担当制保育とは?やり方や1日の流れ、取り入れるメリット

乳児クラスで取り入れられる担当制保育とは、それぞれの子どもに対して決まった保育士が身の回りのお世話を担当する制度です。愛着が育まれやすいと言われていますが、詳しいやり方を知らない保育士さんも多いかもしれません。今回は、担当制保育とは何か、やり方や保育の流れとともに、取り入れるメリット・デメリットについてもまとめました。


乳児の子どもの写真

ucchie79/shutterstock.com

 

担当制保育とは

子どもの身の回りのお世話を決まった保育士が担当する、担当制保育の制度。

まずはどんな特徴や効果があるのかみていきましょう。

 

担当制保育の概要・特徴

 

担当制保育とは、0歳児など複数担任の乳児クラスで取り入れられる保育の手法で、それぞれの子どもに対して、特定の保育士がお世話を担当するという制度です。

 

トイレや食事など身の回りのお世話を主に担当することから、育児担当制と呼ばれることもあるようです。

 

担当制保育の効果

 

担当の子どもだけとかかわるわけではないですが、クラス全体を見ながら、なるべく同じ子どもに接することで、愛着関係を形成しやすくなるようです。

 

また、担当制保育では「流れる日課」、すなわち一人ひとりに合った生活リズムが大切にされていると言われています。

 

給食やおむつ替えの時間は、担当するグループごとに入れ替わりながら行うため、ほかのグループの子どもは遊びながら待つということができるでしょう。

 

このように個々に合わせた保育ができるため、トイレやご飯などを適切なタイミングで行いやすく、子どもが不必要に待たされることもなくなるかもしれません。

 

担当制保育の取り入れ方

 

例えば「8人の子どもを3人の保育士で見ているクラス」であれば、以下のように割り振ることが多いでしょう。

 

  • 保育士A:3人の子どもを担当
  • 保育士B:3人の子どもを担当
  • 保育士C:2人の子どもを担当

 

このように、クラスの中で保育士さんがお世話を担当する子どもを決めます。

なるべく担当する子どもの月齢が近いほうが、保育しやすそうですね。

 

また、保育中ずっと担当児としかかかわらないということはなく、以下のようにさまざまなケースがあるでしょう。

 

  • トイレのお世話や離乳食やミルクなど身の回りのお世話をメインで担当する
  • 担当保育士の他にも、副担当の保育士を決める
  • 0歳児クラスは保育士と子ども1対1で食事介助する

 

クラスの年齢や子どもの様子、保育園の方針に合わせて、柔軟に取り入れられるとよいですね。

 

いずれの場合も、職員同士で連携を取りながら保育を進めることが大切となりそうです。

【場面別】担当制保育の内容や流れ

ここでは、保育の場面ごとに、担当制保育がどのように行われるかをみていきましょう。

 

遊び

 

遊びの時間はクラス全体とかかわることが一般的のようです。

 

情緒が安定しなかったり、必要に応じておむつを替えたりするときは、担当の保育士さんが接することで落ち着くかもしれません。

 

おむつ交換、着替え

 

生活習慣の形成に大切となる身の回りのお世話は、基本的に担当保育士が行います。

 

排泄や着替えには、子どもたち一人ひとりのタイミングがあるかもしれません。

流れる日課を大切にするため、なるべく子どもの状況に合わせてトイレや着替えのサポートができるように調整するとよいですね。

 

また、個別のタイミングが掴めてきたら、着替えなどは決まった順番に行うようです。

そうすることで、子どもたちは生活に見通しが持てるようになるでしょう。

 

給食、ミルク

 

食事の場面でも、担当保育士が介助につきます。

落ち着いた環境でゆったり食べられるよう少人数でかかわることが多いでしょう。

 

少人数ごとに食べることで、手洗いや配膳の準備をスムーズに行うことにもつながりそうですね。

 

担当グループごとに交代で給食を食べ、他の子どもたちは別の空間で遊びながら待つというやり方もあるようです。

 

午睡

 

午睡も、担当保育士が寝かしつけに入ります。

毎日同じ保育士がかかわることで、子どもが安心できる寝かしつけ方や睡眠のリズムを把握しやすくなるでしょう。

 

また、日ごとの寝つきの良さや睡眠時間の変化から、子どもの体調を知ることにも役立ちそうです。

 

保護者対応

 

申し送りも担当保育士が行うことが多いようです。

 

子どもの様子の変化や成長に気がつきやすいため、より細やかな情報共有ができるでしょう。

 

また、食事や排泄などは子どもの健康に直結する面であるため、担当の保育士さんが申し送りすることで体調管理にもつながるかもしれません。

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担当制保育を実践するときのポイント

乳児の子どもの写真

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担当制保育を取り入れるときに、保育士さんが意識するポイントを紹介します。

 

「流れる日課」を大切にする

 

担当制保育を通して、子ども一人ひとりの持つ、排泄や食事、睡眠などの生活リズムを大切にしていきましょう。

ゆったりとお世話ができるよう、十分な時間を取ることがポイントとなるようです。

 

決まった流れで過ごすことで、子どもたちも落ち着き、安心して過ごせるようになるでしょう。

 

また、担当制保育では、担当グループごとに順々にトイレや給食、午睡などを行います。

 

家庭での起床時間や食事の時間などを鑑み、保育園でも給食や午睡の時間を調整するなどの配慮ができるとよいですね。

 

職員同士でコミュニケーションを取り合う

 

担当制保育では、特に職員同士の連携が求められそうです。

 

例えば、「泣いている子どもと1対1でかかわりたいから、今はほかの担当児の様子を見ていてほしい」など他の保育士さんの助けを求める場面があるかもしれません。

 

