保育士の男女比率は、実際どれくらいの割合なのでしょうか?現場にいると女性が多い実感があるかもしれませんが、男女ともに働きやすい環境が実現できたらいいですね。本記事では、男性保育士の比率をあげるための、男性保育士の給料や現状、将来性や課題などについても考えていきます。
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目次
保育士の男女比、女性が約96%!
厚生労働省が公表している資料「保育士の現状と主な取組」によると、5年ごとに行なわれている調査で最新となる2020年の国税調査では、保育士の男女比率は男性が約4%、女性は約96%と、圧倒的に女性保育士が多い 結果となっています。
とはいえ、この5年ごとの調査結果によれば、10年前となる2010年の男性保育士の割合は全体の2.15%、20年前の2000年には1.29%となっており、少しずつですが、この20年のあいだに男性保育士が増えてきていることも明確になりました。
高まる男性保育士のニーズや希望者の増加に応え、これまで女子のみの入学可としていた保育士資格取得を目指す専門学校や短期大学などが共学化するといった現象もみられています。
【保育士の男女比】男性保育士が少ない理由
増えているとはいえ、まだ圧倒的に少ない男性保育士の現状。その理由を探ってみましょう。
イメージ
男性保育士への偏見は、残念ながらいまだ拭えない部分があるようです。
これは、男女雇用機会均等法が施行される以前の保育士が「保母」と呼ばれていたように「育児は女性の仕事」という、前時代的な固定観念がまだ根底にあるためといえるでしょう。
また、園への送り迎えなどを女性(母親)が担当する家庭が多いことで、女性同士のほうが保育士さんと保護者間のコミュニケーションがとりやすいといった考えも聞かれます。
しかし近年は、保育士の仕事が高い専門性を有する職種であることが浸透してきました。また女性の社会進出の定着にともない、これまで性別で区別されてきた仕事上の適性イメージが払拭されたことで、男性保育士に対する偏見も薄れつつあるようです。
さらに2022年の法改正で、男性の育児休暇の取得促進が企業に義務づけられ、男性(父親)の育児参加が社会的に浸透しつつあります。保育業における女性と男性のイメージの垣根は今後さらに低くなる傾向にあると言えるでしょう。
給与・勤続年数
保育士を目指す側の懸念点として、一般的な業種・職種と比較して「給料が低い」ことがあげられます。
厚生労働省の資料「保育士の現状と主な取組」では、給与面における男性保育士と他職種での比較もされています。これによれば、全職種の平均的な月収・年収に比べ、保育士の給料は、男女問わず低い傾向にあります。
また、男女比で見れば男性保育士の方が給与額が高くなっていますが、全職種との差は男性保育士の方が大きく開いていることもわかります。
同資料によれば、男性保育士の平均勤続年数は6.2年となっています。女性保育士の平均勤続年数の7.9年に比べて少ないことからも、男性保育士の離職率の高さを見てとることができます。
保護者からの不信感
そのほかに男性保育士の浸透をさまたげる要因には、保護者(利用者)からの不信感が根強くあることがあげられます。
保育士という業務の特性上、着替え、おむつ交換、トイレサポートなどの場に立ち会う必要があります。園児の男女を問わず、男性保育士は保護者から避けられるケースが多いようです。
これは一部の男性保育士が引き起こした性犯罪・性虐待の事件が引き金となり、保護者の不安・不信感が生まれることが原因です。
対応策としては、そもそもの要因である子どもへの性犯罪・虐待をなくし、そのような嗜好を持つ者が保育士業界に流入しないよう、保育業界および社会全体で抑止していく必要があります。
さらに保育士さんとしては、根気よく保護者や子どもたちからの信頼を得る努力を忘れないこと、信頼をおいてもらえる保育実績をつくっていくことが大切でしょう。
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【保育士の男女比】男性保育士のプラス面と将来性
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男性保育士が増えることによるプラス面と、男性保育士の将来性について考えてみましょう。
保育園や利用者側にとってのメリット
保育園で男性保育士が活躍できる要素として、以下のような声がよく聞かれます。
- 体力仕事の際に頼りになる
- 防犯対策になる
- 性別がかたよらないことで多角的な視点で保育の幅が広がる
- 子どもに多様性を知ってもらうことにつながる
男性保育士が保育園にいることで、イベント準備などで重い荷物を運んだり移動させたりといった作業、また子どもたちとの外遊びなど、女性保育士だけでは大変な業務の際にありがたいといった声が多いようです。
ほかにも、不審者などの防犯対策には男性保育士がいる方が圧倒的によい との声もあります。
現場の保育士さんによれば、異性の同僚がいることで、同性だけでは出てこないアイデアや職場の雰囲気づくりに一役かってくれる場面もあるようです。
男性保育士の将来性
性別の規範や社会通念が日々アップデートされている昨今、男性の育児参加が一般的になってきていることで、男性保育士のニーズも今後増えていくことが予想されます。
女性が社会のあらゆる分野で活躍していることに呼応して、今まで女性の独壇場と考えられてきた分野に男性が積極的に進出しています。
このように社会全体の風通しをよくしていくことは、次世代の子どもたちにとっても有意義な未来につながると考えられます。
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【保育士の男女比】知っておきたい「DBS」とは
2023年6月に行なわれたこども政策担当相による記者会見で「日本版DBS」の創設に向けた取り組みが発表されました。
この「DBS」とは、イギリス、ドイツなどヨーロッパを中心に導入がすすめられている制度です。
内容としては、子どもに関わる職業や活動を行なう雇用者が、子どもへの性的虐待の犯罪歴がある者を雇うことを犯罪化し、それを防ぐために雇用時に犯罪歴を照会することを義務づけている ものです。
イギリスでは、教員や保育士、ベビーシッターなど子どもに接する仕事に就く人に対して、過去の性犯罪歴の有無を確認することが認められています。
これを参考に、日本でも同様の職業を対象にした「日本版DBS」を法案化しようというが動きがあり、こども家庭庁が有識者会議でまとめられた関連法案を、2023年秋に予定されている臨時国会に提出する考えを示しました。
この法案が通り、制度をしっかり機能させて保育士や教育関係者の性犯罪を抑止できれば、結果的に男性保育士の地位向上につながり、保育士の男女比にもよい影響が期待できます。
保育士の男女比を近づけて、さらに理想的な保育環境へ
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保育士の男女比は、現状では圧倒的に女性の方が多いことがわかりました。
しかし、男性保育士が増えてきていることや、社会的な課題を解消していくことで、男女がともに保育業界で活躍できる未来は、そう遠くないといえるのではないでしょうか。
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