児童発達支援施設は障がいのある未就学の子どもの自立支援をサポートしたり、遊びや学びの場を提供したりする施設です。その中の児童発達支援センターという施設へ重症心身障がい児が通う場合、看護師の配置が義務付けられています。今回は、児童発達支援施設で働く看護師の主な業務と、看護師が児童発達支援施設で働くために必要なスキルを詳しく解説します。
Paylessimages/stock.adobe.com
目次
児童発達支援施設とは
児童発達支援施設とは、障がいのある未就学の子どもの自立支援をサポートしたり、遊びや学びの場を提供したりする施設のことです。児童発達支援を行なう施設は大きく分けると、以下のような2つの施設に分類されます。
児童発達支援事業所
児童発達支援事業所は、事業所が所在する地域の発達において、発達に遅れがある未就学の子どもたちを受け入れ、集団生活に適応できるようにサポートを行なっています。
子どもの発達支援やカウンセリング、リハビリといったケアをするほか、その家族の支援も担い、負担を軽減することが主な目的です。通いやすさに重点を置いているので、各市町村に数多くの施設が設置されているという特徴があります。
また、以下の職員を配置することが義務付けられています。
- 管理者(1人以上)
- 児童発達支援管理責任者(1人以上)
- 児童指導員もしくは保育士(2人以上 ※10人を超える場合は5人ごとに1人増員)
児童発達支援センター
児童発達支援センターは、児童発達支援事業所と同様のサポートをしつつ、子どもたちが通っている保育施設に助言・援助を行なっています。また、障がいのある子どもとその家族の相談に乗り、専門家によるアドバイスも担います。
児童発達支援センターには「福祉型」と「医療型」という2種類の施設が存在し、それぞれ違いは以下のとおりです。
福祉型:日常生活における基本的な動作の指導、知識・技能の付与、集団生活の適応訓練といった発達支援
医療型:福祉型と同様の発達支援、身体に障がいのある子どもの治療
また、以下の職員を配置することが義務付けられています。
- 施設長・管理者(1人以上)
- 児童発達支援管理責任者(1人以上)
- 児童指導員または保育士(各1人以上)
- 嘱託医(1人以上)
- 看護師または機能訓練担当職員(各1人以上 ※重症心身障がい児を通わせる場合)
- 言語聴覚士(1人以上 ※難聴児を通わせる場合)
- 栄養士(1人以上 ※利用者の定員が40人以下の場合は配置不要)
- 調理師(1人以上 ※外部に調理業務を全て委託する場合は配置不要)
看護師の配置が必要となるのは、重症心身障がい児を通わせる場合の児童発達支援センターです。
お問合せ&資料ダウンロード
採用課題・経営課題に関する個別ご相談受付やサービスガイドなどの資料DLはこちらからどうぞ。
まずはお気軽にお問合せください!
児童発達支援施設における看護師の主な業務
milatas/stock.adobe.com
児童発達支援施設の種類や配置されている職員がわかったところで、児童発達支援施設で働く看護師がどのような業務を行なうのかを確認しておきましょう。
健康状態の観察・管理
児童発達支援施設で働く看護師は、施設にいる子どもたちの健康状態を観察・管理する業務を担当します。
業務をしている間に何か気になることがあれば、必要に応じて医師に相談して指示を仰ぎ、対応します。
看護計画書の作成・実施
児童発達支援施設には、施設を利用する子どもたちのへの療育支援や医療ケアを支援するために必要な「看護計画書」が存在します。
この計画書は療育支援や医療ケアをするうえでは非常に大事なものです。子ども一人ひとりに対して必要な医療ケアを提供するために作成し、計画にもとづいて看護を実施します。
保護者への相談・指導
児童発達支援施設を利用する保護者の中には、子どもの障がいへの不安や日々の子どもとの関わり方に悩んでいる方もいるかもしれません。
そのような保護者の相談に乗り、適切なアドバイスや指導をすることも、児童発達支援施設で働く看護師の大事な業務です。
医療機関との連携
児童発達支援施設で働く看護師は、子どもの状況に応じて医療機関と連携することがあります。
たとえば、急な発熱症状が出た場合、看護師は速やかに医療機関に連絡し、子どもの具体的な病状や施設で施した処置などの情報を共有します。そのうえで、医療機関に適切な医療対応を依頼する必要があります。
事務作業
児童発達支援施設で働く看護師は、施設内の事務作業を担当することもあります。たとえば、子どもの健康状態の様子や医療ケアを施した記録をつけるなどです。
施設で働く職員同士で共有するためには、これらの情報を正確に記録し、報告を行なう必要があります。
読んでおきたいおすすめ記事
【採用担当者向けコラム】保育士の新卒採用やることリスト。テンプレに使えるチェックシートを紹介
新卒採用は計画的に進めることが重要。保育士を目指す学生の動きは年々早期化しているとも言われるため、事前に「やることリスト」をまとめておくとスムーズです。そのうえで、早め早めに動くことが採用成功の近道で...
