子ども誰でも通園制度とは、親の就労状況に関わらず子どもを保育所に預けられる制度です。2026年度に本格的な実施が予定されており、2023年度には各地域でモデル事業による検証が行なわれています。今回は、子ども誰でも通園制度の概要や2024年の試行事業内容、事業例などを解説します。保育士さんへの影響についてもまとめました。
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目次
子ども誰でも通園制度とは?
「子ども誰でも通園制度」とは、親が働いていなくても未就学の子どもを保育園に預けることができる通園制度です。
現状、基本的に保育園は、保護者が働いていたり、病気や介護などの特別な事情があったりと保育の必要性の認定を受けた家庭のみ利用することができます。
しかし、この「子ども誰でも通園制度」は、保護者の就労を問わず、時間単位で「誰でも」保育園を利用できるように策定されました。
目的は以下の通りです。
- 定期的に保育園を利用していない未就学児を預かり、子ども同士で過ごし遊ぶ経験を通して子どもの発達を促す
- 育児疲れによる負担を感じる保護者への支援を強化し、子育て家庭の孤立を防ぐ
子どもの子育て家庭への支援対策として、注目されている制度です。
※2023年12月時点の資料参考
子ども誰でも通園制度はいつから始まる?
子ども誰でも通園制度は、2023年6月に政府が掲げた「こども未来戦略方針」において創設が発表されました。
2026年度の本格的な実施に向けて、2023年度から31自治体50施設にて、モデル事業の検証がスタートしています。
また、2024年にはさらに100以上の自治体で試行的事業が行なわれます。
試行事業の概要は以下の通りです。
対象:0歳6カ月~満3歳未満
場所:保育所、認定こども園、幼稚園、地域型保育事業所、地域子育て支援拠点事業所など
利用時間:一人当たり「月10時間」が上限
※新しい環境に慣れるまで時間がかかるこどもへの対応として「親子通園」が可能
試行事業の検証に参加したい場合は、お住まいの地域が試行事業を実施しているのか、自治体のホームページなどで確認するとよいでしょう。
2024年の試行事業により検証を重ね、保護者側が安心して子どもを預けられるよう、保育施設側の整備が求められています。引き続き、政府の動向を見守りましょう。
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子ども誰でも通園制度:モデル事業例
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子ども誰でも通園制度について、各地域で順次モデル事業の検証が行なわれています。
子ども家庭庁が発表したモデル事業内容のイメージ図は以下の通りです。
出典:2023年度当初予算案のポイント/子ども家庭庁からの抜粋
定員に空きのある保育所において、認定保育所や認定こども園などに通園していない子ども※を定期的に預かることで、制度の実用化に向けて検証が実施されています。※幼稚園や企業型保育事業などを含む場合あり
今回は、東京都八王子市と福岡県福岡市の事業内容について詳しく見ていきましょう。
東京都八王子市
利用対象者
八王子市在住の保育所などに通園していない0~2歳児
※0歳児〜1歳児クラスは親子同伴
※2歳児クラスは子どものみ預かり
利用料金
月額2,000円
※生活保護世帯または住民税非課税世帯は無料
利用可能時間
<0歳児〜1歳児>
月曜日 9時30分〜11時
火曜日 9時30分〜11時
<0歳児〜2歳児>
水曜日 10時〜11時30分
木曜日 10時~11時30分
※両日ともに9月以降は10時~12時
福岡県福岡市
利用対象者
福岡市内在住の保育所などに通園していない生後3カ月〜小学校就学前の子ども利用料金
1回1000円(昼食代・雑費などを含む)
※生活保護世帯または住民税非課税世帯は無料
利用可能時間
例:9時〜17時
例:8時30分〜16時30分
※各施設によって利用時間が異なります。
この他にも神奈川県や千葉県の一部地域でモデル事業の実施が行なわれ、2024年2月中旬以降に最終実績報告が提出・検証される予定のようです。
※2023年10月時点の資料参考
子ども誰でも通園制度による保育士への影響は?
子ども誰でも通園制度は、子ども同士のコミュニケーションの活性化や子育て家庭の孤立の防止に役立つといわれています。
一方で、預かる側となる保育士への影響はあるのでしょうか。
業務負担が増える可能性がある
まず、課題のひとつとされているのが保育士の業務負担の増加です。
近年、待機児童数は減少傾向にあるものの、子どもを預かる側である保育士の人手不足が解消されず、大きな問題となっています。
そのため、子ども誰でも通園制度によって保育園を利用する園児が増えても、人手が確保できない園は、保育士一人ひとりにさらなる負担を強いる可能性があります。
職員が不満を抱く場合がある
子ども誰でも通園制度によって園児数が増えると、職員の労働環境が大きく変わる可能性があります。
考えられるリスクは以下の通りです。
- 週に1〜2回の預かりのため、子どもの様子を把握しづらい場合がある
- 保護者対応が増え、トラブルを招く可能性がある
- 業務負担が多く、保育士の心身に影響を及ぼす可能性がある
職員の不満が蓄積すれば、保育士の離職率の増加につながるかもしれません。
子どもを預かる側である保育園の体制の整備も必要になりそうですね。
子ども誰でも通園制度に向けて保育士が気をつけること
子ども誰でも通園制度によって、在職中の保育士さんは職場環境が変わる可能性もあるでしょう。
人手が足りない中でさらに未就学児の受け入れが増えれば、保育士さん一人ひとりの負担が増えて体調を崩す可能性もあります。
環境の改善を求めてもなかなか働きやすい環境が整わない場合は、転職を検討してみてもよさそうです。
子ども誰でも通園制度について詳しく知ろう
子ども誰でも通園制度は、子育て家庭の支援を強化するうえで重要な施策のひとつでしょう。
ただ、預かる側である保育園の職場環境が整っていなければ、保育士の負担が増えることも考えられます。
「 もっと働きやすい園へ転職したい」「職員数が多い園で働きたい」といった希望がある方は保育士バンク!までご相談ください。
あなたが保育士としてやりがいをもって働ける職場をいっしょに探していきましょう。
出典: こども誰でも通園制度(仮称)の本格実施を見据えた 試行的事業実施の在り方に関する検討会における 中間取りまとめ(案)について
出典: こども誰でも通園制度(仮称)の本格実施を見据えた試行的事業実施の在り方 に関する検討会(第3回)
出典:2023年度保育所の空き定員等を活用した未就園児の定期的な預かりモデル事業の実施について/子ども家庭庁