障がい児保育を実施する中でよく目や耳にするのが「配慮」という言葉です。なんとなく理解した気でいるけど、実際に現場で行なう「配慮」が何を指すのか、あいまいな認識でいる方がいるかもしれません。今回は、障がい児保育における配慮についての解説、配慮の考え方と実践につながるポイントについて紹介します。

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障がい児保育とは
障がい児保育とは、障がいのある子どもたちが日常生活において阻まれることなく、社会の一員として自立できるよう支援する保育活動です。
保育の対象となる障がいには、知的障がい、発達障がい、身体障がい、視覚・聴覚障がいなど多岐にわたる種別があり、これらの障がいの種類だけでなく、個人の特性に合わせた専門的な支援が必要とされます。
未就学児における障がい児保育が実施される施設は、主に保育園、幼稚園、認定こども園などの施設、専門機関としては児童発達支援施設があります。
また、就学から18歳までは、放課後等デイサービス、障がい児入所施設といった専門施設において、受給者証を取得した障がい児とその保護者や家族に対する支援が提供されています。
地域ごとに設置された児童発達支援センターはそれらの施設の中核を担う役割を持ち、障がい児保育に関する地域の支援体制を司っています。
さまざまな理由で発達に課題のある障がい児保育の現場では、切れ目ない支援の充実と利用ニーズの増加に伴いさらなる環境整備が重要となってくるでしょう。
医療、福祉、教育の連携による包括的な対応も期待されています。
障がい児保育における「配慮」

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一般的な語彙としての「配慮」の意味は「心を配ること」です。
補足するなら「相手の都合や事情を慮った気づかい」「相手を尊重した気づかい」といったニュアンスを含んでいると言えるでしょう。
また、子どもを対象とした障がい児保育だけでなく、障がい者支援全般において使われる言葉に「合理的配慮」というフレーズがあります。
この言葉から、障がい児保育の「配慮」へのヒントを探りましょう。
「合理的配慮」とは?
「合理的配慮」は、2006年に国連が採択した国際人権法に基づく人権条約「障害者の権利に関する条約」に記載されている言葉で、障がい者支援における重要なキーワードの一つと言えます。
この条文の中で、障がい者への「合理的配慮」は、以下のように定義されています。
「合理的配慮」とは、障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう。
「合理的配慮」の解説
上記の「障害者の権利に関する条約」は、引用元が翻訳文のため分かりづらい面があるかもしれません。身近な例で考えてみましょう。
障がいを抱える人それぞれの状況に合わせて、世の中の環境やサービスをユニバーサルデザインに変更したり工夫を加えたりすることが、この「合理的配慮」にあてはまると言えます。
具体例を挙げるなら、街づくりにおいて車いすユーザーのため屋内外の段差を解消する、駅や商業施設で視覚障がい者が利用できるよう点字や音声案内を設置する、といったものも含まれるでしょう。
ただし、そのための変更や調整が、過剰な費用や負担を強いるものであってはいけません。配慮する側と受ける側の双方にとって、バランスが取れた対応であることも重要です。
障がいのあるなしに関わらず、誰もが公平に人権を享受し社会に参加できるよう、合理的な範囲で環境を整備することが「合理的配慮」と言えるでしょう。
これは、すべての人が差別や不自由を受けずに生活する機会を確保するための大切な考え方です。
障がい児保育における「配慮」も、この考え方を根底においてみると分かりやすいかもしれません。
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障がい児保育で配慮が必要な場面と実践例
前章で見てきた「障害者の権利に関する条約」では、「平等及び無差別」「身体の自由及び安全」「労働及び雇用」など、障がい者への合理的配慮が必要とされるキーワードが登場します。
ここでは障がい児保育へのアプローチに絞り、「生活」「教育」「健康・安全」に関して、保育士さんや指導員さんなど支援する側が配慮するべきことや、配慮の具体的な考え方を見ていきましょう。
生活における配慮
障がい児保育の現場では、個別の支援計画の作成が最も大きな配慮のベースとなります。
子ども一人ひとりの特性やニーズを把握し、個別支援計画を作成することが重要です。個別支援計画には、子どもの目標、支援内容、評価方法などを具体的に記載します。
この個別の支援計画を適切な支援につなげるためには、子どもの気持ちに共感を示して寄り添いつつ、一方では周囲との関係性や子どもにとっての困難の本質を観察する視点も大切と言えます。両面をバランスよく組み合わせましょう。
また、生活におけるコミュニケーションにも多様な配慮が必要とされるでしょう。言語理解に難がある子だけでなく、さまざまなケースでの個別の障がいや個性を理解した支援につなげましょう。
障がいを持つ子どもたちとのコミュニケーションには多様な手法があります。表情や身振り手振り、絵カードなどを積極的に活用し、子どもたちの理解を促すことが合理的配慮と言えるでしょう。
教育における配慮
障がい児保育の現場では、それぞれの個性や特性に合わせた教育支援についても計画を立てて行なっていきます。
児童発達支援施設であれば子どもの通っている保育園や幼稚園、放課後等デイサービスであれば通学校など、それぞれの教育機関との連携が非常に重要となってくるでしょう。
園や学校での生活や学習過程を把握した上で、障がい児保育の役割としての教育支援を提供していくことが、配慮につながります。
また学習だけでなく、音楽・絵画・運動などの分野における教育も、子どものニーズや障がいの特性に応じた対応をすることが望まれます。
発達障がいであれば、子どもにとって困難な作業だけでなく個人の興味関心にも目を向けて、多様な体験機会を作っていくことが必要となります。
医療的ケア児など肢体不自由がある子には、作業療法士や理学療法士などとの連携による教育支援を行なうこともできるでしょう。
生活能力の向上にもつながる障がい児保育での教育は、訓練的な活動によって実施される場合が多いようです。その際にも、子ども一人ひとりへの合理的配慮が必要となります。
健康・安全に対する配慮
障がい児保育の現場では、子どもたちに本来提供されるべき健康的な生活や、安全の確保が脅かされることがないように配慮する必要があります。
合理的配慮の視点を常に持ち、施設の設備や職員のオペレーションが適切であるか、支援プログラムが現状に即しているかといった定期的な見直しは必要と言えるでしょう。
障がいを持つ子どもたちは、けがや事故のリスクが高まる場面が多いと言えます。そのため、常に安全面に配慮し、適切な設備・環境を整えることが重要です。
バスや車を利用した送迎時など、補助スタッフが関わる場での事故防止対策も大切です。子どもの特性や障がいの程度に応じた対応を計画し、スタッフ間で共有する必要があるでしょう。
また、障がい児保育の現場では運動支援や医療的ケアの必要上、子どもの身体への接触機会が多いことへの配慮も必要でしょう。支援する側は、年齢や性別に応じた合理的配慮を怠らないようにしなければなりません。
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障がい児保育では配慮を忘れずに適切な支援を

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障がい児保育で必要な配慮について、国際条約である「障害者の権利に関する条約」からヒントを得ながら考えてみました。
支援計画や日常的な対応まで、障がい児保育は配慮の連続と言えるかもしれません。保育士さんや指導員さんは、さまざまな専門家と連携しながら子どもたちの個性に合わせた配慮を行なうことが大切でしょう。
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