保育士になるためには、保育士の養成学校(養成校)に通って保育士資格を取得できます。ですが、保育士養成校を選ぶといっても4年制大学、短期大学、専門学校とその種類はさまざま。現在では通信制の学校も増えてきました。このコラムではこうした保育士養成学校の種類や特徴、養成学校に通うメリットをまとめました。
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保育士の養成学校とは?
まずは、保育士の養成学校の大枠から。保育士の養成学校(養成校)とはどのような学校なのでしょうか?
卒業と同時に保育士資格が取得できる学校
保育士の養成学校とは、卒業と同時に保育士資格が取得できる学校といえるでしょう。保育士は国家資格として資格を取得できる手段2つが定められています。国家試験を合格するか、保育士の養成学校を卒業するか、の2つです。
保育士養成校は、厚生労働省が定める基準を満たしている学校で、卒業までに保育士として必要な能力や知識を身につけることができます。
保育士養成校の特徴
次に紹介するのは保育士養成学校の特徴の一部です。
まずは、その学校の種類について。保育士養成学校に含まれるのは、4年制の大学、短期大学、専門学校などが一般的で、通信制の学校も基準を満たしていれば養成学校として認められます。高校は含まれません。
その修学年数は2年以上。夜間や通信、定時制の場合だと3年以上の学びが必要な場合があります。
必修科目は保育士試験との互換性があるような内容を設定しています。どのような種類の学校でも、保育士としての専門科目だけでなく、教養科目も学ぶ必要があります。養成学校では実習が必修科目の一つになっているのも特徴です。
ほかにも、さまざまな詳細が定められており、その基準を満たした学校が保育士の養成学校として認められます。
4大、短大、専門学校、どれを選ぶ?
保育士としての進路を考えている方は、その学校の種類で悩むこともあるのではないでしょうか?ここでは、4大、短大、専門、それに通信制を加えて養成学校の種類について解説していきます。
4年制大学の特徴
在学期間の長さ
在学期間が4年と、ほかの養成学校に比べて長いのが特徴です。在学期間が長いと、同じ保育士資格をとるのにも時間的な余裕があり、その分深く学んだり、保育士以外の資格を取得できることもあるでしょう。一方で、在学期間の長さから学費が短大や専門学校よりかかります。4年間で400万円前後が一般的なようです。
選択肢の幅広さ
授業だけでなく、将来への選択肢の幅広さも特徴です。複数の学部がある総合大学であれば、教養科目も他学部の授業を含めて幅広く選択できるでしょう。
また学校によっては、保育士以外にさまざまな資格を取得できるようなコースや授業を設置しており、教員免許や臨床心理士、社会福祉士の資格など、保育に関係の深い資格を取得できる場合もあります。
万が一、自身の興味が保育から離れたとしても、他学部や他大学への編入、一般企業への就職がしやすいという特徴があります。
短期大学の特徴
最短2年、在学期間の短さ
短期大学は在学が最短2年で、短期間で集中して保育士資格の取得ができるのが特徴です。在学中は教養科目、専門科目、実技科目、実習など幅広い授業を短期間で学び終えるため、授業が朝から夕方まで入ることも少なくないようです。余裕をもって学びたい、追加で資格を取得したい方向けには3年制のコースを設置している場合もあります。
期間の短さから4大よりも学費が安く、2年間で200万円前後が一般的です。
独自のコネクションがある場合も
古くからある伝統校や地域と積極的に交流している学校は就職に有利な場合があるようです。こうした伝統校や地域密着型の学校では、実習先の保育施設や地域からの信頼も厚く、学校に直接求人が寄せられる場合も多いです。こうした独自のコネクションを利用できるのも短期大学の特徴の一つです。
独自のカリキュラム
短期大学は4年制大学に多い総合大学ほど学部数は多くありませんが、分野に特化した学校が多いのも特徴です。保育士養成課程のある短大では教育や福祉、子どもの分野に特化した独自のカリキュラムを設置している場合が多いでしょう。
専門学校の特徴
指定校と併修校がある
