保育園が掲げている保育方針。その園が目指す保育の方向性を示した言葉ですが、保育理念や保育目標など、似た用語が多く紛らわしいですよね。保育方針の意味を正しく理解し、毎日の仕事や転職の際に活用していきましょう。今回は保育方針とは何か、保育理念や保育目標との違いや、保育士さんが活かす方法をあわせて紹介します。
milatas/shutterstock.com
保育方針とは?
保育士さんの中には、自園の保育方針は知っているものの、普段の保育では意識する場面が少ない方も多いかもしれません。
そもそも保育方針とは、保育をするうえでのおおよその方向性を示した言葉であり、園としてどのような保育を行っていくかを表したポリシーに当たるものと言えるでしょう。
現場の保育士さんたちが考えるのではなく、園の運営陣(法人や企業など)が設定しているのが一般的なようです。
厚生労働省が設けている「保育所保育指針」と混同しやすいですが、「方針」と「指針」では少しニュアンスが異なります。
まず「指針」とは他者から示される基準やガイドラインのようなものです。
一方「方針」は、自身が「このようにする」「こう進む」という意向を表明する役割があります。
すなわち保育方針とは、その園での保育の方向性に関する意思表示であると言えるでしょう。
保育方針と保育理念・保育目標との違い
保育園が設定しているものには、保育理念や保育目標など、ほかにも似た言葉があります。
それらの意味や違いについてみていきましょう。
保育理念とは
保育理念とは、「その保育園がどうありたいか」ということを示した、最も根本的な考え方やコンセプトのことを指します。
保育理念とは園の理想像に近く、例えば「のびのびと育つあたたかい保育」「元気な身体と豊かな心」など、抽象度が高い言葉が使われていることも多いかもしれません。
抽象的な概念である「保育理念」に近づくために、どのような方向に進めばよいかを表したのが「保育方針」と言えるでしょう。
保育目標とは
保育目標は、保育を通して子どもたちのどんな力を育むかを示したもので、保育方針よりもさらに具体的な表現であることが多いようです。
保育理念や保育方針は、先生たちのかかわり方や保育内容など、保育士がメインであるのに対し、保育目標では子どもの姿を中心にかかれるのが特徴です。
例としては「友だちを思いやる気持ちを育む」「自分の思いを言葉で伝えられる」などが挙げられるでしょう。
つまり、保護者向けに「この園で過ごした子どもはこんな力が育つよ」ということを示し、保育士向けには「この園ではこんな子どもを育てたいから、意識して保育してね」と目安を伝えていると言えるかもしれませんね。
簡単1分登録!転職相談
転職に関するご質問や情報収集だけでもかまいません。
まずはお気軽にご相談ください!
読んでおきたいおすすめ記事
保育士をサポート・支える仕事特集!異業種への転職も含めた多様な選択肢
保育士の経験を経て、これからは保育士のサポート役として働きたいという方はいませんか?責任の重い仕事だからこそ、人の優しさや支えが必要不可欠な仕事かもしれませんね。今回は、保育士さんをサポートする・支え...
保育士資格を活かせる在宅ワークのお仕事特集!保育関係の自宅でできる仕事を徹底解説
保育士資格を活かせる在宅ワークにはどのような仕事があるのでしょうか。保育園の事務職や保育ママ、保育園業務のサポートなど自宅でできる仕事は意外に多いもの。今回は、保育士資格を活かして働ける在宅ワークの仕...
病院内保育とは。役割や仕事内容、病院内保育士として働くメリット
病院内保育とは、病院や医療施設の中、または隣接する場所に設置されている保育園のことです。保育園の形態のひとつであり、省略して院内保育と呼ばれることもあります。転職を考えている保育士さんの中には、病院内...
子ども・赤ちゃんと関わる仕事31選!資格の有無や保育士以外の仕事を関わる子どもの年齢別に紹介
子どもと関わる仕事というと主に保育園や幼稚園を思い浮かべますが、それ以外にも意外とたくさんあります!今回は赤ちゃんや子どもと関わる仕事31選を紹介!無資格で活躍できる職場もまとめました。子どもと携わる...
保育士を辞める!次の仕事は?キャリアを活かせるおすすめ転職先7選!転職事例も紹介
保育士を辞めたあとに次の仕事を探している方に向けて、資格や経験を活かせる仕事を紹介します。ベビーシッターなど子どもと関わる仕事はもちろん、一般企業での事務職や保育園運営会社での本社勤務といった道も選べ...
保育士から転職したい!転職先としておすすめの異業種22選。保育士以外の仕事やメリット・デメリットも
保育士以外から異業種への転職を考えている際、どのような転職先がおすすめなのでしょうか。今回は、次の仕事として保育士から転職しやすいおすすめの異業種22選を紹介します。保育士から異業種に転職するメリット...
保育園運営会社の仕事内容とは?本社勤務でも保育士資格は必要?働くメリットや求人事情まで
保育園運営会社にはどんな仕事があるのでしょうか?保育園運営会社で働くことは「本社勤務」とも呼ばれ、保育園の運営に携わる仕事として、主に一般企業に就職したい保育士さんにとって人気の高い職種のようです。今...
【2024年最新】保育士に人気の転職先ランキング!異業種や選ばれる職場を一挙公開
保育士の資格を活かして働ける人気の転職先をランキング形式で紹介!企業主導型保育園や病院内保育所、ベビーシッターなど保育士経験やスキルを活かせる職場はたくさんあります!今回は保育施設や異業種別に詳しく紹...
【完全版】保育士資格を活かせる仕事・働ける企業25選!
