未満児とは、3歳未満である0歳、1歳、2歳の子どもを総称して呼ぶ言葉です。未満児のいる保護者が子どもを保育園に通わせようとすると、周囲の人たちからかわいそうと言われてしまうことがあるようです。今回は、「未満児」という言葉の概要と、未満児を保育園に通わせるとかわいそうと言われてしまう理由を解説します。
koumaru / stock.adobe.com
未満児とは
未満児とは、3歳未満である0歳、1歳、2歳の子どもを総称して呼ぶ言葉です。いわゆる保育園やこども園などの乳児クラスのことを指します。
保育用語のひとつとして保育の現場ではよく使用される言葉ですが、一般的にはあまり知られていません。
なぜ3歳という年齢が区切りになっているのかと言うと、特に1歳から3歳までの期間においては発達の個人差が大きいこともあり、子ども一人ひとりに対して個別的な関わりが求められる時期だからです。
一方、3歳以上になると集団での遊びを通じて子どもの主体的な活動の充実を図っていくことが求められます。
保育所保育指針でもこのように明記されているため、3歳を区切りにして保育を行なっている施設が多いのです。
未満児保育の特徴
未満児に該当する子どもたちは、自分でできることがまだ多くありません。そのため、未満児を担当する保育士さんは、食事や排せつ、睡眠などの基本的な生活習慣をサポートする保育を行ないます。
なお、未満児クラスの場合、複数担任でクラスを受け持ちます。保育士の配置基準は年齢別に以下のように定められています。
- 0歳児:子ども3人に対して保育士1人
- 1歳児:子ども6人に対して保育士1人
- 2歳児:子ども6人に対して保育士1人
未満児は、子ども一人ひとりの発達の個人差が大きいことも特徴です。保育をするうえでは、それぞれの子どものペースに合わせたきめ細かな配慮が求められます。
未満児保育がある保育施設
未満児保育がある保育施設は以下のとおりです。
- 認可保育園
- 認可外保育園
- 認定こども園
- プレ幼稚園
- 託児所
- 乳児院
これらの施設では未満児クラスが設けられています。なお、プレ幼稚園は幼稚園に入る年齢前の子どもを対象としたお試し幼稚園のことであり、2~3歳から入れるところが多いようです。
あくまでお試しなので、登園頻度は毎日だったり月に数回だったりと、実施している施設によって異なります。
お問合せ&資料ダウンロード
採用課題・経営課題に関する個別ご相談受付やサービスガイドなどの資料DLはこちらからどうぞ。
まずはお気軽にお問合せください!
未満児が保育園に通うことをかわいそうと言われる理由
K+K / stock.adobe.com
未満児を保育園に通わせると、周囲から「かわいそう」と言われることも少なくありません。ここでは、どのような理由でかわいそうと言われてしまうのかを確認しておきましょう。
親子の愛着形成への影響
未満児が保育園に通うことで親子で過ごす時間が減ってしまうため、親子の愛着形成によくない影響が出てしまうのではと考える人が多いようです。
たとえば、保護者がフルタイムで働いている場合、未満児は一日の大半を保育園で過ごすことになります。
必然的に親子の直接的な関わりが少なくなってしまうことから、愛着形成が遅れることが懸念されるため、保育園に通わせることをかわいそうだと思ってしまうことがあるようです。
社会に根強く残る価値観
子育てをめぐる状況は時代とともに変わりつつありますが、令和になった今でも「子どもが3歳になるまでは母親のもとで育つべき」という価値観が根強く残っている場合があります。
かつての日本では、男性が外で働き、女性が家を守るべきという考えが形成されていました。そのため、母親が子育ての中心になるのは自然な流れだったのです。
幼少期の子どもは母親のケアを必要とするという考えが、世代を超えて受け継がれてきたため、未満児を保育園に預けることに対して否定的な意見が出ることも少なくありませんでした。
このような否定的な意見が、未満児を持つ親にとってかわいそうと感じさせてしまう要因となっているようです。
読んでおきたいおすすめ記事
【採用担当者向けコラム】保育士の新卒採用やることリスト。テンプレに使えるチェックシートを紹介
新卒採用は計画的に進めることが重要。保育士を目指す学生の動きは年々早期化しているとも言われるため、事前に「やることリスト」をまとめておくとスムーズです。そのうえで、早め早めに動くことが採用成功の近道で...
【採用担当必見】保育施設のお悩み対策診断。今、あなたの園に必要な対策は?
