失敗をした時、自信を無くして落ち込んでいる時、「自分は保育士に向いてないのでは?」と思うこともあるでしょう。このコラムでは保育士が向いてないと感じるときはどういうときか、また向いている性格はあるのか、など保育士の適正について考えます。保育士として悩んだときの参考にしてみてくださいね。
「保育士に向いてない」と思うのはどんな時?
保育士に向いてないと思うのはどんな時でしょうか?具体的なシチュエーションを考えてみました。
保育で大きな失敗をしてしまった時
保育の仕事で思いがけず大きな失敗をしてしまった時は、自信を無くし、「自分は保育士に向いていないのでは?」と思ってしまうでしょう。
保育園は子どもが安全で安心して過ごせる環境でなくてはいけませんが、少し気をゆるめた瞬間のヒヤリハットや、若手の保育士の場合だと経験が浅く注意が及ばなかったための子どもの怪我もあります。
しっかり反省して再発防止や改善を目指すことが大事という一方で、上司から叱られたり、保護者に謝っているうちに、自分を必要以上に責めてしまうような気持ちになることも。そのようなネガティブな気持ちの中で、「自分は保育士に向いていないのかな」と思う保育士さんは多いのではないでしょうか。
仕事をしていて楽しいと思えない時
仕事をしていても楽しいと思えない時も、保育士としての適性を考えてしまう瞬間の一つです。
もちろん保育士には、子どもの成長に関われるやりがいはありますが、仕事というのは楽しいことばかりではありません。仕事が楽しくないと感じるのにはさまざまな理由が考えられます。
仕事が予想以上に多くて余裕がなくなっている時、大変な仕事に給与が見合わないと感じる時、子どもとのかかわり方がわからず仕事がうまくいかない時、など仕事や待遇に関してさまざまな場面で「楽しい」とは思えないことがあると思います。仕事そのものと自分の感じ方のギャップは一つの大きな問題となるでしょう。
先輩や同僚と同じように振る舞えない時
先輩や同僚ができていることが自分にはできていないとき、「自分にはどうしてできないのだろう」と自信を無くし、保育士に向いていないと感じる方もいるでしょう。
一般的には、保育士という仕事には「保育士らしい」振る舞いが求められます。お遊戯や体操などの集団保育の時間には、大きな声で明るく子どもたちを誘い込む表情や声が求められますし、外でのお散歩や遠足の際には子どもたちがバラバラにならず安全に行動できるよう大きな声で誘導したり注意したりも必要です。保護者とのコミュニケーションにも、保護者の気持ちに寄り添いながらも伝えることをしっかり伝えて円満な関係を築かなければなりません。
先輩や同僚がうまくやっている一方でそれができないと、まるで自身が劣っているように感じて、保育士という仕事そのものに向いてない、と心配になるかもしれません。
一般的に保育士に向いている性格とは?
保育士に「向いていない」と思ってしまうこととは逆に、もとから保育士向きな性格の人はいます。ここでは、一般的にどういう人が保育士に向いているのか考えてみます。
子ども好き
保育に関わるうえで、子どもが好きというのは保育士向きの性格だといえるでしょう。
日々の子どもの成長は早く、おむつが外れた、かけっこができるようになった、友達と喧嘩してもすぐに仲直りできるようになった、などさまざまな成長を近くで見ることができるのが保育士のやりがいの一つです。日中は、子どもと遊びを通して関わり、その時間も多い日は8時間~11時間になることも。保護者と同じ目線にたって、自身の子どものように関われる、そんな子ども好きの方は、何よりも保育士に向いていると言えます。
コミュニケーションが得意
コミュニケーションが得意、というのも一つの適正です。保育士に求められるのは子どもとの応答的なかかわりだけでなく、保育を円滑に進める同僚保育士との連携のためのコミュニケーションや保護者に一日子どもがどんな様子だったのか伝え、保護者からも子どもの情報を引き出す会話が必要です。
また、地域の方々との交流も多く、コミュニケーションは保育士にとって仕事を円滑に回すための一つの道具です。コミュニケーションが性格的に得意、好きだったりすると保育士に向いているといえるでしょう。
体力がある
体力がある、というのも重要な要素の一つです。子どもと遊びや日々のお世話を通して関わるのが保育士ですから、当然子どもと一緒に遊んだり、危ない場面に遭遇すれば止めるために駆けつけなければなりません。子どもは身体は小さく、一日中動いている体力はないものの、一瞬の運動や遊びに出すパワーはすさまじいもの。そういった子どもについていくためにも、保育士は体力がいるお仕事だといえるでしょう。
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「向いていない」性格はあるの?
