園によって保育理念や方針はさまざまでしょう。幼児教育法の種類と、それぞれの特徴や内容を知っておけば、転職時の園選びに役立つかもしれません。今回は、モンテッソーリ教育やヨコミネ式教育法など、保育園で行なわれている有名な幼児教育法について、目的や教育内容などを種類ごとにまとめました。
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そもそも幼児教育ってなに?
近年注目されている幼児教育。
幼稚園や保育園でも多く取り入れられていますが、どのような役割があるのでしょうか。
概要
そもそも幼児教育とは、0歳から6歳までの幼児が生活する場において行なわれる全ての教育の総称で、幼稚園や保育園、家庭などあらゆる場所における教育が含まれています。
幼児教育では、生涯にわたる学習の基礎をつくることや、成長してから学習能力が高まる、いわゆる「後伸び」する力を養うことが重視されているようです。
そのため、小学校受験や中学校受験などを念頭におき、知識のみの獲得を先取りするような早期教育とは異なります。
役割
幼児教育は、次の世代を担う子どもたちが人間として生きる力を身につけられるように、人格形成の基礎固めをする役割を担っています。
また、小学校から始まる学校教育の前段階として幼児教育を捉えれば、知識や技能だけでなく、表現力や思考力、判断力などの学力と、健康や体力などのたくましく生きていく力の土台部分を育成する役割も果たしているようです。
このように重要な役割を担っている幼児教育ですが、家庭では集団での幼児教育ができないという側面があります。
集団教育を通じた幼児教育を求める保護者のニーズが高まっていることから、幼稚園や保育園で実践されるようになってきているようです。
幼児教育の重要性や役割などをふまえたうえで、教育法ごとの目的や理念と教育内容などを見ていきましょう。
【外国発】保育園で行なわれている幼児教育法
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まずは、外国で誕生した有名な幼児教育法について紹介します。
モンテッソーリ教育
モンテッソーリ教育は、医師であり教育家でもあったイタリアのマリア・モンテッソーリ博士が考案した教育法です。
100年以上経った現在でも世界中で支持されており、140以上の国にモンテッソーリ教育を実践する園があると言われています。
目的や理念
モンテッソーリ教育は、以下のような特徴をもつ人間を育てることを目的としています。
- 自立していて有能である
- 責任感と他人への思いやりがある
- 生涯学び続ける姿勢を持っている
この目的を達成するために、子どもの発達段階ごとに独特な体系をもつ教具が開発され、教育が確立されていったようです。
特徴
モンテッソーリ教育は、「子どもには、自分を育てる力(自己教育力)が備わっている」という考えが前提とされており、子どもたちの自発的な活動の繰り返しによる成長を大切にしています。
そのため、大人は子どもが自分自身の力を思う存分発揮できるような適切な環境を整えて、子どもたちの自発的で自由な活動を促す役割を持っています。
また、モンテッソーリ教育の具体的な教育方法には「日常生活の練習」「感覚教育」「言語教育」「算数教育」「文化教育」の5つがあります。
モンテッソーリ教育を行なっている保育園では、縦割り保育が行なわれることが多いため、幅広い年齢の子どもたちと関わりたい方や、子どもの自主性を尊重した保育をしたい方に向いているかもしれません。
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シュタイナー教育
シュタイナー教育は、オーストラリアの哲学者であるルドルフ・シュタイナーによって開発された教育法です。
1919年にドイツのたばこ工場に勤務する労働者の子どもたちのために設立されたのが、最初の学校と言われています。
目的や理念
シュタイナー教育では、自由な生き方をする人間を育てることが目的とされています。
「からだ」「こころ」「あたま」のバランスを取ることを重要視しており、学力向上ではなく、人間形成を大切にしているようです。
特徴