そうしたときに積極的にコミュニケーションを取り合い、連携して保育の流れを作っていけるとよいですね。

 

子どもの情報を共有する機会を持つ

 

担当制保育を行っていると、担当以外の子どもの様子がわかりづらくなるかもしれません。

 

担当の保育士さんが休みのときなど、対応がわからなくなることも考えられます。

そうした状況を防ぐためにも、クラスの職員が集まって、担当児の特徴や性格について共有する機会を持つとよさそうです。

 

子どもの健康面や発達面のことをきちんと伝え合い、何かあったときに対応できるよう

担当の以外の子どもともかかわる時間を作る

 

つい担当の子どもと接する機会が多くなってしまいますが、担当以外の子どもと積極的にかかわることを意識するとよいでしょう。

 

保育士として子どものことを把握するのはもちろん、子どもにとっても安心できる先生が増えることはメリットになりそうですね。

担当制保育を取り入れるメリット・デメリット

担当制保育を導入することのメリットやデメリットをまとめました。

 

メリット

 

子どもとの愛着関係を築きやすい

担当制保育では、特定の保育士さんが毎日お世話をできるため、子どもとの愛着関係を築きやすくなるというメリットがあります。

 

特に0歳児や1歳児頃の子どもたちは、食事や排泄など身の回りのお世話をしてもらうことで、その大人に信頼感を持つようになるでしょう。

愛着が形成されることで、子どもたちも保育園で落ち着いて過ごすことにもつながりそうですね。

子どもの特徴や性格に応じた細やかな保育ができる

子どもの体調や性格を把握しやすく、より個々の状況に合わせた保育がしやすいのも担当制保育のメリットです。

 

たとえば食事の際、「この野菜は苦手だから、一口食べられたらよいことにしよう」とのように、柔軟な対応ができそうです。

 

他にも「普段に比べて午睡時間が長かったから疲れているのかも」など、子どもの健康を守るのにも役立つかもしれません。

子どもが生活習慣を身につけやすい

担当の保育士さんが毎日身の回りのお世話を担当することで、生活習慣を身につけやすくなるようです。

 

子どもにとって、毎日同じやり方でお世話してもらうことや、見通しをもって過ごすことからこのような効果が得られるのかもしれません。

 

また、保育士さんがそうした成長に気づきやすくなり、褒めてもらうことで意欲につながるという面もありそうですね。

保護者にも安心してもらいやすい

子どもと担当保育士さんの間で信頼関係ができていれば、保護者の方にも安心して預けてもらうことにつながりそうです。

 

また、担当保育士さんが毎日の食事、睡眠、排泄などの様子を把握しているため、ちょっとした変化も気づいて保護者に報告しやすいというメリットもあるでしょう。

 

そのように細やかな対応ができることで、保護者の信頼を得やすいという効果もあるかもしれませんね。

 

デメリット

 

担当以外の子どものことを把握しづらい

先述したように、担当児のことはしっかりと把握できる一方、他の子どものことを知る機会が少なくなる場合が考えられます。

 

シフトの関係で担当保育士さんがいない場面では、担当外の子どもの対応に困ってしまう場合もあるかもしれません。

 

クラスで情報共有の場を持ったり、毎日の申し送りを徹底したりすることで、そうしたトラブルの発生を防いでいきましょう。

担当の保育士がいないと子どもが不安定になりやすい

担当保育士さんと強い信頼関係で結ばれている場合、その保育士さんが抜けると子どもの情緒が不安定になることもあるようです。

 

特に新学期など、他の職員にまだ慣れていない場合はよりその傾向が強くなるでしょう。

 

担当児との愛着関係を大切にしつつも、全員の子どもとかかわりを持ち、子どもに安心してもらえるように働きかけることが大切です。

保育の流れを作るのが難しい

担当制保育を取り入れていると、担当の制度に縛られすぎて、「自分が見なくては」という思いが先行してしまうこともあるでしょう。

 

また、流れる日課に沿って交代制で食事や午睡を行っている場合、スムーズに交代できずに保育士さんの手が足りなくなるケースもあるようです。

 

その結果、ケアが必要な子どもに十分にかかわれず、担当児みんなが落ち着かないというトラブルにつながるかもしれません。

 

職員同士で協力して声をかけあい、臨機応変に対応していくことが大切ですね。

 

担当の子どもや保護者との相性に悩まされる場合も

担当制保育では、基本的に1年を通して同じ子どもを担当することになるでしょう。

 

しかし、子どもと保育士さんにも相性があるため、性格やかかわり方が合わないと、思うように保育が進まない場合もあるかもしれません。

また、子どもだけでなく保護者との相性も重要なポイントとなるようです。

 

かかわり方を工夫したり他の職員と連携したりなど、柔軟な対応をして子ども、保護者ともにきちんとコミュニケーションを図り、少しずつ信頼関係を構築していくことが大切かもしれません。

読んでおきたいおすすめ記事

担当制保育を理解して、日々の保育に役立てよう

今回は、担当制保育とは何か、やり方や流れ、メリットについて解説しました。

 

主に乳児クラスで取り入れる担当制保育とは、決まった保育士が担当の子どもの身の回りのお世話をする制度です。

 

愛着関係を築きやすく、個々に合わせた対応ができるというメリットがある一方、担当以外の子どものことを把握しづらかったり、保育の流れを作りづらかったりすることもあるかもしれません。

 

担当制保育を取り入れるときは、職員同士で連携しあうとともに、クラス全体を見ていく必要があるでしょう。

 

担当制保育とは何かを知って、毎日の保育や転職での園選びに役立ててみてくださいね。

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