障がい児保育に携わる職場への転職を希望している保育士さんの勝負どころと言えるのが、志望動機の作成。障がい児保育を希望する理由や経験のアピールなど、応募先の目にとまる志望動機には、いくつかのポイントがあります。ここでは、保育士経験がある場合、未経験・他業種からの転職の場合に分けて、志望動機の例文を紹介します。
takasu/stock.adobe.com
目次
障がい児保育とは
障がい児保育とは、身体不自由や知的障がい・発達障がいなど、日常生活においてなんらかの障がいを抱えている子どもを対象に行なわれる保育のことです。
障がい児保育に携わることができるのは、主に以下のような施設があります。
- 障がい児を受け入れている保育園・認定こども園
- 障がい児を受け入れている学童保育
- 児童発達支援施設
- 放課後等デイサービス
- 障がい児入所施設
- 医療機関内の病棟保育室
障がい児に専門的に携わることができるほかの施設には、0歳児からの未就学児は児童発達支援施設、小学生以上の児童は放課後等デイサービス、といったように対象年齢の違いや、通所・入所といった違いなど、それぞれの施設の特徴があります。
これらの施設では保育士を配置することが法令で定められています。そのため、保育士資格を持つ方の需要は非常に高いと言えます。
ほかにも、一般の保育園・幼稚園・認定こども園などで健常児とともに障がい児を受け入れていることが多いようです。
障がい児を受け入れている保育施設では「加配制度」を実施する必要があります。
これは、障がいを持つ子の保護者の要請を受けた場合は、自治体ごとに定められた人数の保育士を増員して対応することを制度化したものです。
そのため、障がい児保育を行なっている施設では、通常の配置基準以上に保育士を雇用する必要があるケースが多くあります。
また、配置基準は定められていないものの保育士さんが活躍できる職場として、学童保育が挙げられます。特に障がい児を受け入れている学童保育では、専門知識や経験を持った保育士は強く求められていることが多いでしょう。
【障がい児保育の志望動機】構成のポイント
maroke/stock.adobe.com
障がい児保育に携わりたい場合の転職にあたって「志望動機」を作成する際の基本的なポイントをおさえておきましょう。また、採用担当者に良い印象を与える書き方について考えます。
あいまいな理由は避けて具体的に
あえて障がい児保育に携わる職場を希望しているのなら、「社会の役に立ちたい」といったような漠然とした思いや、「子どもたちと触れ合いたい」といったほかの職場でも叶えられる希望をメインにするのでは、ほとんど意味がないでしょう。
特に同業種や似ている業種からの転職を希望している場合は「それは前の勤務先でもできるのでは?」と受け取られてしまい、内容に問題はなくてもマイナスの印象につながったり、採用につながる決め手にはなりにくかったりということになりかねません。
この場合は、どこでも応用できそうな志望動機に終始せず、そこから一歩踏み込んだ具体的な理由に展開させましょう。
前述の漠然とした理由は、一例として以下のように展開させることができます。
- 社会の役に立ちたい
「発達障がいのある子どもへのフォローと、その保護者に対しても手厚くケアをすることで、働きたい母親や女性の社会進出にも貢献したい」
- 子どもたちと触れ合いたい
「障がいや子どもの困難に即した計画的な保育プランをもとにした、一人ひとりに深く関わる少人数保育を希望している」
理想は漠然としていたとしても、具体的な内容に落とし込むことで、採用担当者の目に留まりやすい志望動機になるかもしれません。
自分の経験や職歴を交えてアピールにつなげる
保育士としての勤務経験がある場合でも、異業種からの転職の場合であっても、これまでの勤務先での経験や成果をどう活かせるかを交えた志望動機を作成できれば印象に残るでしょう。
「保育園での勤務時は、0歳から5歳まですべてのクラスの担任を経験して、子どもの発達について大きな学びを得て、縦割り保育に活かすことができた」など保育士としての経験や実績を志望動機に結びつけてアピールするのがよいかもしれません。
