リトミックとは、ピアノや曲に合わせて身体を動かしたり道具を使って表現したりして遊ぶ活動です。今回は、子どもの年齢(0・1・2・3・4・5歳児)別にリトミックのやり方を詳しく紹介します。保育園でリトミックを行なうねらいや遊びの種類、ポイントも簡単にまとめたので参考にしてみてくださいね。
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リトミックとは?
リトミックとは、音楽に合わせて身体を動かし、子どもの感性や表現力を引き出す音楽教育です。
具体的にどういった指導法なのか、概要や導入することで期待できる効果をまとめました。
リトミックの概要
リトミックの始まりは20世紀初頭といわれ、スイスの作曲家エミール・ジャック=ダルクローズによって考案されました。
近年は、子どもたちの潜在的な能力を引き出すための効果が期待され、保育や医療など幅広い分野で取り入れられています。
リトミックは、主に3つの柱で構成されています。
- 【リズム運動】音楽に合わせて全身を動かす
- 【ソルフェージュ】全身でリズムを感じながら、音程を確認したり歌ったりする
- 【即興演奏】音楽を通して感じたことを自分なりに表現する力を育む
リトミックには多様な種類があり、保育園ではダンスや体操、リズム遊び、表現遊びなどが取り入れられています。
リトミックで期待できる効果
保育にリトミックを取り入れることで、以下のような効果が期待できます。
- 子どもの感性を養う
- 集中力や思考力を育む
- 協調性やコミュニケーション力を育む
ほかにも、取り入れ方を工夫すれば、言葉や数に親しんだり片づけなどの生活習慣を身につけたりすることも期待できるそうです。
リトミックを通して音楽に対する感覚や表現力を養うだけでなく、成長するうえで子どもに身につけてほしいさまざまな能力を育むことにもつながるでしょう。
保育園でリトミックを行なうねらい
保育園でリトミックをするねらいとして、以下が挙げられます。指導案の作成の参考にしてみてくださいね。
- 音楽に親しみながらのびのびと身体を動かす楽しさを味わう
- 身体を使って自由に表現する面白さを知る
- 友だちと表現する楽しさを共有する
身体を使ってのびのびと表現する活動を通して、表現力や感性を養うことができるでしょう。
表現する楽しさを友だちと共有することで、子ども同士のコミュニケーションが活発になりそうですね。
また、年齢によりリトミックの取り入れ方には違いがあります。
子どもたちが音楽を楽しめるように、年齢に合わせたリトミックの活動例を紹介します。
【0歳児】保育園で楽しむリトミックのやり方例
0歳児は音楽に合わせて自分で身体を動かすことが難しいため、保育士さんがいっしょにスキンシップを図りながらリトミックの時間を楽しめるとよいですね。
0歳児のリトミックのやり方例やポイントは以下の通りです。
0歳児のリトミックのやり方例
- 音楽に合わせて子どもの手や足をさすったり抱っこして優しく揺れたりする
- 子どもが握ったマラカスや鈴に保育士さんが手を添え、音楽に合わせていっしょに動かす
- 指を使った簡単な手遊びを取り入れて、歌を歌いながらリズムを楽しむ
0歳児のリトミックのポイント
- 集中して楽しめるよう、5分~10分程度の短い時間で活動を楽しむ
- 同じ活動を繰り返し行ない、音楽に慣れ親しめるようにサポートする
- 保育士さんが笑顔で優しい声かけを行ない、音楽に興味を持ってもらえるように配慮する
【1歳児】保育園で楽しむリトミックのやり方例
1歳児になると、音楽に合わせて自ら身体を揺らしたり手足を動かしたりする場面がみられるようになるでしょう。
子どもたちの好きな歌や興味のある手遊びなどを取り入れて、音楽に関心を持てるような活動にできるとよいですね。
