未来を生きる子どもたちにいま、そしてこれから保育者ができることは何か。
保育教育研究の第一線に立つ研究者の方々にきく、保育士バンク!連載企画第2回。『いま大きく変わる保育の質』について汐見稔幸教授にインタビュー。中編は『いま“保育の質”がなぜ重視され始めたのか』について、子どもの育ちをめぐる環境の変化や幼児教育・保育を変える必要性の真意に迫る。
『人間が大事にしてきた3つのことを大好きになってもらうために、子どもが自発的にやり始める環境を作ろう』
前回(※前編)、保育者の仕事の本質と子どもの自発を促す環境作りについて、ユーモアで温かい具体例を交えながら、お話ししてくださった汐見稔幸先生。
なぜいま、保育の現場は『自発的に生きる』子どもたちを育てる場として変わる必要があるのか。子どもの育ちをめぐる環境は、時代とともにどう変化しているのか。 幼児教育・保育の近代から現在までの変化と歴史的経緯を紐解いていく。
目次
【1】人類はいま、歴史的なターニングポイントいる
ーーー幼児教育・保育無償化の施行を今年10月にひかえていることもあり、『保育の質をどう担保するのか』という問題について、いま社会全体が注目しています。
待機児童問題だけでなく、以前に比べマスコミなどで保育のことを取り上げられる割合が、すごく増えている気がします 。
でも20年ちょっと前は『子育ては家庭で行うもの』という意識が強く、『保育・幼児教育』を重視するような動きは、世の中にありませんでした。
ーーーでは、なぜいま、幼児教育・保育を重視するようになったのでしょうか。
いま、人類の歴史の中で初めて、子どもが『生活の中で豊かに育つ』ことができなくなってしまったからです。
僕は、人類史的にいまが大きなターニングポイントだ、と思ってます。
【2】子どもは『生活のいとなみ』の中で育つ
何もない時代で豊かに育つ子どもたち
ーーー昔の子どもたちは生活の中で、どのように豊かに育っていったのでしょうか。
昔のように、便利な家電や道具がない時代は、全てを手作業で行わなければならず、子どもも家庭の仕事を手伝わなければ、生活が成り立たちませんでした。
子どもは家庭の仕事を手伝う中で、働くことの大切さ、物を粗末にしてはいけないこと、責任感などを学んでいた。
家の仕事の手伝いは大変だけど「もうやめた」と思ったら家族に迷惑をかける。
父ちゃん母ちゃんが必死で働いているのに、自分だけ遊んでいるわけにはいかないからね。だから、がんばるしかない。
実は、人間性の基本のようなものを、生活の中で身につけていたのです。
それだけでなく、かつては家庭のすぐそばにも、子どもが育つ環境がありました。
子どもは自由に外に遊びに行けたので、子どもたちが集団で遊ぶことも多くありました。 幼い子どもも、ガキ大将のお兄ちゃんたちに引っ張られ、あちこちに遊びに行っていた。
いまのように児童公園も遊び道具も何もない。道ばた、川原、はらっぱ、空き地なんかで遊びます。
だからちょっと前までは、遊ぶために“あるもの”を必死になって使わなければならなかった。
『教える』『できたら褒める』で育つ部分は、少ししかない
“あるもの”とは『頭』。頭を必死で使うんです。
必死になって遊びを考え、編み出し、工夫する。
遊ぶために「うまくいかないな、どうしようか」と相談して、失敗してもあきらめず、くりかえしやり直す。
Purino/shutterstock.com
アイデアを考え出す力、試行錯誤する力、やったぜと達成する力、相談する力、上手くいかなかったときにもう一回夢を描く力。
昔の子どもたちは、『生きるための基礎力』を、親が知らないところで身につけていたのです。
ーーー昔の子どもたちは、『手伝いをする』『遊ぶ』という、生活の中でごく自然にできることを通して、生きるために必要な力を学んでいたのですね。
つまり、教育で一番大事なキーワードは『生活でのいとなみ』なんです。
人間は『教えてあげる』とか『できたら褒めてあげる』だけで育つ部分は、実はちょっとしかない。
学校で教えてもらったことだけで育つわけではないんです。
この生活のいとなみで育つ『生きるための基礎力』のことを『非認知的スキル(※)』と呼んでいます。