資格は取得したが保育士は未経験である場合や、ブランクが長い場合も「事務職として勤務しており、文書・会計・資料作成ソフトは一通り使いこなせる」「子育てしながら地域活動を行なってきた経験を活かしたい」といったように、その間の経験を志望動機に織り込むことは可能です。
このように志望動機では、自分のやりたいことだけを伝えるのではなく「自分のやりたいこと+自分ができること」を一貫させてアピールできると効果的と言えるでしょう。
応募先のセールスポイントを自分とマッチングさせる
応募先がセールスポイントとしている部分と自分の希望や経験の一致をアピールすることも、志望動機に組み込みたい要素です。
この場合は、求人募集だけに目を通すのではなく、利用者向けに作られた施設の公式サイトやリーフレットなどを参考にするのがよいでしょう。
保育士さん向けの求人募集では、待遇や給与など働く側のメリットになる部分に目が留まりがちですが、利用者向けのサイトには保育・支援方針や利用者向けのサービス内容といった利用者に向けたセールスポイントが明示されています。
志望動機では、待遇や給与はとりあえず脇へ置いておき、利用者の立場に立った施設の特徴や理念が、いかに自分の希望に合っているかを志望動機と絡めて構成するとよいでしょう。
簡単1分登録!転職相談
転職に関するご質問や情報収集だけでもかまいません。
まずはお気軽にご相談ください!
読んでおきたいおすすめ記事
保育士をサポート・支える仕事特集!異業種への転職も含めた多様な選択肢
保育士の経験を経て、これからは保育士のサポート役として働きたいという方はいませんか?責任の重い仕事だからこそ、人の優しさや支えが必要不可欠な仕事かもしれませんね。今回は、保育士さんをサポートする・支え...
保育士資格を活かせる在宅ワークのお仕事特集!保育関係の自宅でできる仕事を徹底解説
保育士資格を活かせる在宅ワークにはどのような仕事があるのでしょうか。保育園の事務職や保育ママ、保育園業務のサポートなど自宅でできる仕事は意外に多いもの。今回は、保育士資格を活かして働ける在宅ワークの仕...
病院内保育とは。役割や仕事内容、病院内保育士として働くメリット
病院内保育とは、病院や医療施設の中、または隣接する場所に設置されている保育園のことです。保育園の形態のひとつであり、省略して院内保育と呼ばれることもあります。転職を考えている保育士さんの中には、病院内...
子ども・赤ちゃんと関わる仕事31選!資格の有無や保育士以外の仕事を関わる子どもの年齢別に紹介
子どもと関わる仕事というと主に保育園や幼稚園を思い浮かべますが、それ以外にも意外とたくさんあります!今回は赤ちゃんや子どもと関わる仕事31選を紹介!無資格で活躍できる職場もまとめました。子どもと携わる...
保育士を辞める!次の仕事は?キャリアを活かせるおすすめ転職先7選!転職事例も紹介
保育士を辞めたあとに次の仕事を探している方に向けて、資格や経験を活かせる仕事を紹介します。ベビーシッターなど子どもと関わる仕事はもちろん、一般企業での事務職や保育園運営会社での本社勤務といった道も選べ...
保育士から転職したい!転職先としておすすめの異業種22選。保育士以外の仕事やメリット・デメリットも
保育士以外から異業種への転職を考えている際、どのような転職先がおすすめなのでしょうか。今回は、次の仕事として保育士から転職しやすいおすすめの異業種22選を紹介します。保育士から異業種に転職するメリット...
保育園運営会社の仕事内容とは?本社勤務でも保育士資格は必要?働くメリットや求人事情まで
保育園運営会社にはどんな仕事があるのでしょうか?保育園運営会社で働くことは「本社勤務」とも呼ばれ、保育園の運営に携わる仕事として、主に一般企業に就職したい保育士さんにとって人気の高い職種のようです。今...
【2024年最新】保育士に人気の転職先ランキング!異業種や選ばれる職場を一挙公開
保育士の資格を活かして働ける人気の転職先をランキング形式で紹介!企業主導型保育園や病院内保育所、ベビーシッターなど保育士経験やスキルを活かせる職場はたくさんあります!今回は保育施設や異業種別に詳しく紹...
