現在保育士さんなど、絵本にたずさわる仕事をしている人が注目している資格「絵本専門士」になるには、養成講座に申し込みをする必要があります。講座に受講するためには、一定の資格や実務経験が必要となり、なおかつ人気講座ゆえに、高い倍率の中から選ばれる必要があるようです。今回は、絵本専門士養成講座の申し込み倍率や難易度についてまとめました。
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絵本専門士とは
絵本専門士とは、2014年度から導入された新しい資格ですが、保育士をはじめ、教育や絵本にたずさわる仕事の人たちから、現在人気のある資格として注目を浴びています。
近年、幼児期から絵本を読んだり、聞いたりすることの大切さが見直され、絵本を通じた保育・教育活動を行う人の必要性が高まっています。
絵本専門士とは、絵本に関して専門的で深い知識を持った絵本の専門家で、絵本を有効に用いて保育・教育活動ができる人に与えられる資格の1つです。
絵本専門士として具体的に求められる能力は、次のような3つの領域があります。
「絵本や子供に関する知識」
「豊かで魅力のある人間性などの感性」
「手遊びや読み語り、創作活動などの技術」
これらの能力を養成する講座を受け、絵本専門士として認定されると、学校・家庭、各地域などさまざまな場所で読書を支援する活動を行う役割を担うことができるのです。
社会人で絵本専門士になるには
絵本専門士養成講座の内容
講座の講師陣
絵本に関わるさまざまな領域の専門家や作家などを講師として招いており、その顔ぶれが毎年としても充実しています。絵本専門士養成講座の講師陣の講座を、ぜひ受けたいという理由での応募も多いようです。
定員は1クラス30名程度です。少数精鋭で講師陣からきめ細やかな指導を受けることができるため、資格講座の質は高いと言えるでしょう。
講座の内容
講座の内容は、絵本専門士となるために必要な3つの領域を身に付けるための内容になっています。
・「知識を深める」
・「技能を高める」
・「感性を磨く」
講座は、30コマの授業(1コマあたり90~120分)と修了課題により構成されます。
授業は、絵本や子どもに関する知識、おはなし会やワークショップを運営する技能、絵本の創作や編集に要する豊かな感性等を、バランスよく修得できるような内容となっています。
修了課題
講座が全て終了すると、修了課題の提出を求められます。この課題が「絵本専門士として必要な資質・能力を満たしている」と評価されると、絵本専門士委員会によって絵本専門士として認定されます。
認定後は認定証が交付され、「絵本専門士認定者名簿」に登録されます。登録後は絵本専門士のホームページに氏名等が公開され、絵本にかかわるさまざまな活動依頼を受けることが可能になります。
受講資格
絵本専門士養成講座を受けるためには、以下のようなの受験資格が設定されています。
・子供や絵本に関連する資格を有する者
・絵本に関わる実務について、原則として3年以上の経験を有する者
・絵本に関わる活動に携わり、原則として3年以上の経験を有する者
・絵本学や児童文学、美術について研究実績を有する者 等
上記の受験資格を満たし、受験者として認められた場合、絵本専門士養成講座を受講することができます。
具体的には
・司書・司書捕・保育士・幼稚園教諭・小学校教諭の有資格者で3年以上の実務経験
・絵本などの編集・出版経験のある人
・絵本や児童文学について研究している人
など、有資格者や実務経験がある人に限られています。
エントリーシートによる選考と難易度
エントリーシート
絵本専門士養成講座を受講するには、国立青少年教育振興機構のHPからエントリーシートを記入して送信し、選考を受ける必要があります。
倍率と難易度
定員定員は70名となっており、選考結果は同HPで発表になります。受講倍率は正確な数字は発表されていませんが、定員70名のところ、例年非常に多くの応募があるようで、難易度は高いといえそうです。
受講期間と受講料
受講期間
講座にエントリーしてから、発表・確定まで約3カ月かります。6月ごろから講座が開始になります。
講座は例年、7~8カ月間の間に全10日間の日程で行われます。講座自体は全部で30コマあり、1コマ90~120分程度になっています。
受講場所
東京都内になります。通信講座や、地方での開催予定は現在はありません。
受講料
50,000円の受講料が必要です。
また、受講場所までの交通費・宿泊費などの諸費用は自己負担となります。
出典:「絵本専門士養成講座」/独立行政法人国立青少年教育振興機構
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大学など指定機関で絵本専門士になるには
まだ数の少ない絵本専門士を増やすため、また若者が興味をもち、積極的に活動に参加できるように、、大学や短大等の授業の中で学ぶことができる「認定絵本士養成制度」が平成31年度(2019年度)からスタートすることになりました。
認定絵本専門士養成講座
認定絵本士の称号の取得
絵本専門士委員会から認定を受けた大学の授業科目の中で、「認定絵本士養成講座カリキュラムに関するガイドライン」に基づいた講座(30科目、50.5時間)が開設されています。
学生がその講座がを選択・受講し、授業科目の単位を修得すると、「認定絵本士」の称号を得ることができます。
学校の授業を通して取得できるのは「認定絵本士」で、絵本専門士ではないことに注意が必要です。
認定絵本士から絵本専門士へ
「認定絵本士」として認定後は、講座で学んだ知識や技能などを活かして、地域や職場で、絵本の魅力や知識の可能性を伝えるなど、地域の読書活動を充実させる活動に参加していきます。一定期間、認定絵本士としての活動の中で実務・実践経験を積んだ後、絵本専門士委員会から資質、能力がふさわしいと認定されれば、「絵本専門士」の資格を取得することができます。
開設機関
認定絵本専門士養成講座は、絵本専門士委員会に申請した後、認定を受けた次の機関で学ぶことができます。
・大学 (学校教育法第83条)
・短期大学 (学校教育法第108条)
・専門学校 (学校教育法第124条)
・その他、絵本専門士委員会が同等と認めた高等教育機関
2019年現在は、6つの大学・短大・専門学校で実施されています。
出典:「認定絵本士養成講座」/独立行政法人国立青少年教育振興機構
絵本専門士を目指す講座の窓口は広がりつつある
絵本専門士として学ぶための「絵本専門士養成講座」は、現在、定員数に多くの申し込みが殺到し、非常に高い倍率になっています。また、講座内容が濃く、多くの課題が出されるため、取得への難易度も高くなっているといえそうです。
そうした中で、新たに開設された学生が取得できる「認定絵本士」の称号から、実務経験を積むことで絵本専門士の取得が可能になりました。少しずつですが、絵本専門士を取得するための門戸は広がっているといえそうです。