保育園におけるアセスメントシートは、園に通う子どもたちの発達や成長を客観的に記録するもので、個々に応じた保育計画を作成するために欠かせないツールです。しかし、書き方や活用法に悩む保育士さんは多いのではないでしょうか? 本記事では、保育士さんに向けてアセスメントシートの書き方や活用法をわかりやすく解説します。
kapinon / stock.adobe.com
保育園のアセスメントシートとは?
「アセスメントシート」という言葉を知っていますか?知っていてもどのように使うのかよくわからないという保育士さんもいるでしょう。
保育園における「アセスメントシート」は、子どもの発達状況や成長などを評価するために使用される書類やツールのことです。
アセスメントシートを使うことで 子どもの成長過程を客観的に把握できるので、医療機関や専門機関と連携して子どもの情報を共有する際にも大切な役割を担っています。
たとえば、保育園に通う子どもの虐待の早期発見などにつながることで、必要な支援や対応を計画することができるのです。
アセスメントシートは保育士さんが日々の子どもの様子などを記して作成するものなので、正しい書き方や活用法をあらかじめ知っておく必要があるでしょう。
保育園でのアセスメントシートの書き方のポイント
polkadot / stock.adobe.com
保育士さんに向けて、アセスメントシートを効果的に作成するためのポイントをまとめました。
子どもの基本情報を記載する
子どもの名前、年齢、生年月日、身長や体重、子どもの健康状態や特に気になる点などを記録します。
また、家族構成や家庭での生活環境についても簡潔に記入します。
保護者から提供された情報や相談内容などがあれば、記載するとよいでしょう。
観察内容の詳細を記録する
保育園における子どもの行動や発言、表情などを記録します。
子どもの感情の表し方や友だちとの関わり方を観察しながら、評価してみましょう。
・ブロックで高いビルを作り、保育士に『見て見て!』とうれしそうにはしゃいでいた
・歌った声の大きさに友だちが驚いたので、誇らしげな表情を見せていた
子どもの発達について評価する
身体的発達
子どもの運動能力(歩行、走行、手先の器用さなど)や身体の発達について具体的に記録します。
・自分でバランスをとりながら歩けるようになった
・鉛筆を正しく持って絵を描けるようになった
認知的発達
子どもの数の概念、色や形の認識、言語発達(語彙の増加、会話能力など)などについて評価しながら作成します。
・簡単なパズルを単独で完成させることができた
・数字を10まで数えられるようになった
社会的発達
子どもの友だちや保育士との関わり方について記録します。
・友だちの玩具を欲しがったが、保育士が終わるまで待つようにうながすことでほかの遊びをしながら我慢できるようになった
・自己主張をしつつも、友だちの意見を受け入れられるようになった
定期的に記入する
日常の活動や遊びの中で、子どもの様子を観察しながら 定期的に記録することが大切です。
前回記録した内容と照らし合わせ、子どもの変化した点や成長した部分に目を向けながらアセスメントシートを作成するとよいでしょう。
振り返りとフィードバックを行なう
アセスメントシートの内容を職場で共有し、意見を交換する場を設けられるとよいでしょう。
記録したアセスメントシートをもとに、実施した支援の効果や今後の改善点などを同僚などに説明します。
子どもの成長を認めながら、次への期待を込めた言葉を使用することを意識してみましょう。
簡単1分登録!転職相談
転職に関するご質問や情報収集だけでもかまいません。
まずはお気軽にご相談ください!
読んでおきたいおすすめ記事
保育士をサポート・支える仕事特集!異業種への転職も含めた多様な選択肢
保育士の経験を経て、これからは保育士のサポート役として働きたいという方はいませんか?責任の重い仕事だからこそ、人の優しさや支えが必要不可欠な仕事かもしれませんね。今回は、保育士さんをサポートする・支え...
保育士資格を活かせる在宅ワークのお仕事特集!保育関係の自宅でできる仕事を徹底解説
保育士資格を活かせる在宅ワークにはどのような仕事があるのでしょうか。保育園の事務職や保育ママ、保育園業務のサポートなど自宅でできる仕事は意外に多いもの。今回は、保育士資格を活かして働ける在宅ワークの仕...
