保育士さんにとっての退職交渉は、円満な退職を実現するための大切なプロセスの一つです。中でも最初の「切り出し方」で失敗してしまうと、退職交渉のスムーズな進行が難しくなることも。今回は保育士さんが勤務先との退職交渉を成功に導くための切り出し方について、事前準備、話し方、伝える内容などさまざまな角度から解説します。
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目次
【退職交渉の切り出し方】事前に知っておきたいこと
保育士さんが退職を切り出す際には「退職交渉」が必要になることがあるでしょう。
勤務先を退職する場合、交渉するまでもなく意思を伝えれば退職することは可能です。
これは「退職の自由」として民法で定められており、退職希望者は意思表示から2週間以上が経過すれば雇用関係を終了できます。
たとえば保育士さんが月の中旬以前に「今月いっぱいでの退職」という希望を伝えた際に、園長や運営企業・法人側に「退職は認めない!」と返答されたとしても、そこには何の法的効力はなく、保育士さんは希望の日程に合わせて退職することができるのです。
とはいえ、退職を伝えてから退職日を迎えるまでの間をできるだけ円満に過ごすことはとても重要です。そのための退職交渉は慎重に取り組む必要があると言えるでしょう。
保育士さんが退職交渉を進める前には、まず以下の点について整理しておきましょう。
- 退職時期 希望する退職時期を具体的に決める
- 退職理由 なぜ退職するのか、具体的な理由を明確にする
- 退職後の予定 次の勤務先について決定および未決定の場合の受け答えを考える
これらの点を整理しておくことで、退職交渉をスムーズに進めることができます。
「退職時期」以外は、聞かれない限りあえて伝える必要はありませんが、退職交渉の際にはほとんどと言ってよいほど尋ねられるでしょう。
事実をそのまま伝えることの是非も含め、聞かれた時の答えは事前にしっかり準備しておきましょう。
【退職交渉の切り出し方】トラブルなく伝えるポイント
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退職交渉は、直属の上司に直接伝えるのが基本です。保育施設に勤務しており、特に役職などがない場合は、主任保育士がこのポジションになります。
同じ職場内に施設長(保育園の場合は園長など)が常勤している場合は、最初から施設長に伝えるかたちがよいでしょう。
ここでは「切り出し方」以前のタイミングについて考えていきます。
直前にアポイントを取る
退職の切り出し方としては、前もって口頭やメールなどでアポイントをとるのがよいでしょう。
その際には「相談させていただきたいことがあり、明日の閉園後に少しお時間いただけないでしょうか」といった伝え方が無難かもしれません。
アポイントを取るタイミングは、上記で例に出したように話をする前日など直前がよいでしょう。
向こうが引き延ばさない限り短時間で完了する内容なので「5分から10分程度」と伝えれば、前日でも時間を確保することはさほど負担にならないはずです。
アポイントを取ってから実際に話すまでに何日も間があくと、上司もさまざまなケースを勘ぐってしまい、それによって勤務中のコミュニケーションが取りづらくなる事態になりかねません。
伝える場所
退職交渉は短時間ですみますが、できるだけ個室など上長とマンツーマンになれる場所で行ないましょう。改まって丁寧に申し出れば、上長も察して場所と時間を作ってくれるはずです。
すぐに終わるからといって、仕事の合間や休憩時間に雑談の感覚で話す、ほかの同僚や先輩後輩の前、園児・保護者に聞こえるようなシチュエーションでの切り出し方は避ける方がよいでしょう。
ゆくゆくは皆に発表するのだから、自分が気にしなければ誰に聞かれてもいいのでは?と思う方もいるかもしれませんが、ここは仕事の場です。
当人同士以外に職員の退職についてどう伝えるかは、上長が判断する必要があります。
最低限の礼儀を見せるのはもちろんですが、退職日までの関係性の悪化につながらないためにも、非常識ととられるような言動は避ける方がよいかもしれませんね。
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【退職交渉の切り出し方】伝える内容・伝え方
退職交渉での切り出し方としては、まず手短かに「時間を確保してもらったお礼」を述べましょう。
その後、以下の内容を順を追って伝えるとよいでしょう。
- 退職したいという意思
- 退職を希望する時期(例:来月いっぱいで、〇月〇日をもって)
- これまでの感謝の言葉
- 退職日までに必要なことについて(引き継ぎや書類整理、園児・保護者への挨拶など)
上記の4項目は、最低限の内容になりますので必ず事前に考えておきましょう。
切り出し方と話し方
退職交渉の切り出し方の例としては
「本日は急なお願いにもかかわらずお時間いただきありがとうございます。実は、来月末日での退職を考えております」など、簡潔に伝えるのがよいでしょう。
大切なことは、冒頭に示したとおり、退職は保証されている権利であることを頭に置いたうえで切り出すことです。
言い方としては「退職したいと思っているのですが……」のようにあいまいにせず「退職します」と断言するのがよいかもしれません。
もし、心の中に「引き留めてもらいたい」「待遇を変えてくれるなら残りたい」など、状況によって退職の意思を覆す可能性があるのであれば、退職交渉をして相手の反応をうかがうような行動は信用を失うので避けるほうがよいでしょう。
退職の意思が固まっているのであれば、退職時期の希望も含め、自信を持ってしっかり伝えましょう。
質問への受け答え
上長からは「退職する理由」と「退職後の予定」について質問される可能性が高いでしょう。この2点については、事実をそのまま伝える必要はないかもしれません。
たとえば待遇や人間関係など職場環境への不満が理由である場合は、退職を決めてからあえてネガティブな理由を伝える必要があるか、それを伝えることで退職日まで円滑な関係が保てるかを検討した上で返答するほうがよいでしょう。
また退職後の予定について、転職先、いつから働き始めるのかなどを聞かれることがあります。もしそのまま伝えることに抵抗があれば、すべて正直に答えなくても問題ありません。
しかし、職場が人手不足で困っている場合や引き留めたい場合には、転職先が決まっていないと伝えることで「それなら次が決まるまで退職を保留してほしい」など、反対に交渉される可能性もあります。
慰留されることや退職後につきあいが続く可能性についても考えながら、退職理由や退職後の予定について聞かれた場合、どう答えるかも事前にシミュレーションしておきましょう。
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出典:民法(明治二十九年法律第八十九号)/e-GOV法令検索
退職交渉の切り出し方は簡潔に!伝えるまでの準備も大切
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退職の意思を切り出す際は、上長に礼儀をもって真摯に伝えることはもちろんですが、事前のアポイントや話す内容の準備も同じくらい大切と言えるでしょう。
あくまでも退職交渉は退職の意思と話す内容をしっかり固めてから、誠実に行ないたいですね。
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