保育園を退職するとき、退職理由をどう伝えたらよいか悩む保育士さんも多いのではないでしょうか。
このコラムでは保育士さんの退職理由をトピックに、園への退職理由の伝え方や、退職願の書き方、転職先の面接での答え方についてまとめました。去り際こそ丁寧にして、円満退職を目指しましょう。
退職理由はどう伝えたらいい?
退職の意志をかためた後、最も悩むのがその伝え方です。保育園側への退職理由はどのように伝えたらよいのでしょうか。園長や主任はもちろん、保護者への伝え方についても考えてみました。
園長や主任への退職理由の伝え方
退職の意志が決まったら、まず園長もしくは主任保育士に退職したいという意志を伝えましょう。理由については、正直に話す必要はありません。特に、人間関係や条件面など、言いにくい理由の場合は、あまり直接的なものではなく、客観的に見て仕方ないと納得してもらえる理由がよいでしょう。例えば、健康上の理由を上げたり、結婚に際して県外に引っ越さなければならないなどです。
待遇面等のことで具体的な退職理由を話せば、「改善するからもう少し働いてほしい」など、人手不足の園では引き留められる可能性もあります。できるだけ嘘のない範囲で円満退職ができるような言い方を考えましょう。
本部へ報告する場合も
場合によっては運営法人の本部へ、一番最初に退職の意思を伝える必要があるかもしれません。系列園を持つような法人に属している場合は、予め確認しておきましょう。また、本部へ退職の意思を伝える場合も、先ほどの上司への伝え方と同じようにするのがよいでしょう。
保護者に対しても誠実に
担任としてクラスを持っている場合は、保護者にも退職のあいさつをしましょう。もしかすると、園の方針で保護者に退職を申し出ないでほしいという場合があるかもしれません。辞めることを発表する日にちを指定された、というケースもあるようです。そのため、退職の意思を伝えた際に園長へ相談しておいた方がよいでしょう。
というのも、保育士の退職を聞いた場合、子どもの担当が変わってしまうということ以上に、保護者は「ここの保育園に何か問題があるのでは…?」と不安になってしまいかねません。保護者の不安をかき立てないようにしながら、感謝の意を伝えましょう。連絡帳にも一言添えてあげるといいですね。
退職願にはどう書けばいい?
退職願を提出する場合、どのように退職願を書いたらよいのでしょうか。
円満退社には退職届より退職願を
退職時に提出する書類の一つとして、「退職届」「退職願」「辞表」があります。どれがいいのかというと、私立保育園または幼稚園なら「退職願」、公立なら「辞職願」、また私立でも役職についている場合は「辞職願」と、勤めている園の種類または役職を持っているかによって変わります。
そして一般的に、「退職願」の方が「退職届」に比べて優しい印象で、「退職させていただきたい」という意志が伝わりやすいようです。波風を立てないように、「退職願」を選んで書いた方がよさそうです。また、複数の園を経営する大規模な法人で勤務している場合は、園の指定のフォーマットが決まっていたり、オンライン上で申請することもあるので、確認してみてくださいね。
退職願に書くこと、ポイント
退職願に書く内容
退職願に書く文面は、以下になります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
退職願 私事
この度、一身上の都合により、来る平成〇年〇月〇日を持って退職いたしたく、ここにお願い申し上げます。
平成〇年〇月〇日
所属部署 署名 押印
社会福祉法人(株式会社) 〇〇〇保育園
園長 〇〇 〇〇様
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
用意するもの
万年筆または黒のボールペン、便箋(A4またはB5)、封筒(便箋のサイズに合ったもの)
退職の理由
退職願に記入する理由はどういったものであれ、自己都合の場合はすべて「一身上の都合」と記載します。具体的に書く必要はありません。
退職日
退職日は園側と相談した上で決め、退職願に記載しましょう。退職願は一般的に退職希望日の約1カ月前に提出するものですが、年度末の退職の場合などのことを加味すると、引継ぎ期間が短いかもしれません。他の職員に迷惑をかけず、円満に退職するためには、約2~3カ月前には退職の意思を含め退職日を相談し、その後のことを進めた方がよいでしょう。
封入
封筒に入れるときは、表面(字を書いた面)を内側に3つ折りにして封入します。退職願の下部分を最初に1/3ほど折ったら、残りの上部分を折ればOKです。表面の右上部分が封筒の裏面上部に来るように封筒に入れれば、封入は完了です。
簡単1分登録!転職相談
転職に関するご質問や情報収集だけでもかまいません。
まずはお気軽にご相談ください!
