんの経験年数別に目標設定のポイントや具体例を紹介します。
新人1年目
1年目の場合、新人として頑張りたいことを目標にしてみましょう。
目標設定のポイント
- 仕事を覚えること、新しい環境に慣れることを優先する
- 社会人の基礎となる報連相への意識、マナーの習得にふれる
- わからないことは積極的に質問し、先輩保育士さんとの連携を大切にする
例文
- 保育士としての日常的な業務を覚え、わからないことは積極的に質問していく
- 常に報告や連絡、相談を意識し、社会人としてのマナーや言葉遣いを大切にする
- 子どもや保護者の名前を覚え、園の理念や保育方針、目標を意識して業務に取り組む
- 自身の業務について日々の反省会や会議などで振り返り、改善点を見つけて行動していく
- 対応に迷ったことは自らで判断せずに職場の先輩方とコミュニケーションを取りながら対処する
2年目の保育士
2年目といえば、少しずつ仕事に慣れてきた頃でしょう。1年間を振り返って具体的な目標を策定するとよさそうです。
目標設定のポイント
- 理想とする保育士像や業務の取り組み方などにふれる
- 子どもへの関わり方や保護者との関係構築を意識する
- 職員間の連携の取り方や協力体制の作り方についてふれる
例文
- 子ども一人ひとりの個性や能力を引き出せるような声かけ、対応をしていく
- 保護者とこまめにコミュニケーションを図り、信頼関係の構築に取り組む
- 仕事の優先度を決め、効率的に業務をこなすことを意識する
- 行事や保育の中で職員同士の連携を意識して、声かけや気配りを大切にする
- 周りの職員の様子をよく見ながら自分の役割を考えて積極的に行動する
3年目の保育士
3年目といえば、園の理念や方針を理解し、クラス運営や後輩の育成などを任される時期かもしれません。3年間で培った経験やスキルを活かして目標を立ててみましょう。
目標設定のポイント
- 中堅ならではの自身に与えられた役割を意識する
- 園全体の保育の質の向上を目指す具体的な内容を考える
- 自身のキャリアアップを見据えた目標を策定する
例文
- 後輩に業務や保育内容について丁寧に伝え、相談しやすい雰囲気作りを心がける
- 子どもの発達段階や興味を理解し、時季に合わせて遊びこめる活動を展開していく
- 子どもの発達について保健、心理の両面から学び、学年全体で共有する
- 職務分野別リーダーを目指し、専門的な保育知識の習得・職員間の協力体制の構築を図る
- 主任として職員同士のコミュニケーションを大切にしながら、まとめ役の責務を全うする
5年目の保育士
5年目になると、中堅保育士としてクラス運営だけでなく職員や園の雰囲気づくりへの貢献を求められるようになるかもしれません。自身の保育の向上だけではなく、園全体に関わる目標を立てるとよさそうです。
目標設定のポイント
- 後輩の指導を中心に人材の育成についてふれる
- 学年のまとめ役として貢献したい内容を記載する
- 自身の経験やスキルをどう業務に活かしていくのかを具体的に伝える
例文
- 新人保育士や後輩の指導に取り組む中で、適切な助言を考えながら対応する
- 4年間の経験をもとに行事の計画を緻密に立て、園全体で計画的に遂行できるようリードしていく
- 職員同士が互いに意見を出し合い、よい関係を築けるように雰囲気づくりを大切にする
- 各場面の子どもの様子を丁寧に観察し、子どもや保護者が安心して園生活を送れるような環境をつくりあげる
- 行事の企画・運営において職員が動きやすいようにしっかりと計画を立て、サポートしていく
7年目の保育士
7年目といえば、中堅からベテランへとキャリアアップする時期でしょう。副主任保育士など新しい役職に目を向け、園全体のまとめ役の役割を意識した目標を立てるとよさそうです。
目標設定のポイント
- 自らのスキルアップについてキャリアアップ研修への参加など具体的な内容を策定する
- 園全体の保育の質の向上を意識した体制づくりについてふれる
- 職員が働きやすい環境を作り上げるための方法を意識して策定する
例文
- 副主任へのキャリアアップを見据えて、3カ月に1分野のペースでキャリアアップ研修を受講する
- キャリアアップ研修で得た知識やスキルをすぐに現場に活用し、役立てていく
- 1週間に1つ現場の改善点を見つけ、毎週チームで共有し、意見を出し合う
- 園全体の様子を把握し、困っている職員や体調が芳しくない職員に対して声をかけていく
- 子どもや保護者への対応について不安がある職員が相談しやすいよう、風通しのよい職場づくりを心がける
10年目の保育士
ベテラン保育士となる10年目は副園長や園長へのキャリアアップを考える方も多いかもしれません。人材育成やマネジメント管理などに目を向けて目標を策定していきましょう。
目標設定のポイント
- 人材育成や採用、マネジメント管理など園の円滑な運営についてふれる
- 園の現状を把握し、リーダーシップの取り方や職員との連携を意識して策定する
- 小学校や障がい児施設など地域の他施設との交流について意識する
例文
- 1週間に1回、現場の若手や中堅保育士、主任や園長と、園の方針や現場の現状について話す時間を設ける
- 副園長へのキャリアアップを目指して外部で行なわれる研修を受け、園内で共有する
- マネジメントの本を月に〇冊読み、リーダーになるための素養を身につける
- 入園を検討する方々に対して園の保育方針や在り方について伝え、園の魅力を発信する
- 小学校や病院、障がい児施設とのやり取りを通して子どもの見守り体制を強化する
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