保育士さんの中には、保育についてさらに深く学べる外部研修・園外研修に興味がある方もいるでしょう。保育における最新の知識や興味がある分野について集中的に学べる研修の受講は、自己研鑽にも最適です。今回は、それらの外部研修について、受けるメリットや研修の種類、研修の内容などについて紹介します。
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保育士の外部研修・園外研修とは
保育士さんが受けられる外部研修・園外研修とは、自治体や公的機関、企業などが主催元となった、勤務先の園以外の場所で実施される保育についての研修です。
これらの研修では、地域や県内外の保育士が集まり、広範囲にわたる専門知識や技術を学ぶことができます。
外部研修と園外研修は、基本的に上記の同じ意味を持つ言葉として使われることが多いようですが、園が主催しているが、外部講師を勤務圏に招いて行なう研修を「外部研修」と呼ぶ園もあるようです。
外部研修・園外研修には、座学や実技など幅広いプログラムが用意されており、著名な専門家の講義を受ける機会も多くあります。
個人や園で申し込んで参加することが一般的で、費用負担は園によって異なりますが、園が負担する場合や自費で参加をする場合もあります。
【保育士の外部研修・園外研修】受けるメリット
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保育士さんが外部研修・園外研修を受ける意味やメリットについて考えましょう。
知識・技能の向上やアップデート
「自己研鑽」は、保育所保育指針の「職員の資質向上に関する基本的事項」に示されているように、保育士の義務となっています。
養成学校で学んだ知識、保育士試験のために勉強した項目はあくまでも基礎であり、保育の現場で働くうえでは、さらに実践的かつ専門性の高い知識や意識が必要になってくるでしょう。近年、保育士には多様化した役割が求められ、保育における課題も複雑化しています。保育と教育の境がなくなってきていることや、社会通念や家族のあり方の変化によって、求められる保育も年々変わってくるといったこともあるでしょう。
そのようななかで保育の質を高めるためには、保育士一人ひとりが保育に関する知識を常にアップデートしながら、それぞれの専門性を向上させていくことが大切です。
また、知識だけでなく保育実践としての技能にも専門性をより高める努力は必要になってくるでしょう。手遊びのレパートリーや絵画・製作の技術や指導力など、よりニーズに沿った、保育として有益な内容を身につけたうえでの活動が実現できれば、子どもたちの充実感や深い学びにつなげられるでしょう。
このように、日々の保育の中で保育士として必要な分野や、より掘り下げて学びたい内容について、最新の知見で補うことができる機会が、外部研修・園外研修といえるでしょう。
外部研修は、保育の研究者などの専門家や、さまざまな現場や保育士教育を実践している講師、障がい児保育や遊び・幼児教育など各分野のスペシャリストから直接学ぶことができます。個別に質問できたりフィードバックをもらえたりする機会もあるため、より実践に役立つ学びを得ることが期待できるでしょう。
自身の働き方や園の運営を見直すきっかけになる
外部研修・園外研修は、自身の保育や、園の方針・理念を見直すきっかけにもなります。
世の中にはあらゆる保育実践の方法があります。モンテッソーリなどのさまざまな幼児教育や裸足保育、自然環境での保育を重視する方針によって、環境構成や保育のねらい、遊具やおもちゃなどのツールが異なります。
さまざまな保育の実践を広い視野で見聞きし、学ぶことは、日々の勤務先ではなかなか難しいかもしれません。
考え方が違う保育に関しても、一部を導入したり、違いを比較したりすることで、新たな保育実践につなげることもできます。このように、研修をきっかけに改めて広い視野で保育について見直し、考えるきっかけとなるのも、外部研修・園外研修を受ける大きなメリットといえるでしょう。
また、他園の保育士さんと知り合い、コミュニケーションをとることで、新たな視点を獲得できる機会があるのも、外部研修・園外研修のメリットのひとつかもしれません。
【保育士の外部研修・園外研修】研修のタイプ
保育士の外部研修・園外研修にはどんなものがあるか見ていきましょう。外部研修のスタイルから、形式や実施団体などを紹介します。
講義スタイルの研修
講義形式の研修は最も一般的と言えるでしょう。こうした講義形式の研修では、一つのテーマや議題について専門家がプレゼンテーションをしたり、複数の講師によるパネルディスカッションが行なわれたりすることもあるようです。
こうした講義スタイルは、現場の実態をもとに調査や理論の研究を共有する内容や、最新の保育現場の問題点、注目を浴びているトピックを取り扱うことが多いようです。
保育士にとっても、客観的な視点から分析や対処法を提案してくれる講義形式の研修は、受講しやすく学びやすいかもしれません。
グループワーク型の研修
講師の話を聞くだけでなく、研修の受講者でグループを作り、意見を交換したり実際にケースワークを通して実践したりする外部研修・園外研修がこのタイプです。
講義で身につけた知識だけでは実感として理解できないことも。自分の言葉で表現したり、ほかの人の意見を聞いたりすることで、より深い学びになるでしょう。
内容としては、与えられた保育に関する例題のケースをもとに、課題の設定や解決への道すじをグループで相談し発表するケースワークなどが主なプログラムのようです。
施設などの見学
他園に先駆けた取り組みで注目を集めている園や、今までにない保育実践、保育士の業務改善活動を行なっている園などを見学するタイプの外部研修・園外研修もあります。
このタイプの外部研修・園外研修は、所属する保育関連団体が主催する見学会として行なわれるものが多いようです。
保育園加盟団体の大規模研修
基本的に、各保育園は保育園加盟団体に所属しているようです
こうした保育園加盟団体では、勉強会や年ごとの総会などの形式で定期的に研修を開催しています。総会などでは、その年に団体が最も注目しているトピックに関する講義やグループワークが開催され、会場に集まる保育士の人数が500人~1000人規模になることもあるようです。
こうした研修に参加することは、保育業界のトレンドを知る上でも有益といえるでしょう。
保育士会や学会主催の研修
保育士さんが個人で所属する保育士会や保育関係の学会でも、定期的に研修を開いているようです。全国展開する保育士会でも年に一度ほど研究大会などを開催して、大きな保育のトレンドを発信しています。
また保育系の学会では定期的な保育理論の発表や、新しい保育実践の方法を紹介するセミナーの開催など、さまざまな外部研修・園外研修の機会を設けているようです。
【保育士の外部研修・園外研修】研修の内容
外部研修・園外研修の具体的な内容について見ていきましょう。
保育における新分野・研究が進む分野
以前より研究が進んできた分野や、近年より深い知識と知見が必要となっている分野は、外部研修・園外研修でよく扱われる内容です。近年の傾向としては、障がい児保育、乳児保育、食育やアレルギー、保護者支援などのニーズが高いようです。
他にも、研究者の専門分野によっては、運動保育、地域支援拠点としての保育所の役割、絵本や音楽の保育への効果、実習生対応、虐待への対応なども研修テーマとして取り上げられることが多いようです。
現場で使える実技
保育実技も外部研修・園外研修として学ぶ機会が多い内容の一つでしょう。自治体が主催するものや民間企業や法人が主催する中・小規模な研修が多いようです。救命救急の方法や、手遊びや歌、リトミックや体操遊び、声かけの実践など、すぐに現場で活かせる内容の研修内容があります。
視察研修
視察研修の中には、国内の園だけでなくヨーロッパや北米など幼児教育の先進国で、独自の保育をしている地域を見学する外部研修・園外研修もあります。日程や費用の関係で参加が難しいという場合もあるかもしれませんが、世界の保育を目で見ることで日本の保育全体を見直すきっかけにしたい外部研修・園外研修と言えるでしょう。
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