【採用担当必見】保育施設のお悩み対策診断。今、あなたの園に必要な対策は?
保育施設の運営にまつわる課題は、採用・定着・園児集客など、園によって本当にさまざまです。一体、自園にとって必要な対策は何なのか?「保育施設のお悩み対策診断」を使って調べてみましょう。 &n...
【採用担当者向けコラム】保育士の意向調査実施マニュアル。来年度に向けた準備のポイント
保育士さんに向けて来年度の就業意思を確認する意向調査では、どんなことに配慮して進めるとよいでしょうか。今後の園の運営や保育士さんの育成に関わることなので、慎重に行なうことが大切です。今回は、意向調査の...
【採用担当者向けコラム】意向調査で「退職希望」を示している保育士の引き止めはできる?
意向調査で退職の希望を示している保育士さんの引き止め方を知りたいと感じる採用担当者の方もいるでしょう。保育士不足が続く中、頼りにしていた保育士さんが抜けてしまうと運営が苦しくなりますよね。今回は、意向...
【2024最新】保育士不足が続く原因は?解消に向けた国・自治体・園の対策も解説
なぜ保育士不足が続くのでしょうか。子育て支援の重要性が増す中で、資格を持ちながらも保育士として就業する人が少ない状況を受け、国や自治体ではさまざまな対策を行なっています。今回は、深刻な社会問題でありな...
【2024年最新】学童保育の補助金はいくら?開業や運営に関わる助成金について
全国的に共働き家庭が増えたことで、小学生の居場所となる学童保育の拡充が求められています。実際に学童保育の開業や運営を目指す場合、国や自治体からいくらの補助金を受け取れるのでしょうか。今回は、学童保育の...
【採用担当者向けコラム】保育士の人材紹介手数料は高い?相場や会社による違いを解説!
保育士採用でも利用される「人材紹介」。手数料が何十万にも上ったという話を聞き、利用を迷っている採用担当者の方もいるかもしれません。今回は、保育士の人材紹介について、手数料の相場と費用が高いと言われる理...
【採用担当者向けコラム】真面目な人ほど急に辞めるのはなぜ?保育士が突然退職する理由と対策
真面目な人から急に辞めると告げられて、「何がよくなかったのか…」と頭を抱える採用担当者の方もいるのではないでしょうか。おとなしい人や優秀で勤勉な保育士さんほど、職場にストレスを抱えているかもしれません...
【採用担当者向けコラム】人材紹介会社が保育士さんを紹介してくれないのはなぜ?原因と対策
人材紹介会社を利用したにもかかわらず「保育士さんを紹介してくれない」と悩みを抱える方はいませんか?採用活動がスムーズに進まないと人材不足が解消されず、運営に支障をきたすケースも。今回は人材紹介会社から...
転職フェア出展は意味がない?採用できない?保育士を集客するためのポイント
多くの保育士さんと出会い、自園の魅力を直接伝えられる「転職フェア」。人材確保のチャンスになる機会ですが、出展しても意味がないのでは、採用できないのではと不安を抱く方もいるでしょう。今回は、転職フェアで...
放課後等デイサービスの職員採用の方法は?求める人材に出会うコツ
保育・福祉業界では人材不足が深刻化しており、放課後等デイサービスについても採用に苦戦する施設があるでしょう。特に児童発達支援管理責任者(児発管)の不足は、全国的に大きな課題となっています。今回は、放課...
時短勤務とは?保育園が導入するメリット・デメリットや注意点
2009年度の育児・介護休業法によって制度化された「時短勤務」。正式には短時間勤務制度と呼ばれ、3歳に満たない子を療育する労働者を対象に多くの方が利用しています。今回は時短勤務の概要や対象者、導入状況...
学童保育の経営に必要な基礎知識!開業の流れや必要コスト、成功のポイント
学童保育の開業を考えている方は、開業の流れやランニングコストの目安を把握しておくことが大切です。学童保育を経営するうえで必要な基礎知識をチェックしていきましょう。今回は、学童保育の経営に関する内容や成...
【採用担当者向けコラム】保育士採用で合同説明会に出展するメリット。成功の秘訣
保育事業者にとって合同説明会への出展には、どのようなメリットがあるのでしょうか。採用の成功率をアップするために、出展を検討する採用担当者の方もいるかもしれません。今回は保育士さん向けの合同説明会の活用...
学童保育の採用に人材紹介サービスを利用するメリットと注意点。活用するポイント
学童保育の採用に人材紹介サービスを利用するべきかと悩む事業者の方はいませんか。「手数料が高いのでは?」「希望する人材の紹介が受けられるのか」と不安を抱くこともあるでしょう。今回は、学童保育の採用に人材...
