「認定保育士」とは、一般社団法人 日本保育連盟が2025年4月の創設を目指している制度です。2024年4月9日に同連盟の理事たちが制度の創設に向けて取り組んでいることを明らかにしましたが、「認定保育士」はどのような制度なのでしょうか。今回は2024年4月時点で公表されている情報を参考に、「認定保育士」の制度や資格の概要を解説します。
浩士 知原/stock.adobe.com
「認定保育士」とは
「認定保育士」とは、一般社団法人 日本保育連盟が2025年4月に創設することを目指している制度のことです。
具体的には、近年保育施設で増加傾向にある発達障がいや不適切保育などの課題に理解を深めつつ、問題に対応するための保育士を認定するための制度といえます。
2024年4月9日に同連盟の理事たちが東京都庁にて記者会見を行ない、「認定保育士」という制度の創設に向けて取り組んでいることを明らかにしました。
お問合せ&資料ダウンロード
採用課題・経営課題に関する個別ご相談受付やサービスガイドなどの資料DLはこちらからどうぞ。
まずはお気軽にお問合せください!
「認定保育士」制度を創設するねらい
metamorworks/stock.adobe.com
「認定保育士」制度を創設するねらいとしては、以下のような理由があります。
保育士の待遇改善を図るため
保育業界の中でも特に深刻化しているのが、保育士不足の問題です。仕事量に見合った給与ではない、責任が重すぎるといったさまざまな要因から、保育業界は慢性的に人手不足の状況に陥っています。
その打開策のひとつとして考えられたのが「認定保育士」の導入です。専門的な資格を付与することで、保育士という仕事の定着率向上を狙うことにしたのです。
また、資格に見合う評価を受けられるようになれば、保育士自体の待遇改善にもつながると考えられています。
多様化する子どもたちに重点的な保育をするため
現代の保育現場では、発達障がいを抱えていたり外国籍だったりする子どもたちが増加傾向にあります。
その理由としては、まず発達障がいに関しては診断基準が変わったことに加え、認知度が高まったことが考えられます。一方、外国籍の子どもに関しては日本で就労する外国人が家族を呼び寄せて日本で暮らす人が増えていることが理由となっているようです。
また、中にはネグレクトと呼ばれる育児放棄や育児怠慢の状況にある子どもたちもみられるといいます。
こうした状況を踏まえ、障がいや家庭の事情で重点的な保育が必要な園児たちに対応できる保育士は少ないのが現状です。
そこで新たに「認定保育士」という制度を創設し、多様化する子どもたちに適切な対応ができる保育士を設置することを目指しています。
読んでおきたいおすすめ記事
【採用担当者向けコラム】保育士の新卒採用やることリスト。テンプレに使えるチェックシートを紹介
新卒採用は計画的に進めることが重要。保育士を目指す学生の動きは年々早期化しているとも言われるため、事前に「やることリスト」をまとめておくとスムーズです。そのうえで、早め早めに動くことが採用成功の近道で...
【採用担当必見】保育施設のお悩み対策診断。今、あなたの園に必要な対策は?
保育施設の運営にまつわる課題は、採用・定着・園児集客など、園によって本当にさまざまです。一体、自園にとって必要な対策は何なのか?「保育施設のお悩み対策診断」を使って調べてみましょう。 &n...
【採用担当者向けコラム】保育士の意向調査実施マニュアル。来年度に向けた準備のポイント
保育士さんに向けて来年度の就業意思を確認する意向調査では、どんなことに配慮して進めるとよいでしょうか。今後の園の運営や保育士さんの育成に関わることなので、慎重に行なうことが大切です。今回は、意向調査の...
【採用担当者向けコラム】意向調査で「退職希望」を示している保育士の引き止めはできる?
意向調査で退職の希望を示している保育士さんの引き止め方を知りたいと感じる採用担当者の方もいるでしょう。保育士不足が続く中、頼りにしていた保育士さんが抜けてしまうと運営が苦しくなりますよね。今回は、意向...
【2024最新】保育士不足が続く原因は?解消に向けた国・自治体・園の対策も解説
なぜ保育士不足が続くのでしょうか。子育て支援の重要性が増す中で、資格を持ちながらも保育士として就業する人が少ない状況を受け、国や自治体ではさまざまな対策を行なっています。今回は、深刻な社会問題でありな...
【2024年最新】学童保育の補助金はいくら?開業や運営に関わる助成金について
全国的に共働き家庭が増えたことで、小学生の居場所となる学童保育の拡充が求められています。実際に学童保育の開業や運営を目指す場合、国や自治体からいくらの補助金を受け取れるのでしょうか。今回は、学童保育の...
【採用担当者向けコラム】保育士の人材紹介手数料は高い?相場や会社による違いを解説!
保育士採用でも利用される「人材紹介」。手数料が何十万にも上ったという話を聞き、利用を迷っている採用担当者の方もいるかもしれません。今回は、保育士の人材紹介について、手数料の相場と費用が高いと言われる理...
【採用担当者向けコラム】真面目な人ほど急に辞めるのはなぜ?保育士が突然退職する理由と対策
真面目な人から急に辞めると告げられて、「何がよくなかったのか…」と頭を抱える採用担当者の方もいるのではないでしょうか。おとなしい人や優秀で勤勉な保育士さんほど、職場にストレスを抱えているかもしれません...
