保育士さんの住居にかかる費用を負担してもらえる、住宅手当の制度。毎月の家賃負担が軽減されるのは嬉しいですよね。今回は保育士さんの住宅手当について、その意味や種類、もらうための条件を解説します。また、地域別の相場や、いつまで支給されるか、結婚した場合どうなるのかなどについてもまとめました。
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目次
そもそも住宅手当とは?
住宅手当とは、毎月の給与とは別に保育士さんが住む住居の家賃として支給される手当のことをいいます。
国や区市町村、保育園の運営主体などが住宅にかかる費用を負担することで、保育士さんはより安い費用、あるいは無料で住まいを確保できるでしょう。
住宅手当の制度が広まったことには、厚生労働省「保育士宿舎借り上げ支援事業」という施策が影響しているようです。
保育士宿舎借り上げ支援事業は、保育園の運営主体が物件を借り上げ、そこに保育士さんが住むことで、物件の家賃を国や区市町村が一部負担するという制度です。
この施策は、待機児童の解消を目指し、保育士の確保・定着・離職防止を目的として開始されたようです。
今回は、厚生労働省や自治体の資料を参考にしながら、保育士の住宅手当について解説します。
保育士の住宅手当の種類
住宅手当にはさまざまな種類があるようです。
主に手当を提供してくれる主体は保育園の運営元と自治体の2種類となっています。
住宅手当の種類について詳しくみていきましょう。
借り上げ社宅
「保育士宿舎借り上げ支援事業」に基づく補助制度となります。
保育園を運営する事業者などが物件を借り上げ、無料または安い費用で保育士さんを住まわせる形で、家賃を負担します。
敷金、礼金なども補助されるため、転居にかかる費用を少なく抑えられるのが特徴です。
寮・社宅
勤務先の園や自治体が所有しているアパートの一室を安い家賃で貸し出す制度です。
同僚と同じアパートに住める、職場の近くに住めるなどの特徴があります。
共用部分の清掃やアパートの管理などの庶務を入居者で行なうこともあるようです。
定額制の家賃補助
月々決まった金額を手当として支給され、家賃補助に当てることができる制度です。
例として、家賃補助が月3万円を支給するなどがあるようです。
固定の金額が支給されるため、安い物件を探して住むことでより負担額を減らすことができそうですね。
一定割合の家賃補助
保育士さん自身が契約した物件の家賃に対し、一定の割合の金額を園側が負担する制度です。
例として、月々の家賃の3割を家賃補助として支給するなどが挙げられます。
家賃に対する割合で支給されるので、家賃が高いエリアでの勤務が決まってもお金の不安が少なくなりそうですね。
自治体の借り上げ社宅制度
自治体が主体となって、保育士宿舎借り上げ支援事業に沿い、独自の補助を行うものです。
自治体によっては、保育士宿舎借り上げ支援事業の対象外となる保育士さんに向けた補助を行なっているところもあるようです。
このようにさまざまな住宅手当の制度が存在しています。
自分の希望する暮らし方にあった制度を設けている保育園を探して応募するとよいかもしれません。
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保育士が住宅手当をもらうための条件
保育士さんが住宅手当をもらうためにはどのような条件があるのかみていきましょう。
採用されてからの年数
厚生労働省「保育士宿舎借り上げ支援事業の実施について」の資料によると、以下のどちらかに当てはまることが条件となります。
(1)2013年以降に新しく保育園などに採用された人
(2)採用された日から起算して5年以内の人
また、2017年の厚生労働省「保育士宿舎借り上げ支援事業」の資料では、 「採用された日から起算して5年以内の人」という条件が緩和され、採用から10年以内の保育士さんであれば適用されるようになりました。
現職の保育士さんのほかに、これから保育士になろうと考えている人や、転職しようとしている保育士さんにも当てはまりますね。
結婚や同棲をしている場合
人生設計を考えるうえで、いつまで住宅手当が支給されるのか気になりますよね。
制度上は、保育士さんが結婚や同棲をしていても補助を受けられるようです。
ただし保育園を運営している事業所によっては、住宅手当の支給に独自の基準を設けていることもあるそうです。
また、結婚後も支給可能な園や、結婚後保育士さんが世帯主となることで住宅手当を受けることができるという園もあります。
ただし単身者のみの支給や、パートナーが住宅補助を受けている場合保育士さん側には手当が出ないといった条件を設けている園もあるため注意が必要です。
同棲に関しては、保育士さんが世帯主となる場合は同居可能としている園がある一方、一人暮らしのみ支給という形をとる場合もあります。
園や自治体によって異なる基準で住宅手当の制度を実施しているため、しっかりと補助の内容を確認したうえで、自分に合った制度を設けた園に応募するのがよさそうです。
【地域別】保育士の住宅手当の相場
