保育ソーシャルワークとは、悩みを抱えている子どもの保護者に対し、社会福祉の観点から相談・支援を行なう取り組みのことです。実際に相談・支援を担う人のことを「保育ソーシャルワーカー」と呼びます。今回は保育の現場で需要が高まっている保育ソーシャルワーカーの役割や求められる理由、寄せられる相談内容、なるための方法などを詳しく解説します。
polkadot/stock.adobe.com
目次
保育ソーシャルワークとは
保育ソーシャルワークとは、悩みを抱えている子どもの保護者に対し、社会福祉の観点から相談・支援を行なう取り組みのことです。
一連の相談・支援を担うのが「保育ソーシャルワーカー」であり、保育士や保護者と連携しながら、保育に関する相談や課題を解決することを目的としています。
お問合せ&資料ダウンロード
採用課題・経営課題に関する個別ご相談受付やサービスガイドなどの資料DLはこちらからどうぞ。
まずはお気軽にお問合せください!
保育ソーシャルワーカーの役割
保育園のような保育施設では、子どもの保護者から育児に関するさまざまな悩みが寄せられることも少なくありませんでした。
しかし、時代が進むにつれて子どもを取り巻く環境は複雑化・深刻化しています。そのため、保育施設だけでは対応しきれない状況も増えてくるようになったのです。
そこで悩みが深刻化する前に相談・支援を実施し、現場で働く保育ソーシャルワーカーが関係各所との連携を行なうこととなりました。
これにより、一般的な保育施設だけではカバーしきれない家庭の問題などを解決に導くことができるようになったのです。
読んでおきたいおすすめ記事
【採用担当者向けコラム】保育士の新卒採用やることリスト。テンプレに使えるチェックシートを紹介
新卒採用は計画的に進めることが重要。保育士を目指す学生の動きは年々早期化しているとも言われるため、事前に「やることリスト」をまとめておくとスムーズです。そのうえで、早め早めに動くことが採用成功の近道で...
【採用担当必見】保育施設のお悩み対策診断。今、あなたの園に必要な対策は?
保育施設の運営にまつわる課題は、採用・定着・園児集客など、園によって本当にさまざまです。一体、自園にとって必要な対策は何なのか?「保育施設のお悩み対策診断」を使って調べてみましょう。 &n...
【採用担当者向けコラム】保育士の意向調査実施マニュアル。来年度に向けた準備のポイント
保育士さんに向けて来年度の就業意思を確認する意向調査では、どんなことに配慮して進めるとよいでしょうか。今後の園の運営や保育士さんの育成に関わることなので、慎重に行なうことが大切です。今回は、意向調査の...
【採用担当者向けコラム】意向調査で「退職希望」を示している保育士の引き止めはできる?
意向調査で退職の希望を示している保育士さんの引き止め方を知りたいと感じる採用担当者の方もいるでしょう。保育士不足が続く中、頼りにしていた保育士さんが抜けてしまうと運営が苦しくなりますよね。今回は、意向...
【2024最新】保育士不足が続く原因は?解消に向けた国・自治体・園の対策も解説
なぜ保育士不足が続くのでしょうか。子育て支援の重要性が増す中で、資格を持ちながらも保育士として就業する人が少ない状況を受け、国や自治体ではさまざまな対策を行なっています。今回は、深刻な社会問題でありな...
【2024年最新】学童保育の補助金はいくら?開業や運営に関わる助成金について
全国的に共働き家庭が増えたことで、小学生の居場所となる学童保育の拡充が求められています。実際に学童保育の開業や運営を目指す場合、国や自治体からいくらの補助金を受け取れるのでしょうか。今回は、学童保育の...
【採用担当者向けコラム】保育士の人材紹介手数料は高い?相場や会社による違いを解説!
保育士採用でも利用される「人材紹介」。手数料が何十万にも上ったという話を聞き、利用を迷っている採用担当者の方もいるかもしれません。今回は、保育士の人材紹介について、手数料の相場と費用が高いと言われる理...
