夏の暑い時期、保育園で特に気をつけたい熱中症対策。子どもは大人に比べてリスクが高いと言われており、気づかないうちに重症化してしまうケースもあるようです。原因などを押さえておけば、外遊びやプール活動の際にも気をつけることができるでしょう。今回は、熱中症の原因や症状、対策のポイントを紹介します。

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熱中症の原因と症状
熱中症とは、高温環境下で体温調節をするために汗をかくことで体内の水分や塩分のバランスが崩れ、体温が上昇して引き起こされるさまざまな障害の総称です。
夏の暑い時期になると、保育園でも「熱中症に気をつけて活動しましょう」といった注意がされることがあるでしょう。しかし保育士さんのなかには、そもそも熱中症とはどのようなものなのかくわしく知らない方もいるのではないでしょうか。
まずは、熱中症の主な原因と症状からくわしく見ていきましょう。
原因
熱中症は、「環境」「からだ」「行動」の3つの原因から発症するようです。それぞれの要因について確認しましょう。
環境
「環境」の要因として、以下が挙げられます。
- 気温が高い
- 湿度が高い
- 風が弱い
- 日差しが強い
- 閉め切った室内
- 空調設備がない
- 熱波の襲来
日差しの強い場所や高温多湿な環境が熱中症の一つの要因です。
このような環境下では、熱を体外へ逃がす「熱放散」が減少したり、汗の蒸発が不十分になったりするため、熱中症が発生しやすくなるといわれています。
からだ
「からだ」の要因として、以下が挙げられます。
- 高齢者や乳幼児、肥満
- 持病(糖尿病、心臓病など)がある
- 低栄養状態
- 下痢などによる脱水状態
- 寝不足などの体調不良
このように、病気や体調不良といった体の要因から発症することもあるようです。
特に乳幼児は地表から近いため大人より暑さを感じやすく、また熱放散の機能が未発達のため、大人よりリスクが高いといわれています。
行動

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「行動」の要因として、以下が挙げられます。
- 激しい筋肉運動
- 慣れない運動
- 長時間の屋外作業
- 水分補給をしていない
汗は水分と共にミネラルも体外に放出しているようです。運動などによって汗をかくと、水分・塩分不足になり、血液の循環が鈍って熱中症を発症しやすくなるかもしれません。
また、感染症対策としてマスクをする機会も多いでしょう。
マスクをしていると皮膚からの熱が逃げにくくなることから、通常よりリスクが上がるとされているため、より注意が必要です。
症状
次に、熱中症の症状について説明します。熱中症の症状は、重症度や緊急度によって以下の「Ⅰ度」、「Ⅱ度」、「Ⅲ度」に分類されます。
Ⅰ度(軽度)
- 熱失神:「立ちくらみ」という状態で、脳への血流が瞬間的に不充分になったことを示します。
- 熱けいれん:筋肉の「こむら返り」のことで、その部分の痛みや硬直を伴います。発汗に伴う塩分の欠乏により生じます。
このほか、手足のしびれや気分の不快を感じることもあるようです。
Ⅱ度(中度)
- 熱疲労:頭痛・吐き気・嘔吐・倦怠感・虚脱感の症状があります。
体がぐったりする、力が入らないなどするほか、「いつもと様子が違う」程度のごく軽い意識障害を認めることがあるようです。
Ⅲ度(重度)
- 熱射病:Ⅱ度の症状に加えて、意識障害やけいれん、手足の運動障害がある状態を指します。
呼びかけへの反応がおかしい、全身のけいれんがある、まっすぐ歩けないといった症状が見られるようです。また、体が高体温と呼ばれる40℃近い状態になり、体に触ると「熱い」という感触になります。
これらの症状は、脱水や塩分の不足、循環不全、体温上昇などがさまざまな程度に組み合わさって現れるようです。重症と気づいたら、すぐに救急車を呼ぶなどの処置が必要になることもあるでしょう。
特に子どもの場合、自身の不調に気づいたり、訴えたりすることが難しい場合もあるかもしれないので、保育士さんが常に子どもの様子に気を配ることが大切です。
熱中症の基礎知識を押さえたところで、ここからは、保育園で取り組める熱中症対策について紹介します。
保育園での活動中に取り組める熱中症対策
保育園での熱中症対策として、活動中に取り組める具体例を紹介します。
暑さ指数をチェックする
保育園での活動を決める際に、暑さ指数をチェックしましょう。
暑さ指数(WBGT)とは、「Wet Bulb Globe Temperature」=湿球黒球温度を指し、熱中症を予防することを目的として1954年にアメリカで提案された指標です。
数値によって注意すべき日常生活や運動の指針がわかります。
その日の数値をチェックすることで熱中症の警戒レベルを把握できるため、保育園での活動や環境設定の目安となるでしょう。
暑さ指数(WBGT)は環境省の「熱中症予防情報サイト」にて随時確認することができます。
その日・その地域の暑さ指数をもとに、どのような注意が必要か確認してから活動内容を決定するようにしましょう。
子どもの顔色や汗のかき方を観察する