非認知的スキルとは、単に生きたるためのたくましさだけではなく、発想の柔軟さや新しいものを生み出すクリエイティビティなども含んでいます。
※非認知的スキル…自尊心や自己制御、忍耐力といった社会情動的スキル。IQなどで測れない内面の力のこと。心の土台となるもの。
人類が大事にしていた「3つのこと」 | ||
体で覚えていく力 | 豊かな人間関係を作る力 | アイデアを出す力 |
自尊心、自己肯定感、 自立心、自制心、 自信、など |
協調性、共感する力、 思いやり、社交性、 良いか悪いかを知る道徳性、など |
モノを作り出す力、 アイデアを出す力、 工夫する力、など |
生活の中で子どもの育ちを促していたいとなみ | ||
・家の中でのお手伝いや自分に与えられた 役割を投げ出さずに達成する ・家のお手伝いを工夫して仕事の精度を上げる …etc |
・友だちとの遊びで仲良くやっていく ・異年齢との交流の中で遊びにルールを作る …etc |
・何もない中から遊びや道具を工夫して生み出す …etc |
簡単1分登録!転職相談
保育士・幼稚園教諭・看護師・調理師など
保育関連の転職のご質問や情報収集だけでもかまいません。
まずはお気軽にご相談ください!
【3】保育で『自発的に生きる力』を人工的に育てる
自発性につながる非認知的スキル
生きるための基礎力である『非認知的スキル』は、生活の中でずっと育ってきた。この生活スタイルは縄文時代からずっと続いていました。
でも、いまはどうでしょう。
子どもに「昨日は家でどんなお手伝いしたの?」と聞けば「リモコンを3回押したよ」程度の手伝いになってしまった。家の外に行っても、危なくて遊べっこない。
便利な世の中になったことで、生活の中で『手伝う、遊ぶ』という場が失われ、生きるための基礎力を自然に身につけることができなくなってきている。
生活の中で『非認知的スキル』が育たなくなってきて、その大切さに世の中が気がついてきた。
同時に、『非認知的スキル』は、乳児期・幼児期から育つことがわかってきたこともあり(※前編参照)、保育・幼児教育が注目され始めたんです。
だから、『非認知的スキル』を人工的な空間で育てるしかない。
どこで?それが、保育園や幼稚園なんです。
Have a nice day Photo/shutterstock.com
人間の情報処理能力には、『認知的スキル』と『非認知的スキル』の2種類があります。
文字が読めたり年代を覚えたりといった力を『認知的スキル(※)』といいます。そして、『生きるための基礎力』が非認知的スキル。
人間性の土台を支えている心の能力である『非認知的スキル』があるからこそ、認知的スキルは生きてくる。つまり、この2つがお互い支え合って、成長していくことがわかってきたんです。
『認知的スキル』だけでなく、『非認知的スキル』がきちんと育っていたら、レジリエンス(※)やたくましさといった力も育っているので、ちょっと落ち込むことがあっても、心が折れずに頑張ることができます。でも、『認知的スキル』だけが育っている状態だと、空回りしてしまうのです。
引きこもりの問題などは、非認知的スキルがうまく育っていないことも影響しています。
ーーーさまざまな知識や情報だけをたくさん持っていても、非認知的スキルが育っていないからうまく生かしていくことができないのでしょうか。
学校だけで得た知識や情報を持っていても、それらはどんどん新しいものに変化していくので、生きていくためには不十分でしょう。
「わからないときは自分達で調べるんだ」と情報を吸収しようという、自発的な『姿勢』を小さいうちに育てておけば、成長した後は何も困らない。
自分で自由に工夫できるから、自発的になる
ーーー『非認知的スキル』を育てていくことで、『認知的スキル』を自らのばそうという、姿勢が育つんですね。
例えば、いまヨーロッパでは、子どもがカリキュラムを自分で作るという教育法が主流になってきているんです。
僕はこの間フランスの学校に行ってきました。
その学校では、カリキュラムは子どもたちが自分で全部作ります。
