認可外保育園や無認可保育園と、認可保育園は保育施設として何が違うのでしょうか。「認可」とは?定義や違いは?など、分かりやすく知りたい方は多いようです。今回は、保育園における認可・認可外施設の定義、保育料や無償化の範囲などを解説します!それぞれの園で働くメリットや転職活動に役立つポイントもまとめました。
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目次
認可外保育園(無認可保育園)とは
認可外保育園(無認可保育園)について解説する前に、認可保育園と認可外保育園(無認可保育園)それぞれの施設の定義について簡単に見ていきましょう。
認可保育園とは
認可保育園とは、児童福祉法において「保育所」という名称で定められている保育施設です。
保護者の就労や傷病などで保育を必要とする乳児や幼児を、保護者のもとから通わせて保育を行なうことを目的としており、厚生労働省とこども家庭庁が管轄する「児童福祉施設」と定義されます。
認可保育施設として運営するには、国が定めたさまざまな設置基準をすべてクリアし、都道府県知事からそれを認可される必要があります。
認可外保育園(無認可保育園)とは
認可外保育園とは、設置・運営に関して認可保育園よりも緩やかな基準が設けられている保育施設です。
「認可外保育施設」や「無認可保育園」と呼ばれることもあり、東京都など自治体独自の基準をクリアした「認証保育園」もこの認可外・無認可保育施設に含まれます。
施設の広さや設備などに関して国が定める「認可」に準ずる基準を満たしていないため、認可外保育園や無認可保育園と定義されますが、保護者の多様化するニーズに応えている施設や特色ある保育を提供している施設などが多いようです。
認可保育園と認可外保育園の定義について理解したところで、次からは両施設の違いについて解説します。
【認可外・無認可保育園と認可園の比較】施設の概要
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認可外保育園(無認可保育園)と認可保育園の主な違いは以下の4つです。
- 設置基準
- 補助金の有無
- 保育料
- 無償化の範囲
これらの具体的な違いについて以下の表にくわしくまとめました。
上記で示した施設としての違いに関する項目以外に、認可外保育園(無認可保育園)と認可保育園とは、保育環境や運営方針なども異なります。次で具体的に見ていきましょう。
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【認可外・無認可保育園と認可園の比較】項目別の違い
認可保育園と認可外保育園の違いについて、項目ごとに一つずつ解説します。
設置基準
認可保育園 | 認可外保育園(無認可保育園) |
---|---|
厚生労働省によって年齢ごとに必要な保育士の配置基準や、子ども1人あたりの設備の広さが決められている。 | 「認可外保育施設指導監督基準」によって、職員数や設備に関して一定の基準が設けられている。 |
認可外保育園(無認可保育園)は国の基準を満たしていないものの、厚生労働省の指針に基づいて定期的に自治体の立ち入り調査が実施されているため、適正な保育環境が整備されているようです。
保育士の配置基準については、以下の記事をご覧ください。
補助金制度
認可保育園 | 認可外保育園(無認可保育園) |
---|---|
国や自治体から補助金が支給されるため、保育園の運営や設備、保育士さんの給料面において安定が見込める。 | 国や自治体からの補助金はないものの、独自の基準を満たした園に認証を与えて補助金を支給する自治体もある。 |
国は保育の受け皿確保策の一環として、既存の認可外・無認可保育施設の認可化を推進しています。
そのため、認可を目指す施設に対して設備の改修費や移行費などが補助される仕組みが整っているようです。
保育料
認可保育園 | 認可外保育園(無認可保育園) |
---|---|
国が定める上限の範囲内で世帯収入などによって各自治体が設定する。保育園が保育料を自由に設定することはできない。 | 原則として保護者が支払う保育料で園を運営しているため、独自に料金を設定している園もある。 |
認可外保育施設(無認可保育施設)では、早朝や深夜の預かりをしていたり、独自の保育プログラムを実施していたりするケースがあるため、なかには認可保育園よりも保育料が高くなる園もあるかもしれません。
無償化の範囲
認可保育園 | 認可外保育園(無認可保育園) |
---|---|
3歳から5歳までの子どもの保育料は無償化、0歳から2歳までの子どもは住民税非課税世帯を対象として無償化が適用される。 | 保育の必要性の認定を受けた3歳から5歳までの子どもは月額3万7000円、0歳から2歳までの住民税非課税世帯の子どもは月額4万2000円までが無償化される(2024年10月以降は施設により無償化が一部撤廃)。 |
