潜在待機児童とは、希望する保育施設に入所したいのに入ることができない子どものことをいいます。隠れ待機児童や保留児童などとも呼ばれることがあるようですが、一般的な待機児童とは何が違うのでしょうか。今回は潜在待機児童の定義を詳しく解説します。潜在待機児童の定義を知って、発生する背景なども一緒に確認しておきましょう。
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目次
潜在的待機児童とは
まずは潜在的待機児童の定義を確認しておきましょう。
潜在的待機児童の定義
潜在的待機児童とは、入所できる施設があるけれども、特定の施設のみ希望しているなどの理由から保育所などに入所できていない子どものことです。別名として、隠れ待機児童や保留児童などと呼ばれることがあります。
たとえば、潜在的待機児童には以下のような子どもが含まれるといいます。
- 子どもを預けられず、保護者が求職活動を休止している子ども
- 育児休業中の保護者の子ども
- 入所できるところがあるが、特定の保育施設のみの入所を希望している子ども
- 認可保育所を希望したが入所できず、やむを得ず認可外保育所に入所した子ども
- ベビーシッターや企業内保育など保育所以外の保育サービスを利用している子ども
このような状況に当てはまる子どもたちは、毎年厚生労働省やこども家庭庁などから発表される待機児童には含まれないため、潜在的待機児童となってしまっているのです。
潜在的待機児童と待機児童の違い
一般的によく耳にする「待機児童」との違いについても確認しておきましょう。
どちらも「何らかの理由で保育施設への入所を待っている子ども」を表す点は同様です。
「潜在的待機児童」は、入所できる施設があるにも関わらず、特定の施設のみ希望しているなどの理由から入所できない子どもや、入所ができないので別の保育サービスを利用している子どもです。
一方、「待機児童」は保育所への入所資格があるけれども施設側の理由により入所できないため、入所を待っている状況の子どもを指します。
つまり、待機児童は「保育施設に入所できていない子ども」のうち、特定の施設のみ希望していたり、別の保育サービスを利用していたりする子どもを除いた児童であることがわかります。
潜在的待機児童数の公表
国は日本全国の待機児童数に関しては毎年公表しているものの、潜在的待機児童数については明らかにしていません。一方、自治体によっては待機児童数と潜在的待機児童数を公表するところがあるようです。
たとえば、北海道が公表した令和5年4月1日時点の「北海道における保育所等利用状況について」によると、道内の待機児童は13市町村で62人だそうです。175市町村あるうち13市町村しか待機児童がいないというのは、一見少ないように思えるでしょう。
しかしこれを潜在的待機児童にしてみると、道内の潜在的待機児童はなんと35市町村で1414人にもおよぶそうです。北海道の政令指定都市である札幌市は待機児童数こそ0人であるものの、潜在的待機児童数に該当する子どもは767人もいるといいます。
北海道の数値だけでこれだけ多いとなると、ほかの自治体でもかなりの潜在的待機児童数がいることが予想されるでしょう。
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待機児童や潜在的待機児童が発生する背景
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ここでは、待機児童や潜在的待機児童が発生する背景にどのようなものがあるのかを確認しておきましょう。
保育士が不足している
待機児童や潜在的待機児童が発生する理由のひとつに、慢性的な保育士不足があります。保育所によっては配置基準を満たす保育士を確保することができず、定員いっぱいの子どもを受けられないケースがあるようです。
待機児童の解消を目的として保育所を新設するといった対策も行なわれています。しかし、開設に必要な保育士を揃えるのが難しいという状況もあるようです。
共働き世帯の増加
共働き世帯が増加したことも、待機児童や潜在的待機児童が増加した理由のひとつといえるでしょう。十数年前までは妊娠・出産を機に仕事を辞める女性が多かったですが、現在は保育施設に子どもを預けて妊娠・出産を経ても働く人が増えています。
その結果、保育施設の受け入れ定員を希望者が上回ってしまい、潜在的待機児童が発生してしまっていると考えられます。
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待機児童や潜在的待機児童を解消するには保育士人材の確保が急務
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前述したとおり、待機児童や潜在的待機児童が発生する要因には、保育士不足の実情があるようです。しかし、待機児童や潜在的待機児童の問題を解消するために保育施設を増やすとなれば保育士の人材確保が必要不可欠となります。
このような状況に対して、厚生労働省や自治体は2021年から「新子育て安心プラン」を掲げて保育の受け皿を整備することに力を入れてきました。
主に地域の特性に応じた支援をしたり、実際に保育現場で働く保育士さんが魅力を感じる職場づくりを推進したりするなどの施策を行ない、保育士人材の確保につとめているようです。
だからこそ、保育士さんにとって働きやすい環境を最初に整備することが、待機児童問題の解消につながる近道といえるのかもしれません。
潜在的待機児童を減らすには保育士の人材確保と保育の受け皿を整備することが大切
入所を希望しているのにも関わらず、待機児童として計上されない潜在的待機児童。国や自治体によって正確な数値が明らかにされていないだけで、潜在的待機児童は多くいるということに注視しなければなりません。
潜在的待機児童を減らすためには、保育士の人材を確保しつつ、保育の受け皿を整備する必要があります。そのためにも、保育施設の質を高め、保育士さんが働きやすい環境を整えることが重要となるでしょう。
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