1週間のうち『各科目につき〇時間はこなす』というカリキュラムは決まっていますが、何をいつやるかは、子どもたちが自由に決めることができるのです。
先生はというと、授業が始まる前に、子どもたちがどの教材を使って、いつ、どのような方法で勉強するか選べるように、いろいろな教材を教卓に置いておきます。
子どもが自分で教材を選び、学びを進め、学んだことをレポート化する授業もあれば、事前に調べてきたことを発表し、みんなでワイワイ議論するような授業もある。 こうして子ども自ら授業を組み合わせて、カリキュラムを作っていくんです。 自分で工夫できるから、学校が絶対に楽しいですよ。
だから子どもたちは、勉強に一生懸命になる。
※認知的スキル…IQに代表される知能指数テスト等で計測される知能。言語的知能、数学的知能など。
※レジリエンス…自発的回復力という意味。己に不利な状況やストレスにさらされる環境に適応することができる個人の能力。“レジリエンスが高い”とは、逆境力があるとか精神的な回復、防御力があるということ。困難な状況にも関わらず、しなやかに適応して生き延びる力があること。
【4】日本の保育の中心を『遊び』に変える
保育を見直すきっかけとなった、1980年代の中学生の姿
ーーー汐見先生が長く日本の教育に携わってこられた中で、保育・幼児教育への危機感によって、具体的に議論が始められたのはいつ頃からですか?
日本でこの保育・幼児教育の議論が始められたのは、1980年代からです。
議論のきっかけとして、中学生が荒れ始めたことが挙げられます。いじめや不登校などさまざまな問題が一気に広がった。
受験が過熱化し、点数と偏差値で人生を振り分けする教育に対して、学生たちが未来への夢を持てなくなってしまったんです。
ーーー中学生が荒れた教育的な背景が、その頃の幼児期の子どもたちに具体的にどのような影響およぼしていったのですか?
受験がどんどん低年齢化していったんです。
そして、受験の準備のために、大人に指示されたことを上手にこなすような子が『いい子』とされ、結果として『指示待ちの子ども』が多くなっていきました。
しかし、指示待ちの子どもたちは、人間にとっていちばん大事な『これが面白い!』と感じ、どんどんやりだしていく自主性や自発性が、どうも育っていなかった。
同時に、家庭で使える機械が増えたことによって、手伝いなどしなくてもいい便利な世の中になっていった。家の周りが舗装されて、危なくて外で遊べなくなっていった。
こうして自分で考える機会が減り、ずっと大人の指示を待っている。
これが一番の危機だと感じたんです。
指示をされなくてもやり始める『自主性』『自発性』『主体性』を育てることを、保育の共通の目標にしなければいけない。
人間にとって、子どもにとって、一番自発性が発揮されて、一番興味関心を表現できる活動は何か。それが『遊び』でしょう。
こうやって、日本の保育・幼児教育を切り替えたのが平成元年です。
『遊び』で覚えたことが『社会』で生きる
ーーー平成元年というと、第1回目の保育所保育指針改定の前年、幼稚園教諭要綱改定の年ですね。
保育の中心を全て『遊び』に変えよう、と言ったのがいまから30年前です。
でも保護者の方たちにとっては、なかなかイメージしづらかった。
『遊び=学び』ということを一生懸命説明して、いまようやく、少しずつ広がっています。
例えば異年齢の子どもたちが、集団で上手に遊ぶためには、
「みんなで遊ぶならルールを作らないといけないよね」
「異年齢で遊ぶときには小さい子のために、ちょっとルール変えよう」
と、一生懸命考えるじゃないですか。
社会に出たときも、いろいろな人と仕事をするためには、ルールを考えなければいけない。
遊びの中で自然と身につく力が、子どもが社会に出たときにもつながるということが現在ようやく理解されてきたんです。
読んでおきたいおすすめ記事
保育士資格やスキルを活かしてデスクワークがしたい!仕事の種類やメリット
保育士さんは、デスクワークで働くことができるのでしょうか。保育士資格やこれまでのスキルを活かせるような職場があるのかも気になりますよね。今回は、保育士さんが働けるデスクワークの仕事にはどのようなところ...