【採用担当者向けコラム】真面目な人ほど急に辞めるのはなぜ?保育士が突然退職する理由と対策
真面目な人から急に辞めると告げられて、「何がよくなかったのか…」と頭を抱える採用担当者の方もいるのではないでしょうか。おとなしい人や優秀で勤勉な保育士さんほど、職場にストレスを抱えているかもしれません...
【採用担当者向けコラム】人材紹介会社が保育士さんを紹介してくれないのはなぜ?原因と対策
人材紹介会社を利用したにもかかわらず「保育士さんを紹介してくれない」と悩みを抱える方はいませんか?採用活動がスムーズに進まないと人材不足が解消されず、運営に支障をきたすケースも。今回は人材紹介会社から...
転職フェア出展は意味がない?採用できない?保育士を集客するためのポイント
多くの保育士さんと出会い、自園の魅力を直接伝えられる「転職フェア」。人材確保のチャンスになる機会ですが、出展しても意味がないのでは、採用できないのではと不安を抱く方もいるでしょう。今回は、転職フェアで...
放課後等デイサービスの職員採用の方法は?求める人材に出会うコツ
保育・福祉業界では人材不足が深刻化しており、放課後等デイサービスについても採用に苦戦する施設があるでしょう。特に児童発達支援管理責任者(児発管)の不足は、全国的に大きな課題となっています。今回は、放課...
時短勤務とは?保育園が導入するメリット・デメリットや注意点
2009年度の育児・介護休業法によって制度化された「時短勤務」。正式には短時間勤務制度と呼ばれ、3歳に満たない子を療育する労働者を対象に多くの方が利用しています。今回は時短勤務の概要や対象者、導入状況...
学童保育の経営に必要な基礎知識!開業の流れや必要コスト、成功のポイント
学童保育の開業を考えている方は、開業の流れやランニングコストの目安を把握しておくことが大切です。学童保育を経営するうえで必要な基礎知識をチェックしていきましょう。今回は、学童保育の経営に関する内容や成...
【採用担当者向けコラム】保育士採用で合同説明会に出展するメリット。成功の秘訣
保育事業者にとって合同説明会への出展には、どのようなメリットがあるのでしょうか。採用の成功率をアップするために、出展を検討する採用担当者の方もいるかもしれません。今回は保育士さん向けの合同説明会の活用...
学童保育の採用に人材紹介サービスを利用するメリットと注意点。活用するポイント
学童保育の採用に人材紹介サービスを利用するべきかと悩む事業者の方はいませんか。「手数料が高いのでは?」「希望する人材の紹介が受けられるのか」と不安を抱くこともあるでしょう。今回は、学童保育の採用に人材...
【採用担当者向けコラム】退職代行を使われた時はどうする?保育園に連絡が来た時の対処法
職員から退職代行サービスを利用して退職の申し入れがあった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。連絡が来た時点で直接該当の職員とやり取りすることが難しいため、戸惑ってしまいますよね。今回は退職代行...
ジョハリの窓とは?4つの窓の内容や注意点、具体例をわかりやすく解説
「ジョハリの窓」という自己分析ツールはご存じですか。「開放」「秘密」「盲点」「未知」の4つの窓を用いて、自分や他者からの印象を認識していく手法です。今回は、ジョハリの窓の概要や企業内での導入時の注意点...
今、重要視される「学び直し」は保育士に必要?園側が取り組む具体例
社会人の学び直しが注目されている昨今、雇用側の環境整備が求められます。今回は、保育士の学び直しが必要なのか、園側の取り組みや具体例についてわかりやすく解説します。保育士がやりがいをもって働ける職場を作...
人的資本経営とは?保育園経営に活用するメリットや保育士育成のポイント
人的資本経営とは、企業の人材を「資本」と捉え、人材の価値を高めることで企業価値の向上を目指す経営手法です。近年注目されている経営手法のひとつで、さまざまな企業で導入されています。今回は、人的資本経営の...
学童保育を開業するために必要な資格・条件・補助金制度について徹底解説!
全国的に学童保育の拡充が求められている今、学童保育施設を開業するためには何が必要なのでしょうか。今回は学童保育の開業に必要な条件や手続き、補助金制度などを紹介します。学童保育の開業は主に自治体から業務...
