保育士として保育業界が抱える問題に目を向けておきたいところ。社会問題になっている保育士不足や待機児童がゼロにならない状況など、日本が抱えている問題点を意識することで保育士としてできることがあるかもしれません。今回は、保育士が知っておきたい保育業界が抱える問題について紹介します。あわせて、解決策もまとめました。
milatas/stock.adobe.com
目次
保育士として知っておきたい!保育業界が抱える問題とは
保育士として、保育業界が抱えている問題について考えてみましょう。
ニュースなどでも多く取り上げられているので耳にしたことがあるかもしれませんが、日本は少子化問題を抱えているのにもかかわらず、以前として待機児童が減らない状況です。
また、保育士不足も問題視されています。
保育士さんが気になるこれらの社会問題について、以下にまとめました。
保育士不足
厚生労働省の資料によると、2021年の全職種の有効求人倍率が1.03倍に対し、保育士の有効求人倍率は2.50倍という状況です。
保育士の有効求人倍率は高い水準であることから、採用側が保育士を求めて積極的に雇用を進めている状態であることが伺えます。
参考文献:保育士確保 / 厚生労働省
待機児童問題
日本では、待機児童問題も社会問題として取り上げられています。
待機児童とは、保育園や認定こども園などへの利用申込みを済ませて保育の必要性が認定されていながら、施設を利用できていない子どもの総称です。
女性の就業率が上がり共働き世帯が増加したことも、待機児童を生み出す要因と考えられています。
厚生労働省の「保育所等関連状況取りまとめ」によれば、待機児童数は減少傾向にあるものの解消には至っていない現状であることが分かります。
実は待機児童問題は、保育士不足と深い関係があります。
次より、待機児童や保育士不足など保育業界が抱える問題点について、国などが取り組んでいる解決策をみていきましょう。
参考文献:女性就業率(25~44歳)と保育所等の利用率の推移/厚生労働省
参考文献:保育所等関連状況取りまとめ(令和4年4月1日)及び「新子育て安心プラン」集計結果を公表 /厚生労働省
お問合せ&資料ダウンロード
採用課題・経営課題に関する個別ご相談受付やサービスガイドなどの資料DLはこちらからどうぞ。
まずはお気軽にお問合せください!
【保育業界が抱える問題.1】保育士不足の解決策
milatas/stock.adobe.com
日本は、保育士さんが足りていないという状況が続いています。
まずは、保育士不足を解消するために、行政が実施している支援についてまとめました。
保育士になる道を広げる
保育士不足の原因のひとつとして、保育士資格があっても現場に携わっていない潜在保育士が多いことが挙げられます。
そのため、保育士資格を取得できる養成学校の卒業者や卒業予定者へ保育士の仕事の魅力を伝えるなど、呼びかけを強化しています。
また、これまで年1回しか受験できなかった保育士試験が、2016年からは年2回受験できるようになったことで、より保育士資格を取得しやすくなりました。
参考文献:ハローミライの保育士/厚生労働省
給与改善
保育士さんが離職する理由として、賃金が低いといった声があがっているため、保育士さんの給与改善が行なわれています。
保育士さんの技能や経験に応じて、さらに上乗せされていく仕組みです。
たとえば、経験年数が3年以上の保育士さんを対象に、キャリアアップ研修を実施。
研修を受講後に新たな役職に就くことで、給与に手当が付きます。
参考文献:保育士等キャリアアップ研修ガイドラインの概要/厚生労働省
参考文献:技能・経験に応じた保育士等の処遇改善について/内閣府子ども・子育て本部
参考文献:【資料2-4】処遇改善等加算の運用について/内閣府
保育園の労働環境を整える
保育士さんの労働環境を改善するために、厚生労働省では保育園に向けて次のような取り組みを行なっています。
- 保育士の業務をサポートする保育補助者の雇用を支援
- 保育園にICT(情報通信技術)を導入することにより書類作成業務の労力を軽減
- 3歳児の保育において保育士を手厚く配置している場合、保育園などの運営費を上乗せ
- 宿舎の借り上げを支援(上限月額8万2000円)
3歳児の保育においては通常子ども20人につき保育さんが1人必要ですが、子ども15人につき保育士さんを1人配置することで、保育園に対して追加の運営費が支払われるといった取り組みが行なわれています。
また、保育園を通して宿舎を借り上げるための費用の全部または一部を支援することで、保育士さんが働きやすい環境作りを目指しています。
なお、自治体によって実施していない取り組みもあるようなので、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。
参考文献 :保育士確保 / 厚生労働省
保育士への再就職を促す
保育士・保育園支援センターでは、「ブランクがあるので心配」「育児と両立できるか不安」などの理由で保育士の仕事に復帰することを躊躇している方に向けて、次のような支援を行なっています。
- 保育実技研修を実施
- 保育士として職場復帰の際、就職準備金(上限40万円)の貸付(2年間の勤務で返免除)
- 以前保育士として働いていた方で育児中の人をターゲットとした相談会を実施
- 未就学児がいる保育士さんを対象に、保育料の一部貸付(2年間の勤務で返免除)
なお、保育士としてもう一度働いてみたいと考えている方は、保育士バンク!へ相談してみませんか?
