最年長となる5歳児は、手先が器用になり工作も上手になってくるでしょう。新聞紙遊びをするときでも、鉄砲や棒を作ったり、かぶとや帽子、洋服などを作って遊びに活用したりするかもしれません。今回は、5歳児の幼児クラス向けの新聞紙遊びのアイデアと、指導案を書く際の手助けになるような、ねらいや導入方法も紹介します。
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目次
5歳児が行う新聞紙遊びのねらい
5歳児になると「切る、貼る、組み立てる」など工作をするための基本的な動作が身についてくる頃でしょう。
新聞紙遊びにおいて「新聞紙を使って何かを作り、想像力や発想力を伸ばす」というのが主なねらいであった1歳児から4歳児の子どもたちに対し、5歳児はこれまでの内容を少し展開するようになります。
具体的には、「作品のテーマや作り方を考え、完成させる」「遊びを通してルールを理解し、友だちと協力して遊ぶ」というのがねらいになるようです。
新聞紙遊びをする際も、最初から「こう作るんだよ」と指導するのではなく「どうすれば○○が作れるかな?」と子ども自身で作り方を考えられるように誘導するなど、発展的な内容を取り入れてみてはいかがでしょうか。
小学校入学に向けて協調性も身につけていきたい年頃なので、クラスで一丸となって大きな作品を作るのもいいかもしれません。
新聞紙遊びの導入方法や指導案の書き方
保育園や幼稚園で新聞紙遊びを始める前に、導入方法や指導案の書き方、遊ぶときに配慮する点について紹介します。
導入方法
5歳児は、ひらがなやカタカナなど文字への興味も深まってくる頃でしょう。1人で絵本を読める子どももいるかもしれません。
そこで、5歳児の新聞紙遊びの導入方法を紹介します。
新聞を読む
新聞紙を子どもたちといっしょに読んでみましょう。
見出しや写真の中に「この言葉知ってるよ」「この人ニュースで見たことある!」など興味を引く物があるかもしれません。
絵本を読むように新聞紙を開いてみて、知っているものや見たことがあるものがあったら、子どもたちに話してもらい、新聞紙を身近に感じてもらいましょう。
新聞紙を題材にした絵本を読み聞かせる
新聞紙を題材にした絵本を読み聞かせてみましょう。
物語として読むことで、言葉で説明するよりも子どもたちにとって内容が分かりやすいかもしれません。
また絵本を読み聞かせるという導入方法は、新聞紙がどのようなものかという理解を深めることにも役立ちそうです。
遊びによってルールを設けたり、フォローする
運動遊びやゲーム遊びをするときには、あらかじめルールを設定し、子どもたちにやり方を説明しましょう。チームワークを必要とする遊びも多いため、子どもたちが協力し合えるようにサポートすることも大切です。
また、工作をするときには先生が必要に応じてフォローするといいでしょう。
5歳児は自分でできることも増えてくる頃ではありますが、工作が苦手な子どももいるかもしれません。そのため、子どもの状況にあわせて先生がお手本を見せてから取り組むなど工夫をするとよさそうです。
指導案の書き方
冒頭で話したように、保育園や幼稚園での5歳児の新聞紙遊びのねらいには、「作品のテーマや作り方を考え、完成させる」「遊びを通してルールを理解し、友だちと協力して遊ぶ」というねらいがあります。
そのねらいをふまえて、子どもたち自身の頭の中にあるアイデアを実現させるためにはどうすればよいのかを自分なりに考えてもらいましょう。
子どもによってできることが違うので先生の配慮は必要になりますが、楽しんで試行錯誤ができるよう上手に導けるとよさそうです。アイデアがなかなか出ないときは子どもたちとディスカッションをするのもいいかもしれません。
また、チームでいっしょに遊ぶ運動遊びやゲーム遊びをする際には、子どもたち全員で遊べるアイデアを考えてみましょう。小学校入学に向けて「協調性を育む」こともねらいにしたいですね。
新聞紙遊びは工作遊びや運動遊びなど展開がしやすいので、子どもたちが楽しめるさまざまな遊びを考えて指導案を書いてみてくださいね。
新聞紙遊びをするうえで配慮すること
5歳児が新聞紙遊びをするときには、先生は子どもたちが自分の力で理解して解決しようとする姿を見守るようにしましょう。
