Q.保護者に「もっと子どもに、こうしてあげて欲しい」と伝えるには?
子どもに対する言葉や態度が乱暴だと感じる保護者や、「おとなしくなるから」と動画ばかり見せている話などを聞くと、改めてほしいなぁと思うのですが、うまく伝える方法がわからず、なかなか話も出来ません。もっと子どものことを気にかけてあげて欲しい、よいところを認めてあげて欲しいと思うのですが、どのように伝えたらよいでしょうか?
A.保護者に対して「上から教える」のではなく、子どもの育ちのために、チームのように一緒に考えていく姿勢を持ちましょう
子どもに「こうなって欲しい」と期待をするように、保護者に対しても「こうして欲しい」「それはよくないからやめて欲しい」と期待をしてしまいますよね。「園でせっかくやっているのに、家庭でやってくれなかったら意味ないじゃん!」とか、「親がこうでは子どもが可愛そう」とか、よく聞く言葉ではあります。しかし、果たしてそれは本当でしょうか…?
まずは保護者が何故そうなっているのか、を考えることから
確かに保育者の言っていることが正論であることも多いとは思います。でも、「悪いことをしてやろう!」と思ってしている子どもはいないのと同じように、保護者の方も「子どもに悪い影響を与えてやろう」「子どもの将来をめちゃくちゃにしてやろう」と思ってしている人はいないのです。
つまり、保育者からみて、一見好ましくないような保護者の言葉や振る舞いも、子どものために良かれと思ってしていたり、生活に追われる中で、やむを得ず表出してしまっている可能性があるのです。
もちろん大人ですから、悪気がないなら良いのか、という問題ではありません。
ただ、まずは、「何故そうなるのか」、どうして保護者がそういう態度や、振る舞いになっているのだろうか?と考えることから始めてみましょう。
そして同時に、自分(保育者)の思いや考えについても「本当にそれが、子どものためになるだろうか」と見つめなおしてみることも大切です。
共に子どもを育てるためのチームメイトという気持ちで
例えば「もっと愛情をかけてあげて」という言葉は、保育者が保護者に言う言葉としては、どうでしょうか?同様に「もっとスキンシップを」「もっと話を聞いてあげて」…言われた方は、「あなたは出来ていません」と非難されているように聞こえないでしょうか…。
私は、個人的には、保護者のスキンシップが足りないのならば、園でいっぱいスキンシップする、保護者がなかなか出来ずにいることこそ、園でたくさんするように、と思います。
もちろん、ママにしてもらうのと、先生にしてもらうのと、子どもにとっては違いがあるかもしれません。「親だから、親に、して欲しい」。そう思う気持ちもあります。
「親だから」を強調しないで、みんなで子どもを育てる気持ちで
ただ、「親だから」を強調することは「親なのに」という批判・非難に繋がってしまうようで、好ましく思えないのです。もちろん、親には親の役割、園には園の、保育者には保育者の役割があるでしょう。でも、今はそこに確固とした線を引く時代ではないと思っています。
大事なのは子どもの育ちであって、そのために力を合わせるのが、私たち大人だと思うのです。役割分担も大事ですが、時には他の人の担当のことでも、フォロー、サポートしていくのがチームです。つまり、私たちは同じチームで一緒に子どもを育てているのです。敵チームではないのです。チームメイトですから、弱点を指摘して攻撃するのではなく、弱点をみつけたら、そこをフォローする。そんな風に考えて欲しいのです。
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子どもにとって何が必要か?を一緒に考えていこう
それから、「◇◇してあげて」という言葉も、私には違和感があります。まず、「してあげる」という上から目線的な表現も子どもに対して失礼だと思いますし、「してあげて」って対等な人間関係では使わない言葉だと思います。
もちろん、細かい言葉遣いにこだわる必要はありません。でも、こちらが「正しいこと」を保護者に向かって「教える」ような気持ちになってしまうのは、よくありませんね。
あなたの考えは単にあなた個人の考えであって、正しいと決まってはいません。色々な考えや方法があり、色々な人が「自分の意見」として提案し合うのがチームとしての姿です。保護者の意見や気持ちも大事にし、子どもにとって何が必要かを一緒に考えていくことが大事です。
先に相手に意見を言ってもらうコミュニケーションが有効
コミュニケーションの方法としては、まず先に、相手の気持ちや意見を言ってもらうほうが、スムーズにいくと思います。私はこう思うのですが、あなたはどう思いますか?よりも、子どもの姿について、お母さんはどう思いますか?と先に聞き、なるほど、私はこんなことを考えていたんですけどね…という具合です。
まずは子どもの姿、子どもの気持ちを中心において、子どもの育ちにとって何が大事か、どんなことをしていくのが良いか、では、誰がどんな風にしていくのか、というように話を進めるとよいと思います。
「動画ばかりは良くないですよ」と言いたいのなら、園で遊んでいる子どもの姿をまず伝え、こういう遊びからこんな成長がありますね、というように、「動画を見ていては得られない子どもの育ち」の部分を、具体的なエピソードから伝えていくことが大事だと思います。
プロフィール
内田淑佳(うちだよしか)
一般社団法人そだち 代表理事。心理カウンセラ―。
保育士、認可保育園の園長などを経て、一般社団法人を立ち上げ、子育て支援、保育運営サポート、研修講師を数多く務める。
カウンセラーとしてメンタルサポートの仕事に取り組みつつ、現役の保育士、保育教諭から主任・園長などの管理職、資格取得を目指して勉強中の人、潜在保育士などに向けて、保育の仕事の素晴らしさや、保育をする上で大切なことを伝え続けている。
ウェブサイト https://www.sodachi.net/