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子どもの顔色や汗のかき方に異常がないか、常に観察して確認することも対策の一つです。
子どもが自ら不調を訴えることはなくとも、顔が赤い、ひどく汗をかいているなどの様子がみられる場合には、身体の内部の温度が上昇している可能性があるかもしれません。
観察中にもし異常を感じたら、涼しい場所に移動し休息を促すなど適切な処置をするようにしましょう。
高温多湿の環境を避ける
熱中症は高温多湿の環境で起きやすいとされているため、できるだけそういった環境を避けることが予防対策になるでしょう。
具体的には、以下のようなことが挙げられます。
- 通気性のよい服装を心がける
- 外遊びをする際は、直射日光を避けるため帽子を着用し、できるだけ日影で活動する
- 屋外でのプール活動は短時間にする
- 室内では遮光カーテンや空調を活用して涼しさを保つ
- 換気を行い室内の風通しをよくする
これらの対策をすることで、高温多湿の環境を避けることができるかもしれません。天候や外気温とのバランスも見ながら、環境設定をすることが大切です。
こまめに水分補給をする
こまめに水分補給することも、熱中症対策の一つといえるでしょう。
暑い日は知らぬ間に汗をかいていることもあります。外遊び・室内遊びなどの活動前後や午睡後のほか、水中でも汗をかくことがあるためプール活動のあとにも必ず水分を摂るようにしましょう。
1時間ごとに行うなどの工夫をして、子ども自身が「喉が渇いた」と言う前に水分補給して予防することが大切です。
保育園での日常的な飲み物としては、水や麦茶が適しているかもしれません。
また緊急時の飲み物として、脱水した体に吸収されやすい「経口補水液」を常備しておくと、いざというときにも役立ちそうです。
暑さに備えた体づくりをする
熱中症対策として、暑さに備えた体づくりも大切になります。
熱中症は、体がまだ暑さに慣れていないとき(梅雨の合間に突然気温が上がった日や急に蒸し暑くなった日)に起こりやすいとされているようです。
暑さに備えるためには、5月~6月頃から日常的に適度な運動を取り入れて汗をかくことに慣れておくとよいでしょう。
それにより熱中症になりにくい体づくりができ、暑い時期でも短時間の外遊びやプール活動といった運動を楽しめるかもしれません。
熱中症対策としてどのように子どもたちの体調を管理するか、気候によってどう過ごすかといったことは、事前に保育士さんたちの間で情報を共有しておきましょう。
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熱中症対策として覚えておきたい保育園での緊急処置
子どもに熱中症が疑われる症状が見られた場合、どのように対処すればよいのでしょうか。最後に、熱中症対策として覚えておきたい保育園での緊急処置の方法を紹介します。
熱中症の症状が見られ、呼びかけに反応がある場合

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熱中症の症状が見られ、呼びかけに反応がある場合には、以下の処置をしましょう。
1.風通しのよい日陰や、空調のある室内などに移動する。
2.上着を脱がせて、体から熱の放散を助ける。
3.氷を包んだものや冷たい水を入れたペットボトル、濡れタオルなどを用意し、首・脇の下・太ももの付け根を重点的に冷やす。
4.冷たい飲み物を用意し、水分補給をさせる。多量の発汗がある場合は、経口補水液や食塩水を飲ませる。
ただし、自力で水分の摂取ができないときは、塩分を含め点滴で補う必要があるので、緊急で医療機関へ搬送することが最優先です。
自力で水分を摂ることができ、症状が改善したらそのまましばらく安静にして様子を見ましょう。
熱中症の症状が見られ、呼びかけに反応がない場合
熱中症の症状が見られ、呼びかけに応じない・意識がない場合はすぐに救急車を呼びましょう。
救急車を待つ間に涼しい場所へ避難し、服をゆるめて体を冷やすことが大切です。すぐに氷のうなどで首や脇の下、太ももの付け根を冷やしましょう。
呼びかけへの反応が悪いときや自力で水を飲めない状態にあるときに水を飲ませると、誤って水分が気道に流れ込む可能性があるようです。そのため、無理に水を飲ませることは避けましょう。
また、保育士さんから医療機関へ、子どもの年齢や体格、「いつ・どのような状況で・どのような症状が見られたか」といった情報を伝えることも重要になるので、状況を整理しておくとよいかもしれません。
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今回は、熱中症の原因や症状といった基礎知識と、保育園での予防対策について紹介しました。
熱中症予防のポイントとして、暑さ指数をもとに活動内容を決めることや高温多湿な環境を避けること、こまめな水分補給を心がけることなどが挙げられます。
子どもは特にリスクが高いとされているため、外遊びやプール活動などにおいて保育士さんが注意深く観察することが大切です。
夏の暑い時期でも子どもたちが元気に過ごせるよう、万全な熱中症対策を行いましょう。
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