最近話題の保育士配置基準ですが、一度海外に目を向けてみませんか。国によってさまざまある保育の特色を知ることで、日本とは違う気づきを見つけられるかもしれません。今回は、海外5カ国の保育士配置基準の一例と合わせて、保育の特色も紹介します。各国の違いを知り、文化の違いに基づいた保育を考えてみましょう。
oksix/stock.adobe.com
保育士配置基準から海外の保育を知ろう
日本の保育園では、イタリアのモンテッソーリ教育やドイツのシュタイナー教育など、海外の教育法に自然と触れていることも多いでしょう。
しかし、海外の保育や保育士の働き方などに目を向ける機会は少ないかもしれません。
今回紹介する内容から、海外の保育に触れてみましょう!
【国別】海外の保育士配置基準
下記は、日本の配置基準です。
保育士1名に対して、0歳児は3名、1歳児2歳児は6名、3歳児は20名、4歳児以上は30名という配置基準となっています。
示されている最低配置基準で保育している現場は、過酷な状況も多くあるでしょう。
この基準や保育の特色は、日本の保育だけなのでしょうか?
保育士の配置基準は、国によってだけではなく地域や州によっても異なるようです。
保育士1名に対しての、各国子どもの人数の一例を紹介します。
ドイツ
ドイツは、3歳児以上の子どもが通う保育園は存在せず、幼稚園に通うことになるようです。
保育士配置基準は州法によって規定があるものの、基準にはかなりの違いがあります。
国によって、保育園や幼稚園の位置づけも違ってくるのですね。
<2歳児:保育士1名に対する子どもの人数一例>
- 終日利用:3.75名
- 半日利用:7名
ドイツNRW州では、移民や難民を多く受け入れ、多文化社会の中で就学前教育の革命を積極的に行ってきました。在園児の国の文化や食習慣を紹介する行事を実施し、さまざまな国の文化に触れる機会をつくっているそうです。
スウェーデン
スウェーデンの教育観は「生きることは学ぶことである」。教育制度を伝統的に保持しており、そもそも学校教育は教育の一部ではあるがすべてではない、と考えられているようです。
<就学前学校:保育士1名に対する子どもの人数一例>
- 平均5.2人名
就学前学校とは、いわゆる幼保一体型施設です。
職員配置基準については国は規定しておらず、「子どものケアと教育に必要な人材がいること」という内容は示されているようです。人数で判断するのではなく、質の良い保育をするために必要な人材確保を促すことは、とても大切なことですね。
ニュージーランド
カリキュラムなどが国際的に関心を集めているニュージーランドの保育。
保育時間は1日4時間以内のセッション型と、それ以上の全日型があるようです。
<全日型:保育士1名に対する子どもの人数一例>
- 2歳児未満:5名
- 2歳児以上:10名
日本の保育園は、保育時間が4時間ということはめずらしいかもしれないですね。
また、0歳児と2歳児だと発達の差が大きいにもかかわらず一括りとされているため、国によって捉え方や現状が異なることを物語っているのかもしれません。
アメリカ(ニューヨーク)
アメリカの保育サービスは民間企業などによって比較的安価で提供されているようです。
しかし、現場で働く人の労働条件の水準が低く定着しないという問題も指摘されているそうで、日本と同じ課題を抱えているのですね。
<保育士1名に対する子どもの人数一例>
- 1歳半:5名
- 3歳:7名
- 4歳:8名
- 5歳:9名
アメリカは自由の国。アメリカの保育は、自分を表現する力や個性を伸ばすことを大切にしているようです。
英国は、保育士の取得要件とレベルが規定されているようです。
そのため、配置できる子どもの人数も、保育士のレベルや子どもの年齢の割合によって異なります。
日本では、無資格有資格でしか判断されないため、大きな違いといえるでしょう。
<保育士1名に対する子どもの人数一例>
- 0歳児~2歳未満:3名
- 2歳:4名
- 3歳以上:8名から30名
英国(主にイングランド)
英国は、就学前の子どもが到達すべき発達の姿が明確に打ち出されているようです。
長期的な調査の結果、乳幼児期の育ちに重要と示された内容がカリキュラムなどに反映されています。
報告書/株式会社 シード・プランニング
簡単1分登録!転職相談
転職に関するご質問や情報収集だけでもかまいません。
まずはお気軽にご相談ください!
読んでおきたいおすすめ記事
保育士をサポート・支える仕事特集!異業種への転職も含めた多様な選択肢
保育士の経験を経て、これからは保育士のサポート役として働きたいという方はいませんか?責任の重い仕事だからこそ、人の優しさや支えが必要不可欠な仕事かもしれませんね。今回は、保育士さんをサポートする・支え...
保育士資格を活かせる在宅ワークのお仕事特集!保育関係の自宅でできる仕事を徹底解説
保育士資格を活かせる在宅ワークにはどのような仕事があるのでしょうか。保育園の事務職や保育ママ、保育園業務のサポートなど自宅でできる仕事は意外に多いもの。今回は、保育士資格を活かして働ける在宅ワークの仕...
病院内保育とは。役割や仕事内容、病院内保育士として働くメリット
病院内保育とは、病院や医療施設の中、または隣接する場所に設置されている保育園のことです。保育園の形態のひとつであり、省略して院内保育と呼ばれることもあります。転職を考えている保育士さんの中には、病院内...