1歳児のリトミックのやり方例やポイントは以下の通りです。
1歳児のリトミックのやり方例
- 音楽に合わせて、歩いたり走ったり止まったりする動作を取り入れる
- 音楽に合わせて犬や猫、うさぎなどの動物の真似をする
- タンバリンや鈴、カスタネットなどを用いて「叩く」「振る」「音を鳴らす」動作を楽しむ
1歳児のリトミックのポイント
- 簡単な指示を取り入れて音楽のリズムに合わせた動きを取り入れる
- 保育士さんの動きをまねて動物の動作などができるよう、大きく身体を動かす
- 速いリズムや遅いリズムなど変化するリズムを取り入れてさまざまな動きを楽しむ
【2歳児】保育園で楽しむリトミックのやり方例
2歳児になると簡単な言葉の理解が進み、行動の幅も広がりそうです。友だちや保育士さんといっしょにさまざまな活動に取り組み、自分なりの表現も増えていく時期でしょう。
少し複雑な動きを取り入れてリトミックのやり方を工夫してみましょう。
2歳児のリトミックのやり方例やポイントは以下の通りです。
2歳児のリトミックのやり方例
- 音楽に合わせてジャンプしたり片足で跳ねたりする
- 音楽の速さに合わせてステップをふんだり手をたたいたりする
- 子ども同士で手をつないだり向かい合うダンスを取り入れたりして友だちと身体を動かす楽しさを知る
2歳児のリトミックのポイント
- 全身や指先を使う複雑な動作を取り入れて、リズムや動きに変化をつける
- 音楽のリズムや速さをよく聴いて動作を楽しむ時間を設け、集中力を養う
- 子ども同士で向かい合わせになり、他の友だちの動きに興味を持てるような遊びを取り入れる
【3歳児】保育園で楽しむリトミックのやり方例
maroke / stock.adobe.com3歳児は、身体的な運動能力が発達し、片足でバランスを取ったり身体をひねったりと複雑な動作ができるようになる時期でしょう。
簡単な会話や自分の意思を言葉で伝える場面も多く、ごっこ遊びなどを楽しむ様子が見られそうです。
リトミックでは、自分を表現できるような活動や友だちといっしょに楽しめるものを取り入れてみましょう。
3歳児のリトミックのやり方例やポイントは以下の通りです。
3歳児のリトミックのやり方例
- 音楽に合わせて身体を伸ばしたり曲げたりと、簡単なストレッチを行なう
- 音楽に合わせて行進し、リズムに合わせて手を振ったり足踏みをしたりする
- 子ども同士で大きな布を用いて音楽に合わせて上げ下げしたり、布を膨らませたりする※
※このような布を使った活動を「パラバルーン」といいます。
3歳児のリトミックのポイント
- 子どもたちが自分の感情やアイデアを自由に表現できるような配慮をする
- さまざまなリズムパターンに合わせて身体を動かす楽しさを知ってもらう
- 音楽に合わせて集団でひとつのものを作り上げるダンスやパラバルーンなどを取り入れる
【4歳児】保育園で楽しむリトミックのやり方例
4歳児になると運動能力がさらに向上し、長い時間散歩ができるようになったり、スキップしたりと動きの幅が広がります。
自己表現が豊かになる時期なので、それぞれが自分の個性を発揮できるよう、さまざまな楽器にふれる機会を設けるなどやり方を工夫してみるとよさそうです。
4歳児のリトミックのやり方例やポイントは以下の通りです。
4歳児のリトミックのやり方例
- 音楽に合わせて簡単な劇を演じて、役になりきり、セリフや動きを楽しむ
- ドラムやシンバルなどの打楽器を取り入れ、リズムに合わせて演奏する
- ダンスやパラバルーンを楽しむ中、子ども同士でアイデアを出し合う
4歳児のリトミックのポイント
- 楽器演奏などグループで協力して行なう活動を通じて、協調性を育てる
- 自由な創作ダンスや劇遊びを通じて、創造力を伸ばす
- 子どもたちが自分のアイデアを形にする楽しさを学べる機会を設ける