保育施設の運営にまつわる課題は、採用・定着・園児集客など、園によって本当にさまざまです。一体、自園にとって必要な対策は何なのか?「保育施設のお悩み対策診断」を使って調べてみましょう。 &n...
【採用担当者向けコラム】保育士の意向調査実施マニュアル。来年度に向けた準備のポイント
保育士さんに向けて来年度の就業意思を確認する意向調査では、どんなことに配慮して進めるとよいでしょうか。今後の園の運営や保育士さんの育成に関わることなので、慎重に行なうことが大切です。今回は、意向調査の...
【採用担当者向けコラム】意向調査で「退職希望」を示している保育士の引き止めはできる?
意向調査で退職の希望を示している保育士さんの引き止め方を知りたいと感じる採用担当者の方もいるでしょう。保育士不足が続く中、頼りにしていた保育士さんが抜けてしまうと運営が苦しくなりますよね。今回は、意向...
【2024最新】保育士不足が続く原因は?解消に向けた国・自治体・園の対策も解説
なぜ保育士不足が続くのでしょうか。子育て支援の重要性が増す中で、資格を持ちながらも保育士として就業する人が少ない状況を受け、国や自治体ではさまざまな対策を行なっています。今回は、深刻な社会問題でありな...
【2024年最新】学童保育の補助金はいくら?開業や運営に関わる助成金について
全国的に共働き家庭が増えたことで、小学生の居場所となる学童保育の拡充が求められています。実際に学童保育の開業や運営を目指す場合、国や自治体からいくらの補助金を受け取れるのでしょうか。今回は、学童保育の...
【採用担当者向けコラム】保育士の人材紹介手数料は高い?相場や会社による違いを解説!
保育士採用でも利用される「人材紹介」。手数料が何十万にも上ったという話を聞き、利用を迷っている採用担当者の方もいるかもしれません。今回は、保育士の人材紹介について、手数料の相場と費用が高いと言われる理...
【採用担当者向けコラム】真面目な人ほど急に辞めるのはなぜ?保育士が突然退職する理由と対策
真面目な人から急に辞めると告げられて、「何がよくなかったのか…」と頭を抱える採用担当者の方もいるのではないでしょうか。おとなしい人や優秀で勤勉な保育士さんほど、職場にストレスを抱えているかもしれません...
【採用担当者向けコラム】人材紹介会社が保育士さんを紹介してくれないのはなぜ?原因と対策
人材紹介会社を利用したにもかかわらず「保育士さんを紹介してくれない」と悩みを抱える方はいませんか?採用活動がスムーズに進まないと人材不足が解消されず、運営に支障をきたすケースも。今回は人材紹介会社から...
転職フェア出展は意味がない?採用できない?保育士を集客するためのポイント
多くの保育士さんと出会い、自園の魅力を直接伝えられる「転職フェア」。人材確保のチャンスになる機会ですが、出展しても意味がないのでは、採用できないのではと不安を抱く方もいるでしょう。今回は、転職フェアで...
放課後等デイサービスの職員採用の方法は?求める人材に出会うコツ
保育・福祉業界では人材不足が深刻化しており、放課後等デイサービスについても採用に苦戦する施設があるでしょう。特に児童発達支援管理責任者(児発管)の不足は、全国的に大きな課題となっています。今回は、放課...
時短勤務とは?保育園が導入するメリット・デメリットや注意点
2009年度の育児・介護休業法によって制度化された「時短勤務」。正式には短時間勤務制度と呼ばれ、3歳に満たない子を療育する労働者を対象に多くの方が利用しています。今回は時短勤務の概要や対象者、導入状況...
学童保育の経営に必要な基礎知識!開業の流れや必要コスト、成功のポイント
学童保育の開業を考えている方は、開業の流れやランニングコストの目安を把握しておくことが大切です。学童保育を経営するうえで必要な基礎知識をチェックしていきましょう。今回は、学童保育の経営に関する内容や成...
【採用担当者向けコラム】保育士採用で合同説明会に出展するメリット。成功の秘訣
保育事業者にとって合同説明会への出展には、どのようなメリットがあるのでしょうか。採用の成功率をアップするために、出展を検討する採用担当者の方もいるかもしれません。今回は保育士さん向けの合同説明会の活用...
学童保育の採用に人材紹介サービスを利用するメリットと注意点。活用するポイント
学童保育の採用に人材紹介サービスを利用するべきかと悩む事業者の方はいませんか。「手数料が高いのでは?」「希望する人材の紹介が受けられるのか」と不安を抱くこともあるでしょう。今回は、学童保育の採用に人材...