保育現場から一度離れた保育士さんの再就職に向けても、専属のキャリアアドバイザーが親身に対応致します。
読んでおきたいおすすめ記事
【採用担当者向けコラム】保育士の新卒採用やることリスト。テンプレに使えるチェックシートを紹介
新卒採用は計画的に進めることが重要。保育士を目指す学生の動きは年々早期化しているとも言われるため、事前に「やることリスト」をまとめておくとスムーズです。そのうえで、早め早めに動くことが採用成功の近道で...
【採用担当必見】保育施設のお悩み対策診断。今、あなたの園に必要な対策は?
保育施設の運営にまつわる課題は、採用・定着・園児集客など、園によって本当にさまざまです。一体、自園にとって必要な対策は何なのか?「保育施設のお悩み対策診断」を使って調べてみましょう。 &n...
【採用担当者向けコラム】保育士の意向調査実施マニュアル。来年度に向けた準備のポイント
保育士さんに向けて来年度の就業意思を確認する意向調査では、どんなことに配慮して進めるとよいでしょうか。今後の園の運営や保育士さんの育成に関わることなので、慎重に行なうことが大切です。今回は、意向調査の...
【採用担当者向けコラム】意向調査で「退職希望」を示している保育士の引き止めはできる?
意向調査で退職の希望を示している保育士さんの引き止め方を知りたいと感じる採用担当者の方もいるでしょう。保育士不足が続く中、頼りにしていた保育士さんが抜けてしまうと運営が苦しくなりますよね。今回は、意向...
【2024最新】保育士不足が続く原因は?解消に向けた国・自治体・園の対策も解説
なぜ保育士不足が続くのでしょうか。子育て支援の重要性が増す中で、資格を持ちながらも保育士として就業する人が少ない状況を受け、国や自治体ではさまざまな対策を行なっています。今回は、深刻な社会問題でありな...
【2024年最新】学童保育の補助金はいくら?開業や運営に関わる助成金について
全国的に共働き家庭が増えたことで、小学生の居場所となる学童保育の拡充が求められています。実際に学童保育の開業や運営を目指す場合、国や自治体からいくらの補助金を受け取れるのでしょうか。今回は、学童保育の...
【採用担当者向けコラム】保育士の人材紹介手数料は高い?相場や会社による違いを解説!
保育士採用でも利用される「人材紹介」。手数料が何十万にも上ったという話を聞き、利用を迷っている採用担当者の方もいるかもしれません。今回は、保育士の人材紹介について、手数料の相場と費用が高いと言われる理...
【採用担当者向けコラム】真面目な人ほど急に辞めるのはなぜ?保育士が突然退職する理由と対策
真面目な人から急に辞めると告げられて、「何がよくなかったのか…」と頭を抱える採用担当者の方もいるのではないでしょうか。おとなしい人や優秀で勤勉な保育士さんほど、職場にストレスを抱えているかもしれません...
【採用担当者向けコラム】人材紹介会社が保育士さんを紹介してくれないのはなぜ?原因と対策
人材紹介会社を利用したにもかかわらず「保育士さんを紹介してくれない」と悩みを抱える方はいませんか?採用活動がスムーズに進まないと人材不足が解消されず、運営に支障をきたすケースも。今回は人材紹介会社から...
転職フェア出展は意味がない?採用できない?保育士を集客するためのポイント
多くの保育士さんと出会い、自園の魅力を直接伝えられる「転職フェア」。人材確保のチャンスになる機会ですが、出展しても意味がないのでは、採用できないのではと不安を抱く方もいるでしょう。今回は、転職フェアで...
放課後等デイサービスの職員採用の方法は?求める人材に出会うコツ
保育・福祉業界では人材不足が深刻化しており、放課後等デイサービスについても採用に苦戦する施設があるでしょう。特に児童発達支援管理責任者(児発管)の不足は、全国的に大きな課題となっています。今回は、放課...
