保育士として働くために必要な資格といえば保育士資格ですが、そのほかにも幼稚園教諭免許や病児保育に関する資格など、乳幼児の教育に関わる資格はいろいろとあるようです。今回のコラムでは、そうした保育にまつわる資格について解説していきます。
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保育士になるには保育士資格が必要
保育士にとって必要な資格、保育士資格の内容と取得方法を簡単におさらいしましょう。
保育士資格とは
保育士資格とは、児童福祉法にもとづく国家資格です。この資格を取得すれば、保育所や乳児院、児童養護施設などさまざまな施設で保育士として働くことができます。保育士は、専門的知識および技術をもって、児童の保育や保護者への指導を行う保育の専門家。心身ともに大きく成長する乳幼児のお世話に関わる、非常にやりがいのある仕事です。
保育士資格の取得方法
保育士資格を取得するには、おもに2つの方法があります。
(1)保育士の養成施設を卒業する
保育系の専門学校・短期大学・4年制の大学に入学して指定の科目を全て修め、実習などの課題もきちんと終了できれば、卒業と同時に保育士資格を取得することができます。
(2)保育士試験に合格する
もう一つの方法は、保育士の資格試験に合格することです。この試験には最終学歴によって受験資格が設けられており、短大・4大卒であれば保育と関係のない学部であっても受験することができます。
専門学校卒の場合も、学校教育法に基づいた専修学校で、修業年限2年以上の専門課程だった、という場合は受験資格が得られます。最終学歴が中学・高校という方でも、児童福祉施設において一定以上の実務経験があれば受験資格を取得することができます。
厚生労働省の調査によると、2017年の保育士試験の合格率は約21.6%。難易度は高めと言われていますが、一度合格した科目は3年間再受験を免除される科目合格という制度もあり、何歳からでも挑戦が可能です。
幼稚園教諭の資格は持っていた方がいい?
保育士でも、働く施設によっては幼稚園教諭の免許を持っていた方が良い場合もあります。
幼稚園教諭の免許とは
幼稚園教諭免許とは、文字通り幼稚園の先生として働くための資格です。募集があれば保育園でも働くことはできますが、幼稚園教諭単独の免許だけでは「保育士」として働くことはできません。
保育士が乳児院や児童養護施設でも働くことができるのに対し、幼稚園教諭が活躍できるフィールドは限られてしまいます。しかし、幼稚園教諭免許を取得するためには、教育・芸術・運動といった側面から幼児の成長を深く学んでいく必要があります。保育士とは違った視点から幼児教育に携わることができる仕事です。
認定こども園で働くためには必要
2015年にスタートした「子ども子育て支援制度」により、2014年では1,360カ所だった認定こども園は、4年後の2018年では約4.5倍の6,160カ所まで増加しました。
認定こども園は、幼稚園と保育園の機能を兼ね備えた施設を目標として設置されたようです。その特性上、働く職員も保育士資格と幼稚園教諭免許の両方を併せ持つ「保育教諭」の設置が望ましいとされています。
保護者からの需要も高い認定こども園は、今後とも増えていくことが予想されます。将来の就職先として認定こども園を視野に入れたいという方は、幼稚園教諭免許も取得しておくと良いでしょう。
保育士が幼稚園教諭の免許を取得できる特例措置
2019年2月現在、保育士の資格を持っていて3年以上の実務経験がある方に対し、比較的短い時間で幼稚園教諭の免許が取れる特例措置が設けられています。
大学や専門学校などの指定された講座を受講して8単位を取得するという方法です。インターネットのオンライン講座などでも取得可能なので、働きながらでも受講ができるそうですよ。詳細は以下のホームページを参考にして下さい。
出典:幼稚園教諭の普通免許状に係る所要資格の期限付き特例/文部科学省
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保育士のスキルアップに役立つ資格
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そのほか、保育士として働く上で特に役立ちそうな資格をご紹介します。
病児保育に関する資格
風邪や感染症など、小さな子どもは病気にかかりやすいです。注意して見ていても、思わぬケガにひやりとさせられる保育士さんも多いのではないでしょうか?
そんなとき、病児保育に係わる資格を持っていれば、子どもの状況を見てとっさの判断がしやすくなるでしょう。共働き家庭が増えている昨今、病児のための保育所やシッターなど、病児の対応もできる保育士のニーズは拡大しています。
リトミックに関する資格
赤ちゃん向けの講座も数多く開かれ、最近注目されているリトミック。身体を使って音楽を楽しみます。手遊びやダンスをする機会の多い保育士さんにとって、ぜひ学んでおきたい技術なのではないでしょうか。
リトミックに関する資格は数年がかりで取得するものから、通信講座+1日のスクーリングで取得できるものまで、幅広い種類があります。目的や段階に応じて自分に合ったものを選択できると良いですね。
絵本に関する資格
毎日の読み聞かせなど、保育士が絵本にふれる機会は非常に多いです。絵本に関する資格を取得するための講座では、絵本の分析や作家への理解、読み聞かせの方法などを学んでいくようです。
教養、知識、理解力や感性など、絵本を通して学べることは多いのではないでしょうか。子どもたちの心を豊かにするため、絵本に関する資格を取得しておくのも良いでしょう。
資格を持っていなくても保育園で働ける?
保育士資格を取得していない、取得すべきか迷っているという方でも保育園で働く方法はあります。
保育補助という働き方
保育園の求人の中に「保育補助」という募集を見かけることがあります。保育補助とはその名の通り、保育士の補助的な役割を担う仕事です。深刻な保育士不足を受け、資格を持っていない方でも、保育士とともに働きながら子どもへの接し方を学んでもらおうと考える園が増えてきました。
採用されればもちろん無資格でも保育園で働くことができます。しかし、その仕事内容には少なからず制限があるようです。
取得しやすい「子育て支援員」の資格
子育て支援員というのは、小規模保育や家庭的保育施設で働く人員を増やすため作られた簡易資格です。自治体で行われる20時間前後の講習を受ければ、手軽に取得することができます。受講料もかかりません。
保育園で働くということは、子どもの命にも責任を持つということです。まったくの無資格で働き始めるより、子育て支援員の資格だけでも取得して心構えをしておいた方が良いかもしれませんね。
保育園で働くために必要な資格
今回は保育園で働くために必要な資格や、取っておくと便利な資格をご紹介しました。ご自身の状況や興味に応じて、スキルアップに必要な資格を検討してみて下さい。
保育士にとって必ず必要な資格は保育士資格です。ですがそれ以上に大切なのは、資格を取得しようと思ったときに抱いた「子どもと接する仕事がしたい」という気持ちかもしれません。資格を取るための勉強を通して、目指したい保育のあり方について学んでいけると良いですね。