乳児院で働くには?必要な資格や仕事の魅力、給料などを徹底解説
乳児院で働くには、必要な資格や仕事内容、給料などを把握することが大切です。1日の流れや求人の探し方などを知り、転職活動の参考にしてみてくださいね。今回は、乳児院について徹底解説します。乳児院の仕事の魅...
在宅ワークで保育士資格を活かせる仕事とは?自宅でできる保育関係の仕事を徹底解説
通勤時間なく働ける在宅ワークをしたいと考えても「保育士は無理なんじゃないか……」とあきらめている方はいませんか?保育園の事務職や保育ママ、保育園業務のサポートなど、保育士の経験や資格を活かして自宅でで...
保育園運営会社の仕事内容とは?本社勤務でも保育士資格は必要?働くメリットや求人事情まで
保育園運営会社にはどんな仕事があるのでしょうか?保育園運営会社で働くことは「本社勤務」とも呼ばれ、保育園の運営に携わる仕事として、主に一般企業に就職したい保育士さんにとって人気の高い職種のようです。今...
【31選】子どもと関わる仕事特集!必要な資格や保育士以外の異業種、子ども関係の仕事の魅力
子どもと関わる仕事というと保育士や幼稚園の先生を思い浮かべますが、子どもに関係する仕事は意外とたくさんあります!今回は赤ちゃんや子どもと関わる仕事31選をご紹介します。職種によって対応する子どもの年齢...
企業内保育所とはどんな施設?保育士として働くメリットや仕事内容、転職先の選び方
企業内や企業に併設された企業内保育所とは、どんな保育所なのでしょうか。仕事内容などを知りたい保育士さんは多いようです、今回は、少人数制でアットホームな環境で保育ができる施設が多い企業内保育所について、...
保育士が保育に集中できる職場「託児所」の特徴や仕事内容とは?
託児所とは子どもを預かる施設を指しますが、保育園や国の一時保育とどのような点が違うのでしょうか。託児所は夜間保育や短時間の預かりなどの保護者の多様なニーズに対して柔軟に応えられるため、需要の増加が予想...
保育士をサポート・支える仕事特集!異業種への転職も含めた多様な選択肢
保育士の経験を経て、これからは保育士のサポート役として働きたいという方はいませんか?責任の重い仕事だからこそ、人の優しさや支えが必要不可欠な仕事かもしれませんね。今回は、保育士さんをサポートする・支え...
保育士を辞める!次の仕事は?キャリアを活かせるおすすめ転職先7選!転職事例も紹介
保育士を辞めたあとに次の仕事を探している方に向けて、資格や経験を活かせる仕事を紹介します。ベビーシッターなど子どもと関わる仕事はもちろん、一般企業での事務職や保育園運営会社での本社勤務といった道も選べ...
病院内保育とは?働くメリットや1日のスケジュール、一般的な保育施設との違いについて紹介!
病院内保育とは、病院や医療施設の中、または隣接する場所に設置されている保育園のことです。保育園の形態のひとつであり、省略して院内保育と呼ばれることもあります。転職を考えている保育士さんの中には、病院内...
フリーランス保育士として自分らしく働くには。働き方、収入、仕事内容からメリットまで解説
保育園から独立して働くフリーランス保育士。具体的な仕事内容や働き方、給料などが気になりますよね。今回は、特定の保育施設に勤めずに働く「フリーランス保育士」についてくわしく紹介します。あわせて、フリーラ...
保育園の調理補助に向いてる人の特徴とは?仕事内容ややりがい・大変なこと
保育園で働く調理補助にはどのような人が向いてるのでしょうか。子どもや料理が好きなど、求められる素質を押さえて自己PRなどに活かしましょう。また、働くうえでのやりがいや大変なことなども知って、仕事への理...
