保育業界の人材ニーズが高まっている昨今、チャイルドマインダーという民間資格が人気を集めています。チャイルドマインダーとは家庭的な少人数保育のスペシャリスト。このコラムでは、チャイルドマインダーと保育士の違いについて、資格の意味を比較しながら説明していきます。
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目次
チャイルドマインダーとは
チャイルドマインダーとはイギリスで発祥した家庭的、少人数保育の専門職という意味です。日本では未就学児の子どもを預ける場所と言えば保育園や幼稚園が一般的ですが、イギリスではチャイルドマインダーやナーサリースクールを利用する家庭も多いそうです。
その歴史は古く、産業革命以降、女性たちが子どもを他人の家に預けて働くようになった際の預かりシステムが発端と言われています。
イギリスでは、チャイルドマインダーは国家職業資格と認定されています。日本に渡ってからはまだ歴史も浅く、認知度も低い資格ですが、少人数保育へのニーズが高まっている状況を考えれば将来性がある資格といえるかもしれません。
チャイルドマインダーと保育士の違い
日本におけるチャイルドマインダーと保育士の違いを比較してみます。
資格の内容と取得方法
保育士は国家資格と認定されています。それに対し、チャイルドマインダーは指定の団体による養成講座を修了して試験に受かれば取得できる民間資格です。
受講から取得までの期間は受講団体によって異なりますが、短くて数週間から半年あまりというのが一般的なようです。
試験の合格率も一番低いところで7割以上と、保育士に比べて比較的に取得しやすい資格と言えるかもしれません。資格は一度取得してしまえば基本的に更新する必要はないようです。
預かる子どもの人数
1人の保育士が預かれる子どもの人数は、国の基準によると0歳児が3人まで、1〜2歳児が6人まで、3歳児が20人まで、4歳児以上は30人までです。
それに対して1人のチャイルドマインダーが預かれる子どもの人数は、年齢にもよりますが、原則1〜3人とされています。
働き方や勤務する場所
保育士はほとんどの場合、保育園などの集団保育施設に就職して集団保育を行っています。しかし、チャイルドマインダーの働き方は人によってさまざまです。一般的なチャイルドマインダーの働き方や勤務先について、例を挙げて説明します。
開業して働く
チャイルドマインダーには、家庭的保育者として働く、もしくは託児施設をオープンさせて自分が運営主となって働く方法があります。開業に当たっては自治体などで案内を受けることもできます。
依頼者の自宅に訪問して保育を行う
依頼があった保護者の自宅に赴いて、時間制で子どもを預かるベビーシッターのような働き方もできます。
チャイルドマインダーもしくはベビーシッターの派遣会社や協会に登録して、空いた時間に時給制で働くのが一般的です。時間の融通が利きやすいので、私生活を優先させたい方に人気の働き方です。
保育関連の施設で働く
チャイルドマインダーは当然ながら、保育士として働くことはできません。保育補助というサポート的な役割になってしまう可能性もありますが、それでも保育施設で働く方はたくさんいます。
就職先としては、少人数保育の専門職という立場を生かして、小規模保育施設や認可外保育施設で働くことが多いようです。そのほか、商業施設の託児施設や病院、企業内の託児所などで働く方もいます。
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チャイルドマインダーの魅力
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少人数保育のスペシャリスト、チャイルドマインダーという仕事の具体的な魅力に迫ります。
子どもの成長にじっくりと向き合える
一人のチャイルドマインダーが預かる子どもの人数は、原則1〜3人まで。完全少人数制なので、一人ひとりの子どもとじっくり接することができます。
子どもたちの個性に合わせて、手厚く家庭的な保育を実現していくことができるでしょう。ご家庭の教育方針に寄り添いながら、第二の保育者として二人三脚で子どもの成長に寄り添えるのが魅力です。
多彩な働き方を選べる
個人で開業したり、訪問で保育をしたり、チャイルドマインダーはさまざまな働き方ができます。自分のペースで働けるというのも大きな魅力です。
家庭的な環境で自分なりの保育がしたいという信念を持つ方にとっては、チャイルドマインダーは働きやすく感じられるかもしれません。
自分の特技に応じた保育ができる
幼児向けの英語やリトミックの講師をしていた方が、新たにチャイルドマインダーの資格を取得して働くパターンもあるようです。依頼者からのニーズがあれば、そういった得意分野を保育に生かすのも良いでしょう。
保育士がチャイルドマインダーの資格を取得するメリット
チャイルドマインダーは保育士のステップアップの資格としても人気があるようです。
保育士としてのスキルが向上する
少人数保育の詳細が学べるのももちろんですが、子どもの心理や健康、発達や遊びなどについて学びを深めることもできるでしょう。小規模保育を意識したカリキュラムは、より密な子どもとのかかわりを学ぶことができるかもしれません。
少人数保育という得意分野ができる
チャイルドマインダーは、少人数保育が好きな方や、保育士として得意分野を作りたいと思っている方にも人気のある資格です。
小規模保育施設が増えている昨今、保育士に加えてチャイルドマインダーの資格を持っていれば、今後の転職は有利になるかもしれません。
独立開業など、働き方の幅が広がる
保育士の中には、いつか自分の保育施設をオープンさせたいと考えている人もいるかもしれません。とはいえ、集団保育を行う保育園を一から開業するのは少しハードルが高いですよね。
チャイルドマインダーなら最大3人までの預かりで個人開業をすることができます。保育士として保育園で働くという以外の選択ができ、働き方の視野を大きく広げることができるでしょう。
保育士にとってチャイルドマインダーは、持っていて損は無い意味のある資格と言えるかもしれません。
チャイルドマインダーは大きな可能性を秘めている
今回はチャイルドマインダーと保育士の違いについて、比較しながら説明しました。チャイルドマインダーは、いわば家庭的保育サービスの専門家です。
個人開業や訪問保育など、さまざまな働き方を選ぶことができます。チャイルドマインダーの「minder」は「mind(心)(精神)」という意味です。少人数保育の担い手として、子どもの心に寄り添おうという意味が込められているのかもしれません。
家庭的な環境で子どもの成長を温かく見守るチャイルドマインダーは、大きな可能性を秘めた資格です。