いろいろな欲求が出てくる頃でもある5歳児は、時に自分のイメージと友だちとのイメージが異なることでぶつかることもあるかもしれません。そこで先生は、遊びを通して子ども同士が協力できるように、遊び方を工夫するなどの配慮が必要です。
また、新聞紙を使って運動遊びをするときには状況にあわせてルールを変更するなどの工夫をして、子どもたちが遊びを自ら考え展開して楽しめるようにサポートするのも大切でしょう。
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5歳児向けの新聞紙遊びのアイデア~製作遊び~
保育園や幼稚園で5歳児の幼児クラスが楽しめる、新聞紙を使った製作遊びのアイデアを紹介します。
かぶと
新聞紙を使ったかぶとの作り方を紹介します。
かぶとは端午の節句でよく取り入れられている工作の一つです。
折り紙で作ることが多いかもしれませんが、新聞紙を使えば実際に頭に乗せてかぶることができる大きな帽子ができますよ。
かぶとを作るときは正方形の紙を用いるので、新聞紙を使う際は1面を斜めに折り、余った部分をカットしましょう。
左右の角のバランスを整えたり紙を折り込んだりと、ところどころ配慮が必要になるかもしれませんが、5歳児なら十分に挑戦できそうです。
また、くわ形と呼ばれる2つの角のような部分を折る工程を省略すると、簡単な帽子を作ることもできます。
好きに飾り付けをしたり、新聞紙の洋服といっしょに身につけてファッションショーを行ったりと、新聞紙の帽子を活用して遊んでみてくださいね。新聞紙の洋服は、新聞紙の真ん中に穴をあけ、その穴から頭を通して新聞紙をわきの下で洗濯ばさみなどでとめれば簡単に作ることができるでしょう。
紙鉄砲
新聞紙で作る紙鉄砲の作り方を紹介します。
「パンッ!」という爽快な音を出して遊べる紙鉄砲は、幼児に人気がある工作でしょう。長方形の紙で作るので、新聞紙の1面をそのまま利用することができます。
折り方はそこまで複雑ではないですが、音を鳴らすときにコツが必要になるかもしれません。空気を入れる袋の部分は、あらかじめ手でふくらませておきましょう。
最初は先生が子どもの手に添えて見本を見せるなど、状況に応じてサポートできるとよさそうです。音を鳴らすときは、あらかじめ周囲に予告し、子どもたちを驚かせないように配慮しましょう。
刀
新聞紙で作る簡単な刀の作り方を紹介します。
新聞紙を丸めた棒を、ダンボールで作ったつばに差し込めば簡単に刀ができあがります。
ダンボールをカッターで丸くくりぬく工程は、カットする範囲が小さく子どもたちには複雑かもしれません。安全に配慮しながら、事前に先生が行うようにしましょう。
新聞紙を丸めた棒は、しっかりとセロハンテープでとめて補強することが大切です。また、棒が簡単に折れないようにするために新聞紙を細めに巻くこともポイントになるので丁寧に作ってみましょう。
新聞紙粘土
新聞紙で紙粘土を作ってみるのはいかがでしょうか。簡単な材料で素材が変化するので、子どもの好奇心をくすぐれるかもしれません。
作り方自体はシンプルですが、多少時間がかかるので余裕を持って挑戦しましょう。
材料
- 新聞紙
- でんぷんのり(もしくは洗濯のり)
- バケツ
- ストッキング
作り方
1.新聞紙を紙吹雪くらいの大きさになるまで細かくちぎります。
2.ちぎった新聞紙をバケツに入れて、水を加えながらドロドロになるまでこねます。
3.使い古したストッキングの中に(2)を入れ、軽く絞って水分を抜きます。
4.新聞紙をバケツに戻しでんぷんのりを加えます。ちょうどよく固まってきたらできあがりです。
製作のポイント
ストッキングがない場合には、薄手のハンカチなどの布製品で代用可能です。
でんぷんのりを加える工程では、粘土状になるまでかき混ぜながら、少しずつ入れましょう。絵の具を混ぜれば、色つきの紙粘土を作ることもできます。
5歳児向けの新聞紙遊びのアイデア~運動遊び~
保育園や幼稚園で5歳児の幼児クラスが楽しめる新聞紙を使った運動遊びのアイデアを紹介します。
瓦割りやボクシング
2人1組になって、新聞紙を広げる係と破る係に分かれましょう。
広げる係になった子どもは、新聞紙の両端を持って横にピンと広げます。破る係になった子どもは、手の指を揃えて、空手チョップのように新聞紙を叩き割ります。
瓦割りのマネをしながら思い切り新聞紙を破ってみましょう。
また、新聞紙を縦に広げればボクシングも楽しめます。