子どもと関わる看護師の仕事10選!保育園など病院以外で働く場所も紹介
子どもに関わる仕事がしたいと就職・転職先を探す看護師さんはいませんか?「小児科の経験を活かして保育園に転職した」「看護師の資格を活用してベビーシッターをしている」など保育現場で活躍している方はたくさん...
保育士から転職!おすすめの異業種22選≪あなたの資格・経験を活かせる次の仕事とは?≫
保育士以外から異業種への転職を考えている際、どのような転職先がおすすめなのでしょうか。今回は、次の仕事として保育士から転職しやすいおすすめの異業種22選を紹介します。保育士から異業種に転職するメリット...
【保育士の意外な職場10選】こんなにあった!保育園以外の活躍できる場所
保育士の経験やスキルが、実は意外な職場で活かすことができるのを知っていますか?転職を検討しつつも、子どもとかかわりたい、資格や経験を活かしたいと考えている人は多くいるでしょう。保育園や幼稚園以外で保育...
【完全版】保育士資格を活かせる仕事・働ける企業25選!
保育園で保育士として働くのが辛いと感じて、転職を考えているという方がいるかもしれません。しかし、せっかく取得した保育士資格を活かして働きたいですよね!保育士として得たスキルや経験は一般企業や福祉施設、...
【2024年最新】保育士に人気の転職先ランキング!異業種や選ばれる職場を一挙公開
保育士の資格を活かして働ける人気の転職先をランキング形式で紹介!企業主導型保育園や病院内保育所、ベビーシッターなど保育士経験やスキルを活かせる職場はたくさんあります!今回は保育施設や異業種別に詳しく紹...
【2024年最新版】幼稚園教諭免許は更新が必要?廃止の手続きや期限、対象者をわかりやすく解説
幼稚園教諭免許は更新が必要なのか、費用や手続き方法などを知りたい方もいるでしょう。今回は、2022年7月1日より廃止された教員免許更新制について詳しく、そしてわかりやすく紹介します。幼稚園教諭免許を更...
保育士が児童発達支援管理責任者(児発管)になるには?実務経験や要件など
保育士の実務経験を活用して目指すことができる「児童発達支援管理責任者(児発管)」は、多くの障がい児施設で人材不足の状況が続いています。今回は保育士が児童発達支援管理責任者(児発管)になるための方法を徹...
保育士は年度途中に退職してもいいの?理由の伝え方や挨拶例、再就職への影響
「年度途中で退職したい...けれど勇気が出ない」と悩む保育士さんはいませんか。クラス担任だったり、人手不足だったりすると、退職していいのか躊躇してしまうこともありますよね。そもそも年度途中で辞めるのは...
幼稚園教諭からの転職先特集!資格を活かせる魅力的な仕事18選
仕事量の多さや継続して働くことへの不安などを抱え、幼稚園教諭としての働き方を見直す方はいませんか。幼稚園教諭の転職を検討中の方に向けて、経験やスキルを活かせる18の職場を紹介します。保育系の仕事から一...
【2024年度】放課後児童支援員の給料はいくら?年代別の年収やこの先給与は上がるのかを解説
放課後児童クラブや児童館などで働く「放課後児童支援員」の平均給料はいくらなのでしょうか。別名「学童支援員」とも呼ばれ、「給与が低い」というイメージがあるようですが、国からの処遇改善制度などにより、これ...
保育士が働ける保育士以外の仕事21選。資格や経験を活かせるおすすめの就職先
保育園以外の職場に転職・就職先を探す保育士さんもいるでしょう。今回は企業内保育所や託児施設、児童福祉施設など、保育士さんが働ける保育園以外の職場を21施設紹介!自身の働き方や保育観を見つめ直し、勤務先...
【2024年最新】保育士の給料は上がる?いつから?9000円賃上げの処遇改善によって数万円の加算も期待
保育士の給料が上がる国の施策として、2022年2月からの「保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業(保育士の処遇改善Ⅲ)」で、2年にわたり月9000円の賃上げが行なわれました。また勤続年数などで加算さ...
