保育士資格を取得するには、保育士国家試験に合格するか、指定保育士養成施設に認定されている学校を卒業するかの2つの方法があります。どの方法で資格取得を目指すにしても一長一短があり、勉強時間、勉強期間、費用面から、自分に一番適した方法で目指すことが、取得への難易度を下げることになります。自分にとってのおすすめの学習スタイルを決める上で、通学・通信・独学等の難易度を知っておきましょう。
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保育士資格を目指す2つの方法と難易度
保育士国家試験合格で資格取得を目指す
厚生労働省が指定する国家試験に筆記(8科目)、実技(3科目中2科目選択)共に合格することで取得できます。筆記試験は一部合格教科について、3年間受験科目から免除になります。実技・筆記共に各科目6割の得点が合格ラインです。
出典:「受験申請の手引き」/一般社団法人全国保育士養成協議会
都道府県知事に認定された「指定保育士養成施設」を卒業する
都道府県知事に認定された「指定保育士養成施設」である4年制大学・短期大学・専門学校に入学し、規定在学期間内に必要な単位を取得して卒業する必要があります。
保育士資格を国家試験で合格し取得する場合
保育士の国家試験の合格率と難易度
例年、全教科合格率は20%程度となっています。
保育士試験には科目合格の制度があります。これは一度合格した科目は通常3年間、再受験が免除される制度です。年に2回試験があるため、筆記試験を通過するために6回のチャンスがあります。この制度のおかげで、受験する科目や勉強する科目を絞って筆記試験を通過することができるようになっています。実務経験がある方はさらにこの免除期間を5年間に延ばすこともできます。
出典:「筆記試験合格科目における 合格科目免除期間延長制度について」/一般社団法人全国保育士養成協議会
資格を持っていると受験科目が免除になる場合も
幼稚園教諭免許保持者
幼稚園教諭免許を持っている方は「保育の心理学」「教育原理」「実技試験」が免除になります。また、その上で実務経験時間がある一定時間を超えていれば、2020年3月まで特例制度が設けられています。
特例制度
幼稚園教諭免許状所有者(臨時免許を除く)が対象の制度で、幼稚園等における「実務経験」により、通常の「保育の心理学」・「教育原理」・「実技試験」に加え「保育実習理論」も免除になります。
出典:「特例制度について」/一般社団法人全国保育士養成協議会
社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士
免除申請(登録証のコピーを添付)をすることにより、「社会的養護」「児童家庭福祉」「社会福祉」が免除になります。
出典:「免除・一部科目合格の有効期間について」/一般社団法人全国保育士養成協議会
国家試験合格を目指す学習スタイルと難易度
独学で目指す
教材選びや学習計画をすべて自分で行う学習スタイルです。自由度は最も高く、費用も一番抑えられますが、試験対策は自分のモチベーション維持と学習計画の進行具合にかかっているので、学習の難易度は高めと言えます。
独学で国家試験を目指す対策についての詳しい説明はこちらから
通信講座や通学講座を利用する
民間企業が用意している通信講座、または通学講座を利用する方法です。通信講座のほうが通学講座より費用は安く済みます。合格率は各会社が発表しているもので、全教科合格率は40%~50%、一部教科合格率は60%と、厚生労働省の発表している合格率より全体的に高めになっています。試験の合格難易度を下げるための、有効な対策手段と言えそうです。
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保育士資格を指定保育士養成施設の卒業で目指す場合
通学制の学校の入学や卒業を目指す難易度
大学や短期大学、専門学校は、一般的に入学するために選抜の入試があります。大学が課す選抜内容とレベルで、入学の難易度が変わってきます。各学校によって卒業率は変わりますが、日本の大学全体での卒業率は80%ほどと言われているため、入学すれば多くの人が卒業でき、資格取得しやすいといえます。
大学や短期大学の入学の難易度
大学や短期大学の入試は偏差値によって入試の難易度が変わります。偏差値に合わせた入学試験対策の勉強が必要です。
短期大学は高校からの推薦入試の割合も多くなっています。高校在学中の内申点や授業態度等が問われるため、高校在学中から目標意識を持って臨む必要があります。推薦入試では小論文と面接を課す学校がほとんどのため、推薦入試対策が必要になります。
専門学校の入学の難易度
専門学校はAO入試での入学の割合が多い学校がほとんどで、偏差値についてはあまり問われませんが、保育士という仕事に対する情熱やアピール力が問われるでしょう。
夜間(二部)大学、専門学校で卒業を目指す難易度と卒業率
夜間(二部)は昼制(一部)と比較して募集している学校数が少なく、学費も1/2程度で済むため、志望者は年々増加しており、入試倍率は高めの学校が多いです。また、働きながら通学している人が多く、通学時間をしっかり確保できることが難しいことと、学費など金銭的な問題などの理由で、卒業率は50~60%ほどと言われています。こうした問題面ですが、通学時間をフレックスにしたり、昼制にはない奨学金制度を設けるなど、積極的な支援体制に取り組む学校も増えています。
通信制大学・短大・専門学校の卒業を目指す難易度と卒業率
通信制での卒業率は、公表している学校がほとんどありませんが、所定在学期間での卒業率は20~30%と言われていました。スクーリング以外の勉強は独学でのスタイルのため、勉強時間の確保と、モチベーション維持が難しいことが卒業を難しくする理由と言われています。現在ではその状況を改善すべく、eラーンラング導入や、インターネットでの授業をスクーリングの取得単位として含む制度が導入されたことで、モチベーション維持や単位取得が以前よりしやすくなり、卒業率を向上させている学校も見られます。スクーリング期間の積極的な活用やSNSの利用で、生徒同士のコミュニケーションを図り、モチベーション維持に努めている学校もあります。
幼稚園教諭免許を持っている人の特例制度
2020年3月までの特例として、幼稚園教諭は一定の実務経験や保育士養成校で指定の科目を学ぶことで科目が免除される制度があるため、保育士資格を取得しやすくなっています。通信制を利用すれば、最短半年間の勉強期間と1~2日のスクーリングで取得可能です。
出典:「特例制度について」/一般社団法人全国保育士養成協議会
保育士資格を目指す方法と難易度は自身の環境と選び方次第
一見難易度が高そうに見える保育士国家試験の合格率ですが、3年間有効の科目合格の制度を生かした、自分に合った学習スタイルを選択することで、資格を目指す難易度が下げられたり、モチベーションを維持できそうです。
保育士指定養成施設に通学または通信で勉強し、卒業を目指すには、入試の難易度、費用、モチベーション維持ができるかや、学習スタイルが自分に合っているかを考慮して、通学スタイルや学部学科選びをする必要があるでしょう。
どの方法を選ぶにしても、現在は資格取得に対して、たくさんの方法があります。学習計画やメリットをしっかり調べれば、自分にとって一番合っている方法が、きっと見つかります。