【採用担当者向けコラム】退職代行を使われた時はどうする?保育園に連絡が来た時の対処法
職員から退職代行サービスを利用して退職の申し入れがあった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。連絡が来た時点で直接該当の職員とやり取りすることが難しいため、戸惑ってしまいますよね。今回は退職代行...
ジョハリの窓とは?4つの窓の内容や注意点、具体例をわかりやすく解説
「ジョハリの窓」という自己分析ツールはご存じですか。「開放」「秘密」「盲点」「未知」の4つの窓を用いて、自分や他者からの印象を認識していく手法です。今回は、ジョハリの窓の概要や企業内での導入時の注意点...
今、重要視される「学び直し」は保育士に必要?園側が取り組む具体例
社会人の学び直しが注目されている昨今、雇用側の環境整備が求められます。今回は、保育士の学び直しが必要なのか、園側の取り組みや具体例についてわかりやすく解説します。保育士がやりがいをもって働ける職場を作...
人的資本経営とは?保育園経営に活用するメリットや保育士育成のポイント
人的資本経営とは、企業の人材を「資本」と捉え、人材の価値を高めることで企業価値の向上を目指す経営手法です。近年注目されている経営手法のひとつで、さまざまな企業で導入されています。今回は、人的資本経営の...
学童保育を開業するために必要な資格・条件・補助金制度について徹底解説!
全国的に学童保育の拡充が求められている今、学童保育施設を開業するためには何が必要なのでしょうか。今回は学童保育の開業に必要な条件や手続き、補助金制度などを紹介します。学童保育の開業は主に自治体から業務...
- 同じカテゴリの記事一覧へ
児童発達支援施設で働く看護師に必要なスキル
maroke/stock.adobe.com
前述したとおり、児童発達支援施設で働く看護師はさまざまな仕事を担うこととなります。児童発達支援施設で働く際には、以下のようなスキルが求められるようです。
- 子どもの健康に関する知識と技術
- 療育に関する知識
- 観察力
- コミュニケーション能力
- チームワーク
児童発達支援施設で看護師として働くのであれば、子どもの健康や療育に関する知識と技術は必須でしょう。子どもの場合、医療ケアをする際に泣いたり暴れたりする子がいることも珍しくありません。
このような状況が発生するとスムーズに処置が進まないことも少なくないので、子どもを落ち着かせるための対応力や状況を把握するための観察力も必要となるでしょう。
また、児童発達支援施設では子どもやその保護者とのコミュニケーションが非常に重要となります。コミュニケーション能力を上げることで、子ども・保護者の要望を把握できるようになるため、よりよいサービスを提供できるでしょう。
そして、児童発達支援施設ではたくさんの職員が働いています。そのため、職員同士で連携し、協力し合うチームワークも重要です。チーム内で意見の交換や経験を共有することでさまざまな相乗効果を生み出すことができるでしょう。
児童発達支援施設で働く看護師のキャリアパス
ELUTAS/stock.adobe.com
児童発達支援施設で働く看護師が、さらなるキャリアを積むにはどうすればよいのでしょうか。
まずは看護師として、主任看護師を目指すのもよいでしょう。一般的には、看護師として10年以上勤務し、能力や実績を認めてもらえれば主任看護師になることが可能だそうです。
10年未満であっても、主任看護師として必要な能力があると評価されれば挑戦できるでしょう。
ほかにも、さらに専門的なスキルや知識を身につけるために児童福祉司になるという道もあります。
児童福祉司になるには実務経験が必要です。看護師の場合は、指定された施設で2年以上相談援助業務に従事したのち講習会を修了し、地方公務員試験に合格して配属されれば児童福祉司として働けます。
児童発達支援施設の看護師として子ども一人ひとりに寄り添った療育やケアを行なおう
児童発達支援施設には、児童発達支援事業所と児童発達支援センターの2つの施設があります。そのうち、児童発達支援センターでは重症心身障がい児を通わせる場合において看護師の配置が義務付けられています。
そこで働く看護師は、子どもの健康状態の観察・管理や看護計画書の作成・実施などさまざまな業務を行ないます。
障がいを持つ子どもと近い距離で関わることのできる仕事なので、児童発達支援施設で働くことで一人ひとりに寄り添った療育支援や医療ケアができるでしょう。
保育士バンク!は、保育業界に特化した人材紹介サービスです。保育士向けの求人が多いですが、看護師や調理師、栄養士などの資格を活かせる求人の取り扱いもあるので、子どもと関わる仕事がしたい看護師さんにとって仕事を探しやすいのが特徴です。
もし児童発達支援施設で働くことに興味を持っている看護師さんがいらっしゃいましたら、保育士バンク!にお気軽にお問い合わせください。
お問合せ&資料ダウンロード
採用課題・経営課題に関する個別ご相談、お問合せはこちらからお願い致します。