シュタイナー教育は、年代にあわせて教育内容を変えていくことで全体のバランスが取れた人間を育成できるとし、人間の成長を7年ずつ3つの成長過程に分類し、発達段階に合わせて教育を行なっています。
0歳から7歳までの期間は、「からだ」を動かし、意思を育む期間とされています。
手足をたくさん動かすことを重視したり、自然の素材で作ったおもちゃを使ったりするという特徴があります。また、正しい生活リズムも大切にしているようです。
心の教育も重視されているため、オイリュトミーやフォルメンと呼ばれる芸術的な活動が豊富と言われています。
一方で、シュタイナー教育では絵本の読み聞かせやテレビを見せることは禁止されており、知的な早期教育も避けられています。
子どもらしさを重視し芸術的な活動を楽しみたい方は、シュタイナー教育を行なっている園を選ぶとよいかもしれません。
レッジョ・エミリア・アプローチ
レッジョ・エミリア・アプローチは、イタリアのレッジョ・エミリアという都市で発案された教育法です。
これは教育の方向性を示すアプローチであり、具体的な教具や教育手法はないようです。
目的や理念
レッジョ・エミリア・アプローチは、子どもの表現能力やコミュニケーション能力、思考力などを養うことを目的としています。
子どもたちの意思や個性を尊重し、個々の感性を生かすことが最も重要であるという理念のもと、子どもが体験を通して自分自身で学んでいくようなスタイルの教育が行なわれるようです。
特徴
レッジョ・エミリア・アプローチでは学期ごとの明確なカリキュラムは存在せず、子どもの興味や関心にあわせてカリキュラムが変化していくようです。
また、子どもたちの自主性や自立性を育むために、「プロジェクト活動」「自由な芸術活動」「ドキュメンテーション」という流れで活動が進められます。
これらの活動によって、子どもたちの自主性を育んだり、創造力を高めたりすることを支援しています。
さらにこの教育法は、身の回りにあるさまざまなものを教材として子どもたちの興味や関心を高める活動を行なっています。
子どもたちの個性を大切にし、伸ばしていきたいと考える方に向いているかもしれませんね。
ピラミッドメソッド幼児教育法
ピラミッドメソッド幼児教育法は、Cito(オランダ政府教育評価機構)によって提唱された教育法です。
国際的な学力テストにおいてオランダの子どもたちの学力が高いことや、ユニセフの子どもの幸福度に関する調査においてオランダが総合1位を獲得したことから、近年注目されている教育法のようです。
目的や理念
ピラミッドメソッドは、「自分で選択して決断できる力を養うこと」に重点をおいています。
そのため、子どもたちが過ごす場である保育室の環境のあり方が大切にされているようです。
特徴
ピラミッドメソッドには、「子どもの自主性(やる気)」「保育者の自主性(働きかけ)」「寄り添うこと(nearness) 」「距離をおくこと(distance)」という4つの基本概念があります。
この4つが相互に関連し合うことで、ピラミッドの土台部分としての基礎が成り立つと考えられています。
そして、この基礎をベースとして、学びと遊びの環境が整えられた保育室のなかで、子どもたちは自主的に遊びに取り組むことができます。
また、11個のテーマの中から一つを選び、長いスパンをかけて遊びに取り組む「プロジェクト」と呼ばれる活動を行なって、子どもの経験を発展させていくようです。
ほかにも「サークルタイム」や「プランニングボード」など特徴的な活動があります。
子ども一人ひとりに向き合いながら保育をしたいと考える方や、プロジェクトを通して保育についてより深く学びたい方に向いている教育法と言えそうです。
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【日本発】保育園で行なわれている幼児教育法
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次に、日本で発案された幼児教育法を紹介します。
ヨコミネ式教育法
ヨコミネ式教育法は、横峯吉文氏が提唱した教育法です。
長年にわたり保育園を運営するなかで生み出された、実践に基づいた教育法と言われています。