【完全版】保育士資格を活かせる仕事・働ける企業25選!
保育園で保育士として働くのが辛いと感じて、転職を考えているという方がいるかもしれません。しかし、せっかく取得した保育士資格を活かして働きたいですよね!保育士として得たスキルや経験は一般企業や福祉施設、...
【2024年最新版】幼稚園教諭免許は更新が必要?廃止の手続きや期限、対象者をわかりやすく解説
幼稚園教諭免許は更新が必要なのか、費用や手続き方法などを知りたい方もいるでしょう。今回は、2022年7月1日より廃止された教員免許更新制について詳しく、そしてわかりやすく紹介します。幼稚園教諭免許を更...
保育士は年度途中に退職してもいいの?理由の伝え方や挨拶例、再就職への影響
「年度途中で退職したい...けれど勇気が出ない」と悩む保育士さんはいませんか。クラス担任だったり、人手不足だったりすると、退職していいのか躊躇してしまうこともありますよね。そもそも年度途中で辞めるのは...
幼稚園教諭からの転職先特集!資格を活かせる魅力的な仕事18選
仕事量の多さや継続して働くことへの不安などを抱え、幼稚園教諭としての働き方を見直す方はいませんか。幼稚園教諭の転職を検討中の方に向けて、経験やスキルを活かせる18の職場を紹介します。保育系の仕事から一...
【2024年度】放課後児童支援員の給料はいくら?年代別の年収やこの先給与は上がるのかを解説
放課後児童クラブや児童館などで働く「放課後児童支援員」の平均給料はいくらなのでしょうか。別名「学童支援員」とも呼ばれ、「給与が低い」というイメージがあるようですが、国からの処遇改善制度などにより、これ...
保育士が働ける保育士以外の仕事21選。資格や経験を活かせるおすすめの就職先
保育園以外の職場に転職・就職先を探す保育士さんもいるでしょう。今回は企業内保育所や託児施設、児童福祉施設など、保育士さんが働ける保育園以外の職場を21施設紹介!自身の働き方や保育観を見つめ直し、勤務先...
- 同じカテゴリの記事一覧へ
【障がい児保育の志望動機】保育士経験がある場合
ここでは、保育士として勤務経験がある場合の志望動機の例を紹介します。
動機1 子どもたちの可能性を最大限に引き出すことに魅力を感じている
志望動機の文例
私はこれまで5年間、地域の私立保育園で保育士として勤務していました。
子どもたちの成長を間近で見られることの喜びを強く感じ、子どもたちの可能性を最大限に引き出す仕事に携わりたいと思うようになりました。
障がいを持つ子どもたちも、一人ひとりに個性や可能性があります。しかし、周囲の理解やサポートが不足しているために、その可能性を十分に発揮できていない子どもたちが多くいると感じています。
そのような中で、個別指導計画に基づいた支援や療育活動など、障がいを持つ子どもたちの可能性を最大限に引き出すために貴園が行なっているさまざまな取り組みに強く魅力を感じて、今回応募させていただきました。
貴園の一員として、子どもたちの個性やニーズを理解し、一人ひとりに寄り添った支援を行なうことで、子どもたちの可能性を最大限に引き出したいと考えております。
応用ポイント
保育士としての経験を積んできた中で強く感じるようになった希望や自分の得意分野などを、障がい児保育を行なう上での特徴に結びつけながら、理想の保育を説明できるとよいでしょう。
動機2 これまでの経験を活かして、より多くの子どもたちを支えたい
志望動機の文例
前職の保育園では、乳児から幼児まで幅広い年齢層の子どもたちを担当し、さまざまな保育活動に携わってきました。特に、個別指導計画の作成や療育活動の実施など、障がいを持つ子どもたちへの支援にも力を入れてきました。
これらの経験を通して、障がいを持つ子どもたちの特性やニーズを理解することの大切さを学び、一人ひとりに寄り添った支援を行なうことの重要性を認識しました。
貴園には、経験豊富な保育士や療育スタッフが多く在籍されています。そのような方々から学びながら、自身の経験を活かしてより多くの子どもたちを支えたいと考えております。