グーでパンチをして新聞紙を破ってみましょう。勢いあまって友だちに当たってしまう可能性もあるので、新聞紙は自分の胸の前に広げるのではなく、身体の脇に広げるように指導するとよさそうです。
キャッチボール
新聞紙でボールとグローブを作ってキャッチボールで遊んでみましょう。
ボールは新聞紙を硬く丸めすぎないようにして作ると、万が一子どもの身体に当たった時にもケガをせずに済みそうです。
新聞紙キャッチボールは晴れの日の外遊びにも雨の日の室内遊びにも活用できる新聞紙遊びです。
先生は、ボールを投げたときに周りの子どもに当たることがないように広い場所を用意して、子ども同士が間隔をあけて遊べるように配慮しましょう。
新聞紙リレー
新聞紙使って普通のリレーとは一味違う、面白いリレーをしてみましょう。(再生時間:2:17~)
新聞紙を身体の前面に貼り付けて、新聞紙を手で押さえずに落とさないように走るリレーです。このリレーはゆっくり走ると新聞紙が落ちてしまうので早く走ることがポイントです。
もし途中で落としてしまった場合には、その場で拾って再スタートするなどのルールをあらかじめ決めておきましょう。
ルールを守りながら友だちと協力して遊ぶ姿勢が身につくかもしれませんね。
5歳児向けの新聞紙遊びのアイデア~ゲーム遊び~
保育園や幼稚園で5歳児の幼児クラスが楽しめるゲーム性のある新聞紙遊びを紹介します。
ボーリング
新聞紙でボールを作り、ペットボトルをピンに見立ててボーリングを楽しむのはいかがでしょうか。
新聞紙のボールといっても、複数のピンを倒せるようなボールを作るのはなかなか工夫が必要です。どうすれば本物のボーリング玉のように固く大きなボールができるか、子ども同士でアイデアを出しながら創意工夫してもらいましょう。
新聞紙の枚数を多く使って層を重ねていくと、ボールに厚みと固さが出そうです。
輪投げ
新聞紙で作った輪っかを、人形やおもちゃ、輪投げ用のボードなどに投げて輪投げを楽しみましょう。
輪っかは新聞紙で作ります。基本的な作り方は、新聞紙の1面を四分割にして丸めて棒を作り、端っこをセロハンテープでとめるとできあがりです。
5歳児であれば、作り方を教えずとも自分たちで考えて作れるかもしれません。
輪っかの大きさや重さによって投げやすさが変わってくるので、紙を斜めに巻いたりねじったりと、色々なパターンを考えながら投げやすい輪っかを作れるといいですね。存分に試行錯誤を楽しみましょう。
巨大迷路
5歳児の年長さんなら「協力して大型作品を作る」ということをねらいにして巨大迷路を作るのも楽しそうです。
用意するのは新聞紙とビニール紐だけです。
教室に碁盤の目のようにビニール紐をはり(1.3mくらいの高さ)、新聞紙を吊るして通路を作ります。
作り方はシンプルですが、スタートからゴールまでどこに壁を作って迷路にするか、事前の相談が必要です。迷路好きの子どもがいれば、リーダーになって道順を考えてもらうのもいいかもしれませんね。
5歳児だと完璧なものを作るのはまだ難しいかもしれないので、先生が適宜配慮しましょう。
新聞紙を筒状に丸めて通路の一部を作り、ハイハイで移動するスペースを作っても楽しいかもしれません。
バランスゲーム
新聞紙で細長い棒を作って遊べるバランスゲームをやってみましょう。(再生時間:0:27~)
新聞紙を細く丸めてセロハンテープでとめれば、簡単にバランス棒を作ることができます。1人1つずつバランス棒を作って、誰が一番長く棒を落とさずにバランスを取れるかを競ってみましょう。
バランスゲームをするときは、子どもたちが棒に夢中になって周りが見えなくなってしまうことが考えられるので、十分な間隔をとれるような広い場所で行うように配慮しましょう。
5歳児の新聞紙遊びは、少し難しい工作やみんなで協力するゲームに挑戦しよう
今回は、5歳児の幼児クラスを受け持つ先生に向けて、かぶとや帽子、紙鉄砲の工作、輪投げや巨大迷路、棒を使ったバランスゲームなどの新聞紙遊びをご紹介しました。
保育園や幼稚園の最年長ということで「作品の作り方も考える」ことをねらいに発展的な内容を取り入れましたが、子どもの力量に配慮しながら無理のない範囲で導入しましょう。
子どもたちが自分たちで考えながら新聞紙遊びを発展させられるようにサポートすることも大切です。
今回紹介した工作遊びやゲーム遊びを取り入れて、子どもたちと試行錯誤しながら新聞紙遊びを楽しんでくださいね。