保育士不足が問題視されているなか、自治体は人材確保に向けてさまざまな取り組みを実施しています。しかし、2021年3月に実施した弊社独自のアンケート調査によると、約6~7割の保育士さんがどんな支援制度があるか知らないという結果に。そこで今回は、保育士さんが利用できる自治体の支援策や補助金について解説します。上手く活用して働きやすさ向上を目指しましょう。
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保育士向けの支援制度を知ろう
保育士さん向けの支援制度があることをご存じでしょうか。
低賃金や人材不足などが叫ばれるなか、国は「子ども・子育て支援新制度」において、保育士さんの処遇改善を目的とした、キャリアパスの構築や賃金アップに取り組んでいます。
また多くの自治体においても、より長く安定して働いてもらえるようにと、保育士支援を推進するさまざまな施策を打ち出しているようです。
しかし、自治体によってはたくさんの支援制度があるため、どんな内容で誰を対象としているのかなど、詳細がわかりづらいと感じている方もいるかもしれません。
【保育士へのアンケート】支援制度について知っている?
実際、弊社が実施した独自のアンケート調査によると、保育士に関する自治体の支援制度・補助金について、「まったく知らない」が55.4%。「なんとなく知っている」が40%、「詳しく知っている」はわずか4.2%という結果に。
保育士支援に前向きに取り組んでいる自治体が多い一方で、保育士さんに十分に情報が届いていない現状があるようです。
Q1.お勤めの園が所在する自治体の、保育士に対する支援制度や補助金(例:奨学金の返済支援や住居借り上げ支援等)について知っていますか?
「現在勤めている園が所在する自治体の、保育士に対する支援制度や補助金を活用しているか」という質問には、「活用していない」が76.2%、「活用している」という回答は約16.2%に留まりました。
さらにこんな結果も。
Q3.支援制度や補助金を活用していないと回答した方にお伺いします。その理由をお聞かせください。
支援制度や補助金を活用していない理由は、「知らない・わからない」が最多という結果に。
続く「各自治体が支援制度や補助金などを説明しているホームページを見たことがあるか」という質問では、「見たことがない」が約80%に留まっています。
また、約63.8%の保育士さんが、支援制度・補助金について説明しているページを「わかりづらい」と感じたことがあると回答。理由として、「補助金や施策に関する説明文が難しい」「対象者や制限などが複雑で自身が対象かわかりづらい」といった声が多く挙がりました。
これらのアンケート結果より、保育士さんが自治体の支援制度や補助金に関する正しい知識を十分に得られていないことがうかがえます。
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国や自治体が行なう保育士向けの支援制度
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こうした現状をふまえ、保育士さんが利用できる国や自治体による支援制度をわかりやすく解説していきます。家賃補助や処遇改善など、支援の目的別にまとめました。
家賃補助
保育士宿舎借り上げ支援制度
「保育士宿舎借り上げ支援制度」は、事業者が保育士用の宿舎を借り上げる際にかかる費用を、国と自治体が支援するものです。保育士さんにとって働きやすい環境を整備することを目的として実施されています。
補助金支給の対象となるのは保育施設などの事業者ですが、対象となっている保育園に勤務することで保育士さんが利用できます。
支給対象は採用されてから10年以内の保育士さんで、補助金額は月額8万2000円が上限です。
この制度を採用している横浜市や川崎市、世田谷区など一部自治体では2021年度末まで実施することが決定されていますが、それ以降の事業継続については現在検討中の段階です。
自治体独自の住宅支援制度
自治体が独自に住宅手当を支給しているケースもあります。
葛飾区が実施する「住宅手当扶助」は、保育園が職員に対して支給している住宅手当を増額する場合、その費用のうち月額1万円までを区が負担する制度です。
これは葛飾区が保育園に対して補助金を出すものですが、前述した「保育士宿舎借り上げ支援事業」とは異なり、住居や経験年数、人数等の制限はありません。
賃貸物件でなくても保育園が手当を支給していれば対象となるため、住宅手当を採用している園に勤めれば金額アップが見込めるかもしれません。
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出典:葛飾区の保育人材確保に関する取組み/葛飾区ホームページ
就職・再就職支援
保育士就職準備金貸付
「保育士就職準備金貸付」は、保育士資格を持ちながら保育士として勤務していない方が新しく保育所への就職を希望する際、準備に必要な資金を貸付ける事業です。
スムーズな就職の支援による保育人材の確保を目的としており、一部の自治体で実施されています。
貸付けの対象は自治体によって異なりますが、おおむね以下の条件を満たしている場合対象者に該当するかもしれません。
- 保育士登録から1年以上経過している
- 保育所等を離職している、あるいは勤務経験がない