【採用担当者向けコラム】人材紹介会社が保育士さんを紹介してくれないのはなぜ?原因と対策
人材紹介会社を利用したにもかかわらず「保育士さんを紹介してくれない」と悩みを抱える方はいませんか?採用活動がスムーズに進まないと人材不足が解消されず、運営に支障をきたすケースも。今回は人材紹介会社から...
転職フェア出展は意味がない?採用できない?保育士を集客するためのポイント
多くの保育士さんと出会い、自園の魅力を直接伝えられる「転職フェア」。人材確保のチャンスになる機会ですが、出展しても意味がないのでは、採用できないのではと不安を抱く方もいるでしょう。今回は、転職フェアで...
放課後等デイサービスの職員採用の方法は?求める人材に出会うコツ
保育・福祉業界では人材不足が深刻化しており、放課後等デイサービスについても採用に苦戦する施設があるでしょう。特に児童発達支援管理責任者(児発管)の不足は、全国的に大きな課題となっています。今回は、放課...
時短勤務とは?保育園が導入するメリット・デメリットや注意点
2009年度の育児・介護休業法によって制度化された「時短勤務」。正式には短時間勤務制度と呼ばれ、3歳に満たない子を療育する労働者を対象に多くの方が利用しています。今回は時短勤務の概要や対象者、導入状況...
学童保育の経営に必要な基礎知識!開業の流れや必要コスト、成功のポイント
学童保育の開業を考えている方は、開業の流れやランニングコストの目安を把握しておくことが大切です。学童保育を経営するうえで必要な基礎知識をチェックしていきましょう。今回は、学童保育の経営に関する内容や成...
【採用担当者向けコラム】保育士採用で合同説明会に出展するメリット。成功の秘訣
保育事業者にとって合同説明会への出展には、どのようなメリットがあるのでしょうか。採用の成功率をアップするために、出展を検討する採用担当者の方もいるかもしれません。今回は保育士さん向けの合同説明会の活用...
学童保育の採用に人材紹介サービスを利用するメリットと注意点。活用するポイント
学童保育の採用に人材紹介サービスを利用するべきかと悩む事業者の方はいませんか。「手数料が高いのでは?」「希望する人材の紹介が受けられるのか」と不安を抱くこともあるでしょう。今回は、学童保育の採用に人材...
【採用担当者向けコラム】退職代行を使われた時はどうする?保育園に連絡が来た時の対処法
職員から退職代行サービスを利用して退職の申し入れがあった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。連絡が来た時点で直接該当の職員とやり取りすることが難しいため、戸惑ってしまいますよね。今回は退職代行...
ジョハリの窓とは?4つの窓の内容や注意点、具体例をわかりやすく解説
「ジョハリの窓」という自己分析ツールはご存じですか。「開放」「秘密」「盲点」「未知」の4つの窓を用いて、自分や他者からの印象を認識していく手法です。今回は、ジョハリの窓の概要や企業内での導入時の注意点...
今、重要視される「学び直し」は保育士に必要?園側が取り組む具体例
社会人の学び直しが注目されている昨今、雇用側の環境整備が求められます。今回は、保育士の学び直しが必要なのか、園側の取り組みや具体例についてわかりやすく解説します。保育士がやりがいをもって働ける職場を作...
人的資本経営とは?保育園経営に活用するメリットや保育士育成のポイント
人的資本経営とは、企業の人材を「資本」と捉え、人材の価値を高めることで企業価値の向上を目指す経営手法です。近年注目されている経営手法のひとつで、さまざまな企業で導入されています。今回は、人的資本経営の...
学童保育を開業するために必要な資格・条件・補助金制度について徹底解説!
全国的に学童保育の拡充が求められている今、学童保育施設を開業するためには何が必要なのでしょうか。今回は学童保育の開業に必要な条件や手続き、補助金制度などを紹介します。学童保育の開業は主に自治体から業務...
- 同じカテゴリの記事一覧へ
「認定保育士」という資格の概要
taka/stock.adobe.com
「認定保育士」はまだ正式に導入が決まった制度ではないため、2024年4月時点で詳しいことはわかっていません。
そこで日本保育連盟は今年5月に大学教授や保育事業者らによるワーキンググループ(※計画の推進のために設けられた部会のこと)を立ち上げ、年度内に研修カリキュラムを作成し、2025年4月の制度開始を目指しています。
カリキュラムに関しては、医療現場で高い看護を実践できると認められている「認定看護師」の制度を参考にしていく予定だそうです。
なお、「認定保育士」の資格を取得するための研修にかかる時間はおおむね10カ月程度と見込まれています。
出典:「認定保育士」制度の創設で保育士の質向上を目指す~杉村代表理事らが記者会見/日本保育連盟
「認定保育士」は多様化する子どもたちに対応できるようになるための制度
日本保育連盟が創設を目指す「認定保育士」という制度は、現時点では具体的な内容が公表されていません。
しかし、同連盟は2025年4月の制度開始を目指しているそうなので、今後徐々に明らかになっていくでしょう。
導入されることで発達障がいや不適切保育などに知識のある保育士が増えることになるため、多様化する子どもたちに充分対応できる環境が整っていく可能性があります。
また、専門性を高めるためにも有効な制度ともいえるので、保育士としてのキャリアアップにもつながることが予想されるでしょう。
保育士バンク!では、保育士資格を活かして働ける求人を取り扱っています。給料面や勤務時間などの希望条件に合う求人を探したいとお考えの方は、お気軽にお問い合わせください。
お問合せ&資料ダウンロード
採用課題・経営課題に関する個別ご相談、お問合せはこちらからお願い致します。