つるの剛士さんへのインタビュー記事もいよいよ後編!前編・中編では、保育士資格取得を目指したきっかけから現場に立ったからこそ得た気づきについて紹介してきました。 最後は、つるのさんが保育士資格を取得した後の展望と、保育に対する熱い想いについてお伝えします。
多様な教育ができる保育園つくりを目指して
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ーつるのさんは資格を取ったらどんな保育士になりたいですか?
地域の人たちの橋渡し的な存在になれたらいいなとは考えているんですが、保育士として働くというよりも保育園を作りたいです。
ー具体的にどんな園を作りたいですか?
地域の人たちを巻き込みながら、多様な教育ができる園を作りたいですね。
理想は、いろんな町の職人さんや技術者さんたちと協力して、子どもたちにいろんな経験をしてもらえるような園。
子どもたちって可能性をもって生まれてくるじゃないですか。だから幼少期のうちにいろんな経験をしてもらいたいんですよね。それによって子どもたちの気づきになったり、「将来〇〇になりたい」のような夢につながったりすればいいなって。
もっと言えば、子どもも大人もみんなが自然に集まってくるような場を作りたい。
地域をあげて保育ができる環境にしたいです。
ずっと前から「地域全体で保育をすること」の大切さは言われていますけど、社会全体がこれまで以上に意識していかないといけない課題だと思いますね。
保育業界を根底から変える。目指すべき保育のカタチ
先生自身が遊べるゆとりある環境を作りたい
ー業界的にまだまだ「賃金が低い」「労働時間が長い」などネガティブな側面も多いですが、そうした部分についてはどのようにお考えですか?
また、資格取得後、保育業界をこうしていきたいといった展望があれば教えてください。
僕は、先生たちにもっともっと時間の余裕を作ってあげられるような現場の環境を作っていきたいと思っています。
なぜなら、幼児教育で大切なのは先生たちが遊んでいること、余裕を持っていることだと思うからです。だって、先生たちが遊んでいないと子どもたちも思い切り遊べないでしょ?
だからもっと、先生たちには遊んでほしいし、そういう環境を作っていく必要があると思うんです。
給料はその次。先生たちは、給料が高くても低くても子どもたちを見る目が変わらないし、手を抜くことも絶対にありません。
でもやっぱり保育の仕事って大変じゃないですか。まるまる一週間、子どものことを考えているし、自宅に持ち帰って仕事をしたり製作物を作ったり。園によっては土日も休めないところもありますよね。
それでも先生たちは使命感を持って「楽しい」と言いながら頑張っているので、先生たちが気持ちに余裕を持って働けるような社会にしていかないといけないなと思います。
時代に合わせた保育のやり方を
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先生たちの働き方のほかにも、時代に合わせて保育のやり方を柔軟に変えていくことも重要だと思いますね。
たとえば今だと保育業務のデジタル化。
業界的にアナログな一面もあるので取り入れるかどうかは園によりますが、先生たちの負担を減らせるように仕事のやり方を変えていくことが大切だと思います。
あとは、人間関係で辞めてしまう方が多かったり、女性が多い職場だからこその結婚や出産といったライフステージに合わせた働き方に悩んだり…さまざまな葛藤や不安を抱えている方って多いと思うんです。
だから、そういう一人ひとりのキャリアや働き方に合わせた仕組みを作ったり、マネジメントを強化したりすることも現場には必要だと思うし、あってほしいと思います。
現場にはまだまだ問題が山積みだけど、逆に言えば可能性しかありません。
保育業界を根柢から変えられるよう、自分が歯車となって日本の保育の下地をアップデートしていきたいですね。
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気づきと感動しかなかった。保育の尊さ
ー現場に立ったからこそわかった保育士の魅力・醍醐味を教えてください。
大きく言うと、保育士は子どもたちの未来に携われる素晴らしい仕事ですね。
”未来に携わる”ってそうないので、可能性にあふれる子どもたちにかかわれるって素敵だな~と思うんです。
あとは、保育に携わっているみなさんを尊いと思えたことがやっぱりすごいことだと思います。
毎日「〇〇ちゃんがあれができた」「〇〇くんはこれができた」って子どもたちの成長を間近で見られるのってこの上ない幸せだし、喜びになる。保育っていいな~って本当に思えた瞬間でした。
子どもたち同士のかかわりを見てもすごく平和で。
幼少期の子どもたちって男の子と女の子関係なく遊んだり、トイレに行くのも着替えをするのもいっしょにしたりしますよね。生まれた国が違う子がいても、関係なくいっしょに遊ぶじゃないですか。
向き不向き、得意・不得意関係なくみんなが認め合うし、ときには「あの子はこれができないから、私がやってあげる」みたいに、自然に子どもたち同士で助け合って支え合うこともある。実習でそういう子どもの世界をみたとき、涙が出るくらい感動したんです。
もちろん、最初はものすごく大変だったけれど、この感動をみんなに味わってもらいたいと思いました。同時に、こういう素敵な世界に気づけたとき、保育って尊いなと思いましたね。
保育は奥深くて楽しい。保育士の仕事を一言で表すと
ーつるのさんにとって保育士の仕事を一言で表すとどんなものですか?
”自分”が子どもの未来に携われる素晴らしい仕事です。
一人ひとりの個性を見て柔軟に対応するのはすごく難しいけど、達成感とかやりがいがものすごくあります。
それに単に保育や子育てだけではなく、”人間”としてのトータルを学べるものだと思うんです。なぜなら、自分たちが生きていく最初の集団だから。
つまり、保育を勉強するということは、そのあとの人生も勉強できるということです。
だから今後、保育士を目指して勉強しようと考えている方がいたら、保育に限らず「”人間学”を学んでいるんだ」と捉えて幅広く学んでほしいと思います。
その上で、教育実習など生身で子どもと触れ合える環境を経験してほしいですね。
保育は奥深くて楽しい。
子どもの未来にかかわれる、素敵な仕事だと僕は思います。
つるの剛士さんプロフィール
福岡県北九州市出身 藤沢市在住
「ウルトラマンダイナ」のアスカ隊員役を熱演した後、2008年に“羞恥心”を結成しリーダーとして活躍。
2009年にカバーアルバム「つるのうた」をリリースし、以降アーティストとしても活動中。