てぃ先生の園長見習い中 第2回 NPOフローレンス


    オランダにヒントを得たシチズンシップ保育。
    子どもたちの選択と決定を最大限に尊重するNPOフローレンス


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    Twitterで話題の男性保育士てぃ先生。
    最も近い目標としている夢は、自分で保育園をつくること。
    (てぃ先生が保育園をつくりたい理由はこちら)


    新たにスタートした「てぃ先生の園長見習い中」は、てぃ先生が実際に保育園を訪問し、
    保育園を経営する先輩からヒントをもらう対談企画です。


    第2回目は、認定NPO法人フローレンス代表の駒崎弘樹さんにお話を伺いました。

    今回お邪魔した「みんなのみらいをつくる保育園東雲」は、
    2017年4月にスタートしたばかり。木のぬくもりが感じられる保育室で、
    0歳児から5歳児までの54名の子どもたちが生活しています。


    代表の駒崎さんは、病児保育問題や待機児童問題など、
    子育てにおける社会問題解決に挑むパイオニア的存在。


    同じ建物内には、日本で初めて障がい児の長時間保育を実現させた「障がい児保育園ヘレン」が併設され、
    子ども1〜2名に対し保育士1名がつく手厚い保育が行われています。


    “親子の笑顔をさまたげる社会問題を解決する”をミッションに掲げるフローレンスの保育とは……?


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    ■話を聞く人

    てぃ先生。Twitterフォロワー数40万を超える現役保育士。
    Twitter原作のマンガ『てぃ先生』のほか、
    書籍『ほぉ…、ここがちきゅうのほいくえんか。』『ハンバーガグー!』を刊行。
    マンガのアニメも公開中!(タテアニメ
    https://twitter.com/_happyboy


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    ■話を聞いた相手

    駒崎 弘樹さん。認定NPO法人 フローレンス代表理事/日本病児保育協会 理事長
    1979年生まれ。慶応大学総合政策学部卒業。

    「地域の力で病児保育問題を解決し、育児と仕事を両立するのが当然の社会をつくりたい」と考え、
    NPO法人フローレンスをスタート。日本初の「共済型・訪問型」の病児保育サービスを東京近郊に展開する。
    http://florence.or.jp

     

    保育の仕組みからこぼれ落ちた子をすくい取る


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    てぃ先生:今日はよろしくお願いします。

    フローレンスさんでは、障がい児のための保育園や、
    空き家物件を活用した「おうち保育園」などさまざまな保育が展開されていますが、
    駒崎さんご自身が保育業界に携わったきっかけは何だったのですか?

     


    駒崎さん:僕がこの業界に入ったのは、
    保育園からというより、病児保育からなんです。

    自分の母がベビーシッターの仕事をしており、
    育児についていろいろと考えさせられることがあったのです。


    子どもが風邪をひくと、保育園に預けられないため、
    親が仕事を休んで看病するのが普通になっていますよね。

    しかし、雇用情勢が厳しい今、
    非正規社員の人が何日も仕事を休んだら失業する可能性があります。

    親が子どもを看病することは普通のことなのに、
    仕事を失ってしまう社会なんて、おかしいと感じたのです。


    そこで、熱を出した子どもを預かれる仕組みを作ろうと思い、
    13年前にフローレンスを立ち上げ、
    病児保育サービスをスタートしました。

    2010年には、待機児童問題の解決のため、
    空き住戸を使った「おうち保育園」をつくり、
    政府の待機児童対策政策にも採用されています。
    現在は小規模保育園が17園に加え、4月からこの認可保育園「みんなのみらいをつくる保育園」が開園しました。

     


    てぃ先生:病児保育や待機児童問題を打開したいという
    強い思いがきっかけだたのですね!

    こちらの建物内には、日本初となる障がい児のための保育園が併設されていると伺っています。

     


    駒崎さん:1階部分には、医療的ケアの必要な子どもたちを預かる「障がい児保育園ヘレン」があります。

    残念ながら、ほとんどの保育園では、
    医療的ケアのある子の受け入れをお断りしているのが現状です。

    そのため障がい児のお母さんたちは、24時間365日、
    ずっと家庭の中で子どもの面倒を見ているのです。

     


    保育園は子どものための施設なのに、
    病児や障がい児は来ないでと言われてしまう……それっておかしいよねと感じました。

    僕のルーツは、認可保育園のど真ん中ではなく、
    現在の保育園の仕組みからこぼれ落ちてしまった子をすくい取る保育なんです。

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    目の光を見て、子どもの気持ちを考える保育


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    てぃ先生:保育士になりたい人たちは、はじめは健常児の保育に目が向いている人が 大半だと思うのですが、
    病児や障がい児の保育を行う中で、駒崎さんが現場の保育士に求めている資質はありますか?