私って保育士に向いていないかも。そう感じる人の7つの特徴や性格、自信を取り戻す方法
せっかく保育士になったのに「この仕事に向いていないのでは?」と不安を抱いてしまう方は多いようです。子どもにイライラしたり、同僚や保護者と上手くコミュニケーションが取れなかったりすると、仕事に自信が持て...
ベビーシッターとして登録するなら「キズナシッター」を選びたい理由トップ5
ベビーシッターとしてマッチングサービスに登録する際に、サイト選びに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。収入や働き方の安定性、サービスごとの特徴や魅力も気になりますよね。本記事ではそんななか「キズナ...
子育て支援センターとは?保育士の役割や必要な資格をわかりやすく解説!
子育て支援センターとは、育児中の保護者と子どもをサポートする地域交流の場です。保育士経験者は資格を活かして働けるため、転職を考える方も多いよう。また、子育て経験を活かして相談員として勤務したい方もいる...
ベビーシッターになるには?資格や仕事内容、向いている人の特徴
ベビーシッターになるにはどうすればいいのでしょうか?まずは必要な資格やスキルをチェックしましょう。ベビーシッターは働く時間や場所を柔軟に調整できる場合が多く、副業としても人気です!初めてでも安心してベ...
【2024年最新版】子育て支援員とは?資格の取り方・研修、やりがいや仕事内容について解説
保育の仕事に興味がある方のなかには、子育て支援員とはどんな資格?と気になっている方がいるかもしれません。2023年に新設されたこども家庭庁が、放課後児童クラブ(学童保育)の人材確保に取り組んでいるなか...
保育士の転職の時期はいつが最適?後悔しないタイミング&スケジュールの立て方
保育士の転職の最適な時期とはいつなのでしょうか?スムーズに内定を獲得できるよう、いつから動き始めればよいのかなど、転職活動における適切なタイミングを知っておきましょう。今回は、保育士さんの転職に最適な...
【2024年版】幼稚園教諭免許の更新をしていない!期限切れや休眠状態の対応、窓口などを紹介
所有する幼稚園教諭免許が期限切れになった場合の手続きの方法を知りたい方もいるでしょう。更新制の廃止も話題となりましたが、更新していない方は今後の対応方法をくわしく把握しておくことが大切です。今回は、幼...
【2024年最新】調理師の給料、年収はどれくらい?仕事内容や求人、志望動機なども徹底解説
保育園の調理師は、子どもたちが毎日口にする給食やおやつを作る仕事です。成長する子どもの身体づくりを助ける存在として、やりがいをもって働けるかもしれません。しかし、年収はどれくらいなのでしょうか?今回は...
インターナショナルスクールに就職したい保育士さん必見!給料や仕事内容、有利な資格とは
保育士さんが活躍できる場所のひとつとしてインターナショナルスクールがあります。転職を検討するなかで、英語力は必須なのか、どんな資格が必要なのかなどが気になるかもしれません。今回は、インターナショナルス...
児童館職員になるには?必要な資格や仕事内容、給料
児童館は、地域の子どもたちへの健全な遊び場の提供や子育て家庭の育児相談などを行なう重要な施設です。そんな児童館の職員になるにはどのような資格が必要なのかを解説します。また、児童館の先生の仕事内容や20...
病児保育とはどのような仕事?主な仕事内容や給与事情、働くメリットも解説
病児保育とは、保護者の代わりに病気の子どもを預かる保育サービスのことを言います。一般的に、風邪による発熱などで保育施設や学校に通えない子どもを持つ保護者が利用します。今回は、そんな病児保育の概要を詳し...
保育士の給料・年収は?安いのはなぜ⁉年齢・地域別・パートの平均年収、給与UP術
「給料が安い」「上がらない」といわれる保育士の給料はいくらくらいなのでしょうか。子どものお世話や保護者対応など多くの仕事をこなす中で給与が低いと不満が募りますよね。今回は保育士の月給や平均年収を徹底解...