保育園で保育士として働くのが辛いと感じて、転職を考えているという方がいるかもしれません。しかし、せっかく取得した保育士資格を活かして働きたいですよね!保育士として得たスキルや経験は一般企業や福祉施設、...
【2024年最新版】幼稚園教諭免許は更新が必要?廃止の手続きや期限、対象者をわかりやすく解説
幼稚園教諭免許は更新が必要なのか、費用や手続き方法などを知りたい方もいるでしょう。今回は、2022年7月1日より廃止された教員免許更新制について詳しく、そしてわかりやすく紹介します。幼稚園教諭免許を更...
保育士は年度途中に退職してもいいの?理由の伝え方や挨拶例、再就職への影響
「年度途中で退職したい...けれど勇気が出ない」と悩む保育士さんはいませんか。クラス担任だったり、人手不足だったりすると、退職していいのか躊躇してしまうこともありますよね。そもそも年度途中で辞めるのは...
幼稚園教諭からの転職先特集!資格を活かせる魅力的な仕事18選
仕事量の多さや継続して働くことへの不安などを抱え、幼稚園教諭としての働き方を見直す方はいませんか。幼稚園教諭の転職を検討中の方に向けて、経験やスキルを活かせる18の職場を紹介します。保育系の仕事から一...
【2024年度】放課後児童支援員の給料はいくら?年代別の年収やこの先給与は上がるのかを解説
放課後児童クラブや児童館などで働く「放課後児童支援員」の平均給料はいくらなのでしょうか。別名「学童支援員」とも呼ばれ、「給与が低い」というイメージがあるようですが、国からの処遇改善制度などにより、これ...
保育士が働ける保育士以外の仕事21選。資格や経験を活かせるおすすめの就職先
保育園以外の職場に転職・就職先を探す保育士さんもいるでしょう。今回は企業内保育所や託児施設、児童福祉施設など、保育士さんが働ける保育園以外の職場を21施設紹介!自身の働き方や保育観を見つめ直し、勤務先...
- 同じカテゴリの記事一覧へ
保育士が「保育方針」を意識する場面
maroke/shutterstock.com
それでは、保育士さん自身が保育指針を意識するのはどのような場面なのでしょうか。
日々の保育の方向性を確認するとき
自身が勤めている園の保育方針を確認してみることで、自分の行っている保育の方向性を見直すことにもつながるでしょう。
毎日の保育において大まかな方向性を確認したり、職員同士でポリシーを共有したりするのに保育方針は役立ちそうです。
いったん立ち止まって、園が大切にしているものは何なのかを確認することで、日々の保育の手助けになったり、職員同士が同じ方向を向いて保育をするきっかけになったりするかもしれません。
転職などで園選びの基準を示すとき
保育方針は、転職をするときの園選びの基準として使うこともできそうです。
転職先の保育方針を確認し、自分のやりたい保育があっているかを考えてみましょう。
例えば、じっくりと子どもの意欲を育む保育がしたいという保育士さんであれば、「子どもの発見に寄り添う」「子どものやりたい気持ちを大切に」などの方針を掲げている保育園だとマッチしているかもしれません。
自分のいた園の保育方針と比べてみることでも、方向性の違いを感じ取れそうですね。
しっくりとくる保育方針の園を選ぶことで、気持ちよく保育することにもつながるでしょう。
保育方針を日々の保育や園選びに活かすポイント
ここでは、毎日の保育や転職の園選びに保育方針を活かすときのポイントを紹介します。
保育理念や保育目標もあわせて確認する
保育理念の実現に向けた保育の方向性を示したものが保育方針であり、保育を通して育てたい子どもの姿を表したものが保育目標に当たります。
この3つの概念には大きなつながりがあると言えるでしょう。
保育方針を見るときには、理念や目標についてもあわせて確認すれば、それぞれの項目について理解が深まるうえ、保育士さんが心がけるべきことが見えてくるかもしれません。
具体的な保育士のかかわりや子どもの姿を想像する
保育方針が抽象的な文章になっていることも多く、具体的にどんなことをすべきかわからない方もいるでしょう。
毎日の保育活動を思い出して、方針のなかの言葉を、子どもの姿や保育士さん自身のかかわり、活動内容などに当てはめてみるとわかりやすくなるかもしれません。
例えば、「自然のなかでいきいきと過ごし、……」という文言からは、園庭や散歩道などで身近な自然環境とのかかわりを大切にしていることにつながるでしょう。
保育方針の文言を、具体的な子どもの姿や保育活動に落とし込んで考えれば、園の方針に近い保育の在り方が明確になりそうですね。
同僚や先輩の保育士と話し合ってみる
保育方針をどのように毎日の保育で実現していくかを、同僚保育士や先輩保育士と話し合うのもよいかもしれません。
「こういった文言があるけど、毎日の保育で実践できているかな?」「私たちの保育のこういうところは、保育方針に合っているよね」など、お互いに意見を出し合って、いろいろな角度から捉えられるとよいでしょう。
こうした話し合いをすることで、日々の保育の見直しにもつながっていきそうですね。
保育方針とは何かをしっかり理解して転職などに役立てよう
今回は、保育方針の意味や、保育理念や保育方針との違いを紹介しました。
保育方針とは、その園がどのような方向性で保育を行っていくかという大まかな意向を示した言葉です。
保育理念はより抽象的な言葉で園の理想像を示したもので、保育目標とは園で育てたい子どもの姿や能力を表したものに当たります。
保育方針をしっかりと理解しておくことで、毎日の保育はもちろん、転職活動での園選びの基準にも役立てることができるかもしれません。
保育方針や保育理念といった言葉について知り、保育士としてスキルアップしていきましょう。