     


    駒崎さん:現在、障がい児や病児の保育に携わっている保育士の中には、
    最初は認可園の現場で働いていたけれど、障がい のある子どもと出会って、
    この先も障がい児保育をしてみたいという思いを持って入ってきた人もいます。


    また、通所施設で障がい児を見ていた経験がある人もいます。

    しかし、通所施設では子どもに関わるのは短時間のため、
    生活全体を支えることができる保育園が良いと思って来てくれたというケースも。

    保育士によっていろいろなルートがありますね。


    「障がい児の保育がしたい」という強い思いを持って来てもらえるのは嬉しいです。

    障がいの程度によっては、園で亡くなる可能性もゼロではありません。

    健常児の保育は、一緒に遊んで意思疎通ができますが、
    重症心身障がい児の中には、 身体の中で、まぶたぐらいしか動かせないような子もいます。

    そういった子どもたちと向き合い、
    目の光を見て「この子は喜んでいるんだ」と感じ取るといった、
    アプローチが求められる特殊な現場です。

    そのため、愛を持って障がい児と接したいという気持ちを持つことが必要不可欠であると考えています。

     

    散歩の場所も子どもたちが自ら考え、決める


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    保育室に貼る「感情カード」を使い、子どもたちは今朝の気分を表現することができる。

    元気、楽しい、といった感情以外にも、悲しい、分からないといった感情を選ぶことができる。

    「元気であること」を求めてしまいがちな業界の現状を考えるてぃ先生。

     


    てぃ先生:駒崎さんが理想としている保育とはどのようなものでしょうか。

     


    駒崎さん:僕が理想としているのは、ここ「みんなのみらいをつくる保育園」のように子どもたちが自ら考え、決定し、自ら作っていく保育園なんです。

    ここでは指示や命令をしないことを園の基本姿勢としています。

    「はい、これをやってね」と投げかけて一斉に同じことをやらせるのは簡単ですが、
    一人ひとりにやりたいことがあり、それを選び取ることができるように
    働きかけていくのがフローレンスの保育なんです。



    お散歩に行く時も、すでに決まった場所へ連れていくのではなく
    「どこに行きたい?じゃあ、今日は○○君の行きたいあそこに行こうか」と
    保育士がファシリテーター役になって子どもたちの意見を聞きます。



    実はこういった保育は、オランダからヒントをもらって始めました。

    オランダの学校では、それぞれの意見を尊重するシチズンシップ教育が行われているのですが、
    そのメソッドを取り入れて、「シチズンシップ保育」をしてみたいと考えたのです。

     


    てぃ先生:子どもたちの自主性を大切にする保育ですね。
    素晴らしいと思います。
    しかし、こうした保育は突き詰めていくと、現場で働く保育士にとっては大変なことも多いはず。
    実際の声としてはどうですか?

     


    駒崎さん:理想を掲げて立ち上げましたが、
    4月からは試行錯誤の日々です。

    「それってどうやるんですか?」と悩みながらも、保育士たちは奮闘しています。


    子どもたちが輪になって、
    ひとつのテーマに対して自分の考えを発言する「サークルタイム」という活動があるのですが、
    開園して1か月あまりが過ぎて、まずはそれができるようになってきました。


    日本では、言われたことや決められたルールを守るのが良いことであるという風潮があります。

    しかし、人前で意見を言って、
    不具合があれば自分たちでルールを作り変えていくことができるという成功体験を、
    小さな頃から積み重ねることによって、もっと良い世の中ができるんじゃないかなと期待しています。

     

    残業は1日20分以内。保育士のやりがいを育む労働環境


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    園長の成川 宏子さんは、
    もともとおうち保育園のスタッフとして入社した。

    現場で働く保育士が残業をしないためにも、
    自身も残業をしないように気をつけているとのこと。

     


    てぃ先生:保育園を経営する上で、
    駒崎さんがいちばん大切にしていることはどんなことですか?

     


    駒崎さん:保育士がやりがいを持って保育できることです。

    そのために、保育士の働き方改革を目標としています。

    この業界は、長時間労働や持ち帰り仕事の多さなど働き方の課題が多く残っています。

    当園では1日の残業平均時間は20分。

    もし残業や、持ち帰りが発生するならば、作業工程自体を見直します。
    例えば壁面工作だったら、本当に毎年作り直さなければいけないのか?
    昨年のものをアレンジするのではいけないのか?と。


    「残業はさせない」と時間のリミットを決めた上で、
    その時間内に終わらせるためには、どこを効率化したらいいのか。
    その作業は本当に必要なことなのか、をみんなで考え、工夫しています。


    その結果、保育士の定着率も上がり、
    思いを持って続けてくれるスタッフが増えているのです。


    てぃ先生がよくツイートしている「みんなもっと成長していこうよ」という考え方はとても共感できます。

    しかし、多くの保育士は、長時間労働をして擦り減っていき、
    成長の仕方が分からないままになっているような気がしています。


    そこで、トップが働く時間を整えてあげると、
    早く帰ることできる分、やりたいことがいろいろと見つかるようです。


    嬉しかったのは、2年目の女性保育士が退勤後にコミュニティーユースワーカーの活動を始めたことです。

    これは、10代でママになった人たちの交流の場を作ったり、
    就労支援をしたりする活動なのですが、
    僕が一言も勧めなくても、自ら地域に出てソーシャルワーカーとして活躍し始めたのです。