保育園事務は何がきつい?仕事内容や給料、業務で楽しいことについても紹介
子どもたちが通園する保育園で事務として働く場合の仕事内容とはどのようなものが挙げられるのでしょうか。中には、仕事に就いてから「きつい」「つらい」と感じることもあるかもしれません。今回は、保育園事務の仕...
- 同じカテゴリの記事一覧へ
【5】幼児教育・保育で『難問だらけの時代』を生き抜く
保育・幼児教育は『世界の難問』を解決する
ーーーいまのお話の流れで考えると、これから保育園や幼稚園の教育が果たす役割は、とてつもなく重要ではないですか?
ものすごく重要ですよ!だから保育・幼児教育がニュースになっているんです。
突然『考えること』を小学校から教えて、すぐにできるわけじゃない。たくさんの難しい問題に対して「ああしよう、こうしよう」と自発的に考えられる力を育てることは、保育・幼児教育がやらないとだめなんです。
いま、世界は難題だらけじゃないですか。
例えば、労働力移入のために、ヨーロッパが行っていた移民政策は『移民問題』となり、現在は『貧困問題』になっています。
フランスでは、労働力不足を補うために移民として他の国から働きに来てもらったのですが、移民してきた人の中には、フランス語を話せない人もいた。
景気が悪くなると、言葉が話せない人たちが失業して、貧困化していく。
これは困ったと。
そこで、移民してきた人たちの子どもの代からは、フランス語を習得するための質の高い保育・幼児教育を受けられるようにする。その後は学校で勉強できるようにしているんです。
言葉が話せない問題を保育・幼児教育で解決すれば、その先にある貧困問題も解決する。
ヨーロッパはこの難局を切り抜けようと、すでに1997年には「自国の教育政策の中で最も力を入れなければいけないのは保育・幼児教育だ」という宣言を出したんです。
答えなんかない。答えは自分たちでつくる
日本の環境問題や少子高齢化問題も、こうやれば解決しますよという正解はない。
僕らにとって『正解主義』の時代は終わった。これからは適切解を模索する時代です。
答えはないから、「こうしたらいいんじゃないか」という適切な解を、一生懸命みんなで探りあうしかない。
そのためには、議論することが楽しくてしょうがない、という人間を育てなければいけない。
答えなんかない。あったりまえじゃないか。答えは、自分たちでつくるんだよ。
【中編・終】
では、子どもが幸せを自分でつかめる力は、何を手がかりにして育てていくのか?
『正解のない21世紀の世界』を子どもたちが生き抜くための保育・幼児教育とは?
みんなで未来について議論すること大切さ、その手掛かりとなる『10の姿』について、汐見先生のお話は後編に続きます。
<汐見稔幸先生・プロフィール>
1947年大阪府生まれ。 2018年3月まで白梅学園大学・同短期大学学長を務める。
東京大学名誉教授・日本保育学会会長・国保育士養成協議会会長・白梅学園大学名誉学長
保育所保育指針の改定に関する検討を行った社会保障審議会児童部会保育専門委員会委員長を務めた。
また現在、厚生労働省子ども家庭局長が学識経験者等を参集した「保育所等における保育の質の確保・向上に関する検討会」で座長を務める。
専門は教育学、教育人間学、保育学、育児学。
一般社団法人家族・保育デザイン研究所代表理事。
保育についての自由な経験交流と学びの場である臨床育児・保育研究会を主催。
保育者による本音の交流雑誌『エデュカーレ』の責任編集者を務め、『10の姿で保育の質を高める本 (これからの保育シリーズ)/汐見 稔幸 (著)中山 昌樹(著)(出版社 風鳴舎)』『さあ、子どもたちの「未来」を話しませんか/汐見稔幸 (著)おおえだけいこ(イラスト)(出版社 小学館)』などの書籍執筆や講演会など、全国を飛び回り精力的に活動している。
<取材・執筆・撮影>保育士バンク!編集部
保育士バンク!の新着求人
お住まいの地域を選択して、最新の求人情報をチェック!