放課後等デイサービスは、障がいを抱える小学生以上の子どもの療育施設として近年注目を集めています。子どもの成長を支える役割を担う保育士にとっても、新たなキャリアパスとなる魅力的な選択肢と言えるでしょう。今回は、放課後等デイサービスで働く保育士の仕事内容や給与、キャリアアップの可能性などを詳しく解説します。
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目次
放課後等デイサービスとは
放課後等デイサービスとは、障がいのある児童・生徒に対して学校終了後や長期休暇中に生活訓練などの支援を行なう療育支援施設です。
この施設では、自閉症や肢体不自由、知的障がいなど、さまざまな障がいを抱える子どもたちが支援の対象となります。放課後や休日に施設に通い、日常生活で必要な基本的な動作訓練や、遊びを通した発達支援、生活リズムの形成などのサポートを受けることができます。
保護者が就労している場合でも、放課後等の時間帯を安心して過ごせる居場所としての役割も担っています。
施設には、保育士や児童指導員、看護職員など専門のスタッフが常駐し、一人ひとりの障がいの状況に応じた個別支援計画に基づいて、生活能力の向上を目指した取り組みを行ないます。
特に保育士のニーズは高く、国の配置基準で配置が義務づけられていることは保育士にとっての注目ポイントと言えるでしょう。
利用を希望する児童は、市区町村から障がい福祉サービスの対象者として「受給者証」の交付を受ける必要があります。原則として小学生から18歳までが対象ですが、施設によって対応可能な障がいの範囲が異なる場合もあります。
このように放課後等デイサービスは、障がい児の自立と成長を支え、保護者の就労支援にもつながる重要な役割を担っています。
学齢期の障がい児の生活を支える地域に根ざしたサービスと言えるでしょう。
【放課後等デイサービスで働く】保育士の配置基準
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児童福祉法に基づく基準により、放課後等デイサービス事業所における保育士の配置基準は、児童指導員と併せて以下のように定められています。
保育士もしくは児童指導員
児童10人までにつき最低2人以上配置
※児童が10人を超える場合は、基本の人数に加えて5人増えるごとに1人以上を配置
なお配置された保育士のうち、1人以上は常勤でなければなりません。ほかにも常勤職員として児童発達支援管理責任者の配置も義務づけられています。
放課後等デイサービスの配置基準には、支援の内容に応じて機能訓練担当職員・看護職員など保育士以外の配置も定められています。
このように、保育士を必ず配置する必要があることからニーズが非常に高いようです。また、さまざまな専門スタッフと連携しながら働くことができるでしょう。
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【放課後等デイサービスで働く】保育士の仕事
放課後等デイサービスでも、資格を持っていれば、保育園などと同様に保育士として勤務します。しかし施設の特性上、保育園で働く場合と異なる部分も以下のようにいくつかあるようです。
ここでは、放課後等デイサービスで保育士として働くにあたって保育園と異なる部分と、その具体的な仕事内容について見ていきましょう。
保育士として勤務する際の特徴
放課後等デイサービスで働く際には、主に以下のような勤務状況となるのが特徴的です。
- 対象年齢が小学生から18歳までと幅広い
- 子ども一人ひとりに個別の支援計画を立てる必要がある
- 学校に通っている時間帯は通所児童・生徒がいない
- 夏休みなど学校が休業中は変則的な開所時間になる
- 保育だけでなく療育についての知識が必要になる
健常児の保育を主とする保育園と違い、日中は学校に通っている児童・生徒が放課後に療育を受けに来る場所である放課後等デイサービスでの勤務には、特徴的な部分も多いと感じるかもしれません。
具体的な業務内容
放課後等デイサービスで働く保育士の具体的な業務には、以下のようなものが挙げられます。
【子どもと直接かかわる業務】
- 個別指導計画の実行
- 生活習慣の指導
- 食事・着替え・排せつなど基本的生活習慣の確立
- 遊びを通した療育支援
- 運動療法、作業療法などの機能訓練
- 送迎時の付き添い
【バックオフィス業務】
- 保護者への相談対応や面談
- 発達に合わせた個別支援計画の作成
- 医療機関など関係施設や専門家との連携
- 個別の障がい特性や成長記録の把握と記録
- 活動プログラムの企画立案
- 児童発達支援管理責任者や専門職員との打ち合わせ
【その他】
- 施設内の環境設定、備品の管理
- 障がい児の健康管理、服薬管理
- 救命救急訓練や防災訓練への参加
- 職員会議や施設行事への参加
このように、保育士としての業務は多岐に渡ります。しかし上記のすべてを毎日こなすわけではなく、基本的には子どもと関わる業務がメインの仕事となるでしょう。
【放課後等デイサービスで働く】保育士の給与
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放課後等デイサービスで働く保育士の給与は、経験や勤務地、雇用形態によって異なりますが、一般的には月額20万円~30万円程度が平均的と言われています。
厚生労働省の調査によると、2022年12月に支給された放課後等デイサービスの正規職員(児童指導員も含む)の手当を含む平均給与額は、26万2090円となっています。
この額は、前年の同月から22950円アップされていることからも、給与額は年間で上がっていることが分かります。
待遇としては、主に雇用保険・労災保険・健康保険・厚生年金加入などの基本的な社会保険を完備しているところが多いようです。
また求人募集を参考にすると、施設や雇用形態によって賞与や資格手当・住宅手当・インセンティブなどが支給される勤務先も少なくないようです。
放課後等デイサービスで
保育士として働きたい
【放課後等デイサービスで働く】保育士のキャリアパス
放課後等デイサービスで保育士として勤務経験を積むことで、児童発達支援管理責任者や施設長などの管理職を目指すことができます。
特に、児童発達支援管理責任者は、障がい児保育を行なう施設では欠かせないポジションの一つです。
保育士資格を有していて、認可保育園や幼稚園、乳児院や小規模保育事業などで通算3年以上の実務経験があれば必要な要件を満たしているため、研修を受けることで資格を取得できます。
管理職として手当や昇給ものぞめるでしょう。
また、療育専門の民間資格を取得したり各種研修を受講したりするなど積極的に学ぶことで、さらなるキャリアアップを目指すことも可能です。
出典:児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準/e-GOV法令検索
出典:令和4年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果の概要/厚生労働省
放課後等デイサービスで保育士として働く選択肢
放課後等デイサービスで働く保育士は、障がいを持つ子どもたちを直接サポートしながら成長を実感できるやりがいのある仕事と言えるでしょう。
保育園や託児所などでの勤務経験しかないという保育士さんも、資格があれば保育士としてしっかり働くことができます。
転職を考えているけど、どんな園や働き方が自分に合うかわからない、もっと保育士としてスキルアップしたいと考えている保育士さんは、放課後等デイサービスへの転職を視野に入れてみるのはいかがでしょうか。
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