退職の意思を伝える際に多くの保育士さんが頭を悩ませるのが「退職理由をどう伝えるか」という問題ではないでしょうか。理由によっては、例文がほしいと感じる保育士さんもいるでしょう。今回は保育士さんの退職理由ランキングをもとに、退職理由ごとの例文を10パターン紹介します。
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【退職理由の例文】保育士の退職理由ランキング
まずは保育士の退職理由について、厚生労働省の調査結果から見ていきましょう。
以下のグラフは「保育士として就業した者が退職した理由(複数回答)」の調査結果です。
この結果によれば、最も多い理由は職場の人間関係、次いで給与、仕事量の多さや労働時間となっています。
これらの上位を占めている退職理由は、よりよい転職先を探すことで解決することが多いのではないでしょうか。
退職理由を伝える際には「辞めてどうするのか」と、今後の動向について尋ねられることが多いでしょう。退職後の行動として考えられるのは以下のパターンです。
- 保育士として同業種に転職する
- 保育士資格を活かせる他業種に転職する
- 保育業界以外の一般企業に転職する(保育関連業界であっても事務職など)
- 休職・離職する
これらの今後の動向については、退職理由とあわせて説明を求められるケースが多いため、伝え方を事前に考えておくとよいでしょう。
【保育士の退職理由】転職するケースの例文とポイント
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退職理由と退職後の動向によって伝える内容は異なるでしょう。ここでは転職理由と転職・離職などケースごとに例文を見ていきましょう。
【退職理由】職場の人間関係【退職後】他園に転職
「私は、子どもたちに最良の保育を提供するためには、保育士同士のチームワークと相互協力が不可欠だと考えています。今後は新たな環境で信頼できる人間関係を築き、保育士としてより成長したいと考えています。こちらでの経験は私にとって、保育士としての自己の成長について考える大きな機会でした。そのような機会をいただけたことに感謝しております。引き続き、別の場所でではありますが、子どもたちの成長を支える保育士として精進したいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします」 |
現職場の人間関係が悪く、必要な情報共有や協力ができないような環境である場合、それをそのまま伝えると、園の体制を非難するように受けとられることもあるでしょう。
そのため、「私にとってはチームワークが重要なので」と、あくまで自分と合わなかったという表現に置き換えます。さらに新環境での成長への意欲を示す表現を加えるとよいでしょう。
【退職理由】仕事量の多さ【退職後】保育系の異業種に転職
「保育士としての仕事には常に責任が伴いますが、その分、子どもたちの成長に貢献できることを喜びとして働いていました。しかしながら、仕事量と責任が重い状況に、自己成長と日々の勤務のバランスを取ることが難しいと考えるに至りました。今後は子どもたちとの時間をより有意義に過ごすために、より自分のペースで働ける職場への転職を考えております」 |
このような場合は、責任と仕事量のバランスの難しさを伝えながら、保育士として子どもとの時間を大切にしたいという思いを簡潔に述べるのが効果的かもしれません。
「自分が大変」ではなく「このままでは不十分な保育になってしまう」といった自戒の念を感じられる表現にしたほうが、角が立つことなく伝わりそうです。
【退職理由】給与が低い【退職後】一般企業に転職
「諸般の事情から、この度は一般企業への転職を決意いたしました。こちらでは保育士としてやりがいのある業務を任せていただいたことにとても感謝しておりますが、経済的な理由もあり、かねてから興味のあったコンサルティング職へ挑戦してまいります。これまでのご指導に感謝しつつ、今後は新しいやりがいを見つけていく所存でございます」 |
保育士の仕事から離れて他業種に転職する場合は、最初にそれを伝えることで「引き止める余地がない」印象を持たせることができます。
そのうえで理由を述べる場合も、園の体制や労働環境に問題があるのではなく、新たな環境で自分の経験を活かしたいという前向きなイメージを出すとよいでしょう。
【退職理由】キャリアアップが望めない【退職後】他園に転職
「保育士として多くの学びと成長の機会をいただき、子どもたちとの日々は学びの多い時間でした。今後は、これまでの経験を踏まえて自己のキャリアアップを目指したい思いが強くなり、新たな挑戦の場を探すことにいたしました。当園での経験を糧に、保育の専門性を高め、より一層子どもたちの成長に寄与できる保育士を目指してまいります」 |
現職場での学びに感謝しつつ、さらなる成長を目指す意欲を全面に出しましょう。保育士として専門性を向上させて、自分のキャリアに反映させたいという意志を強く示すとよいでしょう。
現職場がそのステップアップの機会や環境を整えていない場合であれば、引き止めても仕方ないと感じてもらえるかもしれません。
【退職理由】保育観や理念が合わない【退職後】他園に転職
「ここ数年、保育観や子どもへの接し方、保育に携わるうえで大切にしたいことなど、自分のなかで譲れないと感じることが増えてまいりました。そんななか、自分の目指す保育を実践している園への紹介をいただき、転職を決意いたしました。今後は自分らしく働ける場所でさらなる飛躍を遂げられるよう努めていきたいと考えております。 |
