保育中、119番通報をしたことはありますか?もちろん、そのような経験はないことが一番です。しかし、総務省消防庁が制定した11月9日「119番の日」ではあえて、万が一のことを想定してみましょう。 「防災」という意味を子どもに伝えるのは少し難しいですが、保育者自身の理解を深めた上で、楽しく保育に取り入れられるアイデアを紹介します。防災意識の高い保育園を子どもたちといっしょに作っていきましょう!

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【119番の日】とは
1987年、現在の総務省消防庁によって「119番の日」が制定されました。
日付は「119番の日」にちなんで11月9日。
防災意識を高め、防災体制を確立させることが目的です。
この日を機に、防災についての正しい知識や対応を身に着け、備えていきましょう。
119番の日の由来
なぜ11月9日が119番の日なのかはなんとなく想像がつきますね。
「消防の通報番号が119だから」というのも理由も由来の一つですが、「秋季全国火災予防運動」の初日が11月9日だからという理由もあります。
ちなみに、1月19日は「火災消火器点検の日」と制定されています。
11月9日は何をするの?
特に決められた過ごし方はありませんが、保育園では防災への意識が高まるような取り組みを考えましょう。
また、秋は「火災が発生しやすい時期」と言われています。
冬が近づくにつれて空気が乾燥し、暖房器具の利用も増えることがその要因です。
このようなこともふまえ、保育園での子どもとの過ごし方を考えていきましょう。
【119番の日】保育園での子どもとの過ごし方
11月9日がなぜ119番の日なのか、ピンと来る子どももいるかもしれません。
しかし、防災について理解することは子どもたちにとってあまり馴染みのない場合もあるでしょう。
楽しく防災に親しむことが子どもたちの防災意識を育む一歩につながります。
まずは「防災」とは何か、を伝えましょう。
「防災」とは、いつ起こるか分からない災害に対して心構えをし、備えることです。
子どもたちには、なぜ防災が必要なのかを伝える必要があります。
大好きな家族や友だち、そして自分自身の命を守るために大切なことだと伝えましょう。
救急車、消防車を知ろう
救急車や消防車は、絵本や図鑑で見たり、散歩で見かけたりなど、子どもたちにも馴染みのある乗り物ですね。
それぞれの役割を知ることで、もっと乗り物が大好きになり、防災への関心が深まることもあるでしょう。まずは楽しく、防災へ親しむことから始めます。
救急車の役割ってなに?
救急車は、病気や怪我をした人を乗せて病院に連れていくよ。
その人たちを助けるために、救急車の中では治療や手当が行われているんだよ。
消防車ってなに?
消防車は、火事が起きた時に火を消すよ。
他にも、怪我や病気で動けないけど4階や5階の高い場所にいるから困っている、という人を助け出すこともできるよ。
救急車と消防車の違いってなに?
救急車は怪我や病気で動けない時に呼ぶ車、消防車は火事や建物から出られなくて困っている時に呼ぶ車だね。
紹介するときのポイント
紹介する時は、写真を使って説明しましょう。
また、乗り物の中や運転席などの写真などもあると子どもたちの興味も深まります。
話を始める導入として、「はたらくくるま」の歌を歌ったり、ペープサートを見たりしても楽しいですね。
119番通報の様子を見てみよう
「救急車や消防車の役割は分かったけど、どうやったら来てもらえるの?」
そんな疑問を持てるような話の進め方にしましょう。
実際に起こりうる想定を、保育士さんたちが寸劇風にして見せるのもいいですね。
119番通報の流れを紹介します。

通報者
電話で119を押す

消防署
119番消防署です。火事ですか?救急ですか?

通報者
(火事か怪我なのか)答える

消防署
住所を教えてください。

通報者
東京都〇〇区〇〇丁目・・・(現場の住所を伝える)

消防署
あなたの名前と連絡先を教えてください。

通報者
〇〇(名前)です。電話番号は03‐〇〇〇‐〇〇〇です。
火事の場合

消防署
何か燃えていますか?

通報者
保育園の〇が燃えています。

消防署
初期消火はしましたか?

通報者
現在〇名の保育士が初期消火中です。

消防署
避難状況はどうですか?

通報者
現在避難中です。

消防署
あなた自身は安全な場所から通報していますか?

通報者
はい、安全な場所で通報しています。

消防署
現在、消防車がそちらに向かって出動しています。サイレンの音が聞こえたら手を振って誘導してください。
救急の場合

消防署
何歳の方が、どうされましたか?