無償化の対象となる認可外保育施設には、一般的な認可外保育園(無認可保育園)のほか自治体独自の認証保育施設、事業所内保育などが含まれます。
保育環境や規模
認可保育園 | 認可外保育園(無認可保育園) |
---|---|
子どもを適切に保育するために必要な一定の水準が保たれている。十分な敷地面積が必要となるため、駅から離れた場所などに立地していることが多い。 | 都市部では駅から近い場所に立地している小規模の保育施設が多い傾向にある。園庭がなかったりビルの一室を使っていたりと、施設面積がややコンパクトな園もある。 |
認可外保育園(無認可保育園)は、保護者のニーズに沿って運営されている園が多いため、園によって施設環境はさまざまです。
しかし、保育室の広さや設備などは「認可外保育施設指導監督基準」を満たしているため、保育の質は保たれていると言えるでしょう。
運営方針
認可保育園 | 認可外保育園(無認可保育園) |
---|---|
公立保育園は、各自治体で決められた保育計画に沿って保育を行なう。私立保育園は、運営母体が独自に保育方針を定め、その方針に沿ったカリキュラムに基づいて保育を実施する。 | 株式会社や社会福祉法人など、運営母体によって保育理念や運営方針が大きく異なる。リトミックや幼児教育、英語教育など特色ある活動を行う園があるため、オリジナリティを求める保護者から人気がある。 |
運営方針は園によってさまざまです。
認可保育園と認可外保育園(無認可保育園)のどちらに転職するか迷ったときは、施設としての違いだけでなく保育内容に注目してみるのもよいですね。
認可外保育園(無認可保育園)で働くメリット
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認可保育園と認可外保育園(無認可保育園)の違いをふまえたうえで、それぞれの園で保育士として働くメリットを見ていきましょう。
認可保育園で働くメリット
(1)経営が安定的
認可保育園で働く1つめのメリットとして、経営が落ち着いていることが挙げられます。
国から補助金が支給されるため基本的に経営不振に陥りにくく、運営が安定している傾向があるようです。
施設管理費や人件費のほとんどが公費でまかなわれているので、保育士さんの雇用も安定しやすいでしょう。一つの園で長く働き続けたい保育士さんにとっては魅力的なポイントかもしれませんね。
(2)行事やイベントが豊富
2つめのメリットとして、行事やイベントが豊富にあることが挙げられるでしょう。
一般的な認可保育園は園児の定員が20人以上とされており、なかには60人以上となる大規模な園も。
そういった園ではクラスも多く、広いホールや園庭があるなど施設環境が整っているため、季節ごとの園行事が豊富な傾向にあるでしょう。
イベントや行事を子どもたちと楽しみ、成功させることにやりがいを感じる保育士さんにとっては、メリットとなりそうですね。
認可外保育園(無認可保育園)で働くメリット
(1)得意分野を発揮しやすい
認可外保育園(無認可保育園)で働くメリットの1つめとして、自身の得意分野を活かして働けることが挙げられます。
認可外保育園(無認可保育園)のなかには、独自のカリキュラムを重視して運営するために、あえて認可を受けていないケースもあるようです。
英語やリトミック、ダンス、スポーツなど施設によってさまざまな分野に力を入れているため、認可外保育園(無認可保育園)であれば自分の理想とする保育を実現できるかもしれませんね。
(2)小規模な園ならゆったりとした保育ができる
2つめのメリットとして、ゆったりとした環境で保育できることが挙げられます。
院内保育や病児保育、企業主導型保育など、認可外保育施設(無認可保育施設)は、小規模で運営されることが多いでしょう。施設規模が小さい分、子どもも保育士さんの人数も少ない傾向が強いかもしれません。
一人ひとりの子どもとじっくりかかわり、落ち着いた保育をしたい方にとっては魅力的なポイントと言えそうですね。
認可外・無認可保育園の転職状況
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認可保育園と認可外保育園(無認可保育園)で働くメリットをふまえたうえで、両施設の転職状況を知っておきましょう。
認可保育園
公立の認可保育園は、求人自体が少ないのが現状です。
これは、公立園で働く保育士さんは公務員であるため福利厚生が手厚く、長く勤めればその分昇給していくことから、保育士さんの勤続年数が長く、離職率が低い傾向にあるためです。
しかし、近年は公立保育園の民営化が進んでいることもあり、自治体が設置して法人が運営するタイプの求人が出ているケースもあります。
一方、私立の認可保育園は社会福祉法人や株式会社などの民間団体が運営しているため、なかには全国に系列園がある大規模な施設もあります。
求人票は転職サイトなどに掲載されていることが多いため、公立園よりもいろいろな園を見つけやすく、転職活動をスムーズに進めやすいかもしれません。