    そうした宝物みたいな思いを持っている人たちが、
    保育士をやりながらも自ら羽ばたいて地域に貢献していく。
    トップが環境を用意し、 思いを励まし、後押ししてあげたら、
    そういう保育士がもっと育つのではないかと思います。

     


    てぃ先生:僕は最近、「保育士のやりがいはどうやって見つけるんですか?」と聞かれることが多いのですが、
    自らやりがいを見つけることが難しい保育士もいるようです。

    このことについて、駒崎さんはどう思いますか?

     


    駒崎さん:保育士一人ひとり、持っているバックグラウンドが違うことに着目したいですね。

    人間関係で悩んでいる人もいれば、自分の中の保育の理想との差に悩んでいる人もいます。

    フローレンスでは、園長や僕が個別に寄り添って、一緒に解決方法を考えていく方法をとっています。


    そのためには園長の育成も大切です。月に一度、園長会を開催し、
    それぞれの園の気になることや課題を話し合います。

    園長がお互いにコーチングをすることによって、支え合うことができるのです。

     


    てぃ先生:園長が孤独だという話はよく聞きます。
    現場のスタッフにも相談することができないし、どうしよう……って。

    自分でお金を払って外部の研修会に出席しない限り他の園長に会うことはないので、
    グループ内で定例の園長会があるのは良いですね。

     

    正直な評価を向上に繋げる


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    てぃ先生:保育士のやりがいを決める上で、
    能力に見合った給料も大切だと思うのですが、
    フローレンスさんでは、昇給の評価基準はどのように決まっていますか?

     


    駒崎さん:勤務評価と実績評価を組み合わせていく形になっています。
    園長が現場のスタッフを評価しています。

     


    てぃ先生:僕も自分が経営する保育園では、
    現場のスタッフについて保護者からアンケートをとってみたいなと思っています。

     


    駒崎さん:フローレンスでは半年に一度、
    保護者からアンケートをとっています。

    園に対するものと、保育士に対するものの二種類を用意するのですが、
    「あなたはこの保育園を知人に紹介したいですか?」
    「この先生のことを自信を持って友人に紹介したいですか?」と聞くと、
    満足度が正直に出てきます。

    グループ園同士で評価にバラつきもありますが、園同士で比べるのではなく、
    過去の自分と比べて向上していこうと投げかけています。


    保育士の中には、数字的に高い評価が出たからといって良い保育とは限らないと考える人もいます。

    確かに、親の満足度と子どもの満足度が連動しないこともあります。
    しかし、複数の指標を使うことで、より本来の自分に近いものを見ることができ、
    自分たちの成長にも繋がると伝えています。

     

    ソーシャルワーカーとしての保育士


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    てぃ先生:保育士の待遇改善が叫ばれていますが、
    僕も現場で働く人間としてなにができるか考えています。

    保育士ができることは何だと思いますか?

     


    駒崎さん:現在、残念ながら保育士の専門性に対する社会的な理解はほとんどありません。

    「保育士って子どもと遊んでいるだけでしょ?」と言われてしまうことすらあります。

    そういった状況を打開するためにも、保育士のプロフェッショナリティ……
    たとえば、子どもに対する関わり方や、保護者が安心するアプローチの仕方などを、
    一人ひとりが発信していく必要があるのではないでしょうか。

    そして、今後は保育士が担う役割は多くなってくると思います。

    保育士は、保護者のサポートをし、適切な養育ができるように導くソーシャルワーカーとして
    動きだすことが求められるのではないでしょうか。

     


    てぃ先生:ありがとうございます。大変参考になりました。

     

    てぃ先生の訪問日誌

     


    子どもの自主性を大切にする保育を掲げている「みんなのみらいをつくる保育園東雲」。
    子どものことを考えるためには、まず職員の環境から考えるという姿勢が見えました。
    業界にありがちな「気をつけていこう」という曖昧なものではなく、
    代表の駒崎さんをはじめ、園長先生などの責任者が率先して「負担を増やさずに質の良い仕事をする」という
    具体的な行動をしているのが印象的です。
    今後、ますます需要の多様化が進む保育園ですが、
    ご家庭の声一つ一つに真摯に向き合おうとする気概に感化されました。
    ありがとうございました。


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    プロフィール

     


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    てぃ先生:
    関東の保育園に勤めるカリスマ保育士。
    保育園の日常をつぶやくツイッターには40万人を超えるフォロワーがいる。
    Twitter原作のマンガ『てぃ先生』のほか、
    著書に『ハンバーガグー』『ほぉ…、ここがちきゅうのほいくえんか。』
    (ともにベストセラーズ)など。マンガのアニメも公開中!(タテアニメ
    https://twitter.com/_happyboy

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