自身の保育理念と現職場との理念が相容れないことを婉曲表現で伝えましょう。新たな環境での自己実現への期待を述べ、転職の決意を伝えられると良いかもしれません。
ポイントは、職場の理念を否定するのではなく、あくまで自分と合わなかったという点を強調することです。最後に自分を育ててくれたこれまでの感謝をつけ加えましょう。
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【保育士の退職理由】休職・離職するケースの例文とポイント
転職する場合だけではなく、さまざまな理由から休職や離職を願い出なくてはいけないケースもあるでしょう。そのような場合の例文をケースごとに提案します。
【退職理由】体調不良
「この度は長期の体調不良から、現在の職務を全うできない状況が続いております。医師からも療養を勧められており、諸般の事情から一旦退職させていただきたく存じます。皆様にはご迷惑をおかけしますことをお詫び申し上げます。療養に専念し、回復次第、再就職を検討したく存じます」 |
体調不良での休職希望は「医師からも療養を勧められており」にあたる内容を入れるのが効果的でしょう。客観的な判断から勤務の継続が難しいということの裏付けになります。
また、回復後に現職場への復帰を視野に入れている場合は、その旨を伝えましょう。他園への転職を考えるなら「回復次第~」以降の内容はあえて入れなくてもよいかもしれません。
【退職理由】結婚にともなう転居
「このたびは結婚を機に遠方へ転居することとなりました。新天地での生活に専念するため、諸々の事情から退職を決意した次第でございます」 |
保育園は共働き家庭や働く女性の社会進出の支援という側面も持っていることから、職場によっては結婚のみをきっかけに退職する保育士さんは少ないかもしれません。
この場合は、結婚にともなう「転居」を主な理由とすることで、やむを得ない印象を強めましょう。
【退職理由】妊娠・出産
「私事で恐縮ですが、このたび妊娠が判明いたしました。産休・育休制度を利用して継続就労も検討いたしましたが、家庭内のさまざまな事情もあり、家庭への専念を優先し退職を決意いたしました」 |
産休・育休制度を利用する先輩保育士さんが多いような環境の園では、妊娠・出産を退職理由として受けとってもらえないケースもあるようです。
そのため「勤務継続の可能性を検討した結果、本人の意思ではなく家庭の事情で残念ながら退職を決意した」という内容が伝わると、より円滑な退職につながるかもしれません。
【退職理由】職業適性に対する不安
「このたびは職業適性に対する強い不安から、退職を決意するに至りました。保育士としての資質向上に課題を残してしまったことを深くお詫び申し上げます。職場環境の一部にも起因する面があると感じますので、今後は自分と向き合い、新たな道を見出せますよう精進してまいります」 |
上記のような表現は「自分が保育士に向いていないと感じた」と受けとられるように作成していますが、職場でのいじめ・パワハラがあった場合、それをオブラートに包んで退職を伝えたい場合にも有効です。
伝える園長・上司がいじめやパワハラの根本原因である場合もあるでしょう。
このような場合は「職業適性に対する強い不安」と、やんわり伝え、今後の動向についてもはっきり明言しないでおくのが、自分の心身を守るために無難かもしれませんね。
【保育士の退職理由】文末に加える締めの例文
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ケース別の例文を参考にして自分なりの退職理由を作成できたら、文面の最後に締めの言葉を加えましょう。
以下の例文のような文章を文末に加えることによって、これまでの感謝の気持ちを表しながら転職や療養への前向きな印象をアピールできます。
- 今までのご指導に感謝申し上げますとともに、今後ともご指導を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
- みなさまのさらなるご活躍と○○園の発展を心よりお祈り申し上げます。
- これまでご指導いただきましたこと、心より感謝申し上げます。
- 長年お世話になりましたこと、心より感謝申し上げます。
- ○○園での経験と保育士として学んだことは、どれも私にとって大切な思い出です。今後もさまざまな場面で活かしたいと考えております。
- いつかまた子どもたちの成長に携われる機会がありましたら、喜んで尽力させていただく所存です。
- ○○園と先生方からご指導いただいた学びを胸に、これからも子どもたちの笑顔と成長を支える保育士として活躍したいと考えております。
上記を参考に、退職理由や転職・休職など、今後の動向に合わせてアレンジしてみましょう。
ここまでで、退職理由の伝え方のイメージはできてきたけど、肝心の転職先はこれから探す予定という方がいるかもしれません。退職理由を伝える前に、まずは求人情報を検索して、自分が働きたい転職先をみつけてみませんか。
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出典:保育を取り巻く状況について/厚生労働省保育士さんも退職理由の例文を活用して円満退職を
保育士さんが退職を決意する理由はさまざまです。しかし円満に退職するために共通するポイントは、早めに退職の意思表明を行なう こと、そして退職理由にかかわらず前向きな表現へと言い換えを工夫することかもしれません。
また、例文のあとにこれまでの感謝の気持ちや前向きな気持ちを伝えることで、円満退職につながりやすくなることも念頭に置いておきましょう。
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