認可外保育園(無認可保育園)
認可外保育園(無認可保育園)は、開園時間の長さや日数などが園の形態によって異なるため、幅広い選択肢のなかから理想的な働き方を選べるのが特徴です。
施設によって保育内容が大きく異なるため、運動や英語、音楽など園ごとの保育方針・内容の違いをしっかりと見比べながら自分に合った園を見つけられるでしょう。
認可外・無認可保育園に転職するときのポイント
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最後に、認可保育園や認可外保育園(無認可保育園)に転職するうえで押さえておきたいポイントを紹介します。
園見学に参加して雰囲気を確かめる
求人に応募する前に、園見学に参加して園の様子を確認するとよいでしょう。
認証保育園などを含む認可外保育施設(無認可保育施設)では、広々とした施設環境が整備されていない場合もあります。
大規模園か小規模園か、また園庭やホールがあるかなどをチェックして、理想とする保育を実現できる環境が整っているかを確かめておくと、入職後にギャップを感じずに済むでしょう。
また、設備だけでなく保育士さんの雰囲気や実際の保育の内容、子どもの様子などもチェックしておくと実際に働いている自身の姿をイメージしやすくなりますよ。
保育時間をチェックする
認可外保育園(無認可保育園)への転職を考えている場合は、保育時間の長さをチェックしておきましょう。
認可保育園の基本的な保育時間は11時間とされており、保護者からの要望に応じて延長保育が行なわれることもあります。
しかし認可外保育園(無認可保育園)はもとから開園時間が長く設定されていることもあるため、勤務時間が長引いたり生活リズムが不規則になってしまったりすることもあるかもしれません。
仕事と私生活を両立させて働きたい方は、保育時間もしっかりチェックしておきましょう。
保育方針をしっかり確認する
認可、無認可を問わず保育園によって保育方針は異なります。
園や自治体のサイトなどで情報を集めて、自分の理想に近い保育を実践できそうか確認しましょう。
特に認可外保育園(無認可保育園)の場合、インターナショナルスクールのように特徴的なスタイルで保育を行なっている施設が多くあります。
のびのびとした保育や幼児教育を取り入れている保育などさまざまなスタイルがあるなかで、自分が目指す保育を実現できそうな園を選びましょう。
待遇を比較する
認可外保育園(無認可保育園)は、国や自治体からの補助金がない場合もあるため、施設によっては認可園よりも給料が低いことがあるかもしれません。
その反面、保育料を独自に設定できるため、認可保育園よりも経済的に余裕をもって運営している園もあることが考えられるでしょう。
また、認可外保育園(無認可保育園)は運営母体が一般企業であることが多いため、運営元が大規模であれば休暇制度や福利厚生などが整備されていることもあります。
園によって給料や福利厚生の充実度は異なるため、待遇面をしっかりと比較することが大切です。
人員配置を確認する
国が定める配置基準を満たしていない認可外保育園(無認可保育園)では、人手不足になっていたりギリギリの人数でまかなっていたりするケースがあるかもしれません。
もちろん定期的に自治体による立入調査が行なわれるため、一定の基準をクリアできていれば保育環境に問題はないでしょう。
しかし、余裕のある人員配置をしていなければ、休みを取りづらかったり残業が多くなってしまったりと保育士さんの負担が大きくなることも考えられます。
無理なく働き続けるためにも、保育士の人員配置に余裕があるかはチェックしておきましょう。
以上のような施設ごとの違いを確認するためには、保育園の求人情報を見てみるのが早いかもしれません。勤務時間や応募要項、雇用形態や待遇などを細かく確認でき、保育方針や理念なども見ることができます。
認可園・認可外園などを選択して一覧で見ることができる求人情報ページで、自分の働きやすい職場を見つけてみましょう。
認可外保育園の求人一覧を見てみる
出典:基準を満たさない認可外保育施設の無償化に関する経過措置について/こども家庭庁
認可外・無認可保育園と認可園の違いを知って転職に役立てよう
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今回は、認可保育園と認可外保育園(無認可保育園)の定義や、転職するうえで押さえておきたいポイントなどを紹介しました。
認可保育園と認可外保育園(無認可保育園)には、施設としての違いや保育料や補助金の有無などさまざまな差異があります。
保育士として働くうえでは、認可保育園にも認可外保育園(無認可保育園)にもそれぞれメリットがあるため、両施設の違いをしっかりと比較したうえで自分に合った園を見つけてみてくださいね。
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