病院内保育とは。役割や仕事内容、病院内保育士として働くメリット
病院内保育とは、病院や医療施設の中、または隣接する場所に設置されている保育園のことです。保育園の形態のひとつであり、省略して院内保育と呼ばれることもあります。転職を考えている保育士さんの中には、病院内...
子ども・赤ちゃんと関わる仕事31選!資格の有無や保育士以外の仕事を関わる子どもの年齢別に紹介
子どもと関わる仕事というと主に保育園や幼稚園を思い浮かべますが、それ以外にも意外とたくさんあります!今回は赤ちゃんや子どもと関わる仕事31選を紹介!無資格で活躍できる職場もまとめました。子どもと携わる...
保育士を辞める!次の仕事は?キャリアを活かせるおすすめ転職先7選!転職事例も紹介
保育士を辞めたあとに次の仕事を探している方に向けて、資格や経験を活かせる仕事を紹介します。ベビーシッターなど子どもと関わる仕事はもちろん、一般企業での事務職や保育園運営会社での本社勤務といった道も選べ...
保育士から転職したい!転職先としておすすめの異業種22選。保育士以外の仕事やメリット・デメリットも
保育士以外から異業種への転職を考えている際、どのような転職先がおすすめなのでしょうか。今回は、次の仕事として保育士から転職しやすいおすすめの異業種22選を紹介します。保育士から異業種に転職するメリット...
保育園運営会社の仕事内容とは?本社勤務でも保育士資格は必要?働くメリットや求人事情まで
保育園運営会社にはどんな仕事があるのでしょうか?保育園運営会社で働くことは「本社勤務」とも呼ばれ、保育園の運営に携わる仕事として、主に一般企業に就職したい保育士さんにとって人気の高い職種のようです。今...
【2024年最新】保育士に人気の転職先ランキング!異業種や選ばれる職場を一挙公開
保育士の資格を活かして働ける人気の転職先をランキング形式で紹介!企業主導型保育園や病院内保育所、ベビーシッターなど保育士経験やスキルを活かせる職場はたくさんあります!今回は保育施設や異業種別に詳しく紹...
【完全版】保育士資格を活かせる仕事・働ける企業25選!
保育園で保育士として働くのが辛いと感じて、転職を考えているという方がいるかもしれません。しかし、せっかく取得した保育士資格を活かして働きたいですよね!保育士として得たスキルや経験は一般企業や福祉施設、...
【2024年最新版】幼稚園教諭免許は更新が必要?廃止の手続きや期限、対象者をわかりやすく解説
幼稚園教諭免許は更新が必要なのか、費用や手続き方法などを知りたい方もいるでしょう。今回は、2022年7月1日より廃止された教員免許更新制について詳しく、そしてわかりやすく紹介します。幼稚園教諭免許を更...
保育士は年度途中に退職してもいいの?理由の伝え方や挨拶例、再就職への影響
「年度途中で退職したい...けれど勇気が出ない」と悩む保育士さんはいませんか。クラス担任だったり、人手不足だったりすると、退職していいのか躊躇してしまうこともありますよね。そもそも年度途中で辞めるのは...
幼稚園教諭からの転職先特集!資格を活かせる魅力的な仕事18選
仕事量の多さや継続して働くことへの不安などを抱え、幼稚園教諭としての働き方を見直す方はいませんか。幼稚園教諭の転職を検討中の方に向けて、経験やスキルを活かせる18の職場を紹介します。保育系の仕事から一...
【2024年度】放課後児童支援員の給料はいくら?年代別の年収やこの先給与は上がるのかを解説
放課後児童クラブや児童館などで働く「放課後児童支援員」の平均給料はいくらなのでしょうか。別名「学童支援員」とも呼ばれ、「給与が低い」というイメージがあるようですが、国からの処遇改善制度などにより、これ...
保育士が働ける保育士以外の仕事21選。資格や経験を活かせるおすすめの就職先
保育園以外の職場に転職・就職先を探す保育士さんもいるでしょう。今回は企業内保育所や託児施設、児童福祉施設など、保育士さんが働ける保育園以外の職場を21施設紹介!自身の働き方や保育観を見つめ直し、勤務先...
