多忙な保育のお仕事の中で、ついわがままやグズグズにイライラしてしまったり、「叱っても伝わっていない気がする」と悩むことはないでしょうか。そんな保育者の余裕のない時に飛び出す言動が、もしかしたら子どもの意欲をなくしているかもしれません。子どもはとても感受性豊かなので、大人の何気ない言葉がその心を傷つけたり、逆に子どもの可能性を引き出したりします。今回は、そうした保育者としての言葉遣いについて考えてみました。

子どもに言ってはいけないNG言葉
保育のお仕事で、「これはNG」と明確に言えることは少ないものです。
ただし、子どもの発達や情緒の安定を考えて、なるべく避けた方がよい言葉遣いはあります。
「否定する言葉」あなたが○○じゃなかったら・・・
「◯◯ちゃんがいい子じゃないから」
こうした物言いは、自分の人格そのものを否定されたという感覚に陥ります。
自分は根っからの悪い人間なんだというように思ってしまい、子どもの自尊心が傷つきやすくなってしまいます。
「兄弟や友達と比較する言葉」
「○○ちゃんはできるのに……」
より身近な存在であればあるほど、自分との差を感じて心に傷を負いやすく、兄弟であれば兄弟間も不仲になりやすいです。
「外見に関する言葉」
保育士としてというより、一人の大人として絶対に避けるべきことです。
自分ではどうすることもできない外見を指摘されると、傷つきますよね。
将来コンプレックスとしてずっと残ってしまうこともあります。
「乱暴な言葉遣い」
「○○って言ってんだろ!○○しろよ!」
言った方はスッキリ・サバサバな気分がするかもしれませんが、かけられた方は怖い思いをします。
言われる方は叱られているとは感じずに、ただ単に自分をけなされているようにしか思えないでしょう。
また、子どもは保育士の言動や振る舞いをいつも見ていて、マネしてしまいます。
こうした言葉遣いは、たとえ直接子どもにかけることがなくても、保育中は絶対に避けるべきでしょう。
よく使われているような言葉にも気を付ける
子どもに対して話す際、よく使われているような言葉の中には、プロの保育士が使うべきものではない言葉があります。
そうした避けるべき言葉と、別の言い回しや表現をご紹介します
×「よくできたね!」
これはつい発してしまいがちな言葉ですが、子どもは、これを言われた時だけ”よくやった”ことだと思い込んでしまいます。
「できる・できない」で子どもを見るのではなく、プロセスを褒めてあげたり、「私が見ているよ」というメッセージを発してあげるべきでしょう。そのためには、
○「頑張ったね!」
のように言い換えるといいでしょう。
努力したことに注目して褒めてあげると、結果より努力した過程が大事なのだと理解し、物事にも粘り強く挑戦していくことができるでしょう。
×「いい子ね!」
子どもは、頼まれたことをしてからいい子だと言われると、頼んだことをしたから”良い”のに過ぎないと思い込んでしまい、「他者にとって何がよいことなのか」を、自ら考えるきっかけをなくしてしまいます。
そのため、こういうしてくれたことに対する結果にたいしては、
↓
○「お手伝いしてくれるから、とってもうれしいな」
このように、人が喜んでくれるから自分も嬉しい、と思ってもらえるような言葉遣いを心がけましょう。
それが人からの評価が目的ではなく、自らお手伝いなどをすることにつながります。
×「いい加減に止めないと、○○だよ!」
こうした叱り文句を、大人が言うことを聞いてほしいがために使っていても、子どもはなぜそれが悪いのかがわかりません。
○「怪我したら大変だから人を叩いてはいけません。」
というように、どうしてダメなのかをかみ砕いて伝わるような表現を選びましょう。
また、「何かを叩きたくなったら、枕やソファーなら叩いてもいいよ」など、子どもが自分の感情を表現できる他の手段を提供することで、振る舞いに明確な線引きをしつつ子どもの感情もきちんと認めることができ、より優れた自制心と精神的な安定を育てられるのです。
×「お利口さんだね!」
大人にとって望ましい行動を取った時だけ、目的を達成した時だけ、理想的な結果を生み出した時だけ利口なのだというメッセージを送ってしまいます。常に大人の顔色を窺うようになってしまいますし、期待に応えなければというプレッシャーにもなります。そこで、
○「すごく頑張ったね!」
結果ではなく努力に目を向けることで、本当に大事なことが何かを子どもたちに教えることができます。
×「泣かないで」
子どもの気持ちを認めず、泣くことは受け入れられないと言っているようなものですね。
子どもは一時の感情の押し殺せるようにはなるかもしれませんが、最終的にはより大きな感情の爆発につながりかねません。
○「泣いてもいいんだよ」
少し距離を置いて、泣いてもいいんだよと肯定してあげることが大切です。
「◯◯で悲しくて、泣いちゃったのかな?」など、子どもが抱えているであろう感情を言葉にしてあげると、自分の気持ちを認識してそれを言葉にしたり、感情を表現したりできるようになり感情の調節方法を学ぶ助けになります。
×「○○するって約束してあげる」
約束が破られると子どもはひどく傷つきます。あまり軽々しく使うべきではない表現でしょう。
もし使う際には、絶対にその約束は守れる、という確信がなければいけません。
○「絶対とは言えないけど、そうできるように頑張るね」
保育者は子どもに対して正直でいましょう。万が一、約束が守れなくなってしまった時は、潔く認め誠意をもって子どもに謝りましょう。
×「何でこんなことをしたの?」
こうしたなんで?という問いに答えることは、大人にとっても難しい問題だと思いませんか?
まだ自分の気持ちをうまく言葉にすることが難しい子どもにとっては、なおさら難しいことです。
大人に「分かってもらえない」と思った時、子どもは黙り込んでいじけてしまうでしょう。
○「お友達が○○だから怒っちゃったの?」
何を感じ何を必要としていたのかを理解しようと努めることで、子どもがなぜそんな行動をとったかを表現できるように、話のきっかけを作ってあげましょう。
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大人の「良かれと思って」が危険
見てきたように、大人が良かれと思って口にしていても、子どもにとって間違ったメッセージを送っていることがしばしばあります。
言ってはいけない言葉を避けるだけでなく、不安や戸惑いを言葉によってできるだけ取り去ってあげ、子どもたちの可能性を引き出してあげたいですね。
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