子ども・赤ちゃんと関わる仕事31選!資格の有無や保育士以外の仕事を関わる子どもの年齢別に紹介
子どもと関わる仕事というと主に保育園や幼稚園を思い浮かべますが、それ以外にも意外とたくさんあります!今回は赤ちゃんや子どもと関わる仕事31選を紹介!無資格で活躍できる職場もまとめました。子どもと携わる...
保育士を辞める!次の仕事は?キャリアを活かせるおすすめ転職先7選!転職事例も紹介
保育士を辞めたあとに次の仕事を探している方に向けて、資格や経験を活かせる仕事を紹介します。ベビーシッターなど子どもと関わる仕事はもちろん、一般企業での事務職や保育園運営会社での本社勤務といった道も選べ...
保育士から転職したい!転職先としておすすめの異業種22選。保育士以外の仕事やメリット・デメリットも
保育士以外から異業種への転職を考えている際、どのような転職先がおすすめなのでしょうか。今回は、次の仕事として保育士から転職しやすいおすすめの異業種22選を紹介します。保育士から異業種に転職するメリット...
保育園運営会社の仕事内容とは?本社勤務でも保育士資格は必要?働くメリットや求人事情まで
保育園運営会社にはどんな仕事があるのでしょうか?保育園運営会社で働くことは「本社勤務」とも呼ばれ、保育園の運営に携わる仕事として、主に一般企業に就職したい保育士さんにとって人気の高い職種のようです。今...
【2024年最新】保育士に人気の転職先ランキング!異業種や選ばれる職場を一挙公開
保育士の資格を活かして働ける人気の転職先をランキング形式で紹介!企業主導型保育園や病院内保育所、ベビーシッターなど保育士経験やスキルを活かせる職場はたくさんあります!今回は保育施設や異業種別に詳しく紹...
【完全版】保育士資格を活かせる仕事・働ける企業25選!
保育園で保育士として働くのが辛いと感じて、転職を考えているという方がいるかもしれません。しかし、せっかく取得した保育士資格を活かして働きたいですよね!保育士として得たスキルや経験は一般企業や福祉施設、...
【2024年最新版】幼稚園教諭免許は更新が必要?廃止の手続きや期限、対象者をわかりやすく解説
幼稚園教諭免許は更新が必要なのか、費用や手続き方法などを知りたい方もいるでしょう。今回は、2022年7月1日より廃止された教員免許更新制について詳しく、そしてわかりやすく紹介します。幼稚園教諭免許を更...
保育士は年度途中に退職してもいいの?理由の伝え方や挨拶例、再就職への影響
「年度途中で退職したい...けれど勇気が出ない」と悩む保育士さんはいませんか。クラス担任だったり、人手不足だったりすると、退職していいのか躊躇してしまうこともありますよね。そもそも年度途中で辞めるのは...
幼稚園教諭からの転職先特集!資格を活かせる魅力的な仕事18選
仕事量の多さや継続して働くことへの不安などを抱え、幼稚園教諭としての働き方を見直す方はいませんか。幼稚園教諭の転職を検討中の方に向けて、経験やスキルを活かせる18の職場を紹介します。保育系の仕事から一...
【2024年度】放課後児童支援員の給料はいくら?年代別の年収やこの先給与は上がるのかを解説
放課後児童クラブや児童館などで働く「放課後児童支援員」の平均給料はいくらなのでしょうか。別名「学童支援員」とも呼ばれ、「給与が低い」というイメージがあるようですが、国からの処遇改善制度などにより、これ...
保育士が働ける保育士以外の仕事21選。資格や経験を活かせるおすすめの就職先
保育園以外の職場に転職・就職先を探す保育士さんもいるでしょう。今回は企業内保育所や託児施設、児童福祉施設など、保育士さんが働ける保育園以外の職場を21施設紹介!自身の働き方や保育観を見つめ直し、勤務先...
- 同じカテゴリの記事一覧へ
海外の保育士配置基準:日本人でも求人に応募は可能?
kimi/stock.adobe.com
海外の保育士求人は、日本人、または日本在住でも応募可能なものもあります。
しかし、各国のライセンス取得や語学の習得が必要な場合も多いため、時間をかけて計画をしておく必要がありますね。
ドイツなどのように多文化理解に勤めている保育園の場合、ひとつの園にさまざまな国籍の保育士がいることで、子どもに合わせて母語での対応を行えたり、保護者や子どもに安心感を与えたりすることができるメリットもあるでしょう。
保育士さん自身の意識変容につながるようです。
参考文献:(3)制度、保育サービス、保育者(小宮山潔子)/国立保健医療科学院
参考文献:「保育学研究」第 55 巻第 2 号 2017 年(論文)/J-STAGE
出典:4保育サービス/内閣府
出典:保育の現状/内閣府
出典:諸外国における保育の質の捉え方・示し方に関する研究会報告書(株式会社 シード・プランニング)/厚生労働省
海外の保育士配置基準を見て感じたことを今後の働き方に活かそう
海外の保育士配置基準の一例と保育の特色を紹介しました。
さまざまな国の配置基準を見て、保育士さんはどう感じましたか?
「余裕があってうらやましい」「意外に大変そう」など感じ方はそれぞれですが、ゆとりある配置基準や働き方を、日本で実現できるとよいですね。
保育士バンク!では、海外研修のある企業や外国の教育法を取り入れた園など、さまざまな求人を紹介しています。
海外の保育に興味がある保育士さんは、ぜひお問い合わせください♪
もちろん、「今の保育園は、配置基準がギリギリでつらい」などのお悩みも、お気軽にご相談くださいね!