保育士に「向いていない」と感じやすい性格はあります。しかし、少し視点を変えてみれば、そうした性格もポジティブに捉えなおすことができます。ここではそうした向いていないと言われる性格について解説していきます。
完璧を求めすぎてしまう
「完璧にやらなきゃ」という意識が強い人は、自身が失敗したときに「向いていない」と感じやすいと言えます。
失敗をした時や同僚のようにふるまえない時には特に、自身がそんな風にできないことに目が行ってネガティブになりがちになってしまうことがあります。
ですが、特に若いうちは失敗はつきもの。ですが、完璧にやろうとしている姿勢は、一生懸命であり、まじめに取り組んでいるというプラスのポイントです。肩の力を抜いて、失敗を恐れずに日々の保育に取り組むことで、自然とうまくいくこともあるでしょう。
体力がない
体力がない、と感じると、仕事の多さに圧倒されたり、日々の仕事に疲れてしまい、仕事が楽しくないと感じることも多くなるかもしれません。体力はあることに越したことはないですが、体力をつけることは簡単なことではありません。
一方で、体力がないことを自覚していれば体調管理に気を付けることで自身の体力のなさを補うことができます。リフレッシュする時間を作るよう心掛けたり、早く寝て翌日に備えるなど、体力がない分、仕事中にも疲れにくい身体づくりを心掛けることができますよ。
内向的な性格
内向的な性格で、なかなか大きな声で子どもをまとめることができなかったり、保護者とのコミュニケーションが苦手な方もいると思います。
こうした子どもや保護者とのやりとりは慣れによるものも大きく、意識して改善のために自身のペースで無理なく努力していくことが改善のための一つの方法です。
また、保育園にはいろんな子どもがいます。元気で明るい保育士さんが好きな子どもがいる一方で、落ち着いた雰囲気の保育士さんが好きな子どももいます。保育園にはさまざまな子どもが集まるので、いろんな性格の保育士さんが幅広く役割分担できると園全体でもうまく保育が進むかもしれませんね。
保育士に「向いていない」人はいない!
大切な考え方があります。それは、保育士に向いていない「人」はいないということです。確かに、子どもが好きとかコミュニケーションが得意、など保育士「向き」の人はいます。ですが、向き不向きという考え方は、そもそも保育には合っていないのです。
どういうことかというと、保育園という場所とそこに通ってくる子どもを考えてみましょう。保育園は、日中仕事をしている親に代わって子どもを預かり、仕事をする保護者の子育てを助ける場所。保護者がさまざまな仕事をしているように、子どもの個性も千差万別。親の子育て観や、それに影響を受けた子どもの育ち方、生まれ持っている性格でさえ違います。つまり、いろいろな性格やバックグラウンドを持った子どもがいるのです。
子どもが違うということは、その時々によっても子どもと性格が合う、合わないも当然あります。大きな声を出せない保育士さんだって、似たように内気な性格の子どもに必要とされているかもしれません。保育士同士だって同じです。職場の同僚と折り合いが悪いことも、もしくは園の方針と自分の保育観が合わないことだって当然あります。
失敗してしまったら、反省して次からは直せばいいと努力すればいいし、楽しいと思えるよう環境ややり方を少しづつ改善していけばいいのです。
ですから、一時的に向いていないと不安になってしまった時は自分が向いていない、と自身を否定的にとらえるのではなく、よりよい保育ができるよう、より楽しく仕事ができるにはどうしたらいいのか、自身のいる環境や考え方を変えてみることも含めて、前向きに考えることも大事ですよ。