応用ポイント
障がい児保育の経験がある場合は、経験や学びを活かしてさらに深く関わりたいという思いと、応募先がより理想的な保育環境であること、自分の経験が活かせることをアピールできるとよいでしょう。
動機3 専門性を磨き、より質の高い支援を提供したい
志望動機の文例
障がい児保育は、専門的な知識と技術が必要となる仕事だと考えています。
私は、常に新しい情報や技術を学び、専門性を高めることで、より質の高い支援を提供したいと考えております。
貴園は、職員研修に力を入れており、定期的に研修会や勉強会を開催していると伺いました。私も積極的に研修に参加し、専門性を磨きながら、子どもたちの成長を最大限に引き出すための支援を行なっていきたいと考えております。
応用ポイント
障がい児保育の専門性に着目し、保育士としてより自分を高めたいという動機を打ち出すのもよいでしょう。その上で質の高い保育を目指すための向上心をアピールしましょう。
【障がい児保育の志望動機】未経験・他業種からの転職
健二 中村/stock.adobe.com
資格はあっても保育士としての勤務経験がない、もしくは育児などでブランクがある場合の志望動機の例を紹介します。
動機4 インクルーシブな社会の実現に貢献したい
志望動機の文例
近年、障がいを持つ子どもたちが地域の中でともに学び、成長できる環境づくりが進められています。私も、障がいのあるなしに関わらず子どもたちが地域社会の中で安心して生活できるよう支援を行なっていきたいと考えております。
貴園が地域との連携を重視した取り組みを行なっており、地域の子どもたちとの交流イベントや、地域住民向けの講演会なども開催していることに非常に共感しております。
私も、貴園の一員としてこのような活動に積極的に参加することで、インクルーシブな社会の実現に貢献したいと考えております。
応用ポイント
応募先の保育現場以外の部分での活動や、施設の特徴・方針に着目してみましょう。自分の理想の保育を応募先で叶えたいといったニュアンスや、社会貢献への意識をアピールするとなおよいでしょう。
動機5.前職の経験を活かして貢献したい
志望動機の文例
前職では、〇〇の経験を活かして〇〇のプロジェクトに携わりました。その経験を通して、〇〇のスキルを身につけ、プロジェクトの成功に貢献することができました。
貴園では、〇〇の取り組みを積極的に推進しており、〇〇の経験を活かせる環境があると感じています。私は、これまでの経験とスキルを活かして、貴園の〇〇に貢献したいと考えております。
応用ポイント
他業種での経験は、より具体的な成果を示しながらアピールしましょう。オフィスワークや営業・セールスのスキルなども、捉え方次第で障がい児保育の現場で活きる能力に転換させることができます。
経験あり・未経験ともに保育士資格を活かして働ける障がい児保育施設の求人は以下からチェックできます。
未経験でも応募可能な障がい児保育の求人を探してみる
出典:児童福祉施設の設備及び運営に関する基準/e-Gov法令検索
志望動機を効果的に作成して障がい児保育への転職を成功させよう
障がい児保育に関わる職場への転職を考えている保育士さんに役立つ志望動機のポイントと、経験あり・なしのパターンごとに文例を紹介してきました。
志望動機は、履歴書を書く際だけでなく面接でも改めて聞かれることが多い でしょう。
そのため志望動機を作成する際は、ただ書くだけでなく、履歴書に書いたことをしっかり頭に入れて、面接の場で要点を押さえた回答ができるように準備しておくことも忘れないようにしましょう。
志望動機の作成に迷ったら、保育士専門の求人サイト、保育士バンク!に相談いただくのもひとつの手段です。
専任のアドバイザーが、未経験やブランクがあってもあなたの経験を活かせる場をいっしょに探しながら、転職をお手伝いします!
相談だけでも大歓迎♪まずは保育士バンク!にお声がけください。