- 県内の保育所にて保育士として1週間に20時間以上勤務する予定
金額も自治体によってさまざまですが、なかには1人1回に限り最大40万円貸付ける自治体もあり、地域の保育所等で数年間従事すれば返還が免除になる措置も取られています。
未就学児を持つ保育士に対する保育料の一部貸付事業
「未就学児を持つ保育士に対する保育料の一部貸付事業」は、未就学児を持つ保育士さんが子どもを保育園に預ける際にかかる保育料の一部を貸付ける事業です。
市区町村内の保育所で新たに勤務を始める方や、産休・育休などから職場復帰する方が対象となります。
貸付けの要件や金額、期間は自治体ごとに異なりますが、一般的に保育利用料の半額を最長1年間貸付けるケースが多いかもしれません。また、要件を満たせば返還が免除される仕組みも整っています。
保育士の子どもの保育所入所における優遇措置
「保育士の子どもの保育所入所における優遇措置」は、その市区町村で新しく働く保育士さんが子どもの保育所利用を申し込んだ場合、優先的に入所できるように配慮する制度です。
優先入所に配慮することで保育士さんの現場復帰を支援することを目的としており、一部の自治体で実施されています。
該当エリアに在住したり既定の勤務時間をクリアしたりと、自治体ごとの要件を満たせば対象となります。ただし、子どもの保育園入所を確実に保証するものではないようなので注意が必要ですね。
出典:保育士等の子どもの優先入所等に係る取扱いについて/内閣府
未就学児を持つ保育士に対する預かり支援事業料の一部貸付事業
「未就学児を持つ保育士に対する預かり支援事業料の一部貸付事業」は、未就学児を育てる保育士さんが子どもの預かり支援事業を利用する場合、利用料金の一部を貸付ける事業です。
保育人材の確保・定着を目的として実施されており、該当地域の保育所に勤めながら未就学児を育てる保育士さんが対象となります。
貸付金額や期間は自治体によって異なりますが、一般的に最長2年間、預かり支援利用料の半額を貸付けるケースが多いようです。
2年間継続して保育士として勤務すれば、返還が免除になる措置も取られています。
労働環境・処遇改善
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保育補助者雇上強化事業
「保育補助者雇上強化事業」は、保育士さんの労働環境改善などに積極的に取り組んでいる事業者を対象に、保育士資格を持たない短時間勤務の保育補助者の雇用に必要な費用を自治体が支援するものです。
保育所等における保育士さんの負担を軽減し、離職防止を図ることを目的として国が実施しています。
この事業は保育事業者を対象としているものの、保育補助者の雇用に力を入れている対象施設で働けば、自身の働きやすさ改善につながるかもしれませんね。
キャリアアップ補助金
「キャリアアップ補助金」は、保育士さんのキャリアアップに向けた取り組みを実施する事業者に対して、必要な費用の一部を補助する制度です。
東京都で実施されており、キャリアアップに取り組む事業者への支援を通して保育士さんの確保・定着を図り、保育サービスの向上を目指すことを目的としています。
補助金のうち2分の1以上は賃金改善に充てることになっているようなので、対象の施設に勤めれば、賃金アップが見込めるかもしれませんね。
保育士等奨学金返済支援事業補助金
「保育士等奨学金返済支援事業補助金」は、奨学金を利用して保育士資格を取得した地域の私立保育所等に勤務する保育士さんに対して、奨学金の返済額の全部あるいは一部を補助する制度です。
自治体によって、補助金を直接保育士さんに支給するケースと、奨学金返済の支援をしている事業所に対して補助金を支払う場合があるようです。
また、対象者も自治体によって異なるので、くわしい要件はホームページなどで確認しておきましょう。
処遇改善等加算Ⅱ
「処遇改善等加算Ⅱ」は保育士さんの段階的なキャリアアップを目的に開始された制度です。
これまで、保育士には園長や主任保育士などの一部の役職しかありませんでした。
そこで、職務分野別リーダーや副主任保育士、専門リーダーを新しく設置し、保育士さんのキャリアアップと処遇改善を支援しています。
この処遇改善等加算Ⅱでは、処遇改善の対象となる職員に対し一定の研修の修了を要件として定めています。
しかし現在、受講の負担を考慮して2021年までは研修要件を課さず、2022年からの運用開始を目指す方針が示されています。
出典:処遇改善等加算Ⅱの研修修了要件の必須化時期の取扱いについて/内閣府
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今回は、保育士向けの支援制度について紹介しました。
保育士不足の現状をふまえて、国や自治体は人材確保を目的としたさまざまな支援策を打ち出しています。
しかし、弊社が実施した独自のアンケートより、保育士さんは制度について十分に理解できていない現状が明らかになりました。
自治体によって違いはあるものの、保育士向けの再就職支援や処遇改善、家賃補助など多様な取り組みが推進されています。
今回の記事を参考に、補助金や支援制度についての知識を深め、積極的に活用して働きやすさアップを目指しましょう。
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