専門学校の中には、2つ種類があります。指定校とは、保育士に加えて幼稚園教諭も卒業までに取得できる課程のこと。近年では4大や短期大学などでも保育士資格だけでなく、幼稚園教諭免許も卒業と同時に取得できる学部が増えてきたため、こうした指定校も増えています。
一方の併修校は幼稚園教諭の資格を追加で取るために通信課程や提携校の授業を取る必要があり、その分学費が余計にかかってしまう場合もあります。
保育士になることに特化したカリキュラム
短期大学と同様に、2年もしくは3年の修学が必要で、学費も同程度の2年間で200万円前後が一般的でしょう。
専門学校は短期の卒業で資格取得を目指すため、実践に特化したカリキュラムが多いと言われています。資格の取得のための学校というイメージが強く、卒業で取得できる「専門士」としての学歴は保育以外の分野では評価されない場合もあるようです。
通信制大学の特徴
自身のペースで学ぶことができる
通信制大学の特徴は通学する期間が少ないこと。そのため、仕事終わりや隙間時間に在宅学習という形で勉強を進めることができるため、自分のペースで保育士資格を取得できるでしょう。
学費の安さがメリット
学費の安さは他の養成学校と比べても抑えられているといえるでしょう。通信制大学は3年間の課程で100万円前後の費用で済むことが一般的です。通学型の養成学校に比べると費用を抑えることができますね。
一定期間のスクーリングでの実技授業や実習は同じ
通信制大学はすべての授業を通学なしで受けられるわけではありません。ピアノや読み聞かせなどの実技の授業は、スクーリングといって集団や講師との対面授業となり、学校で受けるのが一般的です。そのほかにも実習が複数回あります。そのため、社会人で仕事をしている方や主婦の方が通信制大学で資格を取得するためには、自身の予定と都合をつけながらの通学が必要です。
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実技科目や実習があるので現場に出ても安心
ピアノや造形表現、読み聞かせを含む実技の授業や実習があるため卒業後すぐに現場にでてもある程度安心でしょう。こうした実践的な内容は座学だけでなく、現場での経験や練習を重ねることで上達することが多く、養成学校では実技や実習がカリキュラムに含まれているので、現場に入る前にしっかり経験を積むことができますね。
養成学校の就職に関するサポートが受けられる
養成学校に入学すると、その学校の就職に関わるサポートを受けることができます。養成学校では就職に関する講座やキャリアセンターなどで就職活動の手助けをしてくれる場合が多く、面接の練習やキャリアに関するアドバイスを受けることができたり、公務員保育士を目指している方向けには試験対策講座も開催していることもあるでしょう。
学校に提携している法人からの求人が寄せられることも多く、就職活動の際にこうした求人を利用できるのもメリットの一つでしょう。
学費の高さと資格取得までの長さがデメリット
独学で勉強して保育士試験に合格するよりも費用がかかるでしょう。独学で合格を目指す場合にかかるのは参考書や通信教育講座、また試験の受験料のみで、養成学校に通う際にかかる授業料や施設利用料などがかかりません。通信制の学部に通った場合でも、100万円程度はかかってしまうため、費用に大きな差が出るでしょう。
また、勉強期間や試験の受験回数によるので一概には言えませんが、独学の場合だと資格取得にかかる期間が短縮できます。試験を1度で通過することも可能なため、最短でも2年かかる養成校に通学するよりも早く資格が取得できることも。保育士の養成学校に通うと2年間で確実に資格をとれる一方で、費用や取得までの期間というデメリットもあります。
保育士養成学校は卒業と同時に資格取得できるのがメリット
保育士資格を取得できる保育士の養成学校ですが、その大きなメリットは卒業と同時に資格が取得できるということ。学校によって期間やその内容に多少の差はありますが、ピアノなどの実技や実習もカバーしてくれることから、現場に出るのも安心かもしれません。一方で、学校の種類ごとに特徴があったり、デメリットもあるため、こうした条件を考慮して、養成学校という選択を考えてみてくださいね。
出典:厚生労働省 指定保育士養成施設の指定及び運営の基準について