保育現場の採用担当者の方の中には、どのように「採用基準」を設定すればよいのか悩んでいる方もいるかもしれません。採用基準を設けることは、保育士の人材確保をスムーズに行えるだけでなく、人材の定着化にも役立つでしょう。今回は、基準を作成する際のポイントや注意点について解説します。
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保育士の選考に必要な採用基準とは
一般的な採用基準とは、企業が面接をする際に、合否を適切に判断するために作成する評価基準をいいます。
保育士の選考をする際も、各園で採用基準を設けることがなぜ必要なのか具体的に見ていきましょう。
採用活動をスムーズに行う
採用基準を明確にすることで、園がどのような保育士さんを求めているのかを具体的にイメージすることができるでしょう。
また、複数選考する場合でも、基準をもとに評価することができるため、採用者をスムーズに決定することへとつながります。
採用の成功に向けて、採用基準を設け、上手に活用していきましょう。
応募者の選考評価の公平化を測る
保育士さんを選考するうえで、評価の公平化を保つことは大切です。面接官によって、選考に違いが出ることがないように、一定の採用基準を設定する必要があります。
保育園などの施設では、主に園長や副園長が面接を行う場合が多いでしょう。ときには、会議や行事によって代理の方が面接を行うこともあるかもしれません。
その際に、採用者の決め方に基準を設けておくと、公平性を測ることができるだけでなく、求める人物像の明確化にも役立つでしょう。
勤務開始後の早期の離職を避ける
採用基準を設定していない場合は、判断する指標がないため、あいまいな状況のまま採用に至る可能性があります。
実際に採用後、保育士さんが勤務を開始する中で、園の雰囲気が合わずに早期退職してしまうということも考えられます。
採用基準があると、どのような人材を求めているのかを求職者に伝えることができるだけでなく、保育観のすり合わせなども行えるでしょう。
自園と求職者の考えのずれが生じないように、採用基準を設けることは大切です。 明確な採用基準を設定し、保育士人材の定着化に役立てましょう。
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保育士の採用基準を設定する際の注意点
保育士の採用基準を設定するうえで、気をつけるポイントについて解説します。
現場の状況を把握する
採用基準を設ける際は、現在勤務している保育士さんの負担を軽減するためには、現場の状況を把握することは大切です。
各時間帯での人材不足の解消や、求める保育士人物像を判断するためにも、園内でヒアリングを行うことも必要でしょう。
ヒアリングによって、採用基準の設定に役立つだけでなく、職員の配置の見直しなどにも活かすことができます。
例えば、「子どもの送迎の際に、職員が少ないために十分に保護者への対応ができていない」、「水曜日は延長保育を希望する保護者が多いにも関わらず、子どもの人数に対して職員が足りていない」など、具体的な問題点に目を向けることにもつながります。
主任の保育士さんだけでなく、新人保育士さんなどの意見を聞き、どのようなことで困っているのか、具体的な意向を参考にして、採用基準を設けるとよいかもしれません。
職員間で情報の共有を行う
採用基準を設定後は、職員間で情報を共有し、意見を求めることも重要です。
基準の中に「ピアノ伴奏が得意な補助職員を求む」という項目を設けていても、実際は「担任がピアノ伴奏が得意なため、補助職員は不得意の方でもよい」という場合もあるかもしれません。
そういった求める保育士像の再確認を行うためにも、職員間で情報共有を行い、現場から届けられる声を大切にしましょう。
雇用状況に合わせて、採用基準の見直しを行う
雇用状況によって、必要な人材の採用基準が変わることもあるでしょう。人材不足で困っている場合は、即戦力となる保育士を募集しようと、経験年数が多い方を求めることもあるでかもしれません。
現場の状況を把握することで、人材の決め方についても変わってくるかもしれません。随時採用基準の見直しを行い、反映していきましょう。
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保育士の採用基準を設定する際の流れ
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保育士の採用基準は、以下のような流れで設定するとよいでしょう。
①保育士の採用の現状や動向を把握する
②採用人数、求める保育士人材の明確化する
③選考、評価基準を作成する
詳しく解説します。
①保育士の採用活動の現状や動向を把握する
採用基準を設定にするためには、保育士の採用活動の現状や動向を把握することが大切です。
厚生労働省の「保育士の有効求人倍率の推移(全国)」の資料によると、令和2年4月の保育士の有効求人倍率は2.45倍となっており、保育士の人材が不足していることが分かります。
このような保育士が必要な園が多く存在している状況を踏まえて、採用基準を考えていきましょう。