- 同じカテゴリの記事一覧へ
保育ソーシャルワーカーが求められる理由
adragan/stock.adobe.com
保育ソーシャルワーカーが求められる理由としては、まず現代の子どもを取り巻く家庭環境が複雑化していることにあります。
その背景には、両親の離婚や経済的な養育の難しさなど、さまざまな悩みがあるようです。
保育ソーシャルワーカーは、こうした保育士が直接関わることのできない部分に対して、子どもや保護者に助言を行なっています。
また、児童福祉法が改正されたことで、保育園には地域子育て支援拠点事業を行なう役割が与えられるようになりました。
保育ソーシャルワーカーは保育園と地域を連結し、地域の子育て支援環境を整える役割を果たしています。
つまり、保育士ソーシャルワーカーはさまざまな問題の解決につながる存在であることはもちろんのこと、問題を抱えて悩んでいる保護者の助けとなるでしょう。
保育ソーシャルワーカーに寄せられる相談内容の一部を紹介
保育ソーシャルワーカーのもとには、保育士や保護者からさまざまな相談が寄せられます。たとえば、以下のような内容が多いようです。
- 子どもの言葉の学習速度や集団行動などの発達に関する相談
- 育児の進め方や通っている保育施設に関する相談
- 家庭の事情もしくは保護者自身の相談
このように、保育ソーシャルワーカーに寄せられる相談は比較的デリケートなものが多いです。そのため、保育ソーシャルワーカーとして働くには、福祉に関する専門知識やコミュニケーション能力など高いスキルが必要となるでしょう。
保育ソーシャルワーカーになるための方法は?
保育ソーシャルワークの取り組みを行なううえでは、保育ソーシャルワーカーという存在が欠かせません。
この仕事に就くには、日本保育ソーシャルワーク学会(JARCCSW)が実施する養成研修を受講する必要があります。
養成研修は初級・中級・上級の3段階です。初級および中級は養成研修を受講することで資格が認定される仕組みですが、上級は実務経験や学会での活動経験が必要となります。
2024年4月から「こども家庭ソーシャルワーカー」という資格が導入される
aijiro/stock.adobe.com
2024年4月から新たに導入されるのが「こども家庭ソーシャルワーカー」という資格です。こども家庭福祉の現場において、専門的な知識を兼ね備えた民間資格となっています。
子ども家庭福祉分野では、子どもの虐待予防や親子分離を伴う保護といった介入的なソーシャルワークなどが必要とされており、専門的なスキルや知識が求められています。
児童相談所や児童養護施設などの施設では「児童福祉士」が対応しますが、全体の5割が勤続年数3年未満という状況のもと、人材の定着化・確保が大きな課題となっていました。
こども家庭ソーシャルワーカーの認定資格の設立によって人材を育て、人員の増員、長期的キャリア形成の後押しなどにつながることが期待されています。
以下の記事では、こども家庭ソーシャルワーカーの資格について詳しく解説していますので、興味がある方はチェックしてみてくださいね。
出典:「初級保育ソーシャルワーカー」及び「中級保育ソーシャルワーカー」 認定、登録に係る申請手続について/日本保育ソーシャルワーク学会
出典:こども家庭ソーシャルワーカー認定資格が創設されました/公益社団法人 日本社会福祉会
保育士資格を活かして保育ソーシャルワーカーを目指してみよう
保育ソーシャルワークとは、悩みを抱えている子どもの保護者に対し、社会福祉の観点から相談・支援を行なう取り組みです。
相談支援を担当する保育ソーシャルワーカーとして働けば、保育士として働いていたときに対応できなかった問題にも対処できるようになるため、やりがいのある仕事といえるでしょう。
保育ソーシャルワーカーは養成研修を受講することで、資格が取得できます。初級・中級・上級の3つの等級がありますが、初級であれば誰でも受講可能などで取得しやすいでしょう。
保育士として働いた経験を活かせる仕事のひとつでもあるので、興味がある方はぜひ保育ソーシャルワーカーを目指してみてはいかがでしょうか。
お問合せ&資料ダウンロード
採用課題・経営課題に関する個別ご相談、お問合せはこちらからお願い致します。