【5歳児】保育園で楽しむリトミックのやり方例
5歳児は、歩く速度が大人と同じくらいになったり、自転車を運転できるようになったりと、身体能力が高まる時期でしょう。
自分の好きな音楽に合わせて自主的にダンスをしたり、リズムをとったりする子が多いかもしれません。リトミックでは、自由に音楽を楽しめる機会を積極的につくるとよさそうです。
また、簡単な楽譜を見て楽器を演奏する活動を取り入れると、音階を知る練習になるでしょう。
5歳児のリトミックのやり方例やポイントは以下の通りです。
5歳児のリトミックのやり方例
- 童話やアニメの曲に合わせて身体を動かせるよう、簡単なミュージカルを取り入れる
- ドラムや木琴、カスタネットなどのさまざまな楽器にふれ、楽譜にあわせて演奏する
- 音楽に合わせて縄跳びやボール遊びなどの運動を楽しむ
5歳児のリトミックのポイント
- 子どもが自分の興味や関心のあることを伝える機会を設け、リトミックに取り入れる
- 子どもの様子にあわせて楽器の演奏方法や指導方法を工夫していく
- 音楽に合わせたゲームや運動遊びの中で、複雑な動きを取り入れる
保育園でリトミックを行なうときの注意点
Monet / stock.adobe.com子どもの年齢別にリトミックのやり方例やポイントを紹介しましたが、保育士さんが意識するとよい注意点もまとめました。指導案作成の参考にしてみてくださいね。
決まった音楽を繰り返し流す
リトミックの始まりや終わりでは、毎回決まった音楽を繰り返し流すとよさそうです。
始まりの曲を聞いて「リトミックが始まる」と期待感を持ったり、終わりの曲を聞いて「もうお片づけの時間だ」と気持ちを切り替えたりといった効果があるようです。
リトミックの活動を記憶に定着させるとともに、自立心の育ちにつながっていくかもしれません。
ピアノなどの楽器で演奏する
リトミックでは、子どもの動きや活動の流れに合った即興性のある音楽が効果的です。
ピアノなどの楽器を演奏することで、進行に合わせて保育士さんの意図に適した音楽を取り入れていけるでしょう。
保育士さん自身の楽器経験に合わせて楽譜のレベルを選んだり、グリッサンドやアルペジオといった奏法を活用したりと、工夫して演奏するとよいかもしれません。
子どもの自由な表現を尊重する
保育士さんがリトミックの活動を計画する際、「子どもにこんな動きをしてほしい」といった願いを持つこともあるでしょう。
リトミックでは、音楽を聞いて感じたことを、自分なりに考えて表現を楽しむ過程が大切だと考えられています。
保育士さんは子どもの素直な表現を受け止め、のびのびと自由に楽しめる雰囲気作りをしていくことが大切です。
保育士さんが率先して表現を楽しむ
リトミックに慣れるまでは、やり方がわからなかったり恥ずかしかったりして、活動が盛り上がらないかもしれません。
子どもが安心して表現できるように、まずは保育士さんがリトミックを楽しむ姿を見せましょう。
保育士さんの動きを見て、「先生みたいにやってみたい」「こんな動きも面白いな」と意欲を持てるとよいですね。
年齢別のリトミックのやり方を知り、保育園で実践してみよう
今回は、保育園で行なうリトミックとは何か、また指導案作成に活かせるねらいや活動例を紹介しました。
曲やピアノに合わせて身体を動かすリトミックでは、表現力や音楽的な感覚を身につけるだけでなく、友だちとの協調性や自立心を養う効果があるようです。
音楽に合わせて動くダンスや表現遊び、動物やおばけになりきる模倣遊びなど、活動内容はさまざまあります。また、取り入れ方を工夫すればゲームを楽しむこともできるでしょう。
リトミックのやり方やねらいを知って、保育園での活動に取り入れてみてくださいね。
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