読んでおきたいおすすめ記事
保育士をサポート・支える仕事特集!異業種への転職も含めた多様な選択肢
保育士の経験を経て、これからは保育士のサポート役として働きたいという方はいませんか?責任の重い仕事だからこそ、人の優しさや支えが必要不可欠な仕事かもしれませんね。今回は、保育士さんをサポートする・支え...
保育士資格を活かせる在宅ワークのお仕事特集!保育関係の自宅でできる仕事を徹底解説
保育士資格を活かせる在宅ワークにはどのような仕事があるのでしょうか。保育園の事務職や保育ママ、保育園業務のサポートなど自宅でできる仕事は意外に多いもの。今回は、保育士資格を活かして働ける在宅ワークの仕...
病院内保育とは。役割や仕事内容、病院内保育士として働くメリット
病院内保育とは、病院や医療施設の中、または隣接する場所に設置されている保育園のことです。保育園の形態のひとつであり、省略して院内保育と呼ばれることもあります。転職を考えている保育士さんの中には、病院内...
子ども・赤ちゃんと関わる仕事31選!資格の有無や保育士以外の仕事を関わる子どもの年齢別に紹介
子どもと関わる仕事というと主に保育園や幼稚園を思い浮かべますが、それ以外にも意外とたくさんあります!今回は赤ちゃんや子どもと関わる仕事31選を紹介!無資格で活躍できる職場もまとめました。子どもと携わる...
保育士を辞める!次の仕事は?キャリアを活かせるおすすめ転職先7選!転職事例も紹介
保育士を辞めたあとに次の仕事を探している方に向けて、資格や経験を活かせる仕事を紹介します。ベビーシッターなど子どもと関わる仕事はもちろん、一般企業での事務職や保育園運営会社での本社勤務といった道も選べ...
保育士から転職したい!転職先としておすすめの異業種22選。保育士以外の仕事やメリット・デメリットも
保育士以外から異業種への転職を考えている際、どのような転職先がおすすめなのでしょうか。今回は、次の仕事として保育士から転職しやすいおすすめの異業種22選を紹介します。保育士から異業種に転職するメリット...
保育園運営会社の仕事内容とは?本社勤務でも保育士資格は必要?働くメリットや求人事情まで
保育園運営会社にはどんな仕事があるのでしょうか?保育園運営会社で働くことは「本社勤務」とも呼ばれ、保育園の運営に携わる仕事として、主に一般企業に就職したい保育士さんにとって人気の高い職種のようです。今...
【2024年最新】保育士に人気の転職先ランキング!異業種や選ばれる職場を一挙公開
保育士の資格を活かして働ける人気の転職先をランキング形式で紹介!企業主導型保育園や病院内保育所、ベビーシッターなど保育士経験やスキルを活かせる職場はたくさんあります!今回は保育施設や異業種別に詳しく紹...
【完全版】保育士資格を活かせる仕事・働ける企業25選!
保育園で保育士として働くのが辛いと感じて、転職を考えているという方がいるかもしれません。しかし、せっかく取得した保育士資格を活かして働きたいですよね!保育士として得たスキルや経験は一般企業や福祉施設、...
【2024年最新版】幼稚園教諭免許は更新が必要?廃止の手続きや期限、対象者をわかりやすく解説
幼稚園教諭免許は更新が必要なのか、費用や手続き方法などを知りたい方もいるでしょう。今回は、2022年7月1日より廃止された教員免許更新制について詳しく、そしてわかりやすく紹介します。幼稚園教諭免許を更...
保育士は年度途中に退職してもいいの?理由の伝え方や挨拶例、再就職への影響
「年度途中で退職したい...けれど勇気が出ない」と悩む保育士さんはいませんか。クラス担任だったり、人手不足だったりすると、退職していいのか躊躇してしまうこともありますよね。そもそも年度途中で辞めるのは...