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実際に、保育士さんの住宅手当はいくらくらいの支給があるのでしょうか。
厚生労働省の推奨する制度では、1人当たりの上限額を月額8万2000円としています。
しかし家賃は地域によってかなり差があるので、区市町村によって補助額は異なるようです。
地域別に上限額や補助の内容をみていきましょう。
東京都
東京都の場合、住居が区内外どちからによって補助額が変わる場合もあるようです。
場所によっては、物価が高いことから、厚生労働省の規定を上回る金額になることもあるそうです。
また、自治体によっては、施策の補助対象外の部分も負担する独自の施策を実施しているところもあります。
東京都で住宅手当のある保育士求人を探す場合は、家賃と補助額のバランスをみたうえで、検討するとよさそうですね。
神奈川県川崎市
神奈川県川崎市の補助の内容についてみていきましょう。
川崎市の一人暮らしの家賃相場はおおよそ7万円から8万円のようです。
川崎市「令和2年度川崎市保育士宿舎借り上げ支援事業について 」によると、補助金額の上限は8万2000円となっています。
住居が川崎市内にあることが条件となっているので、保育園と離れた場所に住もうと考えていた保育士さんは注意が必要となりそうですね。
大阪府大阪市
大阪府大阪市の補助の内容についてみていきましょう。
大阪市の一人暮らしの家賃の相場はおおよそ5万円から6万円のようです。
大阪市「大阪市内で保育士として働く方を支援します」を見てみると、補助金額の上限は以下の通りとなっています。
対象者 | 補助上限月額 |
---|---|
2016年8月以降に採用された保育士 | 8万2000円 |
上記のうち、現在勤務する保育所等に採用されるまでの1年未満に市内の保育所等での勤務経験がある方 | 6万1000円 |
市内民間保育所等の採用から起算して10年以内の保育士の方で上記に該当しない方 | 6万1000円 |
新しく保育士となる人に対する補助額が高く設定されていることがわかりますね。
保育士のなり手を増やすためのよい方法といえそうです。
このように地域によって上限金額が異なるほか、区市町村によっては独自の支援制度を導入している場合もあるようです。
保育士バンク!に掲載の借り上げ社宅制度を導入している園では、保育士さんの月額負担1万円で住宅を提供している場合などがあります。
求人によっては新築物件に入居できたり、引っ越し費用を園側が負担したりといった制度もあるようですね。
ほかにも家賃補助として、園から6キロ以内の住居に1人暮らしする場合は月に3万5000円の手当を支給するといった制度を設けている園もあります。
住宅手当がある園で働きたいと考えている方は、自分の暮らし方に合った手当はどれかをきちんと決めたうえで、保育求人を探すとよさそうですね。
出典:川崎市保育士宿舎借り上げ支援事業補助金交付要綱PDFより/川崎市ホームページ
出典:大阪市内で保育士として働く方を支援します/大阪市ホームページ
住宅手当ありの保育士求人に転職する場合の注意点
保育士さんが住宅手当ありの求人を探すときの注意点を紹介します。
制度を採用している園を選ぶ必要がある
厚生労働省が推進している保育士宿舎借り上げ支援事業ですが、保育園の運営主体によっては住宅手当の制度を採用していない場合があります。
求人の内容をしっかり確認したうえで、不明な点は採用担当の方に相談するのがよいでしょう。
好きな住居を選べない
借り上げ社宅制度や寮制度を採用している園の場合、保育士さんが住む物件を園側から指定されることが多いようです。
住むエリアや物件選びにこだわりたいという方は、住む場所を選べる制度を利用するとよいかもしれません。
エリアによっては生活費がかさむことも
家賃が高額なエリアでは比例して住宅手当の補助額も多くなるようですが、そういったエリアでは物価が高くなるケースも考えられるでしょう。
想定より生活費がかかるかもしれないことを考慮して、家計に合った物件選びをする必要があるかもしれませんね。
借り上げ社宅制度が縮小する可能性も
借り上げ社宅制度は保育人材の確保を目的とした施策ですが、財源確保などの問題が生じた場合、補助の規模を徐々に縮小していく可能性も考えられます。各自治体のホームーページなどで制度内容を確認するとよいでしょう。
具体的に補助の保証期間をいつまでとするといった決まりはないようですが、計画的な住居選びを行なったほうがよいかもしれません。
住宅手当ありの求人を探して、保育士の転職に活かそう
今回は、保育士が対象の住宅手当について、その内容や種類、条件、いくらくらいもらえるのかといった相場について紹介しました。
保育士の住宅手当には借り上げ社宅や家賃補助といったさまざまな形があるようです。
園の運営主体によって、いつまで対象なのか、いくら支給されるのかといった内容が異なるので、求人を選ぶ際にしっかり確認する必要があるでしょう。
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