厳格な基準を設けてしまうと採用活動が上手くいかない場合もあるかもしれません。重要な項目を精査したうえで、現在の状況に合った基準を設定することが大切です。
また、保育士の就職・転職活動は主に9月~10月がピークとなるため、期間内は応募者が多いことも考えられます。
複数の応募者を選考する場合は、人材を比較して合否を決定する必要があるので、採用基準に照らし合わせて、評価していきましょう。
②採用人数、求める保育士人材の明確化する
採用基準を設定するうえで、採用人数や求める保育士像の明確化は大切です。正職員や補助職員に対して、具体的な基準を設けましょう。
正職員の場合
正職員を採用する場合は、クラス運営を任せる園が多いでしょう。どのようなことを意識して、求める人材を明確化すればよいのか、具体例を紹介します。
- 補助職員とともに協力してクラス運営を担うことができる
- 自園の保育観を理解し、ねらいに沿ったクラス運営を行うように、努力する
任せるクラスが決定している場合は、担当の年齢のクラスを運営したことがあるかなど、求める人材の保育経験を考えていきましょう。
補助職員の場合
補助職員は、クラス運営を担う担任のサポートをすることが多いでしょう。
パートなどの短時間勤務を人材を雇用する場合があるので、どのような業務内容を任せるのかを明確にして、求める人材について考えましょう。
具体例としては、以下のようなことが挙げられます。
- 保育士が不足している時間帯にサポートできる
- 担任と協力して、クラス運営を行うことができる
- 自園の保育観を理解し、子どもたちがねらいに沿った保育活動ができるように努力する
任せるクラスが決まっている場合は、現役の担任と協力してクラス運営ができるのかも重要です。
担任との相性がよい人物を考えた場合に、どのような人柄の補助職員を求めるのかを明確にしておくと、面接の質問なども作成しやすいでしょう。
③選考、評価基準を作成する
一般的に、選考方法や評価基準を作成する際の具体例は以下の項目となります。
- 勤務条件(給与、勤務時間、勤務地、など)
- 経験(前職での経験、アルバイト経験など)
- 能力(学力、コミュニケーション能力、など)
- スキル(資格、技術、専門知識など)
保育士については、資格の有無や勤務条件などを重視して選考基準を設けることが多いようですが、具体例をいくつか紹介します。
保育士、幼稚園教諭などの資格の有無
保育園で働く際は、保育士の資格が必要となり、幼稚園で働く場合は、幼稚園教諭の免許状が必須となります。幼稚園教諭は、免許状が更新制なので、免許状の更新を行っているのかも重要なことでしょう。
勤務条件
勤務時間や勤務地、給与どの勤務条件を具体的に提示したうえで、人材がその条件に見合っているのを判断する必要があります。
具体的には、早朝保育や延長保育などの勤務時間、経験年数を含めた場合の給与額など、園によって求める選考基準はさまざまです。
自園が提示した条件に合わない場合に、譲歩できる時間数や給与などを含めて、基準を設定しておくとよいかもしれません。
経験
中途採用の場合は、経験年数だけでなく、どのような保育園や幼稚園で経験を積んできたのか、クラス運営の有無など、具体的な経験が選考基準のひとつとなるでしょう。
また、保育方針はそれぞれの園によって違いがあります。
そのため、応募者の保育経験や培った保育観が自園と合うかなど、さまざまな視点から考えていくことが大切になります。
勉強中心の保育を行っていた保育士さんが、運動中心の園に転職した場合に、「子どもに必要だと思っていた保育観が違う」という理由から、早期退職につながる可能性もあります。
今までどのような経験をしているのかは、人材の定着化においても重要な項目といえるでしょう。
能力
保育士さんは子どもの成長を見守ることはもちろんですが、保護者への良識的な対応や職員間の協調性が求められるでしょう。
職場環境の中で円滑な信頼関係が育むことができるように、明確な基準を設けるとよいかもしれません。
保育士さんは子どもの前に立つものとして、きれいな言葉遣いができるという点も重要です。
基本的なマナーが備わっているか、周囲と協力して保育活動を行えるのかなど、コミュニケーション能力についての項目も設定していきましょう。
スキル
子どもの保育活動を行ううえで、音楽や運動、英語などに取り組んでいる園もあるでしょう。ピアノ伴奏やダンス、英語レッスンなど各園の保育方針によって、応募者に求められるスキルは異なるかもしれません。
どのようなスキルをもった人材を求めているのか、決め方を明確にすることは、実技試験をするうえでも役立つでしょう。
採用基準を明確化して、保育士の雇用促進に役立てよう
今回は、採用基準を設定する際のポイントや注意点などを紹介しました。
採用基準を設ける際には、現場の状況の把握が必要となります。現場から届く声に耳を傾け、園の実情を捉えながら、求める保育士像を明確化していきましょう。
保育士不足が懸念される中、採用基準を設けて、人材の確保や定着化に役立てられるとよいですね。
保育施設の採用課題へのお取組み支援
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