幼稚園教諭からの転職先特集!資格を活かせる魅力的な仕事18選
仕事量の多さや継続して働くことへの不安などを抱え、幼稚園教諭としての働き方を見直す方はいませんか。幼稚園教諭の転職を検討中の方に向けて、経験やスキルを活かせる18の職場を紹介します。保育系の仕事から一...
【2024年度】放課後児童支援員の給料はいくら?年代別の年収やこの先給与は上がるのかを解説
放課後児童クラブや児童館などで働く「放課後児童支援員」の平均給料はいくらなのでしょうか。別名「学童支援員」とも呼ばれ、「給与が低い」というイメージがあるようですが、国からの処遇改善制度などにより、これ...
保育士が働ける保育士以外の仕事21選。資格や経験を活かせるおすすめの就職先
保育園以外の職場に転職・就職先を探す保育士さんもいるでしょう。今回は企業内保育所や託児施設、児童福祉施設など、保育士さんが働ける保育園以外の職場を21施設紹介!自身の働き方や保育観を見つめ直し、勤務先...
- 同じカテゴリの記事一覧へ
転職先の面接ではどう伝えたらいい?
転職先の面接では、退職理由及び転職を希望する理由をほぼ必ず尋ねられるでしょう。その際、どのように答えたらよいのか、ポイントと具体例をまとめてみました。
ある程度なら正直に話してOK
退職に至るまでの経緯は、ある程度の範囲内であればそのまま正直に話してしまってOKです。ただし、そのままで終わらせるのではなく、志望動機に結びつけるように話すことが大切です。というのも、園の環境や教育方針への不満を理由に退職するとしても、「その経験をバネにして次の仕事は頑張りたい」という話し方であれば、ネガティブな退職理由にはならないからです。
一例として、職員間の雰囲気が悪かったことを退職理由にするなら、
「現在勤務している園は職員同士のコミュニケーションがやや希薄で、チームとしての協力体制に不安を覚えることがありました。ここでの勤務経験から、私が貴園に入職できた場合、日常的にスタッフ間のコミュニケーションを密に取る工夫を心がけ、仕事中も自然に協力しやすい空気を作り、業務の効率化及び保育の質の向上を目指したいと思います」
というように、ネガティブ理由を使って採用側にアピールすることで、説得力も増しそうですね。
上手にピックアップして話そう
園の雰囲気自体は悪くはなかったものの人間関係をうまく構築できなかった、自分だけがその園で上手に保育を実践することができなかったなど、自分の非を理由に退職する場合もあるかもしれません。その場合は、そのままストレートに伝えてしまうと本人へのネガティブな印象につながりかねません。本当の理由はそこにあるとしても、実際に退職理由として話す場合は視点を変えて、違う部分をピックアップしてみましょう。
例えば、保育を上手にできなかった場合で考えてみましょう。自分から見ると保育の技量はまだまだだ、と思ってしまうこともあるかもしれません。しかし、保育園は園によって考え方やルールも全く異なるものなので、保育の仕方や保育方針が「合わなかっただけ」という場合も十分考えられます。
園側が得意であったり求めようとするものと、自分が得意とするものが「合わない」という表現にすることで、なるべくどちらも悪く言わず、角が立たない方向でまとめることができます。したがって、保育観が合わないことを退職理由として話し、その上で「自分が求める保育は貴園の~」と続けることで、入職を希望する園に惹かれたポイントをアピールできるでしょう。
まとめ 円満退職と転職を叶えられるような退職理由を
保育士の退職理由をテーマに、園への伝え方、退職願の書き方、面接での答え方について解説しました。「仕事を辞めます」と言ったとき、一般的に職場ではよい顔をしてくれる人は少ないかもしれません。
しかし、職業選択の自由は日本国憲法にも明記されている大原則です。堂々としていて全く問題ありません。また、これだけ保育士が世の中に求められている時代でもあるので、保育士一人ひとりが自分に合った職場を選ぶことは、長く働くためにも必要なことです。
とはいえ、辞めればもうこの人たちとは会わないのだからと思ったとしても、去り際こそ社会人として丁寧な対応を心がけましょう。同・他業界に関わらず、今後どこで関わるかはわかりませんから、最後までしっかり対応しましょう。