- 同じカテゴリの記事一覧へ
保育園のアセスメントシートの活用法
maroke / stock.adobe.com
ここでは、保育園のアセスメントシートの効果的な活用法について説明します。
個別保育計画の立案に役立てる
アセスメントシートの情報を基にすれば、 子ども一人ひとりに適した保育を立案しやすいでしょう。
たとえば、特別な配慮が必要な子どもに対して、適切な支援を提供することにもつながるなど、子ども個々の興味や発達段階に合わせた活動を計画する際に役立てることができます。
保育の質が高まる
アセスメントシートは、保育士自身が保育の方法や取り組みを振り返り、改善点を見つけるための 自己評価のツールとして活用することもできます。
また、先述したように、職場でアセスメントシートを共有しながら保育方針や子どもへの支援方法について意見交換する場を設けることで、質の高い保育へ向けてチーム意識が高まるかもしれません。
保護者との連携に役立てる
アセスメントシートに記載した内容をもとに、子どもの成長や今後の目標について話し合い、保護者に家庭での支援方法をアドバイスするなど、子どもの成長に向けた取り組みを保護者と共有することができるでしょう。
また、保護者から受けた相談内容などをアセスメントシートに記録することで、保育士さん自身も子どもとの関わり方において気づきを得ることがあるかもしれません。
保育園のアセスメントシートの種類と選び方
保育園で活用するアセスメントシートには、いろいろな種類があります。
それぞれの目的や子どもの発達段階に応じて、適切なシートを選ぶことが重要でしょう。
アセスメントシートの種類
発達チェックリスト
<目的>
子どもの発達段階を総合的に評価するためのシートです。
<内容>
身体的発達、認知的発達、社会的発達、感情的発達など、さまざまな発達領域に関するチェックリストになっています。
行動観察シート
<目的>
子どもの特定の行動や活動を詳細に観察して記録するためのシートです。
<内容>
特定の状況や活動における子どもの行動、反応、関わり方などを観察して記録します。
個別支援計画シート
<目的>
子どもの個別のニーズに応じた支援計画を作成するためのシートです。
<内容>
子どもの現在の状況、目標、支援方法、進捗状況などを詳細に記録します。
日誌形式のアセスメントシート
<目的>
日々の子どもの様子や変化を継続的に記録するためのシートです。
<内容>
毎日の活動や子どもの様子、重要な出来事、保護者とのコミュニケーション内容などを記録します。
アセスメントシートの選び方
目的に応じて選ぶ
アセスメントシートには、さまざまな目的に応じたシートがあります。目的を整理したうえで、適したシートを選ぶとよいでしょう。
たとえば、総合的な評価が必要な場合には「発達チェックリスト」、特定の行動や活動を詳細に観察したい場合には「行動観察シート」などが適しています。
子どもの発達段階に応じて選ぶ
アセスメントシートは、発達段階によってもフォーマットが異なります。
たとえば、3歳児用、5歳児用など年齢別のシートを選択するなど、子どもの年齢に適したシートや、子どもの発達に応じた評価項目が含まれているシートを選ぶようにしましょう。
フォーマットの形式で選ぶ
他の保育士さんと情報交換する場を踏まえ、共有しやすい形式かどうかにも注目するとよいでしょう。
また、使いやすそうなフォーマットのシートを選ぶことで、作成の負担が軽減することも期待できそうです。
保護者や専門機関との連携を考慮して選ぶ
前述した通り、アセスメントシートには保護者や専門機関との連携の際に活用するといった目的もあります。
保護者とのコミュニケーションツールとして使いやすそうなシートや、必要に応じて専門機関と連携するための情報が含まれるシートを選ぶのもよいでしょう。
アセスメントシートを通して保育の質向上を目指そう
保育園におけるアセスメントシートの書き方のポイントを押さえることで、 子どもの成長をしっかりと支援することにつながりそうです。
アセスメントシートを効果的に活用し、より質の高い保育を目指しましょう。
保育士バンク!では、保育士資格をいかせる求人を多数掲載中!
また、保育士さんに向けてぴったりな職場を紹介する転職サポートも行っています。
・事務作業が多くて大変
・残業が少ない保育園で働きたい
・保育士資格を活かして保育園以外の職場で働きたい
など、転職についてのお悩みは、保育士バンク!へ気軽にご相談くださいね。