保育園の一大イベントである卒園式や入園式。新型コロナウイルスの流行に伴い、これまでとは異なる対応が求められることでしょう。子どもや保護者の方、職員への感染を防ぐために、どのような対策を講じるべきなのでしょうか。今回は、卒園式や入園式に向けた対策について、2020年度に実施された事例を紹介します。
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目次
コロナ禍の卒園式・入園式、どう対策するべき?
新型コロナウイルスの流行によって、生活スタイルなどさまざまな変化が求められた2020年。
いまだ収束する見込みが立っていないこともあり、保育園では依然として特別な対応が必要になることでしょう。
なかでも、これから控える卒園式や入園式の実施について、頭を悩ませている先生も多いかもしれません。
保育園で行う式典は、一つの会場に子どもや保護者、職員が集まるため、感染リスクが高まりやすい状況にあります。
参加者の感染を予防するためにも、マスクの着用やアルコール消毒など基本的な対策のほかに、式典ならではの慎重な対策を講じることが大切になります。
では、具体的にどのような対策を行えばよいのでしょうか。
今回は、2020年度の卒園式や入園式で実施された、実際の対策事例を紹介します。
コロナ禍における卒園式・入園式の対策:前日までの準備
まずは、卒園式や入園式の前日までに実施された準備をまとめました。
会場全体の消毒
保育園では、体育館やホールなどを会場とすることが多いため、事前に会場全体の消毒を行ったという園がやはり多くありました。
床や壁、窓や出入り口のドアノブなど、これから実施する際もあらかじめあらゆる場所を消毒し、除菌しておくことが大切です。
また、会場だけでなく、園内の廊下や受付などもあわせて消毒しておくと、安心して当日を迎えられそうですね。
間隔を空けて座席を配置
式に出席する子ども、保護者の方、職員用の椅子は間隔を空けて配置し、ソーシャルディスタンスを保つための対策を行った園もあります。
座席を詰めて並べないようにすることで、隣の席の人との接触を減らし、感染リスクを軽減させることにつながるかもしれません。
会場入り口にアルコール消毒液を設置
多くの園で、式典の会場の入口にアルコール消毒液が設置されていました。
会場だけでなく保育園の玄関や受付など、人の往来がある各場所に消毒液を設置していた園が多かったようです。
今後実施を予定している場合は、子どもたちや保護者の方に、会場に入る前に必ず手指を消毒することを呼びかけましょう。
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コロナ禍における卒園式・入園式の対策:当日の対応
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次に、コロナ禍における卒園式や入園式当日に必要となる対応をまとめました。
出席できる保護者の人数制限
多くの園で、卒園式や入園式に参加できる保護者の方の人数が制限されました。
この対策は、参加人数を最小限に減らすことで、人の密集状態を避けることが目的です。また、座席同士の間隔を空けるために、椅子の数を減らす必要があることも関係しているでしょう。
保護者1人のみ、あるいは2人までなど園によって制限の人数は異なりますが、未就学児や小学生など、子どもたちの兄弟の参列は控えてもらう方が安心かもしれません。
会場のこまめな換気
屋内の空気を循環させるために、会場をこまめに換気していた園も多いようです。
また、なかには式の最中窓を開けたままにして感染対策を実施したという園もあります。
新型コロナウイルスの集団感染は、換気の悪い密閉空間で起きやすいと言われています。
感染リスクを低下させるためにも、式典のなかで適宜休憩時間などを設けて、5分程度空気の入れ替えを行いましょう。
もし窓を開けたままにする場合には、前もって保護者の方におたよりなどでその旨を伝え、防寒具を着用するなど、寒さをしのげるような格好をしてきてもらうよう呼びかけておきましょう。
式典の分散実施や時間短縮
式典を分けて実施したり全体の時間を短縮したりと、開催方式を柔軟に工夫した園もあります。
たとえば、午前と午後の2回に分けたり、式の内容を簡素化して早めに終わらせたりする方法が考えられるでしょう。
会場に人が密集している状態を避けることができれば、長時間その場に滞在することなく、感染リスクを抑えることにつながりそうです。
卒園児、保護者、職員以外の参加取りやめ
卒園式や入園式に参加する人を、卒園児・保護者の方・職員に限定した園も多くあります。
在園児
これまでの卒園式には、在園児の代表として4歳児クラスの子どもたちが出席していた園も多いでしょう。また入園式には、年長クラスである5歳児が参加していた園もあるかもしれません。
しかしコロナ禍における状況では、参加人数を減らして在園児の出席を見送り、感染のリスクを最小限に抑えることが大切です。
来賓の方
入園式や卒園式などの大事な式典には、来賓の方が参列するのが基本でしょう。しかし、コロナ禍においては、来賓の方の参加を取りやめている園が多かったようです。
卒園児や保護者の方はもちろん、外部の方に感染を広げないための対策として必要なことと言えるでしょう。
マスク着用の呼びかけ
今では基本の対策とされていますが、参加者全員にマスクの着用を呼びかけることは必須でしょう。
特に式典では、歌を歌ったり先生からのお話があったりしますよね。
声をかけることが多い場面だからこそ、マスクをつけて飛沫が飛ばないように対策することが大切です。
また、子どもや保護者の方に向けて、こまめな手洗いやうがいの徹底も呼びかけましょう。
参加者全員の検温
卒園式や入園式の当日、職員も含めた全員の検温を実施した園は多かったようです。
具体的に、園のホームページで以下のような周知を保護者の方へ掲示していた園がありました。
- 参列者は当日の朝、必ず検温を行い、37.0℃以上ある方、もしくは家族に風邪の症状がある場合は出席を見合わせ下さい。
- 当日、発熱(37.5℃以上)等の風邪症状のあるお子さん・及び保護者の方は出席することが出来ませんのでよろしくお願いいたします。
保護者の方に、当日の朝自宅で体温を測り、子どもの体調を確認することをお願いしておくと安心ですね。
保育園での集団感染を防ぐためにも、発熱や体調不良の症状がある場合は、来園を控えていただくことも事前に伝えておきましょう。
園長挨拶を全館放送で実施
園長先生からのお言葉を、保育園内に放送して対応した園もあります。
比較的近い距離で長時間(15分以上)話すことで、感染リスクが高まりやすいと言われています。そのため、挨拶を放送に代えることは飛沫感染を防ぐための対策として有効かもしれません。
本来であれば壇上に上がってスピーチをすることが多いですが、事前に録音したものを放送することによって式典の時間短縮にもつながるでしょう。
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今回は、保育園の卒園式や入園式に向けた心得として、コロナ対策の実例を紹介しました。
多くの人が一つの場所に長時間密集してしまう卒園式や入園式。
コロナ禍にあるからこそ、子どもたちや保護者の方の安全を守るための対策が重要になるでしょう。
マスク着用や手指のアルコール消毒など、日常的な習慣となりつつある対策をおろそかにせず、人との距離を保ったりこまめに換気をしたりして、園内での感染リスクを軽減させるよう取り組むことが大切です。
これから卒園式や入園式を迎える先生は、今回紹介した実例を参考にして、みんなが安心できる式典を実施できるよう万全な準備をしておきましょう。
出典:保育所等の卒園式・入園式等の開催に関する考え方について/厚生労働省
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