通報者
〇歳の子どもが〇〇をしていて〇〇な状態です。

消防署
かかりつけの病院はありますか?

通報者
〇〇病院です。

消防署
何の病気で通院していますか?

通報者
〇〇です。

消防署
あなた自身は安全な場所から通報していますか?

通報者
安全な場所で通報しています。

消防署
日頃飲んでいる薬はありますか?

通報者
〇〇です。

消防署
現在、救急車がそちらに向かって出動しています。サイレンの音が聴こえたら手を振って誘導してください。

通報者
到着するまでの応急処置を確認して行う
通報時のポイント
住所は正しく伝えましょう。電話が置かれている付近や避難ヘルメット、散歩リュックに園の住所が書かれたシールなどを貼っておくと、いざとなったときに役に立ちます。
また、電話の際は電話番号を正しく伝え、常につながる状態にしましょう。救急隊員から電話がかかってくる場合があります。
落ち着いてその場の状況を正しく伝えることを意識してくださいね。
「こんな時どうする?」をみんなで考えよう
緊急時、保育園の子どもたちが119番通報をすることはほぼありません。
しかし、実際にやってみたり考えてみたりすることで子どもが自分事として捉えることができ、関心を深めることができます。
119番通報ごっこ
紹介した119番のかけ方の流れをやってみましょう。
子どもが通報者役になってもよいですが、消防署役になるのも消防士さんの気分が味わえて楽しいですね。
電話を用意したり、状況設定をして写真を用意したりして、より想像しやすい工夫を取り入れましょう。
また、通報の順序をイラストなどで表現するのもよいですね。
クイズ形式で行う
場面想定を子どもたちに伝え、救急車か消防車どちらを呼ぶべきかなどを楽しいクイズ形式で考えてみましょう。
写真やイラストを用意したり、「散歩中に転んで動けません」など保育園の活動にかかわる状況を設定したりすることで、子どもたちもイメージしやすくなりますね。
消防車を間近で見よう
一般市民向けに消防署見学を行っているところは多くあります。
保育園での活動となると大人数で伺うことになるため、事前に近くの消防署に確認をしましょう。
また、保育園訪問を実施しているところもあります。
実物の消防車や消防士さんを目の前で見ることは、貴重な体験となり、防災への関心を深めることができますね。
防災訓練をしよう

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子どもたちが、防災について理解を深めた上で訓練することは、訓練の大切さや意識の高まりにつながるでしょう。
火事で逃げる以外にも、救急の場合は患者に近づかない、先生の話を聞いて動くなど、子どもたちが冷静に居られることも大切になります。
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【119番の日】保育者自身の備えを見直そう

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認可保育園では、毎月1回避難訓練を行うことが義務付けられています。
想定外のことばかりの中で、冷静に判断をしなければなりません。
月に1度行われる避難訓練は、命を守るために大切な備えとなり、保育士さんの判断で命を救うことができます。
119番の日を期に、保育園としての防災や備えを見直してみませんか?
場面を想定し対応を考えよう
- 散歩中子どもが頭を打ち動かない
- 子どもが痙攣し始めた
- 子どもが食事を喉に詰め窒息している
- 給食室から出火している
このようなさまざまな場面を想定して、保育士さんたちで対応を考えていきましょう。
通報訓練をしよう
紹介した119番通報の流れを実践したあと、必ず振り返りをしましょう。
「保育園の住所ってなんだったかな」「保育園の電話番号がぱっと出てこない」「今飲んでいる薬は把握していない」など、シミュレーションしたからこそ気づけることがあります。
こうした気づきが防災意識の高い保育園作りにつながりますよ。
保護者にも防災を呼びかけよう
忙しい保護者の方に対して、「家庭のことに口を出すのは気が引ける」という保育士さんもいるかもしれません。
しかし、防災は子どもとそのご家族を守るとても大切な意識です。
119番の日には、ご家庭の防災を考えるよう呼びかけましょう。
また、防災時は保育園との連携の見直しも大切です。
かかりつけ医や飲んでいる薬、緊急連絡先に変更はないかなどを改めて確認しましょう。
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今回は119番の日をきっかけに、防災への備えを高める内容を紹介しました。
乳児さんにはまだ難しい内容ですが、まずは救急車や消防車の紹介などを取り入れてみてください。
視覚的に見て楽しむことで防災への興味を持つきっかけになるとよいですね。
話の理解が進んだ幼児さんからは、実践しながら救急や消防の場面をイメージすることで意識を高めていきましょう。大人も子どもも、命を守ることの大切さを考える1日にしてみてくださいね。
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