時短勤務とは?保育園が導入するメリット・デメリットや注意点
2009年度の育児・介護休業法によって制度化された「時短勤務」。正式には短時間勤務制度と呼ばれ、3歳に満たない子を療育する労働者を対象に多くの方が利用しています。今回は時短勤務の概要や対象者、導入状況...
学童保育の経営に必要な基礎知識!開業の流れや必要コスト、成功のポイント
学童保育の開業を考えている方は、開業の流れやランニングコストの目安を把握しておくことが大切です。学童保育を経営するうえで必要な基礎知識をチェックしていきましょう。今回は、学童保育の経営に関する内容や成...
【採用担当者向けコラム】保育士採用で合同説明会に出展するメリット。成功の秘訣
保育事業者にとって合同説明会への出展には、どのようなメリットがあるのでしょうか。採用の成功率をアップするために、出展を検討する採用担当者の方もいるかもしれません。今回は保育士さん向けの合同説明会の活用...
学童保育の採用に人材紹介サービスを利用するメリットと注意点。活用するポイント
学童保育の採用に人材紹介サービスを利用するべきかと悩む事業者の方はいませんか。「手数料が高いのでは?」「希望する人材の紹介が受けられるのか」と不安を抱くこともあるでしょう。今回は、学童保育の採用に人材...
【採用担当者向けコラム】退職代行を使われた時はどうする?保育園に連絡が来た時の対処法
職員から退職代行サービスを利用して退職の申し入れがあった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。連絡が来た時点で直接該当の職員とやり取りすることが難しいため、戸惑ってしまいますよね。今回は退職代行...
ジョハリの窓とは?4つの窓の内容や注意点、具体例をわかりやすく解説
「ジョハリの窓」という自己分析ツールはご存じですか。「開放」「秘密」「盲点」「未知」の4つの窓を用いて、自分や他者からの印象を認識していく手法です。今回は、ジョハリの窓の概要や企業内での導入時の注意点...
今、重要視される「学び直し」は保育士に必要?園側が取り組む具体例
社会人の学び直しが注目されている昨今、雇用側の環境整備が求められます。今回は、保育士の学び直しが必要なのか、園側の取り組みや具体例についてわかりやすく解説します。保育士がやりがいをもって働ける職場を作...
人的資本経営とは?保育園経営に活用するメリットや保育士育成のポイント
人的資本経営とは、企業の人材を「資本」と捉え、人材の価値を高めることで企業価値の向上を目指す経営手法です。近年注目されている経営手法のひとつで、さまざまな企業で導入されています。今回は、人的資本経営の...
学童保育を開業するために必要な資格・条件・補助金制度について徹底解説!
全国的に学童保育の拡充が求められている今、学童保育施設を開業するためには何が必要なのでしょうか。今回は学童保育の開業に必要な条件や手続き、補助金制度などを紹介します。学童保育の開業は主に自治体から業務...
- 同じカテゴリの記事一覧へ
【保育業界が抱える問題.2】待機児童問題の解決策
tatsushi/stock.adobe.com
先述したように、待機児童問題は保育士不足と深い関係があり、保育施設を増やすとなれば保育士の人材確保が必要不可欠となります。
そのため、厚生労働省や自治体は待機児童問題を解消するために、「保育士確保プラン」を掲げて保育士の確保に力を入れています。
待機児童が完全に解消するのは容易ではないかもしれませんが、保育士確保のために保育士さんにとってより働きやすい環境整備が期待できるでしょう。
活き活きと笑顔で働く保育士さんが増えることによって、待機児童問題の解決へとつながるのですね。
参考文献:保育士確保プラン / 厚生労働省
保育士として、保育業界が抱える問題に目を向けてみよう
今回は、保育士として知っておきたい保育士不足と待機児童問題に目を向けてみました。
待機児童問題を解決するためには、保育士不足を解消する必要があります。
そのため、今後も自治体は待機児童を減少させるべく、保育士確保に向けた施策を継続していくことでしょう。
ブランクのある保育士さんや、育児と保育の仕事を両立できるか不安だという方も、前向きに働くことができるかもしれませんね。
なお、保育士バンク!では、保育士資格を活かして働くことができる求人情報を紹介しています。
専属のキャリアアドバイザーが悩みに寄り添い、あなたにぴったりな職場をご提案いたします。
情報収集だけでも大歓迎なので、一度保育士バンク!に相談してみませんか?
お問合せ&資料ダウンロード
採用課題・経営課題に関する個別ご相談、お問合せはこちらからお願い致します。