【採用担当者向けコラム】退職代行を使われた時はどうする?保育園に連絡が来た時の対処法
職員から退職代行サービスを利用して退職の申し入れがあった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。連絡が来た時点で直接該当の職員とやり取りすることが難しいため、戸惑ってしまいますよね。今回は退職代行...
ジョハリの窓とは?4つの窓の内容や注意点、具体例をわかりやすく解説
「ジョハリの窓」という自己分析ツールはご存じですか。「開放」「秘密」「盲点」「未知」の4つの窓を用いて、自分や他者からの印象を認識していく手法です。今回は、ジョハリの窓の概要や企業内での導入時の注意点...
今、重要視される「学び直し」は保育士に必要?園側が取り組む具体例
社会人の学び直しが注目されている昨今、雇用側の環境整備が求められます。今回は、保育士の学び直しが必要なのか、園側の取り組みや具体例についてわかりやすく解説します。保育士がやりがいをもって働ける職場を作...
人的資本経営とは?保育園経営に活用するメリットや保育士育成のポイント
人的資本経営とは、企業の人材を「資本」と捉え、人材の価値を高めることで企業価値の向上を目指す経営手法です。近年注目されている経営手法のひとつで、さまざまな企業で導入されています。今回は、人的資本経営の...
学童保育を開業するために必要な資格・条件・補助金制度について徹底解説!
全国的に学童保育の拡充が求められている今、学童保育施設を開業するためには何が必要なのでしょうか。今回は学童保育の開業に必要な条件や手続き、補助金制度などを紹介します。学童保育の開業は主に自治体から業務...
- 同じカテゴリの記事一覧へ
未満児が保育園に通うことはかわいそうなのか
nancy10 / stock.adobe.com
親子の愛着形成への影響や社会に根強く残る価値観から、未満児を保育園に通わせるとかわいそうと周囲から言われてしまう保護者は意外と多いようです。
言っている本人は悪気がないのかもしれませんが、そのような心ない言葉に傷ついている方がいることも事実です。中には、子どもを預けながら働くことに葛藤している保護者もいるといいます。
しかし、厚生労働省が発行した厚生白書にも記載されているとおり、子どもと接する時間の長さだけが愛情の質を決めるわけではありません。
大切なのは子どもに注がれる愛情の質だといいます。愛情を持って子育てをする存在が必要なのであって、それは両親以外でも問題ないようです。
保育士さんや友だちなど、多くの人と関わりを持つことが子どもの成長につながるため、未満児のうちから保育園に通うことはマイナスになるわけではありません。
一緒に過ごす時間が減ってしまっても、その分一緒にいられる時間をより濃いものにしていけばよいということです。
未満児を保育園に預けることに悩んでいる保護者に対し、保育士ができること
siro46 / stock.adobe.com
未満児を保育園に預けることを「かわいそう」と言われて悩んでいる保護者に対して、保育士がサポートできる部分はいくつもあります。具体的な方法を紹介します。
保育園での様子をこまめに伝える
保育園での経験が未満児の子どもの成長にどのように役立っているかを具体的に伝えると、保護者が「預けることで成長につながっている」とポジティブに考えられるでしょう。
たとえば、お迎えのときや連絡帳などで「保育園でこんなに楽しく遊んでいます」と日々の活動や成長の様子を共有することで、保護者の不安を軽減できるかもしれません。
同じ境遇の保護者が交流する機会を設ける
同じように未満児を通わせている保護者はたくさんいると思うので、保護者同士の交流を促す機会を設けてみるのもよいかもしれません。
親子イベントや懇談会などを通じて同じ境遇の保護者と話すことで、悩みを共有したり前向きな経験を聞いたりできるというメリットがあります。
出典:厚生白書/厚生労働省
出典:保育所保育指針解説/厚生労働省
未満児が保育園に通うことはかわいそうではない!
未満児とは、0歳、1歳、2歳の子どもを総称する言葉です。この年齢の子どもを保育園に預けると、周囲からかわいそうと言われることも少なくありません。
未満児を保育園に預けている保護者の中には、実際に「かわいそう」と言われてしまった人がいるかもしれません。
未満児クラスを担当する保育士さんは、そのような保護者の気持ちに寄り添うサポートができるとよいかもしれません。
保育士バンク!では、保育に関するさまざまな情報を掲載しています。子どもや保護者の関わり方などについての情報もまとめているので、気になる方はぜひ参考にしてくださいね。
お問合せ&資料ダウンロード
採用課題・経営課題に関する個別ご相談、お問合せはこちらからお願い致します。