◆0~2歳児担当の保育・子どもの発達の特徴
保育士が担当する幼児期の子どもは、体も心も発達の真っ最中。
特に、2歳児以下は急激に環境の変化に適応し、著しい発達が見られます。保育士としても0~2歳児担当になることは大変である反面、テンポよく成長する子どもたちを前にして、日々の変化を楽しめるという側面もあります。
そこで今回は0~2歳児の子どもの発達の特徴について、4つの段階にわけてご紹介したいと思います。発達の特徴を踏まえた、保育をつかんでくださいね。
◆0~2歳児担当の保育・子どもの発達の特徴(6カ月未満)
ますは6カ月未満の子どもの発達過程とその特徴です。
◯心身の未成熟
誕生後からしばらくの間は、周りをじっと見たり、声や音のする方に目を向けようとします。
手のひらに指を置くと、ギュッと握り返してくるといった「把握反射」、急な音に反応し、両腕を伸ばして抱きしめるような動作をするといった「モロー反射」などのいくつかの原始反射も見られます。
◯著しい身体的成長と感覚の発達
6カ月未満の0歳児は、まだ寝返りなどはできないので、起きていても上を向いた状態で寝ている時間が長いです。
ときどき手足をばたつかせますが、これは意思とは関係のない動きといわれています。
◯首がすわる、寝返り、腹ばいをする
たいてい4カ月までには首がすわり、5カ月くらいから目の前にあるものをつかもうとする赤ちゃんが多いようです。
手足の動きもどんどん活発になり、ただばたつかせるだけでなく、手を口に持っていったりします。
寝返りもできるようになり、腹ばいにすると胸をそらしたり、顔や肩を上げて上半身で遊ぶようになります。
◯表情に変化が出て、体や喃語などによる表現をする
泣いたり、「アーウー」「ダアダア」などといった喃語を出して、身近な大人とのコミュニケーションをはかるようになります。
放置せず、「どうしたの?おむつが濡れて気持ち悪いのかな」「おなかすいた?ミルクが欲しいのかしら」
などと、大人がきちんと応えてあげることが重要です。
言葉は交わせなくても、こういったコミュニケーションから、信頼感が芽生え、情緒的な面の発育が促されます。
◯情緒的な絆の形成
次第に、あやすと笑うなど反応が見られるようになってきます。
生理的な泣き声から、感情を伝えようとする泣き方になり、さらに「こうしたい」という欲求を示してくるようになります。
その欲求から、単なる泣き声もさまざまな発声へと変化します。
◆0~2歳児担当の保育・子どもの発達の特徴(6~1歳3カ月)
次に、おおむね6カ月から1歳3カ月未満の子どもの発達過程とその特徴です。
◯運動機能の発達により、探索活動が活発に
ひとりで座る、立つ、伝い歩きといった動きができるようになります。
さらに、這ったり歩いたりという運動面の発達により、行動範囲が広がります。
体の発達とともに、周囲に対する興味や冒険心がわいてくる頃です。
◯やり取りが盛んになり、大人とのかかわりが深まる
6カ月を過ぎると大人が遊んであげると非常に喜び、それにこたえようとします。
また、身近な大人とのかかわりの元で、自分の意思・欲求を身振りで伝えようとしたりします。
保育士さんや周囲の大人は、この気持ちを受け入れ、応答してあげることが赤ちゃんの情緒の安定につながります。
◯食の変化
離乳が始まり、なめらかにすりつぶした離乳食から、舌や歯ぐきでもぐもぐと噛んで、徐々に形のあるものが食べられるようになっていきます。
食べ物に親しむことにより、噛む、飲み込むなどの行為ができるようになります。
赤ちゃんのペースに合わせて食べる練習や食べられる食品を増やしていけるように工夫して下さい。
◆0~2歳児担当の保育・子どもの発達の特徴(1歳2カ月~2歳)
次に、おおむね1歳2カ月から2歳未満の子どもの発達過程とその特徴です。
◯歩行の開始と言葉の習得
大きな発達である「歩く」ということで、行動範囲が広がり自発的に周りとかかわりを持とうとします。
欲求を発揮しはじめ、応えてくれる大人とかかわり、自分から呼びかけ、拒否を表す片言や一語文を言うようにもなります。
伝えようとしたことを、大人が言葉にして返してあげるとそれぞれの関係がつながり、言葉を覚えたり、「ワンワン、ねんね」などの二語文が出てきたりするようになるので、保育士さんにとっても楽しみですよね。
◯運動機能の発達による好奇心への意欲
歩行が安定してくると手も自由に使えるようになり、機能も発達してきます。
指先でつまむ、拾う、絵本のページをめくる、クレヨンでなぐり描きを楽しむなどいろいろなことができ、新しい行動の獲得により、どんどん好奇心や遊びへの意欲がわいてくるので、保育中に促してあげてください。
◯象徴機能の発達
1歳2カ月から2歳くらいになると、今ここにないものを頭の中で思い描くことができるようにもなります。
ブロックを持ち「ガタン、ゴトン♪」と言いながら床を滑らせ電車に見立てるなど、イメージしたものを遊具や玩具などで見立てて、体を使って遊ぶようにもなります。
◆0~2歳児担当の保育・子どもの発達の特徴(2歳)
次に、2歳児の発達過程とその特徴です。
◯語彙の増加、自己主張の高まり、自我の育ちが見られる
2歳の終わりの頃には、語彙も増え、したいこと、して欲しいことを言葉で表すようになります。
自我が育ち、「自分で!」「いや!」「ダメ!」などと自己主張をします。
時には、大人の手助けをいやがり、思いどおりにならないことがあれば、泣いたり、かんしゃくをおこし反抗することもあるでしょう。
これがいわゆる魔の2歳と言われる第一次反抗期ですね。
◯まねをし「ごっこ遊び」を楽しむ
遊具や玩具などを見立てて「・・・のつもり」になったり、「・・・のふり」を楽しみ、ままごとの簡単な「ごっこ遊び」を始めます。
お母さんになってお料理をしたり、積み木をお菓子に見立てて食べるふりができるようにもなります。
こうしたあそびをくり返し楽しむことにより、イメージがふくらみ、象徴機能が発達するので、言葉もどんどん使ってやり取りすることが増えていくのです。
「ごっこ遊び」は、単なる遊びではなく、脳が発達しないとできない遊びです。
少しずつ脳が発達して象徴機能が発達してきたからこそ、「ごっこ遊び」できるようになるのです。
◆特徴を踏まえた保育を
私たちの年齢になると1〜2年たってもそれほど大きな変化はありませんが、子どもたちの1〜2年というのは猛烈なスピードで心身が変化していきます。
微妙な変化を見逃さず、成長段階の特徴を踏まえた保育を行うことが保育士の皆さんには求められています。