目的や理念
ヨコミネ式教育法は、以下の理念に基づいています。
「すべての子どもが天才である」
「すべての子どもが天命をうけてこの世に生まれて来たのだから、その天命を最大限に発揮させたい」
このような理念に基づき、子どもたちが「自ら考え、自ら判断し、自ら行動・実践すること」を目的としているようです。
特徴
子どもたちの自立を助ける手法として、4つのスイッチというものが重視されています。
4つのスイッチとは、子どもたちがもつ以下の性質のことを言います。
- 競争したがる
- 真似したがる
- 少し難しいことをしたがる
- 認められたがる
これらの性質を意識することで、子どもたちのやる気を引き出していくようです。
また、読み・書き・計算・体操・音楽を通して「学ぶ力」「心の力」「体の力」の3つを育むことで、子どもたちの可能性を引き出していくのも、ヨコミネ式教育法の重要な特徴です。
子どもたちの自立をサポートしたい方や、早期教育を重要視する方は、ヨコミネ式教育法を採用している保育園を選ぶとよいかもしれません。
七田式教育法
七田式教育法は、七田眞氏によって提唱された教育法です。
さまざまな分野で活躍する人材を輩出していることから、日本で有名な教育法の一つです。
目的や理念
七田式教育法は心の教育を大切にしています。
そして、未来を担う子どもたちを、大きな志と奉仕の心を持ち、自らリーダーシップを取れる子どもに育てることを目的に掲げています。
そのために、子どもたちが生まれながらに持っている可能性を引き出すことを重視し、認めて褒めるという教育を実践しているようです。
特徴
子どもの脳が発達する0歳から6歳までの乳幼児期に着目して、右脳のトレーニングを積極的に取り入れているのが特徴です。
右脳と左脳のバランスを保つトレーニングをすることで、子どもたちの可能性を引き出すとされています。
具体的な活動としては、指先の運動や暗唱、フラシュトレーニングなどが有名です。
また、「認めて、ほめて、愛して、育てる」という言葉を掲げ、子どもの心の豊かさにも重点をおいた教育が行なわれています。
子どもたちの才能を伸ばす手助けがしたい方や、早期教育に興味がある方などに向いている教育法かもしれません。
石井式教育法
石井式教育法は、日本の教育学者である石井勲氏によって提唱された教育法です。
なかでも、幼児期からの漢字教育を重要視しています。
目的や理念
記憶力に優れている幼児期に行う言語教育こそが、人間の知能を決定する働きをして、能力を大きく飛躍させる鍵となるという信念に基づいて実践されています。
言葉は思考の土台であることから、幼児期の言語教育によって効果的に語彙を身につけさせ、言語能力を高めることを目的としているようです。
特徴
石井式教育法の最大の特徴は漢字教育です。
漢字絵本やカードなどオリジナルの教材を用いて、遊びのなかで言葉を覚えていく手法が取られています。
特に絵本を繰り返し読むことで、子どもたちに学習を習慣づけているようです。
また、年齢に合わせたカリキュラムが組まれ、年中や年長になると数字や計算などの学習も行うようになります。
言語に関する早期教育に興味がある方は、石井式教育法を実践している保育園を選ぶとよいかもしれません。
幼児教育法について知り、保育園選びの参考にしよう
今回は、保育園で行なわれる幼児教育法について、種類とそれぞれの特徴などを紹介しました。
外国で提唱された有名な幼児教育法には、モンテッソーリ教育やシュタイナー教育などがあります。
これらの教育法においては、子どもの自主性を尊重したり創造性を高めたりする活動が行なわれているそうです。
また、日本で生まれた有名な幼児教育法には、七田式教育法やヨコミネ式教育法などがあります。
これらの教育法は、外国の教育法よりも早期教育に力を入れている側面があり、子どもの可能性を引き出すためのさまざまな活動が実践されているようです。
保育園ごとに大切にしている理念や方針などは異なりますが、自分に合った教育法はどれなのか特徴などを把握し、転職時に役立ててみるとよいですね。
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